手打ちそば きたざわ

2011年06月18日
【店舗数:289】【そば食:490】
長野県中野市永江

天ぷら、ざるそば

きたざわ

飯山インターからずずずいと斑尾山の山麓を進むことしばしのところに、「涌井地区」と呼ばれる一帯がある。ここも富倉地区と同様、蕎麦集落として名高い。山の中にもかかわらず、三軒の蕎麦屋が軒を連ね・・・いや、そんな至近距離ではないのだが、とにかく蕎麦屋が存在しているのだった。15軒の家のうち、3軒が蕎麦屋なのだというから蕎麦屋率20%。不思議な集落だ。

涌井は決してマニアックな場所ではない。飯山から黒姫方面に抜けようとすると通る道すがらにあるし、飯山インターから10分ちょっと車を転がせば到着だ。とはいえ、山の中であることには違いなく、こんなところに蕎麦屋があるのは一般的なマーケティング理論上ではあり得ん。きっと、家業の傍ら周囲の人に蕎麦を振る舞っていたのが、だんだん広がっていき、知名度の高まりとともにお店になったのだろう。この「お店への切り替わり」のタイミングが難しい。うっかりすると客が全然来ないで商売あがったりだ。

そんな「僻地における蕎麦マーケティング」について思いを馳せつつ、「きたざわ」へ向かった。

この涌井にある三軒の蕎麦屋のうち、もっとも知名度があるのは「涌井せんたあ」だと思われるが、今回は敢えてそこではない、「きたざわ」に行ってみることにした。理由は特にない。

きたざわは黒姫に抜ける道路沿いにあり、非常に分かりやすかった。

きたざわ店内

11時の開店時間直後に訪れたのだが、既にお客さんが蕎麦を手繰っていた。この後も、われわれが食事をしている間に次々とお客が訪れ、蕎麦の里・涌井の名をほしいままにしているなと思わせた。

ちなみに食後、「涌井せんたあ」の様子を見に行ったら、駐車スペースがいっぱいになっていた。涌井地区、どこも蕎麦日和で満席満車でございます。

この「きたざわ」、民家の一角を蕎麦屋にしました・・・という作りになっていない。蕎麦屋専門建造物だ。てっきりこういう集落の蕎麦屋って、自宅の厨房で蕎麦をゆでて、居間にお客さんを通して振る舞う、なんていうスタイルかと思っていたが、違った。ということは、この集落には15軒の家があるということだけど、人が住んでいるのはもっと少ないということか。むー。マニアックだ。

 お品書き

お品書きはシンプル。でも、かけそばがあるのが、先ほど訪れた富倉の「はしば食堂」とは違う。

ざるそばが600円というのは安い。涌井集落内の蕎麦屋3軒で血で血を洗う価格競争があって、600円に落ち着いた・・・わけないよな。牛丼チェーン店じゃないんだから。「今なら期間限定で蕎麦が100円引き!」なんてあったらびっくりだ。

蕎麦って、50円100円くらいの価格差なら客足に差は出ないと思う。そりゃもちろん駅構内の立ち食い蕎麦だったりしたら差は出るが、そこそこしっかりした蕎麦を出すお店であれば、客は値段に対してとやかく言わない。われわれが「はしば食堂」の800円の蕎麦を高いなあ、と思いつつも「でも納得」と蕎麦を手繰ったのと一緒。蕎麦の場合、お金をケチると蕎麦の質が落ちるということが多々あるので、お金についてはあまり文句言っちゃいかん食べ物なんですわ。

 お通し

お通しが出てきた。もちろん無料。

たくあん、きのこ、野沢菜。

ホントこういう文化はいいね。待っている間の格好の暇つぶしになる。ぜひ他の地区でも採用して欲しい。

とはいえ、あんまり調子に乗ってばりばりこういうお通しを食べていたら、塩分過多で血圧があがりそうだが。

 天ぷら

天ぷらが350円と安かったので、頼んでみた。

どれくらいのボリュームかな、と思ったら、いろいろな野菜がわっさあ、と盛られて出てきた。7品くらいあったんじゃないかな。数えていないので覚えていないけど。これで350円は安い。安すぎる。ビール頼んで、これと先ほどのお通しをつまみにしたら、それだけでゲームオーバーにできる。素晴らしいじゃないか。

でも残念なお知らせが。忘れちゃいませんか、ここは車じゃないと来られない涌井地区であるということを。公共のバスなんてものすら走ってませんよ。飲むならハンドルは誰かに任せよう。

むー。

お酒とは遠くにありて思ふもの

思わず歌ってしまうね。車で訪れた蕎麦屋ほど、酒と酒肴が美味そうに見える。

サクサク天ぷらを食べる。小さな幸せ。揚げたての天ぷらは人を幸せな気分にさせるね。おかでんの知りあいで天ぷらは苦手、というか揚げ物全般が好きじゃないという人がいるが、多分人生の数百分の一は損していると思う。・・・数百分の一なら、全然問題ないかもしれないけど。

ざるそば

ざるそば600円。ざる、といっても海苔はかかっていない。

店の暖簾をくぐったところに「自分の畑でとれたそばだけを使い石臼びきをしたこだわりの手打ちそばです」という紙が貼ってあった。そういえばこのあたりの蕎麦は「霧下蕎麦」と呼ばれるらしい。

600円でこれだけ盛られていれば十分。一人でこのお店にやってきて、蕎麦食べて天ぷら食べたらおなかいっぱいだ。それでも950円というのだから素敵。

新蕎麦の季節に訪れたら今回とはまた違った蕎麦を食べさせてくれそうだ。晩秋にまた訪れてみたい蕎麦店。

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