2016年06月05日
【店舗数:402】【そば食:664】
栃木県日光市匠町
ゆば付きざるそば、そばだんご
日光東照宮からやや離れたところに、「憾満ヶ淵(かんまんがふち)」という場所がある。男体山から流れ落ちた川の流れが、このあたりだけ急流となっていて風光明媚だ。その淵の傍らに、お地蔵さんがずらっと並んでおり、これが知る人ぞ知るミステリースポットになっている。並んでいるお地蔵さんを数えながら淵を往復すると、往路と復路ではお地蔵さんの数がどうしても合わないのだという。以前僕が実際に試してみたところ、確かに数が合わなかった。
数が合わないのはなぜ?と背筋がゾゾゾっとなるついでに、蕎麦をゾゾゾっと手繰るのはいかがだろうか。憾満ヶ淵の入口に、「含満の茶屋」というお店がある。そこで蕎麦が食べられるようだ。前回不整合だったお地蔵さんの数を今度こそ突き止めないといけないので、そのついでに立ち寄るにはちょうどよい場所だ。
店頭には、人がたくさん群がっていた。ありゃ、行列ができているぞ?観光地・日光の中でも外れの位置にある場所なので、誰もいないと思ったのだが。限定二十食、早くもピンチ。いや、それ以前に店に入るのに時間がかかりそうな予感。
しかし、店内は空席がある。店員さんに確認したら、どうぞ中へ、と言われた。じゃあ店頭に群がっている人たちはなんだろう?と思ったら、どうやら軒先に置いてあるメニューを全員で取り囲んであーでもないこーでもないと議論していたらしかった。その人たちは某美術大学の女子学生で、全員がスケッチブックを手にしていた。どうもこのあたりは格好のデッサンポイントらしい。憾満ヶ淵でも、大きなスーツケースを持参の上、絵を描いている学生さんが大勢いた。
ひたすらメニューの前でごにょごにょ話し込んでいるので、何を真剣になっているのだろう?と不思議だった。かれこれ10分以上は軒先であーでもないこーでもない、とやっていたようだ。で、結論が出たのか、ようやく着席したのだけど、そのあとで卓上のメニューを見ながら「うどんとそば、どっちにする?」なんて話をしている。結局軒先での議論は何だったんだ?
「含満名物甘味噌だれ 味噌そーせじ串」だって。五平餅みたいに甘い味噌を、フランクフルトに塗っているようだ。これはおかずなのかスナックなのか。ビールにあうのかどうか、ちょっと想像がつかない。
このお店のメニューには英語が併記されていた。世界遺産の地ということで、バイリンガル対応にしたのだろう。でも、日光東照宮からは離れた場所にあるここに、外国人観光客がやってくるのだろうか?・・・と思ったら、いた!店の前のパラソルで、外国人夫婦がくつろいでいた。ただしこの人たちは日本語が使えていたので、「外国人観光客」ではないようだ。駐在員だろうか?
この外国の方、暖かい蕎麦を頼んでいたのだけど、「スプーンありますか?」と店員さんにお願いをしていたのが面白かった。スプーン?何に使うんだ?と思ったら、丼に入ったつゆを飲むためだった。なるほど!西洋人は「丼を手に取り、ずずずっとつゆをすすり飲む」ということはしないのだな。
まだ注文していない女子学生6名を尻目に、こちらはさっさと注文する。「限定20食の蕎麦って、まだあります?」と聞いたら、「ある」ということなのでありがたく注文。うれしくなっちゃって、ついでにそばだんごも注文。
「ゆば付きざるそば」がその「限定20食」の蕎麦なのだが、お値段は850円。どうやら、単品のざるそば(600円)に、「含め煮(500円)」のハーフサイズが付いているらしい。「日光に来たのだから、折角だから蕎麦も、湯波も食べたい」という人にはちょうどいい。
「あれ?単品のざるそばって、限定20食ではないんだよな?」
「ゆば付きざるそば」には、「限定20食手打ちそば」という記述があるが、単品のざる蕎麦メニューにはその記述がない。
「単品のほうは手打ちではない、ということだろうか」
しかし、ページの先頭には「かんまんの茶屋自家製麺」と書かれている。うーむ、手打ちではないけど自家製麺、なのか。冷麺製造機のように、蕎麦玉をプレスして麺を抽出しているのだろうか?
ゆば付きざるそば、到着。
うひょう、限定20食ですよ限定20食。横にいる女子学生さんたちがオーダーを即断即決していたら、注文できなかったかもしれない。何しろ6名もいるから。彼女たち、一体何を悩んでいたんだろう?このお店、悩むほどメニューの数は多くないのに。
てっきり、
「このメニュー看板、デッサンするのに適しているよね」
「私、こっちからの角度がたまらないと思うの。描いちゃおうっかなあ」
なんて会話をしているのかと思ったが、単に自分のお昼ご飯を決めかねていただけだったようだ。
手打ち蕎麦。
とても細く、そうめんのようでびっくりした。蕎麦の風味はそこそこ楽しめるのだけど、麺が短く、つるつるッと手繰る楽しみが足りないのは惜しい。つゆは僕好みで、かなり辛い。この辛いつゆを楽しむためにも、長い麺にちょこっと辛いつゆを浸け、その後おもむろに手繰りたかった。
つゆはかなり冷たく、きりっとしていてこれがうまい。本来的につゆは常温の方が良いのかもしれないが、「冷たいのもうまさのうち」だと思った。今日はお日柄がよく、屋外に面した席で食事をするなら、なおさらだ。
含め煮。
消防車の丸めたホースのように、ぐるぐる巻きの湯波。ゆばなんて日常的に食べるものではないので、こうやって見た目も食感も食べ応えがあるコイツの登場は嬉しくなってしまう。
日光市街の飲食店で湯波の料理を食べると、1,000円越えは当然。「折角の観光だし、まあいいか」と2,000円近い湯波御膳なんて頼む観光客は多いと思う。しかし、こうやって実質250円で湯波が食べられるというのは嬉しい限り。
※ちなみに京都ではゆばのことを「湯葉」と書くが、日光では「湯波」と書く。
箸で二、三回湯波をタップし、染み込んだつゆが染み出てくるのを確認したのちにグイッと押し込む。うん、いい含みだ。
山菜が付いているのも嬉しい。
デザートとしてそばだんごを。一串200円。
蕎麦粉を水で練ったものを、フライパンで軽く炒めたのだろうか?だんごの両面に軽く焼き色が付いていて、香ばしく固まっている。蕎麦の味が楽しめ、なかなかにうまい。
そばだんごの上には甘味噌がかけられている。そうかー、今このそばだんごでは全く違和感ないけど、これがソーセージになる場合もあるのか。果たしてそれはうまいのかどうか、あらためて考えてしまう。未だにしっくりきていない。
この後、お地蔵さんの数を数えに行き、行って戻ってきたらやっぱり数が1体あわずに愕然とした。度重なる洪水被害や風雪のせいで、崩れているお地蔵さんがいくつもある。そういうのをうっかり数え漏らしてしまうからだと思うが・・・謎だ。
お地蔵さんツアーから戻ってきたら、相変わらず女子学生たちは食事中だった。料理が出てきてからそれなりに時間が経っているのに。スケッチそっちのけで、茶屋を大満喫したようだ。
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