そば・甘味 山の花

2009年05月23日
【店舗数:239】【そば食:421】
長野県安曇野市穂高有明

もりそば

山の花外観

キャパシティ的にどう考えてもこれが最後になるであろう、といういっぱいを求めてまた山麓線に戻る。安曇野蕎麦食べ歩き、本日5軒目のお店探しだ。

庭に力を入れている店、器に力を入れている店、白樺の樹液で蕎麦をうつ店というちょっと特徴のある3軒が候補にあったが、「白樺樹液の蕎麦」の店を選んでみた。それがこの、「山の花」だ。

ちなみに庭に気合いが入っている店(あさかわ)は駐車場が満車の大繁盛で断念。

「山の花」は山麓線かわ少しだけ脇道に逸れたところにある。看板があるので迷うことはない。黒姫産の蕎麦粉を使っているというのが魅力的だ。

山の花客席

時刻は15時を回っていたので、さすがに客席に人影は無かった。関東方面からの来客も多いであろうこの地からしたら、日曜日の15時ともなればそろそろ退却タイムだ。蕎麦を手繰っている時間ではない。

この辺りの蕎麦店は、14時もしくは14時半閉店というところが多いようだ。夕方までやっているのは珍しいし、ましてや夜までやっているともなると結構貴重だ。蕎麦だけで生計が立てられるのだろうか、と人ごとながら心配になってしまう。

店内は木が多く取り入れられており、落ち着いた喫茶店の風情。コーヒーとケーキでアンニュイな午後を過ごすとさぞやよろしかろう。

実際このお店は、「そば・甘味」を標榜しており、甘い物も提供している。だから16時まで営業しているのかもしれない。しかし、いわゆる「スイーツ」は提供しておらず、わらびもちやみつまめといった和の甘味に絞り込んでいるのが特徴だ。飲み物だって、ソフトドリンクは林檎ジュースとウーロン茶だけ。コーヒーなんて論外、といった風情だ。店の雰囲気はもろコーヒーに似合うんだけど。

ただ、蕎麦喰いとしては、隣で薫り高いコーヒーをこれでもかと飲まれたら大変に嫌だ。蕎麦の香りがわからなくなってしまう。コーヒー紅茶を扱わないのは正解だと思う。

もりそば750円と白樺そば1,150円を注文してみたが、白樺そばは品切れだという。限定品だとは聞いていたので、まあ15時過ぎに食べようとする方に無理がある。ここは大人しく二人とももりそばを注文。

後でご主人から話を聞かせてもらったが、白樺そばは限定5食なのだそうだ。この日は開店30分もしないうちに売り切れたという。ただ、日によって売り切れ時間は相当ブレるらしく、「大体何時くらいに完売」とは言えないんだそうだ。

春に白樺の樹液を採取して、それを一年かけて使っていくので、一日5食が限界らしい。そうか、白樺の樹液って季節性があるのだな。慎重に使っていかなければならんのか。

しかも、もし蕎麦が売れ残ったとしても、樹液を使って練っているため、すぐに傷んでしまうので翌営業日に使用するわけにもいかんそうだ。なかなか気苦労が多い蕎麦だ。

でもそこまでして白樺樹液で蕎麦を打つのだから、ご主人が惚れ込むだけの魅力的な仕上がりになるのだろう。気になる。

「事前に連絡して下されば、お取り置きしておきますよ」という事だったので、次回訪問時には予約をしておきたい。ただ、大人数で行って全員白樺そばを注文しちゃったら、お店にも後からくるお客さんにも迷惑なので、少人数で行く場合に限るだろう。

オーダーが終わってしばらくすると、お茶とお茶請けが出てきた。蕎麦店でお茶請けが出るのは信州独特の文化だと思うが、北信では問答無用で野沢菜が出てくる。ここ安曇野界隈だと、出たり出なかったりして、出ても野沢菜とは限らないようだ。そして松本以南になると、お茶請けという概念は非常に薄くなるようで、この地域差は面白い。さすが南北に長い長野県だ。

おしぼり

「おや?」

おしぼりと箸が届けられた時、ふと箸に興味が引かれた。

単なる割り箸ではなく、二本の箸を紙帯で束ねてある。ちょっと高級そうな箸だ。あんまりお目にかかった事はないので、不思議だ。

「良い箸だぞ、これ。表面がなめらかだ」

同行者が箸同士をこすらせながら、触り心地を確認していた。

「持って帰ろうかなあ」

確かに、単なる割り箸は持って帰る気にならないが、これだったら家にあってもいいやという品質。

こんな箸を出す割には、箸置きが用意されていないというのは何だかちぐはぐだ。

もりそば
蕎麦アップ


もりそば到着。
お猪口がついていたので何だろうと思ったら、中にとろろがついていた。おお、なんだかうれしい。ただこの微妙な量のとろろ、どう有効活用すればいいかちょっと悩んだ。結局、最後の一口分の蕎麦と一緒に食べたが、良い気分転換になった。

蕎麦はおいしい。同行者は「今日行ったお店(彼の場合はこねこねハウスでは食していないので、4軒)の中で一番おいしかった」とご主人を絶賛していた。ただ、おかでんとしては、あまりに無難においしいので物足りなさが残ってしまった。どこにも欠点や突出した特徴が無く、そつなく美味い蕎麦。蕎麦食べ歩き一軒目として、基調講演的位置づけでこの蕎麦が出てきたなら大満足だっただろう。しかし、5軒目で登場となると、こっちの味覚がぜいたくになってきているので、もっと刺激が欲しくなる。ちょっと残念な登場順だった。

さて今回5軒の安曇野蕎麦巡りを行ったが、どのお店もおいしいねえ。9年前に安曇野巡りをしたときより、全体的にレベルアップしたような印象をうける。たまたまかもしれないけど。ガイドブックを頼りにお店を訪れりゃ、美味い蕎麦が待っているという「当たり前のようで当たり前ではない現実」が、ここでは「当たり前」になっているのがうれしい。安曇野は居心地の良い場所だし、今度はレンタサイクルなんぞでキコキコやりながら散策しつつ蕎麦、というのをやってみたい。

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