健生庵 山愚

2011年06月18日
【店舗数:290】【そば食:491】
長野県下高井郡木島平村往郷

ざるそば

山愚

木島平に秘湯として知られる「馬曲(まぐせ)温泉」という場所がある。「馬曲」と書いて「まぐせ」とはどうしてこうなった、と思うが、「くせ者!御用だ!」の「くせ」は「曲がる」と書くので、「まぐせ」という読み方でもあながちおかしくはないようだ。

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秘湯という前評判の割には、結構手前から「→馬曲温泉」の表示が出ており、あまりスペシャル感はない。ただ、ここは景色がよく開放感がある湯船が売りだそうで、その風光明媚差からお客さんがよく来るそうだ。

われわれ?いや、入らなかった。何しろ雨だもの。温泉成分がスゲエのなんの、とか女湯が覗けちゃってモウ、とかいうならお出かけしたが、雨降って景色が悪いならまあいいかな、と。当初はこの温泉に併設されている素泊まり宿に一泊、とまで考えていたのだが、既に予約がいっぱいでNG。秘湯だからといって施設が空いているとは限らんもんですな。

そんな温泉に向かう道の途中に「山愚(さんぐ)」という蕎麦屋がある。写真で見たら結構色気があって美味そうな蕎麦だったので、ここに行ってみる事にした。

この日は一軒目が富倉地区、二軒目が涌井地区。二軒とも山奥の秘境(?)の蕎麦屋だった。三軒目も、ぽつんと一軒だけある蕎麦屋。とはいえ、わかりにくいことはない。馬曲温泉に向かって進んでいけば、ほどなく到着する。

店頭に書いてある注意書き

店頭に書いてある注意書きが秀逸。「手打ちだから大量には提供できない」という話はまあ理解できるし、他店でも見かける言葉だ。しかしその後が無情。「お並びになられましても売り切れの場合がございます。どうぞご了承ください」だって。

普通、残り少なくなったら行列と残りの蕎麦の量を見極め、あるところで「これ以上のお客さんは受け入れ中止」とするもんだ。僕がよく行く行列ができるラーメン屋はそうする。しかし、このお店の場合は「行列に無事並べても、食べられる権利はまだ確定しない」と。こんな山奥に来てこれは厳しい。

このあたり、ラーメン屋と蕎麦屋の違いがあるのだろう。ラーメン屋だと麺は大抵一種類なので、残量とお客さんの数は計算がしやすい。しかし、蕎麦屋の場合、「この量じゃ物足りないからお代わり」する人が出てくるし、このお店のように更科と十割の二種類提供していたらどっちか片方が売り切れてしまう場合がある。まさか、既に蕎麦食べているお客さんに「すいませんがお代わり禁止でよろぴく」という訳にはいくまい。

というわけで、この突き放したかのような書き方もやむなし、という結論に達したのであった。おっと、そうこうしているうちにおかでんだけ取り残されているぞ。早くお店に入ろう。

店内

全席靴を脱いであがる。テーブル席と掘りごたつ席の両方ある。写真だとがらがらのようだが、この後次々とお客さんがやってきてほぼ満席となった。

ホワイトボードのお品書き

お酒のお品書き

手元のお品書きの他に、ホワイトボードに酒肴とお酒が書かれている。

自家製という赤い字が躍る。「ふきの煮物350円」など、手頃なお値段がうれしい。350円~450円という価格帯だ。ただ残念なのはこのお店には車でないと来られないって事だよキミイ。

ちなみに一番高い酒肴は、合鴨ロースのくんせい・・・かとおもいきやじゅん菜だった。750円。案外というか相当高いんだな、じゅん菜って。

十四代中取り無濾過(生)

同行者のうち、一名だけ車の助手席担当がいたので、彼は酒を飲むことができた。

「せっかくじゃけえ酒頼むわ」

といって、頼んだのは十四代中取り無濾過(生)650円。十四代でこの値段は相当お安いと思う。グルメ雑誌などで絶賛されているお酒だ。

酒肴はふきみそ350円。もう一人の同行者が「ふきみそ大好き」だったから。350円だからちみっとした量しか出てこないんだろうと思ったら、結構こんもり盛られてきたよ。いいね、これ。でも、こんなに盛られていたら、お酒を一体何杯飲まなくちゃいけないの。しかもお酒には昆布がお通しとしてついてきたし。

十四代を飲んだ同行者いわく、「美味い。美味いんじゃけどわしの好きな方向とは違う。惜しい」と残念賞を進呈していた。

お品書は手書き

さてお品書きだが、和紙に手書きのもの。十割そばと更科そばの二種類。それにそばがきと天ぷら。そばがきが750円とやや安いのがうれしい。せっかくだから・・・とも思ったが、蕎麦が美味いかどうかまだわからないお店で博打をうつのはちょっと怖いのでやめておいた。

天ぷらは「ただし暇な時のみ」との注意書き。面白いね、ここのご主人は。

十割そば

十割そばアップ

三人で訪れているので、二人は十割そば、一人は更科そば・・・と作戦を変えて、後でシェアをするのがジャスティス。しかし、更科蕎麦をいまだ食べず嫌いであり美味さを全く理解していないおかでんおよびその同行者は、誰一人として「更科いきます!」と自己申告するものはいなかった。たとえシェアするといっても、自分とこに更科そばがあったら、もっぱら更科そばを食べる事になるのが実情だからだ。特にこのお店、十割そばが美味そうなので、更科に手を出したら失敗じゃあるまいかと思うわけですよ。

そんなわけで、三人ともに十割そばをオーダー。

到着した十割そば、お値段は950円と相当お高いのだが、出てきた瞬間に「あっ、これはまずい訳がない」と確信できる蕎麦面構えだった。この段階でガッツポーズ。

つゆの説明

蕎麦は確かに美味かった。やはり外見でうまそうなのは実食して失敗はないなと確信。しかし、なんとなく奥ゆかしい香りで、口にした瞬間にふぁーんと広がることはなかった。ワンテンポ遅れて届く蕎麦の風味。

これはこれで良いのだが、つゆにつけると形勢逆転。つゆはダシが相当きいていて、ダシ味になってしまうのだった。これまで醤油味になってしまった蕎麦というのは存在するが、ダシ味というのはちょっと例がない。

お品書きを見ると、確かに「おだしの利いた(中略)つゆなので、つけすぎるとそば本来の味を損ねることになります」と書かれている。ご丁寧だ。しかし、「つけすぎ」ていない状態でも相当つゆが勝ってしまったのにはびっくりだった。うまいんだけどね、バランス、本当にこれでいいのかなあ・・・。

英語で書かれている

お品書き、解説部分だけ英語になっていた。メニューそのものは日本語なので、変な感じ。

読んでみるとこんな事が書いてあった。

If you drip it fully,the strong soup will stop your tasting Soba.

あはは。笑ってしまった。英語でもつゆについて注意が書いてあるかぁー。

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