飯能河原短期集中天幕合宿

ロンゲストスプリング~永すぎた春

日 時:1999年(平成11年) 03月20日~21日(1泊2日)
場 所:埼玉県飯能市入間川河川敷 通称「飯能河原」
参 加:おかでん、ひびさん、しぶちょお(以上3名)

名古屋在住のしぶちょお・ひびさんペアが東京にやってくるという。東京、といっても実は千葉。そう、「東京ディズニーランド」だ。チケットが抽選で当たっただか、福利厚生の一環で手に入れただかは忘れたが、とにかくTDL近くのホテルに一泊、そしてディズニーランドという小旅行の権利を手に入れたんだそうだ。

普通に考えれば、ねずみ王国満喫の旅として何ら疑うことなくディズニーの世界を満喫するはずだ。関東近郊在住ならともかく、名古屋在住ならなおさらだ。なかなかこんな機会はない。

でも・・・しぶちょおはおかでんに相談したのだった。「ディズニーランド行かないでキャンプやるというのはどうか」と。むちゃくちゃだ。普通逆だろ。暇を持てあましたおかでん側が「せっかく上京するならキャンプやろうぜー。ディズニーランドなんてつまらないよ」と悪魔のささやきをする、という流れならわかるが、ディズニーの権利を既にゲットしている人が、キャンプの提案とは。

飯能河原で最後にキャンプをやったのはさかのぼること1年半。ご無沙汰といえばご無沙汰だが、思い出になるほどの疎遠ではない。しぶちょおとしてはよっぽどディズニーランドに興味がなかったか、それとも同伴者のひびさんに「アワレみ隊の聖地」飯能河原を体験させたかったか。

そんなわけで、1泊2日の飯能河原天幕合宿が実現した。

今回も、「ダイエット!?日記」に当時書いた記録が残っているので、その文章を中心に構成する。ありがとうダイエット!?日記。とはいっても、この飯能河原天幕合宿直後にダイエット!?日記のギブアップ宣言をしてしまうのだが。

この天幕合宿のタイトル「飯能河原短期集中天幕合宿」。短期なのは間違いないが、「集中」なんてことは何一つやっていない。この頃は、「集中」とか「完膚無きまで」みたいな力強い言葉を非常に愛していたので、ネーミングに採用しただけだ。

なお、サブタイトル「ロンゲストスプリング~永すぎた春」というのは、つかこうへいの演劇「熱海殺人事件」のサブタイトルとして使われていたものをそのまま借用したもの。おかでん(およびジーニアス)は高校時代、つかこうへいの作品をよく読み愛していたからだ。

1999年03月20日(土) 1日目

昼食:ハンバーグ定食
夕食:さつま汁、ご飯、ほたて、さざえ他、ビール350ml、ワイン1本、にごり酒2合弱

寒いとわかりつつ、キャンプなんである。マゾとしか言いようがない。最近あったかくなりましたね~なんて春空を見上げつつのたまっていたのもつかの間、キャンプ当日になるやいなや冷たい雨が降る。

あまりに寒いので、とてもバーベキュー気分なんかじゃない。ということで、体が単純に暖まるものとしてさつま汁を作った。ついでに、スーパーでさざえ5個500円、ほたて5個500円を買ってきてあぶって食べた。

ほたてなんぞ、殻ごとあぶったことがなかったので見よう見まね。おかげで、上下を逆にして網の上にのっけてしまいおいしい汁をみんなこぼしてしまった。無知がなせる技よ。

寒さ対策として、ホットワインを作った。熱燗のワイン版とでも言おうか。ちょっとゲテモノっぽく思われるかもしれないが、案外これがおいしい。しかし、野外ということもあってワインを湯煎するわけにもいかない・・・となれば、やかんにワインをどぼどぼとあけて、そのまま火にくべるという事しかやりようがなかった。「ああ、なんか背徳の香りがする」とか言いながら、ワインをやかんに移し替えた。

ワイン大煮立ち、ってシチュエーションを想像しただけで悲しくなってしまうので、火から相当遠ざけてやかんをおいていたら、ぬるすぎるワインができあがってしまった。これはこれで中途半端すぎておいしくない。やかんの位置をこまめに変えるという非常に戦術的なひととき。

この日、ビール350ml、ワイン1本、にごり酒2合ほど頂いたのだが、これと全く同量だけを一緒に参加した女の子が飲んだ。以前も、キャンプやら旅行のたびにこの日記に登場しているうわばみ娘なんだけど、それにしてもすごい飲みっぷりだ。普通、ワインを丸ごと一本あける女の子なんていやしないぞ。それに加えてにごり酒とビールを飲んでいるんだから、神秘としかいいようがない。体なんて僕の2/3程度しかないのに、一体どこに吸収されているんだろう。

こういう飲みっぷりのいい女の子を見ると、拍手を送りたくなる。いやあ、すばらしい。いやね、でも「がはは」とか大笑いしながらぐいぐい飲むような勝ち気な女の子が酒豪でもあんまりうれしくない。「ちぇっ、女の子なんだからもうちょっとおとなしく飲めよな」みたいな感じがする(あっ、こんな事書くと田嶋陽子センセイに怒られるかな?)。だけど、「えっ、この人が・・・」っていうのがくいくい飲んでいる様ってのは、「おお、すごいすごい」って素直に感動してしまうのだな。相撲で、小兵が大柄な力士を投げ飛ばすみたいなもんだ。

12時過ぎ、キャンプファイヤーを終えてテントに引き下がったら、待ってましたとばかりに猫が2匹ほどかまど周辺に集まってきた。どうやら、さざえとほたての殻が欲しくてしょうがないらしい。

朝、しぶちょおとひびさんがおかでん邸にやってくる。

前日、ディズニーランドそばのホテルに泊まって、今朝は飯能河原。ディズニーランドの夢の国をシカトして飯能河原とは、飯能河原はキャンプ地冥利に尽きるってえもんだ。でも、こんな行動パターンを取る人なんて誰もいないぞ、きっと。奇人というか、聖人君子というか。

奇人といえば、しぶちょおはホテルまでわざわざ車でやってきていた。名古屋~東京程度の「短距離」なら公共交通機関を利用するまでもない、という発想なのだった。それだけドライブを愛しているわけだが、それにしてもすごい。同乗するひびさんは車酔いしやすい体質なので、とんだとばっちりだ。しかし、この「とばっちり」がこのあと延々と重なっていった結果、今ではすっかり車で酔わない体質に強化された。人間鍛えればどうにかなるもんだな。

何度も天幕を張っている飯能河原だが、車で行くのは初めて。昔は「車で天幕合宿?なんたる堕落」と切り捨てていたが、ここ最近の「ドライブ&キャンプ」のスタイルでそういう発想がごっぽり抜け落ちてしまった。今回も素直に「車で飯能河原?オーケーそれでいこう」と納得したのだった。

とはいえ、実は車で飯能河原に行くのはちょっと面倒。というのも、途中に所沢という鬼門があるからだ。所沢界隈は平日午後、そして週末は終日と慢性的に渋滞するエリアがある。そこを突破するためには相当な根気が必要だった。荷物が少ないなら電車で行った方がむしろ楽なくらいだ。

われわれもそんな渋滞に巻き込まれつつ、ちんたらと現地に向かう。

お昼ご飯に「ハンバーグ定食」を食べた、と記録に残っているが、これは「びっくりドンキー」での食事だ。当時、まだびっくりドンキーがあまりあちこちに無かった頃、なぜだか「びっくりドンキーを見つけたら、問答無用でそこで食事」というルールが我々の中ではあった。

「た、大変です軍曹殿!左手前方10時の方向にびっくりドンキーがあるであります!」なんて第一発見者が叫ぶと、「しゃあないなあ」と運転者はハンドルを切ってびっくりドンキーに入るのであった。「びっくりドンキーでメシを食う」という事よりも、もっぱらお店発見時にインチキ軍隊敬語を使うことにおもしろさがあった。

びっくりドンキーで食事を済ませた後、「・・・おい、今晩はバーベキューじゃなかったんか?」と気がつく。昼にハンバーグをがっつり食べた後、夜も肉というのはどうにもさえない。

「まあ、しゃあないなあ。びっくりドンキーがあったんだもの」
「そうだよなあ」

「しゃあない」の一言で済んでしまうのが、当時のアワレみ隊におけるびっくりドンキーの位置づけだった。

「上高地ルール」というのを以前紹介したが、あれがまともに運用されることが無かったのに対し、「びっくりドンキーがあるでありますルール」は結構厳格に適用されていたと思う。お店発見から入店までが、しょーもないノリだったからだ。

結局、昼にびっくりドンキーだったので、夜は海鮮バーベキューとなった。たまにはこういうのもよろしかろう。

飯能駅前のスーパーの立体駐車場に車を駐めようとしたら、駐車場渋滞に遭い買いだしに随分時間を取られた。結局飯能河原に到着できたのは16時過ぎ。

今回は初めて飯能河原のメイン河原に天幕を張ることにした。さすが3月、人が非常に少なかったからだ。ただでさえ昼間のバーベキュー客がほとんどいないのに、夜まで居残って一泊なんて誰もいなかった。となれば、わざわざ人気のない「定位置」である河原の外れに陣取る必然性はない。

それに、今回はひびさんという女性が参加しているということもある。お手洗いが近い方が何かと便利だ。そのため、われわれはお手洗いから徒歩20秒ほどの、水の便が最高によいところに陣地を構えた。

寒いのでホットワインを作ったときの苦労話を日記には書いているが、このときの記憶はいまだにしっかり残っている。今思えばガスストーブで加熱すれば良かったのだが、まだこの当時は「ガス(またはガソリン)ストーブで調理をするのは軟弱。特別な事情があったときだけ利用」という発想だった。だから、バーベキュー用の網のすみっこにちょこんとやかんを乗っけて、何度もフタをあけて湯加減の確認をしていた。

ワインをぐらぐらいわせてしまうと、アルコールが飛んでしまう。アルコールが飛んだ「元・アルコール」を飲むのは残念過ぎるので、それだったらまだぬるい方がマシ、なんて考えながら調整していたっけ。

ここでもおかでんの定番ムーブメント。

酒をぐいぐい飲み、おしゃべりに興じているおかでんは、なかなか箸が進まない。一方、酒を飲まないしぶちょおはご飯をぐいぐい食べ進める。おかわりをしながら。

で、「そろそろもう終わりじゃないか?」という雰囲気が漂った頃になって、はっと我に返ったおかでん、さてあらためてご飯とおかずを、と食べようとすると・・・おかずもご飯もほとんど残っておらず、残っていても冷え冷えとしてしまっているのだった。

「おかでんの分もしぶちょおが食べてしまっているのか。けしからんな」というのは間違い。おかでん自らが、酔ってご機嫌になって「僕の事は気にせず食べて食べて」と言っているのだから。しぶちょおが豪快に飯を食らっている様はそれだけで酒の肴になる。彼ほど気持ち良くご飯を食べる人を、他に知らない。

1999年03月21日(日) 2日目

朝食:シシャモ、ご飯、おみそ汁
昼食:肉野菜炒め、ご飯、豚汁

恐れたとおりの激寒。寝袋の口をきつく締め上げ、頭ごと寝袋の中に潜り込んで寒さをしのいだが、今度は酸欠になってしまった。凍死をとるか、酸欠で死ぬか、っていう究極の選択を強いられるとはまさか思わなかった。

口の部分をしっかりと結んでおいた生ゴミ袋だったけど、まんまとひっかかれて破られていた。猫の仕業らしい、サザエの殻が紛失していた。

夕方、家に戻る。

軽く二日酔いになって朝を迎える。初めて飯能河原で天幕合宿をやった時(1994年)は4月だったが、そのときでさえ寒くて夜何度も目が冷めたものだ。それよりも1カ月も前倒しの天幕合宿ともなれば、寒さが相当こたえる。使っている寝袋は3シーズン対応、と謳っているが、さすがに3月の夜までは想定していなかったようだ。

しぶちょおが使っている寝袋は中学時代の林間学校のときに買ったもの。封筒型と呼ばれるデザインだが、肩の部分がざっくりと開いていた。こんなので寝ていたら風邪をひく。よくぞ平気でいられたものだ。ひびさんだけは暖かそうな新品の寝袋が用意されていたので、寝不足にはならなかったようだ。ただし、さすがに二日酔い。

それにしても恐るべきはひびさんだった。

おかでん、初めて酒の席で「もう勘弁してください」とギブアップ宣言。大学生の小娘に白旗を掲げるとは思わなかった。

外での食事を終えた後、テントに入ってそこから二次会開始。この当時はよくこのスタイルで酒を追加投下していた。しかし、「メシ食いながらお酒を飲む」のがおかでんのスタイルであり、食後もずるずると飲み続けるのはもともと不得意。完全にひびさんのペースに巻き込まれている。

飲んだお酒リストのなかに「にごり酒」というのがあるが、これはひびさんチョイス。にごり酒なんて、翌日どっしりと残りやすいお酒を敢えて選ぶところが恐ろしい女性だ。まんまと、テントの中でそのにごり酒の襲来を受けてしまった。

「いや、これはもう持ち帰りで良いのではないかと」

と抵抗するおかでんに対し、

「キャップがあるし、余ったらフタ閉めて持って帰ればいいですよ。せっかくだからここは飲んだ方が。味見程度で」

というひびさん。で、飲んだ結果翌日二日酔いですよ。まあ、双方相打ちだったけど。酒飲みの定番として、「味見」が「味見」で済むわけがない、というのがある。

朝ご飯はシシャモだけというシンプルなメニュー。昨晩に続いて海鮮の網焼き料理が続いた。朝食において、玉子というのはいろいろな料理に展開できるバイプレイヤー。しかし、キャンプにおいては玉子料理が登場することは滅多にない。割れてしまうリスクがあるから。その点ししゃもなんてのはあぶるだけだから楽なもんだ。

お昼に肉野菜炒めを食べているが、これは飯能河原を撤収してからのもの。多分しぶちょおたちと一緒に食べたものだと思うが、どこで食べたかは覚えていない。

今回、3月の天幕合宿だったわけだが、これはこれで楽しかった。寒さ対策さえできれば、静かな飯能河原合宿ができる。しかも一等地で、だ。飯能河原、便利すぎる。またあらためて天幕合宿を張りたいものだ。

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