2014年12月16日
【店舗数:377】【そば食:631】
栃木県那須塩原市大原間西
浸しかき揚げそば(あたたかい)
那須塩原駅は新幹線停車駅として、そして近距離通勤電車としての新幹線の始発駅として首都圏界隈の人に知られている駅だ。そして、春から秋の行楽シーズンでは、那須高原あたりの観光の玄関口としても活用される。しかし、ウキウキ観光気分の人たちにとって、駅は単なる通過点に過ぎないようだ。駅前は悲惨なまでに何もない。レンタカー屋が目を惹くくらいだ。
そんな駅前に、「お食事処平成」がある。以前ここを訪れた時は、駅前をうろうろしていたにも関わらずすっかり見落としていた。駅前には何もないだろう、とたかをくくっていたからだ。お店を探そうという気にすらならない駅前、それが那須塩原駅。
で、今回、この界隈では「浸しそば」なる蕎麦が存在し、「平成」でも食べることができる・・・という情報をキャッチしたので、物は試しで訪れてみることにした。
確かに、那須塩原駅の駅前一等地にそのお店はあった。見落としたのが不思議なくらいだ。ロータリーの片隅に、静かにお店が営まれていた。
「うどんそば」とガラスには書かれているが、一応「お食事処」という位置づけのようだ。そりゃそうか、地元の人にとっても、観光客にとっても、駅前でメシを食う限定的な選択肢だ。「うちは蕎麦専門店です」なんてやってられんよ。カツ丼でもハンバーグでも何でも提供しなくちゃ。
そうはいっても、お店のメインメニューはやっぱり蕎麦とうどんだった。しかし、壁のコルクボードを見やると、ここが居酒屋として機能していることがわかる。凝った料理はさほどないようだが、気軽に焼酎なんぞを飲みつつつまむにはちょうどいい料理が並ぶ。
しかしこの駅の利用客って、基本的にも応用的にも、マイカー移動が原則となる。路線バスはあることはあるけど、便数が少なく地元民の日常使いには厳しい。ましてや、酒を飲むであろう夜の時間帯はなおさらだ。ここでお酒を飲む人たちって、一体どうやって家に帰るんだろう。家人に迎えに来てもらうか、送迎を頼むか。
JR東日本は、「那須塩原あたりからでも十分東京に通勤できる!」と謳っている。確かに廉価に一戸建てが買えるだろうし、大自然は折り紙付きだ。しかし、駅から自宅までの足をどうするの、というのは本当に悩ましい。お酒を飲む人ならなおさらだ。
メニューの隣には、皇室カレンダーが貼られていた。さすが那須御用邸のお膝元だ。あっ、店名が「平成」というのも、やっぱり天皇陛下ゆかりの地ということだからか?
メニューにあった「浸しかき揚げ(つけ麺) 710円」というのを注文する。店員さんから「うどんですか、そばですか」と聞かれ、さらに「温かいのですか、冷たいのですか」とも聞かれた。つまり、このメニューは4パターンがあるということだ。さすがに外は雪が積もっている状態なので、問答無用で温かいのを頼む。今日は相当冷える。
「つけ麺」とカッコ書きされているけど、そもそももりそばってつけ麺だよね・・・と思いながらできあがりを待っていたら、現物登場。これがこの界隈独特の蕎麦らしい、「浸しかき揚げそば」。
なるほど、何がどう「浸し」なのかと思ったら、温かいつゆに既にかき揚げがドボンしているわけだな。「温かいかき揚げそば」の麺が別皿になっていますよ、という構図。特に奇抜な事をやっているわけではないものの、じゃあこういう提供をする蕎麦屋ってある?と聞かれると案外思い出せないものだ。確かにこれは面白い。
実はこれ、かなり気に入った。
というのも、かけそばともりそばのいいとこ取りをしているからだ。もりそば的な「蕎麦そのものの味を楽しむ」こともできるし、ザブンとつゆに浸してつゆをからめて温かく食べることもできる。しかもかき揚げからしみ出す油とうまみが蕎麦に絡みつき、うまさ倍増だ。このあたりのさじ加減を、自由自在にコントロールできる。
何なら、添えられた漬け物で口の中をリセットし、もう一度シンプルに蕎麦だけ食べたっていい。あらためて新鮮な気分で蕎麦を楽しめる。
とてもいいと思ったので、また那須塩原を利用する際にはこの「浸しかき揚げそば」は食べてみたい。
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