蕎心

2019年03月16日
【店舗数:434】【そば食:716】
東京都文京区根津

野菜かれ~

最近、行動範囲がぐっと狭くなってきている。あちこちウロチョロして新しいお店を探すよりも、もう少し地に足の着いたお店を巡ったほうが良いのではないか、という気がしてきたからだ。

新規店舗開拓は、ワクワクする。でも、遠方のお店でいくら絶品なのに出会っても、一期一会だ。なかなか二回目、三回目の訪問はできない。それよりも、近場の行きつけを作った方が、楽しいと思う。

こういう発想の転換を、「円熟味」と考えるか、「老い」と考えるかは非常に悩ましい。ひしひしと、老いに対する恐怖感が僕を包む。具体的に足腰が動かない・痛い、ということがないけれど、だからこそ、目に見えない「老い」に対する恐れがある。

とかなんとかいいながら、最近はもっぱら東京都は台東区・文京区・荒川区あたり、いわゆる「谷根千エリア」をウロチョロしている。おかげさまで馴染みのお店が何軒かでき、とても快適だ。このエリアにあるカフェや本屋、その他いろいろなお店はどれも個性的。そしてそこに集う人達も、面白い。

カフェの店員さんや常連さんと話をしていると、いろいろと「地元情報」を教えてくれる。へえ、あんなところにそんなお店があるんですか、なんていう知識が膨らんでいき、ますますこの土地に対する愛着が湧いてくる。

ちなみに僕は、谷根千エリアには住んでいないよそ者なのだけど。

それはともかく、カフェで「蕎心(そばこころ)」という蕎麦屋が根津にあって、なかなか良い、という噂を聞いた。この界隈はぽつぽつと蕎麦屋があって、どれも気になるところだけど、まずは手始めにその「蕎心」を訪れてみることにした。

なお、谷根千エリアの蕎麦屋といえば、以前「早朝からやっている変態蕎麦屋・鷹匠」を訪れたことがあるな。また今度、朝ご飯を食べに鷹匠にも行ってみたいものだ。

それはともかく、根津駅から歩いてちょっとのところにある、蕎心。

このすぐ近くには、「はん亭」というふるーい建物を使った、串揚げ屋さんがある。ここで串揚げを食べるのも乙だ。僕は以前、江戸文化研究の第一人者である安原眞琴さんのツアーに参加して、ここで串揚げを食べたことがある。うまかった。

それはともかく、蕎心。

あんなところに蕎麦屋さんってあったっけ?と首をひねりつつ訪れたら、あった!という風情のお店だ。さりげない。

いや、こんな外観だったら全然さりげなくはないでしょう?と思うかも知れない。でも、谷根千エリアでこれだと、全然普通だ。ああ、何かここにもお店があるぞ、程度の認識で素通りしてしまうくらいだ。

むしろ、凜とした、寿司屋みたいな、引き戸とのれんとごくごく小さな看板しかない」小さく地味なお店の方が目立つくらいだ。

「心を込めて営業中」の札が下がっていて、非常に俗っぽい。既製品なのか手作りなのかわからないけど、「うまい蕎麦屋」によくある「お高くとまっている感」が全然ない。

しかも、店頭の立て看板式黒板に、おすすめ蕎麦なんてのが書いてある。お、おう・・・。

最近めっきり蕎麦を食べる機会が減ってしまったので、2019年時点における「イケてる最先端蕎麦屋トレンド」というのがよくわからない。ひょっとしたら、お高くとまっている感丸出しの蕎麦屋というのは時代遅れで、今だとフレンドリーな方がウケが良いのだろうか?

初めての蕎麦屋だ、メニューなんて見る必要は無い。いつも通りの、ベーシックなもりそばを食べればいい。あれこれアレンジを加えた蕎麦を食べるのは、二度目三度目の訪問からでいい。だって、そうじゃないとそのお店の傾向と対策がわからないじゃないか。

・・・と思っていたら、しまったああああああ!

つい、口が滑って「野菜かれ~」を注文してしまった。

おい、お前、すごい変わり身だな。カレーそばなんて、蕎麦の風味がもっともわからない料理といえるものだ。そんなのをよくぞ平気で、一発目で頼めるものだな。

我ながらびっくりですよ。この肩の力の抜けっぷりに。なんかね、もう、尿漏れパッドをつけないとやってられないお年寄りの気分ですよ。おもらししまくりじゃないですか。ちょっと振り向いただけで、おならばブリっと出てしまう、肛門括約筋が緩くなった人みたいな気分ですよ。

でも、この脱力感が心地よい。いいんじゃないでしょうか。

実際、料理としてはすばらしく美味かった。なんかね、カレーが麺と絡まって、ぬるぬる、ねっとり、悦楽の境地ですよモウ。これは、キリリと辛いもりそばでは味わえない。そうだな、やっぱり歳を取ったからには、食にも官能のエロスを追求していきたいものだな。

・・・何を考えてるんだ、昼間っから。やめろやめろ、帰れ帰れ。

蕎心の近くにもう一軒蕎麦屋さんがある、という話も耳にしていた。そこも案外いいらしいぞ、という噂だったので、次回訪問に向けて様子を見に行ってみた。今日は食べないけど。

さすがにカレーそばを食べると、「蕎麦屋をハシゴしてもう一軒」という気にはならない。

蕎心

ははは、いいなあ、これ。「ほろ酔い定食850円」。

蕎麦と、丼?に、350mlの缶ビールが付いてる。なんというざっくばらんさ。手早く飲んで食べて、という潔いメニューだ。せっかくだから、缶ビールの代わりにストロングゼロも選べると最高だろうな。

というわけで、なんかカレーを食べて、胃がぽかぽかしながら帰宅の途についた。ああ、よい週末だ。

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