俺のそば GINZA5(01)

2014年06月20日
【店舗数:369】【そば食:620】
東京都中央区銀座

俺の肉そば

「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」・・・ここ数年、東京界隈の外食業界を賑わせたお店の名前だ。

有名レストランのシェフを招き、まさかの立ち食い店を営むという奇想天外の発想。高級食材をふんだんに使った料理を、立ち食い店舗ならではの廉価で提供するというやり方がとても受け、どのお店も開店前に行列ができる繁盛店になっている。立ち食いならではの高回転率と客席の多さで原価率が高くても商売になる、というのを実証して見せた。

その勢いは留まることを知らず、割烹や焼き鳥、果てはおでんといったところまで「俺の」シリーズが拡大している。どのお店も、立食が基本だ。「フォアグラやオマール海老みたいな高級食材を立って食べるなんて、理解できない」という声と、「高級レストランなんて高いし、かしこまってるし行きづらい。ラフな立食スタイルは歓迎」という声が入り混じる中、いよいよ「俺のそば」まで登場してしまった。それが、今回訪問するお店。

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GINZA5

高速道路の橋脚下にある「GINZA5」に「俺のそば」はある。銀座5丁目にあるので「GINZA5」だ。なんてわかりやすいんだ。ちなみにこの高架下をずっと新橋方面に進んでいくと「GINZA9」があるのだが、これは銀座9丁目ではない。そもそも銀座は8丁目までしかなく、「GINZA9」の住所は「銀座8-10先」という風変わりな番地となっている。これ豆知識。

GINZA5の地図

地下はレストラン街になっていて、「ごはんcafe」「ティーヌン」などおかでんにとって馴染みのある店が並ぶ。最近はご無沙汰だが、昔はよくここを使ったものだ。あんなところに「俺のそば」が出来るとは・・・と感慨深く、お店を目指す。

お店外観

俺のそば外観。

「俺の」シリーズ、どのお店もそうなのだが、なんだか頼りなさそうな、ふがいないフォントの店名が目を惹く。正直言ってとてもかっこ悪いんだが、どうしてこの脱力系フォントを使っているのかが気になる。きっと、「堅苦しいものじゃないですよ、気軽に食べて行ってください」という気持ちの表れなのだろう。

店員さんの写真がバーンと店頭に

シェフや店長の写真が名前入りでバーンと店頭に飾られているのは、他のお店と一緒。料理人が誇りを持って仕事に取り組めるように、というわけだ。立ち食いだからといって手を抜いているわけではないぞ、一流シェフによる一流料理だぞ、という自信の表れだ。
ちなみに、このお店の料理長は和の鉄人・道場六三郎のお店「ろくさん亭」で20年以上勤めたという人だった。蕎麦職人をヘッドハンティングした、というわけではない。しかしそれではさすがに蕎麦屋の体をなさないので、ちゃんと「そばの道一筋15年」という人も名を連ねていた。どのお店の厨房にいたのかが明らかにされていないのが残念だけど。

「俺のフレンチ」が出来たときは、「あの高級レストラン『シェ松尾』の能勢総料理長が!なんと立ち食いのお店に!」という驚きがあった。でも「俺のそば」ではさすがにその衝撃の再現とはいかなかったか。蕎麦屋の巨匠がこういうお店の専属料理人に収まるとは到底思えないからだ。たとえば今後、「俺の寿司」というのが出来るかもしれないが、やっぱり寿司の大御所が料理長に納まることはないと思う。寿司にしろ蕎麦にしろ、一国一城の主だからだ。

店頭のメニュー

メニューを見る。そばは6種類で、
「俺の肉そば(冷)」500円、「俺の鶏そば(温)」500円をはじめとし、「もり」が300円など随分と安い。元々、「俺の肉そば(冷)」は850円でスタートしたらしいのだが、オープン1ヶ月で500円にドーンとプライスダウンしてしまった。この突拍子の無さが「俺の」シリーズのお店ならでは、ということか。おかげで「原価率90%」ということだが、一体どういう金勘定をしているんだ?

料理名を見ればわかるとおり、明らかに「港屋」を意識している。いや、「意識」ではなく、模倣だ。何で「俺の」を名乗るくらいのお店が、わざわざ他店舗の物まねをするのか理解に苦しむが、もはや「物まね」「インスパイア」などではくくれないくらい、「港屋」的な肉そばはスタンダードな料理に育った、ということなのだろう。めんたいこスパは今じゃ当たり前の料理だけど、昔はどこかのお店が元祖なわけで、当時はゲテモノ扱いもされただろう。それでも今じゃ、パスタ料理の定番として当たり前にどのお店も置いている。それと一緒だ。蕎麦の新しい定番としての肉そば、なんだろうな。

俺の肉そば(冷)

16時半の入店だったので、まだ満席にはなっていなかった。しかし、この時間にしては混んでる、といえる繁盛っぷりだった。夜はお酒も飲めるお店なので、お店にいる多くのお客さんはお酒を傾けていた。

客席は82。これだけ聞くと相当広いお店のようだが、実際は「立食」で計算した客席数なのでそんなには広くない。激狭、というほどではないので「うひゃー、これは狭い!」とニヤニヤしてしまうほどではないが、それでもやっぱり狭い。山小屋の宿泊定員と似たにおいを感じた。

入店時に、店員さんに「蕎麦を食べるか、お酒を飲むか」と聞かれた。それによって、通される場所が違う。「蕎麦を食べる」と伝えたら、厨房に面したカウンターに案内された。セルフ形式で注文して、お会計して、料理を載せたトレイを持って好きな席へ行け、という仕組みだ。

注文は番号で行う。「俺の肉そば」の場合は「1番」。とりあえず定番メニューである「肉そば」を頼んでみた。

それにしても、「肉そば」「鶏そば」があるというのも港屋ゆずりだし、「肉そば」が冷たい蕎麦で、「鶏そば」が温かいというのも一緒。さらに、生玉子や天かすが自由に使えるというのまで一緒。少しは違いを出そうとするのかと思ったら、全く奇をてらわずに「港屋」フォーマットを踏襲している。なぜここまで港屋インスパイアのお店というのは、港屋を模倣するのだろう?もっとあれこれ工夫できるはずなのだが。港屋が最初に提示したジ・オリジンな料理スタイルが、あまりに完成されていたということだろうか?そんなわけはないのだが。

蕎麦は茹でおきのものを使うため、注文してすぐに提供される。ちゃっと食べてすぐに次の目的地に向かう、多忙なビジネスマンでも嬉しい。でも、量が多いので「ちゃっと食べる」というのはちょっと難しいのだが。

蕎麦アップ

蕎麦が見えないくらいの刻みのり、胡麻、ねぎ。ラー油が浮いたつゆ。そこには何の創意工夫もない。これ、わざわざ著名料理人を招聘する意味、ないよなあ・・・と思う。そういう人は、酒肴メニューの方で腕を振るう、ということなのだろうか。
味だって、特にうまくはなかった。500円という値段を前にすりゃ、平身低頭するしかない。でも、蕎麦の味自体は取るに足らない。これで最初の価格(850円)のままだったら、魅力が殆どない蕎麦だ。

ただし、このお店に限らず「港屋インスパイア」のお店が成り立っているのは、肝心の港屋がチェーン展開していないこと、唯一のお店が立地条件がとても悪く、新橋虎ノ門界隈にお勤めの皆さまくらいしか食べに行きづらいということがある。だからこそ、競合他店が「伝道師」としてあちこちでインスパイアな蕎麦を出して、商売が成り立っている。このお店も、そんなお店の一つ、といった感じだ。港屋を食べたいけどわざわざあそこまで行く気にはなれない。だったら近場の俺のそばでいいじゃん、という妥協としての蕎麦。とはいえ、500円というのは猛烈な価格設定だ。「妥協の産物」のはずの蕎麦なのに、立地条件がそこそこ良く、しかも500円となれば俄然輝きを増す。そういう点では、再訪の価値ありだ。ありまくりだ。

天かすと生玉子を投入

食事後半戦で、つゆに天かす、麺に生玉子を投入。もうこうなると、たとえ「ろくさん亭」だろうがなんだろうが、味なんてわちゃわちゃっすよ。いい意味で。

隣にいるマダムお二方は、蕎麦はとりあえず後回しにしてお酒を楽しんでらっしゃる。
おつまみは「和牛とフォアグラ重ね焼き(1,280円)」と「水だこのカルパッチョ(680円)」。なるほど、こういうところはさすが「俺の」のお店だ。他にもイベリコ豚のカツやらあいなめの煮付けやら、和洋織り交ぜた料理が10種類ほどあった。なかなか面白い。

近日中にもう一度訪問することを決めた。今度は同伴者と一緒に行き、おつまみを食べながらお店を満喫してみたい。でも、日没後だと大混雑するんだろうなぁ。

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