そばきり 日曜庵

2012年11月04日
【店舗数:309】【そば食:529】
東京都葛飾区柴又

なごり雪、せいろ、松の司

柴又帝釈天

日曜日、柴又帝釈天にやってきた。参道の両脇は年中お祭り状態で賑やかだ。やはり場所柄、映画「男はつらいよ」の寅さんが描かれたグッズや食べ物がたくさん並んでいた。寅さん人気、いまだに衰えず。

おかでんは七味唐辛子屋台の前で、「どうしようかなあ、オリジナルの七味を調合してもらおうかなあ」と悩む。柴又とは全く関係ない屋台だけど、初めて「七味屋台」なるものを目の当たりにしたので、気になってしょうがない。結局、「家にはたくさん七味が残っているから駄目」という当たり前の結論に到り、買うのを諦めた。ちぇっ。

境内の周りは正装をしている人、着物を着ている子供さん多数。あっ、そうか、七五三のお宮参りをしているんだな。子供の手には千歳飴が握りしめられている。時代は移ろっても、七五三文化はまだまだ健在。

日曜庵
日曜庵看板

この柴又帝釈天の近くに、「日曜庵」という蕎麦屋があり好評を博しているという。営業日は金曜~日曜の3日間と祝日のみ。しかも昼間営業のみ、という変わったスタイルをとっている。これは、お店のご主人が一人で蕎麦粉の管理、製粉などを行っているからで、「週休4日」のはずの月曜日~木曜日も蕎麦にかかりっきりらしい。大変そうだ。週3日の営業でもうけが出るのだろうか?ちょっと気になる。

「行列ができる店」らしいから、11時半の営業開始時間にはお店に到着するようにした。お昼時は数十分待つ事もあるようだ。

日曜庵

さすがに開店直後だったので、まだ客席に空きはあった。客席数20なので、キャパはあまり大きくない。おかでんのように、二人掛けのテーブルを一人で使っている人もいるわけだから、20人きっちりが入店できるわけではない。長っ尻しないように気を付けよう。お酒はほどほどで切り上げること。

そば茶

店内に入って真っ先に感じたのが、蕎麦茶のにおいだった。香ばしいかおりが周囲に広がっている。こんなに強く蕎麦茶を感じたのは初めて。

客席に着席すると、その蕎麦茶が供された。中には一粒、蕎麦の実が入っているのがにくい演出。

松の司
ちりめん山椒

お店が混雑してきて店員さんてんてこ舞い、という事態になるのは想像がついたので、最初に全部の注文(酒、酒肴、蕎麦)をしておいた。だらだらと注文を繰り返すとお店に迷惑がかかりそうだ。

まず最初に出てきたのが、お酒。「松の司」900円。このお店、珍しいことにキリンの「ハートランド」ビールを取り扱っていた。ハートランド独特な緑の瓶を傾けながらビールを楽しむのも良かったのだが、今日は清酒の気分だったので松の司。

ちなみにこのお店は、入手困難な清酒「十四代」も取り扱っていた。お値段1,200円と割高だが、十四代好きならぜひどうぞ。

酒器と共に、何か小物入れみたいな容器がついてきたぞ。まるで溶岩でこさえたような、ざらざらした箱。開けてみたら、なんと中にはちりめん山椒が入っていた。ちりめん山椒でお酒か。憎いチョイスだなもう。このちりめん山椒、とっても山椒が新鮮な感じ。噛みしめると華やかな香りが立ち上り鼻腔内を刺激する。これは酒が進みそうだ。

なごり雪
なごり雪アップ

次に出てきたのは、「なごり雪」という豆腐。川越の小野豆腐というお店が作っていて知る人ぞ知る豆腐だが、まさか葛飾で食べられるとは。

みっちりと中身が詰まっている感じで、豆腐を箸でつまんでも崩れる事をしらない。箸でさっくりと切れるが、中身は濃厚。味は言うまでもなく極上。豆の香りがしっかりとしていて、醤油無しでもどんどん食べられる。醤油をつけたら豆腐の味が殺されるんじゃないか、と思ったが、そんなことはなく、なごり雪の圧勝。このインパクトの強さはすごいと思う。お値段650円と豆腐にしては高いが、もともとこの豆腐は小売価格が高い(8丁分くらい入る大型の容器で2,500円)ので、この値段は妥当だと思う。

醤油の他に、何かの油も脇に添えられてあった。オリーブオイルかと思ったが、どうやら違うようだ。何だろう。

さて、酒肴は今日はここまで。「一店舗あたり酒一合、酒肴一品、メインの蕎麦食べて退店」という目標を守るためだ。この店、インテリアが凝っているし天井が高くて開放感があるので、ついつい長居してしまいそうだ。

せいろ
せいろアップ

せいろ、950円。

「粗挽きせいろ」がおすすめらしいが、1,200円するのでちょっと躊躇してしまった。ここはベーシックなせいろでご勘弁を。

ちなみに粗びきせいろは、「最上級の丸抜きを選別し甘皮をたっぷりと挽き込んだ淡緑の蕎麦です。」と解説されていた。読むだけでよだれが出てきそうだ。淡緑の蕎麦といえばおいしさが保証されたも同然のもの。うん、でも初志貫徹、ノーマルせいろでGO。

さすが週末しか営業しない(できない)蕎麦屋だけある、蕎麦の味は抜群に良かった。香りよし、味よし。

ただ、隣の席に座ったおじいさんがひっきりなしにおかでんに蕎麦談義を振ってくるので、その応対に少々気を取られてしまったのは残念だった。このおじいさん、どうやら日曜庵では常連さんらしいのだが、注文が豪快だった。なごり雪、板わさ、焼き味噌をどかんと注文し、お酒はおかでんとの会話の中でどんどん進んじゃって、おかでんが退去するまでに3合飲んでいた。3合目を飲んではいるものの、つまみ類はほとんど減っていない。おかでんとの会話が格好の酒肴だったようだ。もっとも、おかでんは「ほぅ?」「なるほど」「いいですね、それ」といった言葉を合いの手として挟んでいただけだったのだけど。

あのおじいさん、最終的にどれだけお酒飲んだんだろう?酒肴の残り具合からしたら、4合ないし5合は飲んだんじゃなかろうか。凄いな。

そば湯

蕎麦湯は、蕎麦粉をそれ用に溶かしたもので、かき混ぜるためのスプーンがついているほど濃厚。スプーンをくるくる回しながら、蕎麦猪口に注いでいただく。うん、おいしい。結局一人で蕎麦湯全部を飲み干してしまった。久しぶりだ、こんなに蕎麦湯を飲んだのは。

おじいさんの話は尽きることがない。神田にいい蕎麦屋があるだの、なんだの。おじいさんは絶好調かもしれんが、聞き役に徹しているおかでんはあまりありがたくないシチュエーション。さすがにこれ以上席を占拠するのがはばかられたので、適当なところで切り上げて退席させてもらった。

店の入口付近には、既に順番待ちのお客さんが少々。申し訳ない。それにしても良いお店に出会ったものだ。2012年シーズンに訪問したお店の中では一番お気に入りかもしれない。できることなら何度か通いたいところなのだが、柴又というのは交通がなかなか面倒な場所。再訪するにはハードルが高そうだ。

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