2010年09月25日
【店舗数:254】【そば食:450】
埼玉県さいたま市南区
コースメニュー、食前酒、一ノ蔵、浦霞、〆張鶴
2009年秋の蕎麦は不作だったという話を聞いていた。全国的にはどうだったのかは知らないが、少なくとも長野では大不作で、地粉を使っている蕎麦店は蕎麦粉の獲得競争に明け暮れていたという。
そういう話を聞いていたので、この一年はほとんど蕎麦を食べてこなかった。その代わりに、ラーメンを食べ歩きに没頭。この夏の間は3カ月かけて「ラーメン二郎遍路」と称して全35店舗+αを巡ったくらいだ。
そんな体に悪い事をしまくった後、いよいよ2010年の蕎麦シーズン幕開けですよモウ。体は悪玉コレステロールだらけ!早く蕎麦で体内洗浄したい!
今シーズンこそはコンスタントに蕎麦を食べよう。そう思っている。しかし、つい先週、伊那谷に咲き誇る蕎麦の花をしこたま見てきたので、ああ蕎麦のシーズンはまだ先だね、と手綱を引き締めるに至った。もちろん、北海道産だったら既に新蕎麦は出ているだろう。だけど、「新蕎麦シーズン到来!」とこの時期意気揚々と蕎麦処の蕎麦店なんぞにうっかり行ったら、「まだ一カ月早いっすねー。一年前の蕎麦粉で今は打ってます」という最悪の結果になりそうだ。
まだだ、まだ早い。
10月くらいまでは、できるだけ蕎麦の名産地ではない場所にある蕎麦店に行こう。産地でないほうが、「地粉」に拘りがない分、その時期一番良い蕎麦粉をチョイスしているだろうと踏んだからだ。この仮説が正しいかどうかは知らん。
そんなわけで、まずは近場の蕎麦店で「ならし運転」をしてみることにした。狙ったお店は、「土合やぶ」。JR武蔵野線・埼京線「武蔵浦和駅」から徒歩10分弱。単に手元にあった「週末の温泉と蕎麦屋巡り」だかなんだかいう本に載っていた近場の店だったからだ。それ以上の意味はない。
ところがここがとんでもない一杯食わせ物の店だった。お店の住所を目指して歩くと、もうどう考えても住宅地の中なのだった。しかも高級住宅地、だ。大通りには面していない地区なので、静かだし建物が広いし、こりゃあ場違いなところに来たもんだ。おセレブたちがつばの広い白い帽子かなんぞかぶって、チワワの散歩をさせているんじゃあるまいか、というような場所。でもちょっと待って欲しい。そういうところに足を踏み入れるおかでんも大概場違いだが、それ以前にこんなところに蕎麦店があるとでも?そんな馬鹿な。
でもあるんだな、これが。大通りから脇道に入って、さらに曲がって、曲がって、曲がってとぐるりと渦巻き状に回り込んでようやくお店発見。夜だったから発見はしやすかった。店の看板が明るい。昼だったら、店の目前で目標をロストしていた可能性がある。なにせ、お店の外観はホント単なる「民家」だもの。民家、といってもボロい古民家じゃないぞ、ぱりっとした、今風な民家だ。唯一、周囲と比べて「ほつれ」があるとすれば、店の前に三台分くらいの駐車スペースがあるということくらいか。
「ほー、こんなところにお店が・・・」
と感慨深く、愛おしく一歩下がって店舗外観を愛でるおかでん。
しかし、そんな風情とは無関係なのが犬畜生で、お店の対面にある家に飼われていた犬からめっさワンワン吠えられた。ひゃあ。
「まだだ!ピンぼけしない写真が撮れるまで!」
と犬を無視して粘っていたら、犬も
「なんだと!ではこの不審者が退散するまで!」
と声を枯らさんばかりに吠える吠える。しまいには家人が庭に出てきてしまった。
「こら!吠えるんじゃないでしょ?こんばんは、でしょ?」
と犬を諭すご主人。そんな状況に非常に気まずくなって、そそくさとその場を後にするおかでん。番犬ならぬ番人の勝ち。
お店の玄関は建物の脇にある。正面は駐車場にしたから、という事情もあるだろうが、端からみるととことんまでこのお店の事を隠蔽したいのではあるまいか、と勘ぐってしまうくらいだ。
勝手口から「ちわーっす、三河屋でーす」というノリで家の脇をすり抜ける。
勝手口感覚だな、と思って歩いていると、本当にシンプルな玄関でちょっとしたショック。なにこの挑発的なお店。もしや、いわゆる気取っている系の店?隠れ家的雰囲気を出しました、みたいな?僕はそういうのは嫌いだからね、あらかじめ言っておくけど。けちょんけちょんにけなすよ。
・・・と思いつつも興奮隠しきれず。思わず玄関先を撮影していたら、玄関の中で店員さんが「お客さんかな?」と顔をのぞかせているのに気がついた。非常に気まずくなって慌てて店内へ入る。
店に入ると、下駄箱があって靴を脱いで客室に向かう。とはいっても客室は目の前にはなく、あるのは古箪笥とみっちり並べられた清酒の化粧箱。
店員さんに人数を告げたら、
「しばらくお待ちください・・・」
といっていったん引き下がった。1名分の空いた席があるのかどうか、確認しにいっているのかな。だとしたら相当広い店なのかな。
待っている間、玄関のタンスの写真を撮影していたら、
「お待たせしました」
と店員さんが顔を出した。うわ。なんだろう、さっきからずっとテンポ狂わされまくりだ。犬から始まって玄関、人。どうもここの地場はおかでんと波長が微妙にずれているらし。
ちなみに玄関には人感センサーが備わっていて、人が玄関にやってくるとクリーニング屋のようにピポピポーンと鳴るのだった。道理で店員さんが待ち構えていたわけだ。
通された客席は8畳間が二室繋がっているところだった。普通の民家っぽいが、後でお手洗いに行ったら男女別に作られたりしていて、この建物は完全に飲食業戦闘モードに入っている事がわかる。自宅を改装して蕎麦屋にしました、住んでいた「気配」を感じながらくつろいでくださ、というのとは違う。これは確信犯でこういう建物の蕎麦屋をこしらえたということだ。しかもこの住宅地の真ん中で。むう、狙いは何だ?
ちなみにこの客席とは別に、個室もあるようだ。みなさん大抵数名で訪れており、蕎麦をさっとたぐって帰るというよりはしっとりとお酒と肴で語らっている感じ。オトナの空間ってやつですよ、ええ。自然とトーンが落ちる、この店の雰囲気は何か独特。
お店の人の気配りで、テーブルとテーブルの間に間仕切りのついたてを置いてくれる。写真だと、右側についたてがあるが、これはおかでんが座っている右斜め前に3人組が座っていたからだ。ついたてがあると随分「自分だけの空間」感が強くなる。ああ、一人でも結構居心地いいや。
ただ、そんな余裕を一気にたたき落としたのがお品書き。
なにやら束になって机脇にあるな、と思ったら一体なんだこの紙の数は。ばらばらばらっと大量に出てきた。メインのお品書きは見開き1ページなのだが、ラミネートパウチされたものの数が多いこと多いこと。餃子の王将だってこんなに多くないぞ。ここで大混乱。情報量が多すぎて、整理ができぬ。
肝心のメインお品書きだが、手書きで一部文字がつぶれたりにじんでいるためによく読めない。転じてパウチのメニューはなにやらお酒、しかもワインのメニューばっかり。何がなんだか。
このお店、どうもご主人がワイン好きらしい。やたらと、むしろ「無駄に」と言って良いほどワインの品そろえが良い。ワインセラーくらいきっと備えてるぞ、この店。値段は下は2,200円から上は8,800円まで。おい、蕎麦屋で一本8,800円のワインなんて普通、頼むか?胡散臭すぎる。どうしたいんだ、このお店は。しかも、隣のお客さんと店員さんとのやりとりを聞いていると、グラスワインは赤の1種類だけ、というじゃないか。ボトルで頼めってか。すげー。
蕎麦屋でハイボール、ならまだおかでんの想像力でもなんとかなるが、蕎麦屋でワインとは違和感ありすぎ。ええいここのご主人は西洋人か。そのとばっちりをモロに清酒が被っていて、これだけメニューがあるのに、たった一行「樽酒賀茂鶴 750円」と書かれているだけだった。しかもその一行に気づいたのは、料理が始まってしばらく経ってからのこと。それくらい、わかりにくいお品書きだ。
ビールの紹介でこんな仰々しいの、はじめて見た。
でも、手書きメニューとは別にこのメニューがあるので、頭で情報整理がややこしくなる。手書きメニューだと生ビールも扱っているようだ。また、別の紙には地ビールも数種類紹介されていた。
・・・なのに、清酒は?清酒カワイソス。きっとご主人は清酒が嫌いに違いない、と勝手に思い込む。
パウチメニューは全部お酒類だ、と思って油断していたら、つまみメニューも発見。ああややこしい。
ええと、とりあえず蕎麦は後なので、適当な酒と肴が欲しい。何?ソーセージ?奴?いやいや、待ってくれ。それはいくらなんでも。ええと、ええと。
本日なかなか方向性が定まらない自分にやや焦りつつ、読解していく。
しかしこの酒肴メニュー、値段が一切書かれていない素敵さよ。どう考えても鴨焼きとわかめ酢が同じ値段なはずではないので、それぞれ金額があるはずだ。怖えー、全部「時価」かよ。寿司屋みてぇ。
あうーあうーと唸っていたら、卓上の片隅に2,800円でコースがあるという事が書かれてあった。それだ。それにしよう。
2,800円の妥当性なんてもう考えている余裕がなかった。とっとと頼んですっきりさっぱりしたい、ただそれだけだ。おっと、食前酒として400円で赤ワインをつけられる、と書いてあるぞ。いいじゃないか、敢えてこのお店の土俵にのってみようじゃないか。すいません、食前酒ください。
しばらくして出てきたのがこちら。
鴨と葱のサラダ。食前酒を添えて。
ほほー、なかなかきれいに盛りつけたものだ。単なる蕎麦屋とは違うぜ、というのをきらりんと見せてくれている。なるほど。
赤ワインだが、確かに鴨料理にはあうな。でも、ボトル1本頼んで、それでそばがきとか板わさとか諸々の「蕎麦屋の酒肴」をのりきろうとしたら、赤でも白でもロゼでも結構キツと思うんだが、どうだろう。
食前酒、早速頂いてみる。とりあえず、蕎麦シーズンに備えて蕎麦屋に一人で訪問した俺に乾杯。
驚いた。この赤ワイン、フルボディでやんの。もっとボジョレーみたいな若いワインで汎用性を持たせるチョイスをしているのかと思ったら、最初からガツンとイイのをかましてくれるじゃないか。これは面白い。
鴨肉をつまみながら、まだアイドリングできていないおかでんに濃厚なワインがドスンとボディブロー。ううむ、悪くない、むしろいいぞこの組み合わせ。
二品目は「里のかほり」。何のこっちゃ、と思ったら「自家製刺し身こんにゃく」なんだって。なるほど。間違っても、「里野 香織」さんというお嬢さんが出てくるわけではない。ちぇっ。いや待て、なにに残念がっているのか君は。
このこんにゃく、美味なり。味が良い、というよりも食感がとても楽しい一品。ざらざらしているけどなめらか、略して「ざらなめ」だ。略して余計意味がわからなくなったか?
市販品のようなつるん、ぷりんとした感じでぇあなく、噛めばすんなり切れてくれる柔らかい歯ごたえ。香りも、市販品のようなくどいものではなく、軽やかで気に入った。あと、わさびとこんにゃくがこんなにも合うものなのか、と感心することしきり。
さすがにこんにゃくでぶっとい赤ワインを飲むのは無理だろ。アレは食前酒、ということで早速食中酒としてジャパニーズサケを所望してみた。
樽酒賀茂鶴を頼んでみたら、「今取り扱っていない」とのこと。樽酒だったら、今は「一ノ蔵」がある、とのことだったので喜んでそちらを注文。
届けられた一ノ蔵は、皿に載せられた升、徳利、塩という組み合わせだった。よく一升瓶を抱えた店員さんが、目の前で升に注ぐというのを見かけるが、このお店では「自分で升に注いでね」となっている。
うん、やっぱり清酒は美味い。「里のかほり」ならぬ「樽のかほり」が鼻の中でふんわり綿帽子を広げ、なんとも極上のひととき。とろり、とろりと自分の体がスライム化していくような感覚を覚える。やっぱりこういう和の空間と和食だったら清酒が素敵。ワインもいいけど、清酒はさらに良い。
三品目。「つまみ辛味そば」。
名前からして、揚げ蕎麦が出てくるのかと思ったが、ミニぶっかけそばだった。辛味大根が上に高々と盛られている。
コースメニューには一品目として記載されているのだが、おそらくおかでんが食前酒を所望したため、コース順を入れ替えたのだろう。さすがに赤ワインのみつつ蕎麦ってのはアカン、と店としても思ったと思われる。
この蕎麦、地味ながらも美味いぞ。居酒屋のコースメニューで、シメでこういう蕎麦を出す店があるが、大抵は・・・というか100%麺がのびていて、おいしくない。そういう前例を知っている故に、ここの蕎麦がやけにおいしく感じてしまった。
コンビニで売られているぶっかけ蕎麦のようなわざとらしい食感はそこにはない。すっとかみ切れる、でもゆで加減はちょうど良し、というこの絶妙さが職人技なんだろう。
辛味大根のおかげでぴりっと味がひきしまっていて、清涼感がある。清酒飲みからしたら、これは相当うれしいインターバルだ。
やはり辛味大根は偉大。見た目一緒だから、と普通の大根おろしを添えたら全然意味合いが違っていたところだった。
茶碗蒸しが来たよー。
温泉旅館の夕食で絶妙な名脇役を演じ、はたまた回転寿司でも注文できてしまうという憎い奴。蕎麦屋でも茶碗蒸しがあるのだった。中にはこれから旬の松茸が。
味は非常に薄口で、若干塩気が足りない気がしたけど箸休め的にはこれくらいで良いかもしれない。
さすがコース料理、という皿数と料理のあれこれ。単品で頼んでいたら金額が高くなっただろうから、蕎麦屋でコースってのは案外正しい選択だろう。
茶碗蒸しに引き続いて天麩羅。お店の人から
「天麩羅の他に肉料理として、鶏肉、鴨肉のどちらかが選べますが」
と聞かれて面食らった。やっぱりこの店、変だ。すげーな、プリフィクススタイルみたいじゃないか。
鴨肉は先ほど食べたので、問答無用で天麩羅。
そういえばおかでんの父親は天麩羅屋で冷えた白ワインを飲むのが好きだったっけなあ、と思いつつ、清酒も追加注文しつつ。
天麩羅はいかにも蕎麦屋の天麩羅、といった感じで、衣が若干もったりしている。蕎麦の上に乗っけるもんじゃないんだから、衣はもっと薄くても良いとはおもう。でも、ぷりぷりの海老がおいし。唐辛子が辛くてこれまた酒がすすむ。
そばがきも登場。つゆに浸かって出てきたそれは、まるでツナのような色合い。茶色いぞ!?光線の加減かと思ったが、本当にそういう色だった。
味は残念ながら覚えていない。
味を覚えていない元凶は酒にあり。
一ノ蔵樽酒を頂いた後、お店の人に「他にどんな清酒がありますか?」と聞いてみた。すると店員さん、「いろいろありますよ。ご希望をおっしゃって頂いたら、こちらで見繕いますが」と挑発的姿勢。うおお、ここでうっかり「ええと、とにかく美味いの!」とか「店員さんが好きな奴、適当に」なんて言ったら相当みっともないぞ。試されている大地・おかでん。
とりあえずフルボディの赤ワインから始まって樽酒、と癖のあるやつがきたので、さらにその上を狙おうと「生酒ください」とリクエスト。置いてあるかな?さあどうだ。
すると、「浦霞」と「八海山」がある、という。おお、やるなあ。では浦霞を頂こう。
この生酒、度数が強いことも相まって結構キックされる感じがする。若干もったりした食感の天麩羅とは大変に相性が良かった。でも、味が薄かった茶碗蒸しだと、完全に生酒風味の圧勝。おお、清酒も飲み合わせっていろいろあるもんだなあ。勉強になるなあ・・・
と、まあそんなかんじでとろりと熟成されていくわたくし。オレンジ色の明かりの下で清酒飲んでると、時間がゆっくり流れるね。くつろぐね。ビールってその点、やっぱり寒々しい飲み物ではある。
生酒でいいかんじに仕上がってきたワタクシはその後、「濃い味はもうそろそろ飽きたので、さっぱりした味を。純米酒で、淡麗な新潟のお酒を」とリクエスト。すると、今度は〆張鶴。ナイスセレクト、俺とお店の人。両方ともに拍手と乾杯を。
グラスが非常に薄いというのも良かった。味がストレートに舌に伝わってくる感じがする。ううむ、器も奥が深そうだ。器にだけは凝るまい、と思っているのだが、気になる存在になってきたな。
次は蕎麦です、という段になって、店員さんから問いかけがあった。
「あたたかいのと冷たいのがありますが」
「ええと、冷たいので。」
これで一仕事終えた気になったおかでんだったが、店員さんはまだ問いをやめなかった。
「細いのと中太がありますが」
「えっ。んーと、じゃあ、中太」
今度こそ終わり、と杯に手を伸ばしたら、まだ店員さんはこっちをじっと見たまま言葉を続ける。
「二八と、十一のどちらにしますか?」
おいおい、一体なんのアドベンチャーゲームだよ。なんか選択ミスしたら即ゲームオーバー、じゃなかろうな。一体どれだけ条件分岐しちゃったの俺。
「十一とは、外一(蕎麦粉10に対して小麦粉1)の事ですか?」「そうです」
時間稼ぎのための質問をあっけなくカキーンと打ち返され、答えに窮する。さらに追い打ちをかける店員さん、
「別料金になりますが、十割もございます」
だって。待て待て、一体このお店はどれだけ蕎麦の種類があるんだ?
結局、「つめたいの-中太-二八」でお願いした。
届けられた蕎麦は皿盛り。量はやや少なく、コース用に少量になっているのか、それとも単品で頼んでもこの量なのかはわからない。単品だったら女性でも物足りない量ではある。
蕎麦は風味は弱いのだが、食感がとても良い。さきほどのつまみ辛味そばの時にも感じたのだが、噛んだらぱつん、と切れるその歯ごたえがとても気持ちがよかった。妙にねっとり絡みつく蕎麦とか、スカスカな蕎麦とは大違いだ。蕎麦ってコシだとかなんだというのはいらないので、こういう潔い食感の方が好みだ。
つゆは辛めにチューニングされている。喉がイガイガするほどの辛さはなく、ちょいと蕎麦をつけて一気に手繰りあげるにはちょうど良い辛さで好きだった。
蕎麦湯は普通のゆで湯だった。ここでポタージュ状のやつが出てきたら結構めろめろになっていただろうが、惜しい。
つゆは猪口に入ったきりなので、蕎麦湯とつゆとの濃度調整が難しいのも残念。蕎麦湯はフィナーレを飾る重要な箇所なので、ここはぜひ検討して欲しい。
おっと。フィナーレ、じゃないんだなコース料理だと。
甘味があるよ、と言われ、アイスまたは白玉クリームぜんざいから選んでくれ、と言われた。最後までチョイスの余地があるコースメニューで素敵。
これで「チーズも選べます」とか、「食後酒としてグラッパはいかがでしょうか」なんて言われたらこの店頭おかしい!と確信したが、そこまで飛び抜けてはおらず。白玉クリームぜんざいを頂きつつ、「あー、そういえば今日この店でスプーン使うの、二度目だなー蕎麦屋なのに珍しい事だな-」とぼんやり考えていた壮年おかでんであったよ。
面白いお店だし、落ち着くし、良いお店ではある。しかし、大きな落とし穴が一つ。お会計してみてびっくり、6,300円だって。うひゃあ。
うっかりしていたぞ、そういえば追加で頼んだお酒、全部料金を知らないまま頼んでいたんだった。いっぱい1,000円換算のお酒を飲んでいたことになる。計算してみて二度うひゃあ。
値段を明示しないというのは、そういう野暮な事はいいじゃん、という金持ち相手の商売をしているからだろうか。貧乏人おかでんが来る場所じゃなかったかもしれん。
まあそれはともかく、おいしいお酒と時間を与えてくれたこのお店には満足。次に訪れる事があるとすれば、誰か同伴者とともに、だな。「隠れ家的スポットを知っています」とかいってここに連れてくると喜ばれるかも。んで、その人とワインをボトル一本空けちゃう、と。
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