シュラスコオフ

肉食人種行動観察会(その6)

シュラスコ。そのブラジル独特の料理について知らない人は日本でも多いし、食べたことがない人はもっと多い。2014年、ブラジルでサッカーのW杯が開かれたことにより少しは知名度が上がったかもしれないが、それでもまだまだ「謎の料理」の域を超えない。

シュラスコとは、肉の塊を長い串に刺してあぶった料理だ。それだけなら単なる「グリル肉」なのだが、一般的に「シュラスコ料理」を提供するお店は、この肉を店員さんが串ごとテーブルに持ってきてくれる。そして、目の前で肉を一人前ずつ塊からそぎ落としてくれるのでテンションが上がらずにはいられない。さらに、その肉は食べ放題となっているので、おなかいっぱいで勘弁してくれ、と思うまでひたすら店員さんの襲撃を受け入れ続けることになる。そんな料理。

既に薄切りにされたグリル肉がビュッフェ形式になっていますので、ご自由にお皿に盛ってテーブルにお持ち帰りください、という形じゃだめだ。店員さんがテーブルを巡回するところにこの料理の楽しさがある。
しかし、そのやり方に人件費がかかるからか、すっげえ楽しい料理なのにお店の数がとても少ない。東京界隈でも数えるくらいしか存在しないし、地方に行けば食べたくても無理だ。料理そのものはシンプルなので、真似は簡単にできるのに。

話は脱線するが、「ワゴン車によるサーブをしてくれる飲茶食べ放題」のお店は東京界隈では絶滅してしまった。料理を山積みした、「新幹線の車内販売」みたいなワゴンが店内をうろうろし、お客さんは欲しい料理がやってきたらワゴンから取ってもらう、というやり方だ。オーダーバイキングとは違い、「欲しい料理が欲しいタイミングでやってこない」もどかしさがあるけど、それがむしろ楽しかった。香港の飲茶スタイルなのだが、これも人件費の問題なのかもしれない。あと、ワゴンが店内を練り歩けるようにするためには広い客席、広い通路がないとダメだ。大箱のお店というのがこのご時世、成立しづらいのかもしれない。広尾の「香港ガーデン」がその手のお店としてとても有名だったのだが、閉店してしまってとても残念。

話を戻すと、シュラスコは「肉食べ放題。しかも座っていれば店員さんがどんどん串刺し肉を持ってくる」というスタイルであるが故に、決して安い食べ物ではない。折角だから飲み放題付けちゃおうぜ、なんてやると5,000円では済まないのが通常だ。その高い料金に納得性を持たせるためか、肉以外の食べ放題も充実していたり、店員がイケメンだったりして、ニワトリが先か玉子が先か状態でより値段が高い。「今日あたり焼肉に行くか。」という感覚では利用できないお店だ。

そんな中、浅草にあるシュラスコ料理のお店は、都内にしてはリーズナブルであることに気がついた。比較対象が銀座や丸の内にあるお店なので、そりゃ安くて当然なんだが、それでもほんの少し、浅草に足を伸ばす手間を惜しまなければ、安いシュラスコが食べられるわけだからすばらしい。早速、オフ会形式にして参加者を募った。

キボン外観

7名参加によるオフ会となったこの日、お店の前にて全員集合。

毎日ブラジル、だそうだ。

店頭には、「毎日ブラジル」と書かれた広告が出ている。串に刺された肉が、今まさに刃物で切り落とされようとしている瞬間を捉えた写真。これを見て大いに食欲が刺激される。毎日ブラジルって言われても、当たり前な気がする。ブラジル料理店なんだから。中華料理店で「毎日中華。」と言われても「はあそうですか」と思うのと一緒。

ちなみにこのお店は予約が必須だと思う。常にお客さんがいっぱいだ。

食べるか食べないかのジャッジ

通されたテーブルの上には、緑と赤に塗られた木製細工が置いてあった。これが「緑」が上を向いている間は、店員さんは肉を持ってくる。まだ食べるぞ、GOだぞ、という意思表示だ。おなかいっぱいになったら、「赤」を上に向ける。そうすると、「もうおなかいっぱいです、肉は持ってこないでください」という意思表示になる。お店によっては、これがメダルだったり旗だったりするが、必ずシュラスコではこういう「意思表示ツール」が卓上に用意されている。

「まだ食べたいんだけど、その肉はいらん」という場合は、口頭で店員さんにNOと伝えればいい。「赤」にするのは、本当にゲームオーバーする時だけ。

飲み放題メニュー(ソフトドリンク)

このお店の良心的なところは、男性と女性で料金が違うということ、ソフトドリンク飲み放題とアルコール飲み放題で料金が違うことだ。しかも、ソフトドリンク飲み放題の人とアルコール飲み放題の人が混在していても構わない(予約の際に、店員さんに伝えておくとよい)。もちろん飲み放題を付けないこともできるが、喉が渇くので結構飲み物は欲しくなる。お酒を飲まない人であっても、ソフトドリンク飲み放題は付けておいた方が無難だ。

ソフトドリンク飲み放題は、さすがブラジル料理店だけあって、メニューのトップに「ガラナ」がある。それ以外に「マラクジャジュース」「カジュージュース」といった聞き慣れない飲み物も用意されていて、わくわくさせられる。しかし、ウーロン茶以外は甘い飲み物なので、あんまりがぶがぶ飲んでいると肉を食べる以前におなかがいっぱいになってしまいそうだ。

ガラナジュース

ちなみにこれがガラナジュース。

「精力増強効果があるんだっけ?」
「さあ?北海道で、キリンガラナとかいうのが売られているのは見たことがある」
「なんで北海道以外では売られていないんだ?まずいのか?」
「エナジードリンクじゃないか?」

といろいろ説が出たけど、結論出ず。

他の飲み放題ジュースはグラスで出てきたけど、ガラナだけはグラスと一緒に缶が付いてきた。オフ会参加者でソフトドリンク飲み放題の人は、最初はいろんなジュースを頼んでいたものの、最後はこのガラナを頼む人が多かった。というのも、グラスのサイズが小さく、おかわりをするのが面倒臭かったからだ。ガラナだと、350ml缶で出てくるので、単なるグラスジュースよりは少し量が多かった。

このお店は、料金設定が安いからか、店員さんの数が客席数に対して少ない印象を受けた。一番奥まったところに我々が陣取ったせいもあり、店員さんを呼び止め、注文をするのはちょっと大変だった。

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