手打蕎麦 ぐらの(09)

2004年08月07日
【店舗数:—】【そば食:308】
埼玉県入間郡大井町

野菜天ぷら、出汁巻き玉子、ごまだれせいろ、そばビール、清酒(正雪、明鏡止水)

前回発見したそばビールを注文してみた。

小さな瓶で、250ccくらいの容量、だろうか。よく、旅館の食事なんかで、お子さま用に提供されるオレンジジュース瓶くらいのサイズ。ベルギー産のビールだという。

「へー、ベルギー産ですかぁ」

なんていいながら、瓶を傾けながらラベルを眺めていたら、店員さんから

「ああっ、こぼれますよ!?」

と注意を受けた。おっとしまった、まだグラスに注いでいないんだった。

まあ、イロモノビールだろうということで味には期待していない。ただ、蕎麦屋で蕎麦ビールって面白いじゃないですか。こういう好奇心旺盛な取り組みっていいと思う。遊び心だ。

味だが、なるほど、これが蕎麦ビールねぇ、という感じだった。言われてみれば蕎麦の風味がするような気がしなくもないが、圧倒的に強いカラメル風味のインパクトに気を取られてしまうと、「あれ、どこに行った?蕎麦やーい」という感じ。

恐らく、蕎麦の実だけでは糖分が足りないので、糖分を足してアルコール発酵の手助けをしているんだろう。味わいもまろやかになって、濃厚なコクが出て良い、というワケだ。

赤みを帯びた液体の色は、蕎麦とは似つかわしくない。味も、蕎麦茶のような味わいを期待すると、大外れだ。しかし、この味わいはちょっと面白い。女性向け、と言えるかも知れない。デザートワインの位置づけで、食後にいっぱい、くらいの方が向いているかな。

さて、今回はビールを最初に頂いたということで、「エビフライ」を注文しようかと考えてしまった。しかし、ビール瓶が小さいため、恐らくエビが揚がってお皿に盛りつけられている頃には、ビールグラスが空になっているに決まっている。「エビフライお待たせしましたー」なんてテーブルに運ばれた時には、既に清酒のグラスが卓上にスタンバイされている予感。なんか、タイミング悪そう。

ということで、大人しく「玉子焼き」と「野菜天ぷら」を注文なのだ。

結局、想像したとおり、ビールを飲み終わるまでに料理は間に合わなかった。清酒で、注文した料理を頂く事になった。そういえば、このお店って突き出しが無いんだよな。「とりあえずの一品」として、揚げ蕎麦でも出してくれればありがたいのだが。

隣のテーブルでは、中年カップルが生ビールを前にして語っていた。しかし、時々、女性の方がおかでんの下の名前(本名)を口にするため、気になって仕方がない。どうやら、男性はおかでんと同じ名前らしい。

ビールを半分しか飲んでいないにもかかわらず、清酒を注文しはじめた。注文を取りに来た店員さんに向かって、「どれがいいかな、さっぱりした方がいいな。さっぱりしたのってどれ?純米酒の方がさっぱりしているかな」と質問して、ちょっと店員さんが困っていた。愛想笑いを浮かべている。

「知ってる?純米酒ってアルコール入ってないんだよ。知ってた?」

なんて、店員さんに聞く。店員さん、「はぁ」と曖昧な返事。

それは僕も初耳でした。アルコールの入っていないお酒って何ですか?

それでもこの男性、自信満々に「他のお酒はアルコールが入ってるんだけど、純米酒だけは入ってないんだよ」と言う。

・・・どうやら、醸造アルコールの事を指しているらしい。紛らわしい表現だな。それにしても、そんな程度の知識を得意げに語って、なおかつ店員さんを挑発するこたぁないだろうに。ほらー、店員さん困ってるじゃん。

この人たち、この後「飲みかけのビール」「飲みかけの清酒」「食べかけの料理」と食い散らかした挙げ句、蕎麦は出てきてから10分以上、口にしようとしなかった。おかげでお蕎麦は伸びてでろでろ。店に対しての何かの抗議か嫌がらせか、それは?ま、お金をちゃんと支払っているんだから問題はないのだが。

変な中年カップルを見ていてもつまらんので、周囲を見渡す。今日も相変わらず大盛況。二人組っていうのが多い。客あしらいをやっている3名の店員さんがフル稼働。ぱたぱたと元気よく走り回っていた。

最後、ごまだれせいろを頂く。田舎せいろを頂こうと思ったのだが、相変わらず夜だと品切れの人気商品。ならば、ということでごまだれを初注文してみた次第だ。

ごまだれといえば、神田まつやのごまだれは美味いよなあ。せいろを食べているお客さんの1/3から1/4くらいはごまだれで食べてるぞ、ってくらいの美味さと人気だ。さてこのお店のはどうかな、と。

出てきたごまだれは、たれにキュウリの千切りが混ぜられていて、なおかつ白ごまが振りかけてあった。なるほど、キュウリとは意外だった。

蕎麦は、さすがにこの時期、香りは既に失われていた。あと2カ月くらいは、辛抱の時期だな。しかし、6月くらいまで明確に薫り高い蕎麦を出していたのだから、新蕎麦の季節になったら大爆発が期待できるだろう。

さて、早速ごまだれを試してみる。うん、美味いんだけど、辛い。塩辛いというか、ちょっとコレは辛すぎるかも。もう少し胡麻の甘さが強くてもいいと思う。

しかし、最後にそば湯割にしたら、ちょうどいい濃さになってくれた。蕎麦つゆとしてよりも、そば湯割の方がジャストフィットな感じ。蕎麦徳利に辛汁が入っていて、随時継ぎ足すことができる通常のせいろと違い、ごまだれは猪口に注がれている量で全て。継ぎ足しができない。だから、そば湯を注いで、飲んで、量が減ってきたらまたそば湯を注いで、の繰り返しだ。段々味が薄くなってくる。しかし、味が薄くなってあまりおいしく感じなくなる前に、湯桶いっぱい分のそば湯を飲み干してしまった。偉大なりごまだれ。

この日は映画館でレイトショーの映画を見て帰った。

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