自作手打ち蕎麦(05)

2003年12月31日
【店舗数:—】【そば食:272】
岡山県某所

鳥南蛮

今年も年末の蕎麦は、手打ちに挑戦なのだ。すっかりおかでん家においては、手打ちそばが定番化してきていて、振り返ってみると今年で3回目になる。

その間に、蕎麦打ちの技術は向上したか?というと、全然進歩なんぞしちゃいねぇ、っていうのが実情だ。何しろ、盆と正月、実家に帰省した時しか蕎麦を打つ機会が無いからだ。実家にそば打ち道具を置きっぱなしにしているから、仕方がない。東京に道具を運び込んだところで、自炊は原則禁止の賄い付き社員寮に住んでいる関係上、蕎麦なんて打てない。1月に寮から離脱してマンションを借りるつもりなので状況は一変するが、だからといって生地を延ばす事ができるような広い台を確保できる目処はない。結局、これまでも、これからも年に2回しか蕎麦は打たないのだろう。一生かかっても、高等技術が身に付くとは思えない。

それでも家族から嫌がられず、縁起物として重要な年越し蕎麦を打たせて貰えているのはひとえに蕎麦粉の質の良さに尽きる。恐らく、この蕎麦粉のできが悪かったら、蕎麦打ち技術のヘタさと相まって「もういいよ、来年からはお店で生そば買ってこよう」という事になるだろう。古川製粉所さん、毎年どうもありがとう。

ということで、今年も銚子にある古川製粉所に「特上」蕎麦粉を1kg発注しておいた。当初、カネに物をいわせて「特上」を仕入れるのは安直過ぎないか?そこそこの蕎麦粉で、きっちりと蕎麦を打つという姿勢こそが重要ではないか?という偽善者的な事を考えていたが、そば打ちをした後になって確信した。技術が無いんだから、蕎麦粉をけちってはいかん、と。姿勢とかエラそーな寝言言ってるんじゃないよ、と。

その蕎麦粉だが、30日に実家に配送されるように手配してあった。しかし、その30日になっても全く届く気配がない。あれれ、どうしたんだろうと思っている間に、日が暮れてしまった。夜の9時頃になって、古川製粉所から電話がかかってきて、宅配便業者が積み忘れをしてしまい、配送漏れをしてしまったという連絡があった。危ない!間に合うのか、おい。

21時という遅い時間に、銚子にある製粉所から「積み忘れ」の報があったってことは、31日中の配送がホントにできるんかいなという疑念が沸いてくる。しかし、先方は31日中には届くと断言していたというので(おかでんが電話を受けたわけではないので、又聞き)、とりあえずは信じるしかない。

しかし、31日中に届くといっても、夜になって蕎麦粉が届いても困る。そこから5人分の蕎麦を打つとなると、何やかやで最低1時間はかかる。家庭によっては、夕食を普通に食べた後、除夜の鐘を聞きながら年越し蕎麦を「お夜食」として食べるところもあるようだが、おかでん家においては年越し蕎麦は「大晦日の夕食」としての位置づけ。どんなに遅くても20時までには食べられる状態でないと、飢えた家族が暴徒と化しかねない。

ようやく届いた蕎麦粉

妙な緊迫感をもって迎えた大晦日。

おかでん自身は比較的平然としていたのだが、「大晦日くらいは早く家事から解放されてゆっくりとしたい」と強く願っていた母親から、無言有言さまざまなプレッシャーを 受けた。「いくら今日届くからって、夜遅くなっちゃうとねぇ」などとちくりちくり。

最悪の事態になった場合、冷凍庫に貯蔵されていた加ト吉の讃岐うどんのリリースも考えられたが、家族の同意は得られないだろう。香川県じゃ、普通に「年越しうどん」を食べるんだけどねぇ。

今日は鶏南蛮そばにすることを決めていたので、昼下がり、鶏肉やつくねを買いにスーパーへ行った。家に戻ってきても、まだ到着していない。心配したおやじが「その製粉所に電話したらどうだ」と進言してくる。「いやでもよ、今更『発送しました』って言ってる製粉所に電話したって、到着が早くなるわけでもないし」となだめる。

他にも、宅配便業者を聞き出して、問いつめてはどうかという提案もなされたが、「年越し蕎麦打つためにこちら待たされてるんですよね、早くしてくれなくちゃコマるんですよね」と電話口で文句を言ったって、やっぱり到着が早くなるわけでもない。ここは、座して待つのみだ。

結局、17時頃になってようやく魔性の白い粉が到着した。配達に来たクロネコヤマトのおにーさんは、何事もなかったかのように引き渡して、引き上げていった。イライラしていた母親が、「一言お詫びとか言ってきた?」と聞いてきたが、そりゃ末端の配送者にはこのドタバタ劇なんて伝わっているワケがない、 配達のおにーさんに小言を言っても始まらない。

ココロを揺らしてはいけない。これから蕎麦をうつのだ。味がまずくなる。年越しに間に合っただけでも良いと思わないと。

蕎麦粉

年明けそば、というのも少々魅力だったんだがナー、とかお雑煮蕎麦って旨いかしらん、いやそれは単なる力うどんならぬ力蕎麦か、とか考えながら、さっさとそば打ちに取りかかる。

自分で蕎麦を打つようになった直後は、やれ「蕎麦が乾燥するからストーブは切れ」だの、「コンロ使うのは控えてくれ」だのあれこれ主義主張をしていたのだが、最近はもうそんなのはどうでもよくなりつつある。そういう繊細なレベルにまで腕が達していないのにようやく気が付いたからだ。

さて、今年の蕎麦はどうかいな。

何度もこのコーナーでふれているが、どうも2003年新蕎麦シーズンでの勝ち星に恵まれていないので、今回の蕎麦粉もできが気になるところだ。何しろ、腕の悪さを蕎麦粉の良さでカバーしないといけないわけで、こっちとしては死活問題だ。

乾燥剤

おっと、慌てているとはいえ、乾燥剤を入れたままでそば打ちをしてはいけない。危ないところだった。

水回し

さあ、ここからはお恥ずかしい光景となるので、解説は大幅カット。

さっさと次行きましょう。

蕎麦粉をまとめる

何となくできた巨大な蕎麦ダンゴ。これで、蕎麦粉500gに割粉150g分。

伸ばし

相変わらず、食卓で蕎麦を延ばす。

蕎麦切り

二回にわけて打ったので、合計1.3キロ分打った事になる。

1時間半弱かけて、ここまで完成。

蕎麦アップ

とりあえず、アップで写真を撮ってみる。

うーん・・・。太さが不均等だ。

鶏南蛮そば

ということで、鶏南蛮そばのできあがり。

正肉、つくね、長ねぎが入っている。加えて、なぜかおかでん家の暖かい蕎麦には付き物のなると。

見栄えの良い盛りつけにしたかったのだが、どんぶりが小さいために麺が中央で盛り上がってしまい、真ん中に具が盛りつけられなかった。すぐに滑り落ちる。

蕎麦アップ料理雑誌では、料理の「おいしそう感」を引き出すために接写する。

今回の蕎麦も、その手法を倣って接写してみた。

うーん、あんまりおいしそうに見えないような気がする。なんだか、ゴチャゴチャしてるんだよな。もっと具と麺の量を減らすべきだったか。

全員にゆでたての蕎麦を食べて貰って、最後に自分も頂くことにする。

ずるずる。

・・・すいません、只今使った擬音、やや誇張表現がありました。麺が短いので、ずるずるとすすり上げるような事は到底できとりませんでした。延ばしの工程で、ちゃんと角出しができていなかったので短い麺だらけ。だから、「もぐもぐ」という表現の方が正しいような。

でも、味は言うこと無しだったなあ。麺のできが悪いことをさっ引けば、スバラシい蕎麦だった。・・・って、それっておかでんのそば打ちは無価値って事じゃないか。でも、まあ事実だからしょうがない。今年もありがとう古川製粉所さん、という事だ。

いやぁ、味よし、香り良し。困っちゃうんだよなあ、そこらへんの蕎麦屋で食べるやつより、はるかに美味いんだから。もちろん、蕎麦はのどごしだとか歯ごたえといった様々な要素が絡んで一つの料理として成り立っているのは承知していて、単に香りが立ってりゃいいってもんでもない。しかし、なぜお店ではこのような良い蕎麦粉を使わないのだろう。コストの問題なんだろうか。今回の蕎麦粉は、1kgで1,700円。送料別、割粉と打粉が500gづつ付属。それで、8-9人前はそばを打つことができた。ということは、一人前200円弱。これにつゆや薬味のコストを加えていくと・・・あ、やっぱり原価率高すぎだ。600円-800円程度で蕎麦を提供しようとすると、この蕎麦粉は使えない。なるほど、そういうことか。

おかでんとしては、うまい蕎麦が食べられるんだったら1000円払っても惜しくはないと思うが、一般的には夏目漱石大先生をバシっと支払って蕎麦食う、となると割高な印象がつきまとう。これはマーケティングの世界なんだろう、消費者が蕎麦に期待する値段と、どこまで良い蕎麦粉を使うことができるか、というバランス。

もりそば

もりそばアップ

翌日、元旦の昼食は余った蕎麦をそのまま盛り蕎麦にして食べた。これまた非常に結構でござんした。
しかし、盛り蕎麦にすると面の不均等っぷりが際だってるなぁ・・・。

最後は、もちろんそば湯でしめるのだが、今回は「ふじおか風濃厚なポタージュ状そば湯」を作ってみることにした。やや煮詰まり気味のゆで湯に、打粉を入れてみる。

・・・ぎゃあ。安直に投入したら、打粉がすいとんのように固まってしまった。濃厚どころか、固形物になってしまったんでは、意味がない。あわてて菜ばしで反乱軍の鎮圧に取りかかったが、なかなかいうことを聞かず鎮圧失敗。結局、最後はそば湯をざるで漉す羽目になってしまった。何をやってるんだか。

しかし、できあがったそば湯がこれまたうまい。蕎麦の香りが残っていて、何杯でも飲める。もういっぱい、もういっぱいと飲んでいるうちにゆで湯がなくなってしまった。飲み過ぎだ。

でも、今回そばつゆで使ったのは、関西風のやや甘めのもの。そば湯をいただくときは、やっぱりかっらくて濃い関東のそばつゆがいいなあ、と改めて思った。

さて、うまい蕎麦を年末と年始に食べたわけだし、今年1年、いいことがあるに違いない。今年一年、張り切っていこう。
・・・という文章を、2月に入って書いているおかでん。いったい何をやってるんだろう俺って・・・。




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