自作手打ち蕎麦(23)

2019年12月31日
【店舗数:—】【そば食:723】
岡山県某所

鴨南蛮

2019年年末、今年も蕎麦打ちの時期がやってきた。

1ヶ月足らず前には結婚という人生の一大イベントがあったばかりで、今回はパートナーに蕎麦打ちの勇姿を見せる初の舞台となる。そりゃあ、いいとこ見せたいとばかりに気合が入る。

よく考えると、僕はいろんな「面倒なことをやってる」人だ。彼女が、「結婚します/しました報告」を友だちや同僚にする際、僕のことを「多趣味な人」として紹介しているそうだ。僕はその話を聞くたびに、「いやいや、昔はそうだったかもしれないけど、今じゃすっかり趣味の範囲が狭くなったよ」と謙遜する。でもその割には珈琲の焙煎をやっていたり、玄米を精米してご飯を土鍋で炊いていたり、鏡餅は自分で餅をついて作ったりしている。蕎麦打ちだってそうだ。食べ物系に特化してはいるけれど、まだまだ多趣味といえば多趣味なのかもしれない。

でもその結果、「生きていく」ということにやたらと時間と手間がかかるようにはなった。もっと自由に、楽に生きていてもいいのに、とは思う。でも、全部楽しんでやっているんだからこれはこれでオッケーな生き様だ。たぶん。

そんな生き様を見てくれ!俺の嫁よ!と思いつつ、蕎麦の出汁を準備する。

2018年の年越し蕎麦の時は、

最近は多忙やら外食の増加で自炊がおろそかになっている。

と書き残している。

しかし今はどうだ、この一年を振り返ると、自炊をしまくっていた。専業主婦ばりに料理を作っていたはずだ。それもこれも、僕よりも多忙な彼女のために料理を作るのが僕の役割だったから。彼女いわく、「胃袋を掴まれた(から、結婚に至った)」とまで言ってくれている。

外食よりも自宅でゆっくり食事が食べたい、おかでんさんの食事が良い、という言葉にのせられ、今じゃ仕事が終わるといそいそとスーパーに立ちより食材を買い、彼女の帰宅までに料理を作っているような生活を送っている。

そんなわけで、毎年味付けに苦慮する蕎麦の出汁だけど、今年はビシッとあっけなく仕上げることができた。慣れだな。僕は今年、やたらと「醤油・砂糖・酒・みりん・生姜・にんにく・唐辛子」を使って料理を作っていたから。

今年も蕎麦粉を銚子市の古川製粉所から仕入れた。本当に付き合いが長い。過去1回だけ浮気をしたことがあったと思うが、すぐに元に戻った。

どうせ麺の太さはバラバラだし鴨南蛮を作るんだし、蕎麦粉は普通のもので十分。一番高いやつは買わない。

僕の家族は、ことある度に「昔は『蕎麦打ち中は暖房を切れ』とかあれこれ指示がうるさかった」と過去を振り返って笑い話にする。確かに今じゃ、そういうこだわりはなくなった。過去20年近くの間に家はリフォームされ、灯油ストーブは床暖房になり、キッチンはIHコンロになった。時代は過ぎ去る。

毎度同じことなので、細かい説明は省略する。

自然体でぐいぐい打てるようになったので、蕎麦打ちに要する時間は短くなってきた。昔は延々と捏ね鉢で蕎麦粉をモミモミしていたのに。かといって手抜きをしているわけではなく、蕎麦粉がくっつきたがっているのに従っているうちに、自然と蕎麦玉が出来上がった。これぞあるべき姿。

あと、今この時間はにぎやかな姪どもがリビングを留守にしていた。今のうちに蕎麦打ちをあらかた済ませておきたい、という気持ちがあった。留守の間に全部蕎麦打ちを済ませてしまうと恨まれるのでそこまではしないけど、工程の半分は済ませておきたい。そうじゃないと気が散る。

昨年、「あっ、蕎麦生地の折りたたみ方を間違えていた!」ということに今更ながら気が付いたので、今年は軌道修正。やたらと長細い生地ではなく、切りやすいサイズに折りたたむことができた。

蕎麦粉1キロ+割粉500g=1.5キロの蕎麦粉で作った蕎麦。半分を僕が、残りを姪2名が作った。僕のマンツーマン指導があったとはいえ、全行程を姪が作ったのだから大したもんだ。

すごいといえば、昨年教えたことをまだちゃんと覚えているということだ。小学生の頭脳というのは本当にすごい。可能性がたくさんある。勉強は子供のうちにしっかりやっておけ、というのは間違いなく正解だと思った。ゲームや漫画が悪いとは言い切れないけど、つかの間の快楽に溺れないで、知識と経験を若いうちに詰め込むというのはスゲー大事だと思った。40過ぎの人がウンウン唸って知識経験を得るのと、吸収率があまりに違いすぎる。

今年も買ってきましたよ、鴨肉。

最近はずっと鴨南蛮だ。鴨の旨味に頼っているのも事実だけど、毎回母親が先手を打って「今年も鴨南蛮がいい」とリクエストをしてくるので定番化している。念入りに、11月末には「鴨南蛮」と指定が来るのだから、「いや今年こそはにしんそばを」なんて言い出せない。

いつか、鴨南蛮以外のものも作ってみたいと思っている。でも、これよりも手軽に・うまい蕎麦のアイデアがないので、今後もこのままなんだと思う。ちぎった焼き海苔を散らした「花巻蕎麦」なんてのを作りたい気もするけど、たぶん不人気だろうし。

幸い、近所のスーパーでは鴨肉が豊富に売られている。一店舗だけの突然変異かと思って今年は別のスーパーに行ってみたが、やっぱり鴨肉がよく売られていた。岡山界隈では、鴨肉の需要が年末には高まるのだろうか?

話は脱線するが、岡山県の正月用食材として「金時にんじん」「ぶり」が大量にスーパーに並ぶ。正月にはカニを食べるのが当たり前、という地域もあるはずだが、岡山はブリだ。

今年の年越し蕎麦。

1年に1度の蕎麦打ちなので、「次はこの部分を改善しよう」ということを毎度毎度、忘れてしまう。

今回は、蕎麦を水で絞めたあと、お湯で温めなおさなかったのでつゆがぬるくなってしまった。みんなすまん。

でも、味はかなりよかったと思う。麺の扱いを丁寧にしたので、ブツブツと切れていない長い麺だったし。家族からも「過去最高の出来ではないか」ということばをもらった。まるでボジョレー・ヌーボーの評価みたいだ。

姪たちは余った蕎麦生地を使ってバラの花を作ったり、団子を作っていたのでそれを茹でて彼女たちに与えてみた。しかし、上の姪曰く「おいしくなかった」とのこと。分厚くて味が染みておらず、美味しくなかった、ということだった。一つ賢くなったなおい、いずれ蕎麦喰いの粋ってやつを蕎麦屋で教えてやるよ。

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