御清水庵 清恵

2013年12月13日
【店舗数:364】【そば食:599】
東京都中央区日本橋室町

越前おろし蕎麦

清恵

このサイトの「意見・要望」フォームを使って、時々生暖かい応援やタレコミを貰うことがある。今回、「通りすがり」を名乗る人物から蕎麦屋のタレコミを貰った。

そもそも、「通りすがり」という投げやりな名前を使っている時点で情報の信憑性が乏しい。というか、あんまり相手にしたくないなあ、という気がする。しかも、「たまには趣向の変わった店などどうか?」といった前口上で、このお店の事を紹介していた。しかし、どこがどう趣向が変わってるのか、どうして僕にこのお店を紹介したかったのか、そういうのがさっぱりわからない。やっぱり、面倒臭いし胡散臭い。

とはいっても、わざわざ頂いたメッセージだ。丁重にお礼の言葉をメールにして返信したら・・・記載されていたメアドは偽物だった。投稿フォーム上ではメアドを必須入力項目にしていたので、インチキなものを書いたのだろう。なんだよ、せっかく大長編の文章書いたのに。

ますます、怪しい。
お店のステマだろうか?

でも、本当にそうなのかどうか。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」という言葉があるじゃないか。とりあえず行ってみてから判断しよう。

お店の名前から検索してみたら、どうやら越前蕎麦を出すお店らしい。なるほど、その手の蕎麦はほとんど食べた記憶がない。今回いい機会だから、食べてみようじゃないか。

お店は、日本橋三越からほど近い場所にあった。外見はあんまり蕎麦屋風ではないが、ちゃんと大きく「越前おろしそば」の看板が出ている。

お店の名前は「御清水庵 清恵」という。えーと、なんて読むの?「おしょうずあんきよえ」というらしい。

お品書き

お店を訪れたのは17時半頃だったのだけど、店主らしき方に「1名です」と告げたら、手元の予約表をざっと確認していた。ほとんど空席だけど、この後宴会客がたくさんやってくる予定らしい。忘年会シーズンだもんな。

でも、蕎麦屋で忘年会って渋いな。やっぱりご年配の方だろうか?

実際、食事中、何本か忘年会予約の電話がかかってきていた。結構そういう宴会ニーズがあるお店らしい。

なんとか空席があったのでそこに通してもらう。

目の前では、50代とおぼしきおじさまたちが、まだ早い時間だというのに清酒を差しつ差されつ、いい感じに熟成が進んでいた。

こっちは酒を飲まないので、とっとと蕎麦のお品書きを吟味。

店頭に、季節メニューが掲示されていたのだが、「若狭牛すじそば」というのが大層気になった。1,100円。牛すじ、美味いよな。でもここはやっぱり、王道の「越前おろしそば」を頼むしかあるまい。特に今回、このお店を紹介された経緯がちょっと変わってるし。

越前おろしそば

蕎麦を注文している人は僕以外いなかったので、注文したらすぐに出てくると思ったが結構待った。大根下ろしをすり下ろすのに時間がかかったのだろうか。おろしそばは、大根下ろしと、大根の絞り汁で食べる蕎麦。福井の名物だ。大根をすり下ろして冷蔵庫なんぞでストックしておいたら、せっかくのぴりっとした風味が飛んでしまう。注文の都度、おろしているだろうから結構大変だ。

しかも大根の場合、部位によって辛さが違う。どのお客さんにも均一な辛みの味を提供しようとしたら、根元の部分、胴体の部分、頭の部分を適度にブレンドしながらおろす、といった一工夫が必要だ。そうでないと、あるお客さんの蕎麦だけ激辛、なんてことになる。

蕎麦は固めで、太さがある。食べ応えのある存在感。蕎麦だけ食べても結構おいしい。蕎麦独特の風味はちゃんとそこにあった。

でも、蕎麦ばっかりを食べているわけにはいかない。せっかくのおろしそばだ、どぶんと大根のおろし汁に漬け込みながらすすり上げたい。それ。

・・・うまいなー。大根のぴりっとした、さわやかかつ新鮮な味が蕎麦を引き締めている。辛味大根を使った蕎麦があるけど、あれはちょっと辛すぎて蕎麦の味がわからなくなることがある。それが、今日この大根おろしだとちょうど辛すぎず甘すぎず、いいバランスだった。

ご主人は言う。

「この時期になると、大根の甘みが増すのでおいしくなりますよね」

と。そうだった、大根ってのは夏場は辛くて、冬場は甘くなる野菜だった。で、ここでご主人衝撃の発言。

「私、じつはおろし蕎麦はあんまり好きじゃないんです。辛くって」

えー。そうなんだ。思わず笑ってしまった。

「吾輩は猫である」に出てきた 苦沙弥先生は、胃弱に悩まされ、タカジアスターゼ(大根に含まれる消化酵素)を飲んでいたけど、確かに大根おろしを食べると消化が捗る気がしてくる。うん、これは食が進まない夏場なんかに食べると最高だな、越前おろしそば。

以前から、越前おろしそばの食べ歩きを敢行したいと思い続けて早10年。首都圏から福井というのは結構遠いので、なかなかいけないまま今に到っている。そんななか、きっかけはどうであれこういうお店に出会えたのは良かった。

2014年こそは、越前に行ってこようかなあ・・・。

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