室町 紅葉川

2013年01月19日
【店舗数:345】【そば食:575】
東京都中央区日本橋室町

山うに豆腐、鴨せいろ、獺祭純米大吟醸磨き50

紅葉川

先日、何かのテレビ番組で、日本橋にある蕎麦屋が紹介されていた。鴨料理に力を注いでいるという内容だったと思う。冬の蕎麦屋といえば、なんといっても鴨。そうだ、鴨を食べに街に出よう。

とはいっても、何のテレビ番組でそのお店が紹介されたかも覚えていない。お店の名前なんて、当然覚えていない。そこで、困った時はGoogle先生に頼ろう。「日本橋 鴨 蕎麦」で検索かけてみたら、おお、あったよあった、「紅葉川」というお店がそれだった。・・・と思う。あんまり自信が無いけど。でも多分これで合ってる。

週末の昼下がり、その「紅葉川」に到着。巨大な木の看板が目を惹く。これ、地震が起きた時、落っこちてこないのだろうか?ちょっと心配になる。でも、蕎麦喰い人種たるもの、蕎麦屋の看板に押しつぶされて命を落とすというのは名誉な事かもしれない。「蕎麦を喉に詰まらせて死んだ」とかよりよっぽどマシだ。

店内に入ると、3名ほどの待ち行列ができていた。14時前なのに、とても繁盛している。花番さん曰く、「テレビに取り上げられてからお客さんがとても増えた」んだそうだ。テレビ離れが叫ばれる昨今とはいえ、やはりテレビの影響力ってとても大きい事が伺える。あと、今日は近くの三越でバーゲンが開催されているからそれで混むんですよ、とのこと。なるほど。

獺祭と山うに豆腐

席に通されたので、さっそく注文を。このお店のお品書きは、冷たい蕎麦のジャンルを「寒」と呼び、温かい蕎麦のジャンルを「土用」と呼んでいる。面白いね。

お酒は「獺祭(だっさい)」のグラス(680円)を選び、おつまみは「山うに豆腐」(630円)を選択してみた。

料理が届くまでの間、店内をなんとなく眺める。お客さんの年齢層はちょっと高め。みんな良い身だしなみをしている。日本橋三越界隈は上流階級の人達が集う場所なんだろうか。ここにいるお客さんは、銀座にいる人よりもっと裕福そうに見える。最近の銀座は外国人観光客も多いからかな。

昼酒を楽しんでいるお客さんはあまりいない。でも、まったり、ゆったりと時間は過ぎていく。みなさん、お店の雰囲気を楽しんでいるようだ。人が多いけど騒がしくない。何だか居心地良くなってきたぞ。

そんな「暖機運転」ができたところでお酒とおつまみ到着。お酒は花番さんが席まで一升瓶を持ってきてくれ、目の前でグラスに注いでくれた。蕎麦屋にしてはちょっと珍しいパフォーマンス。居酒屋的である。

そういえばこのお店、お通しは出ないんだな。まあ、どうせおつまみを注文するわけだし、無いなら無いで全く問題はない。

獺祭。山口のお酒で、蕎麦屋では比較的メジャーな存在だろう。なにしろ、このお店の場合、純米大吟醸が680円で飲めるのだから安いとしかいいようがない。

今日みたいな冬真っ盛りの季節だと、熱燗というのも悪くない。でも、今回は冷やで楽しもう。

山うに豆腐

山うに豆腐は、全くその名前から実物が想像できない料理。見たことも、食べたこともない。「山のうに」って何だろう。「畑の肉」が「豆」というのは定番のたとえだが、「山のうに」って何だろう。黄色くて、濃厚な味かぁ。えーと、えーと。

気が利いたたとえができれば良かったのだけど、全く思いつかなかった。ごめんなさい。

さっそく謎の「山うに豆腐」に箸をつけてみる。おう、ねっとり感満点。一口口の中に入れてみると、何だか不思議な味だ。ん・・・わさび漬けみたいな雰囲気。わさび漬け、というか酒かすっぽい味わいと香り。何だろう?

ねっとりを一口食べ、すっきり(獺祭のこと)を一口飲む。ううむ、清酒には合うけど、ビールには合わないだろうな、この山うに豆腐。ビール頼まなくて良かった。

しばらく食べていたら、思い当たる節が見つかった。ああそうだ、これ、沖縄の「とうふよう」に似ているぞ、と。豆腐を発酵させたものだ。だから「酒かすっぽい」という印象を持ったんだと思う。なるほどー。すっきりした。

すっきりしたとはいえ、ねっとりはまだまだ続く。少量でも十分なくらいなんだけど、これが結構量がある。お酒と山うに豆腐、良い意思疎通をしていかないと、お酒が足りなくなって「すいません、もういっぱいお酒を」と言ってしまいそうだ。飲むペースはほどほどに留めておこう。

鴨せいろ

そばアップ

お品書きによると、このお店は「鴨南蛮」が一番人気らしい。おかでんとしても今回は鴨を食べにきたわけであり、鴨かかってこいや、という気合いが入っている。とはいえ、鴨南蛮だと蕎麦の味が分からなくなってしまうので、ここはちょっと脇道にそれて「鴨せいろ」(1,260円)を注文。

そういえば、一品料理のお品書きに鴨肉料理のラインナップってあったっけ?確か無かったような気がする。あれれ、以前みたテレビ番組だと、いろいろ鴨の料理があったような気がしたけど。まあいいか。

さて、やってきました鴨せいろ。うん、鴨肉のつくねが丼に浮いているよ。おいしそうだ。蕎麦も同じくおいしそう。

まずは蕎麦だけ食べてみる。蕎麦の産地は福井県。蕎麦は麺がしっかりとしていて、喉の奥でほのかに香る。いいね。

次に鴨汁に箸をつけよう。うん、柚子の香りがさっぱりとさせて、でもつゆは鴨の旨味が凶暴なまでに幅を利かせていて、おいしい。何で鴨肉はこんなに美味いの?と軽く嫉妬。鶏肉も大概美味いが、鴨は別次元なんだよな。鴨っていっても野生のマガモじゃなくて飼育された合鴨なのに、同じく飼育されている鶏肉を周回遅れにする旨さだからすごい。

蕎麦をこの鴨汁に浸けて食べたらこれがまたいいんだわ。やっぱり鴨せいろは「うどん」じゃなくて「蕎麦」に限ると思う。繊細な蕎麦が鴨を前に圧倒されてしまう、そのはかなさがいい。もっと仲良くしなさい、となだめても、鴨の美味さは隠しようがない。蕎麦の風味なんてどっか行け、とばかりにその場を圧倒しちゃうから、凄いことだ。

反り返ったせいろ

食べ終わると、せいろの底が見えた。あれれ、真ん中の部分が盛り上がっているせいろだ。初めて見た、こんなの。ざるでは真ん中が盛り上がっているものを時々みかけるが、せいろではお初。「水切りが良くなる」という話だが、どれだけ効果があるのだろうか?何も知らないお客さんからしたら、「盛りを良く見せるための上げ底」に見えて印象がよくない。

でもこのお店の名誉のために書いておくと、盛りは結構良かった。鴨汁とあわせて食べ応えがある量だったと思う。

鴨肉食べて体が芯から温まったところで、最後は蕎麦湯をポットから注ぐ。

「温かいつゆに蕎麦湯ねぇ」、と最初は思ったのだが、これがめっぽう美味かった。いろいろな具を煮込んだ後の鍋のつゆ、みたいな感じ。思わず蕎麦湯をたくさん入れて、ぐいぐい飲んでしまったくらいだ。これはいい。体がますます温まった。

今月のおすすめ

最後、お手洗いに行ってからお店を後にした。蕎麦屋では利尿作用があるアルコールを飲むばかりか、蕎麦湯をいただくのでトイレが近くなってしまう。「行ける時にトイレは必ず行っておけ」というのはおかでんの教訓。

で、そのお手洗いに行ったら、「夜の今月のおすすめ品」というメニューが貼ってあった。おや、ここには「鴨のたたき」とか「鴨じゃが」という文字が躍っているぞ。そうか、夜じゃないと食べられ無いメニューがあったのか。道理で昼間は鴨のおつまみが無かったわけだ。納得。

「鴨じゃが」なんて非常に惹かれるじゃあありませんか。このお店に夜訪れる機会があったら、ぜひ頼んでみたい。