手打蕎麦 ぐらの(03)

2004年06月06日
【店舗数:—】【そば食:296】
埼玉県入間郡大井町

青豆ふわふわ豆腐、花わりこそば

以前、頻繁に通っていた板橋区の「さらし奈乃里」

その訪問記をこの「蕎麦喰い人種」で書いた時にも述べたが、「新しい店を次々と開拓していくのもいいが、近場のそこそこ美味くてまったりできる蕎麦屋でくつろぐのが至極」だと思う。

やすらぎ、くつろげるお店が近場にあれば、それ以上お店を探す必然性ってあるのだろうか、と。限られた財布の中身、限られた時間の中で最大限の満足度を得るためには、どうしても行き慣れたお店にお世話になる、という安定志向が出てくる。これは仕方がない事だと思う。

新規店舗開拓に要する時間とコスト、そして変な店に出会ってしまったときのダメージ。どこまでリスクを持つべきか、考える。経験値を増やす、という名目で蕎麦屋巡りばっかりやるのは、単に「俺って蕎麦通」という己の些少なプライドを満たすだけだ。蕎麦喰い人種もそろそろ300食に到達しようとしているが、だからこそ「蕎麦屋をいっぱい知っている」とかで自慢したり、知識をひけらかしたりしないようにしなければ、と自戒している。

おっと、話が脱線した。

今年の1月、引っ越しがあったため、「さらし奈乃里」からは足が遠ざかっている。また、自分自身、この機会だから新しい「ホームグラウンド」を作らなければ、という気になってきている。そんな中、「ぐらの」に出会った。

はっきり言って、ぐらのは遠い。車で40分はかかる。車で行くと、蕎麦酒ができなくなってしまう、おかでんからすれば致命的にダメな立地条件だ。策は講じているものの、お店に駐車場があるのに車で訪問できない、というのはなんともばかげている。同じ労力でもう少し別のお店に行ってもいいのではないか。

ただ、このお店は居心地が相当よいお店だ。「近場にもっといいお店があるさ」とぐらのを放棄して、あるかどうか分からない「さらに居心地の良いお店」を探し歩くのは正直面倒臭い。だったら、ぐらのに労せず行ける方法を探した方がいいのではないか。

うーん、うーん。

・・・

ネタ切れ

以上

ま、そういう前振りがありつつですね、今回はお酒抜きでのぐらのにチャレンジなワケですよ。えらく長い前振りだったけど。別に、「ぐらの訪問のパターンをまた新たに開拓」というわけではない。単に、昼間別件で飲んだお酒が二日酔い状態になってしまい、夜になっても気分が悪かったからだ。何かさっぱりしたものを食べよう、ということで、「じゃあ久々にぐらのに行くか」となった次第だ。よって、お酒を飲もうなんて考えはハナから無かった。

店の入り口に、「青豆ふわふわ豆腐」の告知が出されていた。5月から11月の期間限定メニューだという。初回訪問時に「そば膳」を頂き、このお店の肴の大枠を把握してしまったために、注文する品に目新しさが欲しかったところだ。渡りに船だ、これは注文しなくては。

毎度毎度のカウンター席に通してもらう。店員さんが、「この席で如何でしょうか?」と確認をするのが面白い。「こちらにどうぞ」と席を押しつけるのではなく、あくまでも判断をお客にゆだねているワケだ。意地悪して「イヤです」と言ったらどうなるんだろうか、と思ったが、まあやめておこう。お行儀が悪い。

「おきまりになりましたらお声をおかけください」と言われて、お品書きを渡されたのだが、特選地酒が書かれたボードはすっぱりと脇へ。銘柄の確認もせず。今日はお酒を飲まないんだ、という強い意思表示だ。男らしいぞ、おかでん。

・・・ホントかよ。

ま、それはともかく、今日はお酒抜きの日と決めたので(といっても、昼間に既に飲んでるのだが)、例の青豆ふわふわ豆腐と、花わりこそばを注文してみた。おお、お酒が注文されていない。何だか新鮮な光景だ。

待つことしばし、青豆ふわふわ豆腐がやってきた。通常のふわふわ豆腐よりも青い(当たり前だ)色をしていて、うまそうだ。これは楽しみだ。早速、手元にあった杯をぐいっとあおり・・・あ、無いんだった。ううむ、いい料理が有ると、お酒が無いのは残念だな。

—–
【閑題休話】
ここで、おかでんの今までの芸風から、「早速、手元にあった杯をぐいっとあおり・・・」という文章がでてきたら、「やっぱり飲むんかい!・・・ええと、すいません、気がついたら杯が有ったんですよ信じてください刑事さん、飲もうと思って注文したなんて事は神に誓ってんないですってば」と続くと思った人も多かったと思う。すんません、今回はそんなやんちゃしてませんですって。至ってまじめに蕎麦茶だけ。
—–

豆腐を少しずつ頂く。豆のみずみずしさ、わずかに漂う青臭さ、そして甘み。うん、これは非常においしい。これだと醤油はいらない。豆腐だけで満足してしまう。これは絶対にお酒が進む。

豆腐を食べていて思ったのは、豆腐も蕎麦と似ているな、ということだった。儚い味と香りを楽しむという点で一緒だ。醤油をだぼだぼかけて、冷や奴をワシワシと食べる豆腐は「スーパーで売られている安ゆで麺」と一緒。で、今回の青豆豆腐のように、非常においしい豆腐は「つゆにちょっとだけ浸けて頂くおいしい蕎麦」と一緒。豆腐に醤油をちょっとだけつけて頂く。で、味と香りは、口に含んだ直後に鼻腔に抜けていく。

豆腐は香りの食べ物だ、という新発見に我ながら感心しながら、「では、蕎麦と同様、空気を巻き込む形で豆腐をすすり上げると、より香りが楽しめるのだろうか」という疑問を実証実験してみた。

いろいろ試してみたが、お下品なのでやめた方が良い。蕎麦をすすり上げる時の「ずずずっ」という音は世間一般的に許容されるが、豆腐をすすり上げる音は多分許容されないだろう。大体、麺じゃないので、すすり上げるといってもそんなに空気が入るワケじゃない。無駄に音が出るだけで、イマイチ。

豆腐麺、を作ったらいいんじゃないか・・・いや、すいません妄想でした。何でもないです。

豆腐を満喫しているうちに、花わりこそばがやってきた。5種類のそばが楽しめる、ということで一体何が出てくるのかと思ったら、5つの小さなお椀にそばが盛られ、それぞれに具が載っているというミニ蕎麦5種類、というものだった。なるほど、「わりこ」てそうだよな。「わんこ」に通じる言葉だからな。

ゴールデンウィーク中、「やぶ屋総本店」でわんこそばを死ぬほど食べたトラウマから、今回注文した品がわんこの兄弟であると分かった瞬間、やや尻込みしてしまった。量は当然大したこと無いのだが、トラウマというのは怖いもんだ。染みついてしまっている。

さて、その5種類なのだが、・とろろ ・山菜 ・わかめ ・天ぷら ・なめこ というラインナップだった。なかなか渋い組み合わせだ。しかし、中にエビ天が入っている天ぷらがあるので、見た目相当豪華でもある。思わず、店員さんがこの料理を運んできたとき、「ほぅ」と口にしてしまったくらいだ。「なるほど、こういう料理でしたか」と。店員さん、「ええ、こういう料理なんです」と返答。どんな料理かよくわからんで注文しているのがバレバレ。

辛汁は別に添えられているので、食べる直前に蕎麦にぶっかけて食べる。うん、何だかおままごとをやっているようで楽しい。赤ちゃんが食べるような小さなわんこで、つるつるっと。二口、三口で食べ終わってしまうのが、うれしくもあり悔しくもある。そして、その悔しさを次のわんこに託す。次は次で、また違った味わいが待っている。

お値段、1,450円とやや高めの価格設定だが、見た目の楽しさ、食べての楽しさは他に代え難い。海老がなければ地味すぎるラインナップだが、「あっ、海老が入ってる!」という驚きと、油っぽい具が入ることによるメリハリで、見事にバランスをとっている感じがする。

お酒は飲めなかったが、とりあえず大満足でぐらのを後にした。お値段、1,830円。この後、所沢のスーパー銭湯に行き、体をリフレッシュさせた。このスーパー銭湯は比較的よく訪れる場所で、「ぐらの攻略の第三の前線基地」として考えていた場所だったが・・・いざ、ぐらのから車を走らせてみると遠かった。これはちと厳しい距離だ。相変わらず高いハードルをキープする、ぐらのであった。

いや、だからお酒飲まなければいいじゃん、ってさっきから何度も

却下。

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