ローリング蕎麦ットJ

2013年09月15日
【店舗数:351】【そば食:586】
東京都渋谷区円山町

激辛つけ蕎麦(3辛)

ローリングソバットJ

最近のおかでんは活動範囲に変化があり、渋谷や恵比寿界隈をうろついていることが増えた。そんなわけで、渋谷界隈でどこか使い勝手の良い蕎麦屋がないか、と調べてみたら、なにやら怪しいお店を発見。その名を「ローリング蕎麦ットJ」という。

見るからに蕎麦屋な名前だ。これが蕎麦屋でないわけがない。だって、「蕎麦」って書いてるんだもん。

でも、どう見ても通常の、一般常識の範囲内の、蕎麦屋とは思えない。「ローリングソバット」?それ、プロレス技じゃないか。回転しながら放つ蹴りの一種。プロレスと蕎麦がどうタッグを組むのか、気にならないほうがうそだ。

なにしろおかでんは、「週刊プロレス」を愛読すること10年以上、という過去を持つプロレス者だ。最近でこそ多忙を理由にプロレスから遠ざかってしまったが、いまだに愛情を失ってはいない。そして、蕎麦も好きであるということを踏まえれば、このお店はおかでんのためにあるといって過言ではない。ぜひ、行かねば。

調べてみると、武藤敬司の覆面レスラーバージョン「グレート・ムタ」のデザインを担当した人がプロデュースしたものらしい。道理でこんな奇抜な名前がつくわけだ。

それにしてもこんな店名にするということは、蕎麦好きたちを対象にするというより、新感覚の食べものとして蕎麦を提供したいという意欲が強いのだろう。和のテイストを前面に出した「ちょっと凛とした感じのお店」に出入りするようなお客さんは来なくてよろしい、くらいの潔さを感じる。

ローリングソバットJ立体看板

いざお店に行ってみると、名前のインパクトを裏切らない看板がお出迎え。

覆面レスラーが丼持ったまま蹴りをいれてる。この看板作るだけでも結構お金がかかっただろうに。やる気満々だ。

最近のおかでんは、蕎麦ってもっとふざけても、B級になってもいいと思っている。だから「港屋インスパイア系」の流行ってのは大賛成だし、さらに蕎麦を使った派生料理がでてくるべきだと思っている。そんな中でのこのお店。ぜひ応援したいところだ。

ローリングソバットJ看板

それにしてもこのお店の人、絶好調だ。

「世界に羽ばたく日本蕎麦の新ジャンル」
「日本蕎麦を魚介豚骨醤油で!?」
「ゴングは鳴らされた」

なんて書いてある看板が回る。

いつのまにか日本蕎麦が「世界に羽ばたいて」いたとは。知らなかった。きっと、トップロープからハイフライフローで飛んだに違いない。いや、フロムコーナートゥーコーナーか。あっ、すまん、プロレス技の名前なんてこれを読んでいる人の殆どが知らないことだった。ついつい興奮して口走ってしまった。

店内の張り紙

ここは「つけ蕎麦」という料理を提供するお店らしい。

つけ蕎麦とは何ぞや、というと、ラーメン店における「つけ麺」の蕎麦バージョン、という解釈が正しいようだ。いつの間にこんなジャンルができていたとは。

でもちょっと待ってほしい、だったら、通常のもりそばなんかも「つけ蕎麦」じゃないか、と思えるが、どうやらそれは違うらしい。ラーメンテイストなつゆに蕎麦を浸してはじめて「つけ蕎麦」を名乗れるようだ。まあ、このあたりは店によってさまざまな解釈があるのだろうが。

このお店は、決して「港屋インスパイア」ではない。そのため、生玉子も、揚げ玉もテーブルにはない。これまで、蕎麦のニューウェーブは「港屋インスパイア」が牽引してきた印象があるが、そうではないお店もあるってことだ。
つけ蕎麦のトッピングを見てみると、
肉増し、煮玉子、ホウレン草、メンマ、刻みのり、ネギ

があった。ホウレン草があるあたり、家系ラーメンのようだ。そういえば、これまでいろいろ蕎麦を食べてきたけど、ホウレン草が乗っているのって見たことがない気がする。ありそうでない。

激辛メニューがあるらしい。挑発してるなオイ

このお店は、「蕎麦においても激辛があってもいいじゃないか」と、激辛なつけ蕎麦も提供している。もともとがつけ麺をベースにした蕎麦なので、当然激辛という選択肢だってあっても不思議じゃない。辛いものが好きなおかでんにとっては、「蕎麦、プロレス、激辛」と最強のトリオとなる。

ちなみに、「激辛つけ蕎麦」の「トッピング全部増し」は、「激辛シャイニングウィザード」という別名がついている。シャイニングウィザードとは、武藤敬司のフィニッシュ技のひとつだ。一言で言ったら膝蹴りなんだけど、かなりえぐい技。あれは食らいたくない。まだフランケンシュタイナーを食らったほうがましだ。

水さし

激辛つけ麺の食券を自動券売機で買い、店員さんに渡す。

「えっ、激辛いっちゃいますか?」

どう見てもプロレスをやってるようには見えない、弱そうな店員さんが食券を受け取って動揺する。あ、そうか、別に店員さんがマッチョである必然性はないか。元レスラーとかがやってるお店じゃないもんな。

「ええ、激辛で」

とルーテーズのように胸を張って答えたら、辛さは三段階の調整ができるという。だったら、と一番辛い3辛をお願いした。

「3辛、ですか!?相当辛いですよ?いやぁ、大丈夫かなあ。大変ですよ。3辛って・・・」

どうだ、びびったか、たじろいだか。ビターン!

「念のために警告しておきますよ?いいんですか?」的な、上から目線の「激辛警告」じゃない。本当に、「大丈夫かなあ、大変なんだけどなあ」と心配しての激辛警告だ。それが妙にリアルだ。あっ、この店、ガチのシュートマッチを仕掛けてくるつもりだ。

「それがお前のやり方か!」by長州力。

待っている間、お冷のポットがテーブルに届けられた。こういうのはとてもうれしい。水を心置きなく、好きなタイミングでいただける。特にこれから激辛ってのを食べようというんだ、水は豊富にあるにこしたことはない。

それにしてもつくづくこの店、蕎麦屋っぽくないな。ラーメン屋、またはカレー屋って感じだ。

激辛つけ蕎麦

というわけでやってきました「激辛つけ麺」、3辛。

おおよそ蕎麦を盛るものとは思えない器に入って登場。つけ汁の器にいたっては、斜めに傾いていてスープの水面がこっちに向けてコンニチハしている、ちょっとおしゃれ?なデザイン。

唐辛子がまぶしてある蕎麦

今どきあんまり見かけなくなった幅広の蕎麦。色も蕎麦っぽく、うん確かにこれはラーメンではないね、とわかる。でも、上に乗っているのは、刻み海苔、ねぎ、そしてチャーシュー。あくまでも「つけ蕎麦」であることを主張している。

そして、激辛仕様ということで、麺の上にはたっぷりの一味唐辛子が。初めてみたぞ、麺類の激辛メニューで、麺の上に直接唐辛子が振りかけられてるなんて。

激辛つけ蕎麦つゆ

そして、つけ汁。あくまでも赤い。魚介豚骨醤油なので、従来の蕎麦とはまったく違うテイスト。嘗めてみたら、ハバネロの味がした。あっ、これはアカンやつや。ハバネロが入ると、容易に辛さを増やすことができる。この店、マジでやる気だ。

食べてみたら、おかでんにとっては、だが、悶絶するほどの辛さではなかった。汗はかくものの、おいしく頂けるレベル。でもやっぱり辛いな。ああ水がうめえ。

蕎麦の味は推して知るべし、というと申し訳ないのだが、そんなに美味いもんじゃない。そもそもつけ麺って、麺の小麦粉風味を楽しむ要素があるよな。でもこのつけ蕎麦、蕎麦の風味は特に楽しめない。単に麺をもそもそ食べているだけ。だからとても物足りない。

もっとごわごわして、麺が主張していればまだ面白いんだが、柔らかくてそんなに楽しくもない。中途半端、といった印象を受ける。コンセプトは好きなんだけどなあ。

アメコミ風の絵が壁に描かれている

食べ終わったところで、店員さんがやってきた。

「ええっ、あれ全部食べちゃったんですか?」

仰天してる。自分で作っておいてよく言うよ。

「いやね、実は3辛で作るつもりだったのが、手が滑って4辛くらいの感じになっちゃったんですよ。で、大丈夫かなあ、って心配だったんですけどね」

おい。なんてことするんだ。でも、平気で食べちゃったので結果オーライ。

「どこまで辛くできるんですか?」
「いやそりゃあまあ、仰って頂ければできるだけ」

それを聞くと、何だかこの店をまた訪問したくなってきた。

「また来ます!」

と社交辞令50%、本気50%の挨拶をしたら、店員さん、バツの悪そうな顔をして

「このお店、今月で終わりなんですよ・・・」

と言う。あれっ、何それ。どっかに移転するんですか?

「いえ、お店そのものがなくなっちゃうんです」

なんと。それは勿体ない事だ。味はまだまだ改良の余地があると思うけど、面白い試みだと思ったんだがなあ。

プロレスラーは、「引退します」といって引退試合をやった後でさえ、ひょっこり復帰するようなことを平気でやる人種だ。このお店も、何かのはずみでぽっこり復帰してくれると面白いのだが。