俺のそば GINZA5(03)

2014年09月03日
【店舗数:—】【そば食:626】
東京都中央区銀座

酒菜9種盛り、俺の山かけ、俺のローストビーフ、本日仕入・金目鯛の煮付け、フォアグラの重ね焼き、スパークリングウォーター

俺のそば外観

俺のそばに今日行ってきたよ、という人からLINEでレポートが入った。聞くと、思ったより空いていたそうだ。まじか。

このお店、混まないわけがないのでもう今後は行くことはないだろうな、と思っていた。それが7月の話。でも9月にもなったというのに、未だに混んでいないというのか。

そういえば先日お店の前を通ったとき、電話予約受付開始なんて張り紙が張ってあって驚いたのだが、そんなに集客ができていないのだろうか。

立地条件はいいし、料理は値段以上のパフォーマンスだし、何がいかんのだろう。

ぜひこれはもう一度訪問せねば。というわけで、職場の人を焚きつけて同行者に仕立て上げ、会社帰りに行ってみた。

いくら「待たずに座れる」お店とはいえ、それは蕎麦屋としてはある意味当たり前といえば当たり前だ。ただし、「俺のフレンチ」などに代表される系列店のことを踏まえれば、やっぱり「行列なく入店できる」のは穴場スポットといえる。

とはいえ、のんびりしてたらやっぱり入店待ちの行列ができるのは当然のこと。19時を過ぎると待ち行列が発生するようなので、やはり仕事が終わったら即座にお店を目指すのがよろしいようだ。

店員さんに「空いている曜日はありますか?」と聞いたら、困った顔をして「どの日も大体混みますね・・・ご予定がきまりましたら、ぜひお電話でご予約を」と言われた。穴場の曜日、みたいなのはないらしい。

俺のそばメニュー

店頭に飾ってあるお品書き。

前回訪れた時と比べても随分変わっているようだ。板わさや焼き海苔、といった「蕎麦メニューに必要な食材を中心に構成された酒肴」がないお店なので、むしろ自由度が高い。

新メニューとして「坦々そば」というのが出ているらしい。他にも、夜限定で黒ごまそばもある。あくまでも蕎麦に関しては、王道ど真ん中の蕎麦は狙わないらしい。それが「俺のそば」のオリジナリティだ。

手書きメニュー

手書きのメニューがある。正直読みにくく、もう少しどうにかして欲しい。何が書かれているのか、直感的にわからないし、ざっくり読んでも頭に入ってこない。

それは、「蕎麦屋のメニューのお決まり」といったものをこのお店が完全に無視しているから、とも言える。普通のお店なら、「ああ、こういう料理があるってことはこういう料理もあるな」と過去の知見で予測ができる。

お店の概要を把握するのは比較的簡単だ。舐めるようにメニューを見なくてもいい。居酒屋にしろ、中華料理店にしろ、そういう「文法」ってのは存在する。しかしこの「俺のそば」の場合、これまでの文法が通用しない。だから、じっくりとメニューをよまないと理解できない。

いろいろなメニューに「俺の」という名前が冠せられているのが目に付く。「俺の日本泡」「俺の花魁」「俺の山かけ」・・・。付けたモン勝ちの様相を呈している。

でも、「俺の」が付いているメニューが、なんだかおすすめ&お得な気がしちゃって、ついつい頼んでしまう。消費者心理を突いていると思う。

レギュラーメニュー

手書きとは別の、ラミネート加工が施されたメニュー。こちらの方が一応はレギュラーメニューということになるのだろうか。とはいえ、前回訪問時に見たものと随分内容が入れ替わっているようだ。

・・・って、あれれ!値段もイイカンジに変わってるぞ。同じメニューでも、100円ほど値上がりしているものがちらほら。「酒菜9種盛り」が980円ということになっているけど、確か前回は890円でしたよねえ?ありゃっ、と思ってメニューをあれこれ見てみたら、このお店の看板である「蕎麦」自体も500円から600円に値段が跳ね上がっていた。一体どうした。迷走してるな。

迷走、といったらかわいそうか。試行錯誤中だな、という表現が適切か。

これまで、立ち食い蕎麦屋というのは世の中にあまたと存在してきた。単なる「安い・早い・うまい」の立ち食い蕎麦屋のビジネスというのはさんざん考え尽くされてきたとは思うが、「高級料理を廉価に出しつつ、酒も飲ませつつ、蕎麦も食べさせる」という業態は日本初だ。適正価格だとか、客の回転率とか、あれこれトライ&エラーして見極め無くてはいけないのだと思う。

で、そういう壮大な実験の場に立ち会えていることを光栄に思う。
そういえば、椅子席が随分増加したな。以前は、お店に入って右手だけが椅子席だった。椅子席を利用する場合、テーブルチャージ代が300円かかる。しかし今日訪れてみたら、お店に入って左手のカウンターまでもが椅子席になっていた。お店の中央部分だけがセルフサービスの立ち食い蕎麦スペース。このまま突き進んだら、「立ち食いで高回転率」を売りにする「俺の」シリーズのお店なのに、椅子席ばっかりになってしまいそうだ。

「うーん、単なる立ち食い蕎麦屋、というイメージで誤解されてるのかねえ」

増えている椅子席、「俺の」シリーズの店なのに行列がない店頭を交互に眺めつつ、同行した同僚と話をする。

ちなみに立ち食い蕎麦スペースだが、若い女性が結構多かったのが興味深かった。女性も、きっちりと一人前のドカ盛り蕎麦を平らげ、涼しい顔でお店を後にしていた。女性受けもする立ち食い蕎麦屋であることは間違いない。

スパークリングウォーター

お酒を飲まないので、スパークリングウォーターを注文。200円と廉価で助かる。量は比較的多い。

お酒をぐいぐい飲んでいた時の癖で、未だにこういう酒席では精算時に人より多く払おうとしてしまう。しかし、よく考えると酒を飲んでいる人と割り勘になっていることすらおかしな話で、ぐっと僕の支払いは低くなければいけないはずだ。このあたりは今後ちゃんと計算しなければならない。これまでは「おかでんと一緒に飲むと割り勘負けするからイヤなんだよな」と密かに思われるのがイヤだったので、必要以上に多く払うことにしていたのだけど。

お通しの小鉢が出てきたが、これはテーブルチャージ300円に含まれる。なので、「椅子代で300円?たけーよ」と思ってはいけない。小鉢代と思おう。

酒菜9種盛り

酒菜9種盛り、980円。相変わらずすげーのが出てくるなおい。一同興奮。いくら、うに、湯葉など高級食材が入っているのもさることながら、その一つ一つの味がとてもよい。さすがきっちりした料理人が監修しているだけある。おから一つとってもうまいんだからたまらん。いわゆる「居酒屋メニュー」だとか「スーパーのお総菜」とは明らかに一線を画している。ああいうのは、味が濃くて辛くてくどいんだよな。

俺の山かけ

「一組につき一品限定」という触れ込みだった、「俺の山かけ」を頼んでみた。780円。

まぐろぶつ、うに、いくらがとろろの中に入っている。豪快かつ豪華。

「こういうときのまぐろって、解凍しきれてなくてシャリシャリしてたりするんだよな。または常温にさらされすぎてドリップだらーなやつ」

と勝手に思い込んでいたけどすいません、全くそんなことありませんでした。とても歯触りのよいまぐろで、大満足でした。

俺のローストビーフ

俺のローストビーフ、1,380円。

「折角だからローストビーフいっちゃおうぜ」というノリで頼んだもの。折角このお店を利用するのだから、いっちょ派手な食材をたべてみようじゃないか、という気分になる。そんなとき最適なのが、ローストビーフ。
「俺、蕎麦屋でローストビーフ食ったんだぜ」と言えば、友達との会話も弾むというものだ。

肉質もよく、とても味わい深かった。筋がなく柔らかいというのも素敵。注文してから20分以上かかったので、注文が入ってから焼いているのだろうか?

金目鯛の煮付け

本日仕入・金目鯛の煮付け980円。

おいちょっとまて、これで980円はあんまりだろう?どうしてそんなことができるんだ。

金目鯛といえば言うまでも無く高級魚だ。特に関東地方では、伊豆半島や伊豆諸島でよく採れることから重宝される魚だ。

普通、そんなものが1,000円以下で食べられるなんてことはあり得ないのだが、何で980円で出しやがりますかこのお店は。煮付けるという手間賃・技術料だけを考えたって、この金額は割にあわない。鯖の味噌煮を作ってるんじゃないぞ?

味はもちろんよかった。塩加減がとてもいいんだよな、酒を飲んでいない、白米を食べていない人であってもちょうどいいくらいの塩加減。これ、お酒を飲んでいる最中の人にとっては若干物足りないということはないのだろうか?酒飲みの味覚ってのはもう今となってはよくわからない。

和牛とフォアグラの重ね焼き

酔っ払いにメニューを見せるといろいろ頼もうとするので楽しい。

僕が僕なりに頼むとなると、「おかでん食べ過ぎ。もうやめとけ」などと言われるので、あんまりこういう場では積極的にあれやこれやは頼まないようにしている。しかし、酔っ払いがいると、僕の「もっと頼みたいぞ願望」を代弁してくれるように追加注文をしてくれる。で、僕は心の中で「いいぞもっとやれ」と声をかける。

んなわけで、お酒が入ってイイカンジの同僚(といっても50過ぎた課長さんだ)が頼んだのが、和牛とフォアグラの重ね焼き1,380円。「折角だからフォアグラも食べとかないと」という、意味不明な「折角だから」理論を振りかざしながら。

味についてはいいと思うんだけど、さっきからずーっとちびちび飲み食いしている関係ですでに全員満腹状態。金目鯛の煮付けも、なかなか箸が進んでいない。そんなわけで、「折角」のフォアグラだって、若干放置プレイとなってしまった。

この日、18時半にお店に入って、お店を出たのは22時過ぎ。「もうそろそろ」と店員さんに言われるかと思ったが、飲み食いがストップすることなく延々と追加注文が続いたので、お目こぼししてもらえたようだ。ちなみに同じカウンターの隣の席(相席)は、僕らがいる間に3回転していた。1時間いるかいないか、程度というわけだ。我々が長すぎだ。

でも、久しぶりに「職場の人と、少人数で酒席を設ける」てことをやってよかったと思う。同席した女の子は、「こんなことなかなか言えなくって」と思わず目に涙を浮かべる有様で。酒の力を借りつつ、今まで思ってきたけど言わなかった職場のあれこれについて熱く語っていた。最近こういうのは敬遠されがちとされるが、やっぱりやっておくべきだなと思いを新たにした。

・・・と話をまとめにかかっているがあれ?肝心の蕎麦は?

いや、食べ損なった。蕎麦屋なのに、蕎麦にたどり着く前におなかいっぱいになっちゃった。残念。

いいお店なので、混む前にまた訪問したいのだけど・・・。

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