2011年01月20日
【店舗数:266】【そば食:466】
東京都目黒区青葉台
外一そば(+パンプキンスープ)


代官山から歩いて10分ちょっとのところに西郷山公園という場所がある。遊具があって子供たち大ハッスル、みたいな公園ではないのだが、「西郷山」というだけあって丘になっている。その丘のてっぺんからは眺めがとてもよく、レジャーシートを広げてお弁当を食べたりするのには最適。

そんな西郷山公園の傍らに、「Green Cafe西郷山」というお店がある。
全く存在を意識していなかったのだが、傍らの旧山手通りを歩いていたら気がついた。
立て看板って案外重要だな。こんなもの全く見ないし、集客の役に立たないと思っていたのだが、今回はまんまと釣り上げられてしまった次第。
公園の中にカフェがあるというのが、「どういう利権が絡んでそんなことが?」とゲスな勘ぐりを喚起させた。いや、それは冗談だが、メニューがやけに気になったのだった。
上からこの立て看板を見ていくと、「Green Cafeプレート 980円」から始まる。まあ、カフェ飯としてはありがちだな。値付けも青葉台という場所を考えれば納得だ。でも、どうせOLが食べて若干物足りない、くらいのオサレだけど少量、という奴を出すのだろう。ケッ、食べ盛りの俺には無縁だぜ、と読み飛ばす。
その次に「サンドイッチプレート 900円」。これもまた一緒。「キーマカレー」・・・このお店と僕とは縁がなさそうだ。さようなら。
そんな時、次の行が目に留まった。
「名物 外一(といち)そば 780円」
なに?今までいかにもカフェでござい、というメニュー構成だったのに、ここでいきなり蕎麦を出すのか?しかも、「外一」ってことは、蕎麦粉10に対して割粉1ということで二八蕎麦と生粉打ち蕎麦の中間にあたるものだ。そんなマニアックなものを、なぜここで?
しかも、「名物」を名乗っとる。こんなものは名乗ったもの勝ちなのだが、とはいえ、ある程度自信がないと自称はするまい。
乗った!この挑発、乗った!
どうせ、ワンちゃんの散歩ついでにアフタヌーンティーを、なんていうこの界隈に住む金持ちマダムのアンニュイ午後の止まり木、程度に思っていたが、蕎麦があるとなれば話は別だ。

Green Cafe西郷山の外観。

このあたりは土地の起伏が激しく、ややこしいことになっている。
Green Cafeはこの白い建物の3階部分。西郷山公園も同じく。1階と思わせておいて実は3階だったぜ、というトラップ。
建物の外観を見ると、もともと公民館か集会所だったんじゃないか、という作り。Green Cafeが間借りしているのだろうか?

店内の様子。
足下が冷えるようでしたら毛布をどうぞ、と各椅子ごとに用意されているところに女性受けを狙ってます感が。
普段「Cafe」なる場所に足を踏み入れないので、どうしてもあれこれ気になってしまう。
「ご注文はおきまりですか?」
と店員さんがやってきたので、
「名物を。名物の外一そばをください」
と力強く宣言。ここで店員さんに「実は当店の名物はそばの他に『みたらし団子』もありまして」と言われたら、「ならそれもだ!名物は全部食う!」と言っていたに違いない。むちゃはよせ。
注文を済ませ、余裕をかまそうとしたら、「お飲み物はいかがなさいますか?」と不意打ちを食らってびっくり。ランチはワンドリンクがサービスらしい。サービスしすぎだろ、780円の蕎麦頼んで、数百円するドリンクがサービスって。計算が何かおかしい。
とりあえず無難に「アイスコーヒーを・・・」と頼みかかったところで、ドリンクの欄に「パンプキンスープ」というのを発見。スープまでドリンク類に含まれるのか。
疑いつつもパンプキンスープを頼んだら、ホントにスープが来ちゃったよ。おい、蕎麦食べる前にパンプキンってどうしよう。なんとも不釣り合いだぞ。さすがカフェ飯の世界。おかでんの知らない組み合わせだ。

待っていると、厨房の方でじゃっ、じゃっ、という音が聞こえてくる。ああ、蕎麦の水切りをしている音だな、と判る。そろそろ胃液唾液満腹中枢のコントロールをしつつ、待機。
到着した蕎麦はこちら。
お盆に載って出てきたが、なんとなくカフェ的というか洋風のテイストを感じさせる器。でも徳利があるんだよな。この徳利は何?・・・ああ、蕎麦湯だった、これ。蕎麦湯が徳利に入っているって珍しい。これもカフェならでは・・・なわけはないか。なんでもカフェに紐づけるのはよそう。
パンプキンスープが横に控えているので、辛汁がまるでコーヒーのようだ。でも安心しろ、さすがに取っ手が付いているティーカップにつゆは入っていない。なみなみとつゆが入っているのは好感。


蕎麦は太め。長さはしっかりあり、短くぷつぷつ切れている悲惨なイチモツを想像していたおかでんを良い意味で裏切ってくれた。
これ、本格的な蕎麦だぞ。
あれれ、感が強い。だってそうでしょう、こんなカフェで(あっ、失言。ごめんなさい)蕎麦屋専業のところが出すような蕎麦が出てくるわけがない。冷凍麺をお湯で解凍して出すのが関の山だ。
しかしどうだ、見た目だけ見ても結構しっかりしている。よく考えたら、いくら多種多様な業務用食材があるとはいえ、外一蕎麦なんてそうそう売っているもんじゃなかろう。じゃあこれはなに?手打ち?
疑問は尽きないが、とりあえず食べてみる。
堅めの食感で、太めの麺なので若干のどごしは悪い。しかし、その分よく噛むので、蕎麦の香りと味が口腔内に広がるのだった。
なに・・・蕎麦の香り、だ・・・と・・・?
ざわざわ・・・ざわざわ・・・
味に全く期待しないけど目に付いちゃったから仕方が無いなあ、という暖簾をくぐったこのお店だが(あっ、カフェだから暖簾は無かったっけ)、なんと美味いんでやんの。何これ。
もう少し細くして、ゆで時間をやや長めにすると完璧おかでん好みだが、このままの状態でもおいしい。えー。カフェで蕎麦が美味いってなんかずるい。なんか不公平。
美味いもの食わせて貰っているのに、なんだかやられた感満点なおかでんであったよ。何だね?これ。
あまりにびっくりしちゃって、店員さんに「これは手打ちですか?」みたいな質問をするのを忘れちゃった。そのせいで謎は謎のままに。
じゃあもう一度今度訪れてみよう、と思うかというとそれは多分ない。場所が都会のテキサスヒット状態な場所にあるのが最大の理由だが、蕎麦って単に美味ければいいってもんじゃないからだ。やっぱ、カフェという雰囲気だと蕎麦手繰っても色気がなさ過ぎるんだな。しかもパンプキンスープだから。外光がたくさん入ってくるようなお店って、実は蕎麦屋っぽくなくて落ち着かないのかもしれない。
とはいえ、ここの蕎麦が素晴らしかったのは事実。お近くにお立ち寄りの方はぜひどうぞ。
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