手打そば処 はん田

2010年09月18日
【店舗数:259】【そば食:455】
栃木県那須烏山市上境

十割そばもり

はん田

喜連川温泉界隈の蕎麦店で、ガイド本に載っている店は総ざらい状態。だから、「なんでこのお店を選んだの?」という質問に意味はない。ただ単に、ガイド本に載っていたから。

そんなお店選びで、三軒目は那須烏山にある「はん田」というお店。うわあ、自主性無いなあ。

つくづく、ガイド本に載る事って飲食店では死活問題なのね、というのがわかる。

出版社が、お店に対して「おたくをガイド本で紹介してあげるから協賛金を払ってくれ」と金銭を要求するという話を聞き憤慨したことがあるが、確かに広告としては非常に意味がある。「食べログ」とか「ぐるなび」とは全く違う、レガシーメディアであるが故の広告宣伝効果、というのがある。有限の紙面にて、編集部がセレクトしたお店が並ぶというのはネット口コミサイトの何倍も有効。

よし、おかでんも今後は蕎麦店に行く度に「アワレみ隊OnTheWebに掲載するけん、金くれや」と言おう。・・・多分、「ふざけんな。帰れ」と門前払いだな。やめとけ。

さてこのはん田、店の外見だけ見れば「わざわざここまで来たのに、これはいくらなんでも渋すぎるぜ」という風体。地元の方に愛されております、といった雰囲気で、良くも悪くも土着感ありまくりだ。いや、でも実際のところ、都心を中心にある「妙に気取ったお店」の方が蕎麦店としては異例なのかもしれん。

はん田店内

店内も、「食堂!」といった感じ。でも、燦然と輝くは「十割そば」と「二八そば」のプレート。おっと、お品書きは卓上にはないので、あのプレートを見て注文するんだな。

こういう店の雰囲気なので、「生姜焼き定食」とか「ラーメン」なんてのが混じっているだろうと思ったが、とんでもない。ここ、生粋の蕎麦店やってますぜ。ご飯ものはせいぜい天丼だけで、一品ものとしてはそば寿司、そばがき、そばしるこ、揚げそば、そばみそ・・・と蕎麦三昧なのだった。これは素晴らしい。これらを組み合わせて「蕎麦喰い倒れ」ができるぞ。

でもやめとく。揚げそば食べた時点で「すいません、ビールを」って頼むに決まってる。ハンドル握るならジョッキは握るな。これ、おかでん家の教訓。今決めた。

しかも「お酒(二合入) 800円」とお手頃な価格が提示されとる。いかんいかん、飲んだらいかん。

十割そばと二八そばはほぼ同じメニュー構成だが、十割だと「鴨せいろ」、二八だと「鴨なんばん」になっている。十割で「鴨なんばんが良いです」とか、二八で「鴨せいろがよいです」というのは駄目らしい。

細打ち十割の看板

このお店、十割蕎麦を売りにしているらしい。

細打ち十割、なんてわざわざボードを貼りだしている。二八もりだと700円だが、十割もりになると1,200円。お札が必要になってくる価格レンジに突入。これに天ぷらがついたり鴨がつくと、2,000円になってしまうから難敵だ。この店、ざっくばらんとした店の割には客単価が高いぞ。

その割には喫煙OKなのでたばこの煙がやってくるわ、プチ宴会やっている人がいるわでどうも値段と雰囲気は釣り合っていないのだが。

強気発言B

強気発言A

お品書きの脇には挑発的な文言が並ぶ。ここのご主人、好戦的だぞ?

良くそば粉だけでは(十割そば)つながらないと言われますが、それはそばの事を知らない人の言うことです。店主

いや違うと思う。本当に蕎麦の事を知らない人は、「えっ、蕎麦粉と水をこねたら蕎麦になるんでしょ?」ってシンプルに考えていると思う。この店主、一体だれを敵に回したいんだ?十割そばは今となっては決して珍しい蕎麦ではないので、そこそこ蕎麦を食べ歩いている人なら「いや、言われなくても分かってますけど?」となる。

蕎麦粉100%だと繋がりにくいのは事実。実際おかでんも試してみて、生地を伸ばしたらぼろぼろにひび割れてしまった体験あり。デンプン質が少ないからそりゃそうだ。そのため、水のかわりにお湯を注ぐという「湯こね」という技が十割蕎麦では多用される。ひょっとしたらこのお店は、「湯なんか使わないぜ。水で勝負だ」ということなのかもしれない。

こうもあおられたら、十割蕎麦を頼まないわけにはいくまい。1,200円というのは正直高すぎると思うのだが、名物ならば避けて通れない。むむぅ、と唸りつつ「十割そば もり」を注文。

十割そば もり

十割そば もりアップ

十割そば もり 1,200円。

「細打ち」であることを強く主張しているが、そこまで細いという印象はなかった。

ずるずるっと手繰ると、口の中に甘みが広がる。その甘みで唾液腺がきゅーっと絞られ、若干不快感に感じるほどの快感。なんだか言ってることが矛盾しているが、まあ許せ。

つゆは濃厚かつ甘辛い。先ほどの「寿庵」が澄んだ味わいのつゆだったのに対し、こちらはどろりとした印象を覚える。おかでんは個人的にこれを「泥系つゆ」と呼んでいる。間違えてはいかんのは、それだからまずいというわけではないということ。泥でも美味いものは美味い。

最初の一口は唾液腺びっくりの甘さだったが、三口目くらいから味がわからなくなってしまった。もともと時期が悪かったのか、香りが立たない蕎麦だったので没個性になってしまったらしい。

勿体ない。

どこ産の蕎麦を使っているのか知らないのだが、もし地物にこだわっているならまだ新蕎麦導入直前。時期が悪かったか?

いずれにせよ、カツーンと美味い十割蕎麦だったとしても1,200円はちと高すぎだ。その対価として、店内禁煙とか辛汁は徳利に入れて出すとか、そういうことをやってほしい。お店の人が意気揚々とするだけのポテンシャルがある蕎麦だけに、なんだか微妙感漂いまくりの訪問となった。