珈琲屋OB-002

『あいすみるくてぃ』 ほか
(東京都足立区西保木間)

珈琲屋OB外観

前回の珈琲屋OB訪問から2週間ほどで、再訪する機会を得た。前回、あのようなメニューを目の当たりにしてしまうと、他のメニューも気になって仕方がない。たまたま頼んだ飲み物の量が多かっただけなのか、それともどれを頼んでも量が多いのか。それを確かめるため、総勢5人でお店を訪れたのだった。

あいすうぃんなぁ

「あいすうぃんなぁ」が運ばれてきた時点で、席からどよめきが起きる。期待しすぎると「なんだこの程度か」という量のように見える。だが、よくよく見るとやっぱり大きい。かなり大きい。そんな不思議なバランスの上に立つ飲み物。

「スゲー!」などと喚起の声を挙げ、はしゃぎながらカメラ撮影を繰り返す・・・そんな熱狂を伴う派手さはない。でも、確実に多い。「大人のための大盛り」とでも言おうか。渋い。

こーひーふろーと

こーひーふろーと。

そもそも、このような器が喫茶店に常備されているという時点で不思議な世界だ。洗面器のような器。これは何の用途で製造されたものなのだろうか?夏、そうめんを大家族で食べる際に使うものだろうか?

いずれにせよ、これを作ったガラス食器の製造元が、「コーヒーフロートを入れること」を想定していなかったのは間違いあるまい。普通、そういう発想には至らないサイズだからだ。

そうめんを入れるにしても、やはり大きい。金魚鉢にしては、形が違う。その場にいる皆でいろいろ用途を推理する時間が楽しい。

いちごふろーと

同じ器に入っている「いちごふろーと」。

アイスクリームの量から見てもわかるとおり、添えられているスプーンやストローがいかに無力であるか。「かき混ぜる」という役割さえも、これらでは不十分だ。

氷がたくさん沈み、そして浮いている。南極の氷山というのはこういうことなのか、と卓上で学ぶことができる。

がてまら

量が多い飲み物を敢えて避けた人は、「がてまら」を頼んでいた。ホットコーヒーなら量が少ないだろう、という見込みであったが、それでもやはりかなりの量。500mlは入るだろうか?これを短時間で飲み干したら、カフェインのせいで頭がクラクラきそうだ。

あいすてぃ

そして最後に、私が頼んだ「あいすてぃ」が届けられた。

「お店の人は狙っているな、量が少ないメニューから順に持ってきて、一番大きなものを最後に持ってきた」

と一同は笑う。うわさには聞いていたものの、やはり実物を見ると笑ってしまうしかない量だ。先ほどの「ふろーと」でさえ、一回り小さく見えてしまう規模だ。これは、居酒屋などで時々見かける「ちょっとおしゃれな洗面台」ではないか、と思えてくる。それくらい、大きい。

グラス界の「湖」と呼んで差し支えないサイズ。「大洋」と呼ぶのは大げさだとしても、「湖」レベルだ。

あいすてぃのミルク

そのようなあいすみるくてぃーなので、添えられてきたみるくも量が比例して多い。本来、この器一杯で紅茶というものは提供されるよな、と思いながらずっしりとしたみるくを手に取る。

全員分

5人の飲み物が勢ぞろいしたが、すべてにおいて大きいため、この写真を見ただけでは驚き感があまりない。当たり前のように並べられた飲み物。

お冷やのグラスでさえ大きいので、この写真の中で正当に対比すべき普通のサイズのものが何も無い状態。シンドバッドの心境。

ちょこれーとぱふぇ

あいすみるくてぃが出た後にパフェが届いたのだが、今更驚くことはなかった。大きなものに見慣れてしまい、この程度では動じなくなってしまったのだ。これがまさに「慣れ」の世界だ。

「慣れ」の境地に達してしまうと、周りの人がみんな痩せて見える。なんて幸せな世界なんだ。

あいすてぃ

大きな器に入ったあいすてぃを手にとる。もうこれは「グラス」でも「ジョッキ」でもなく、「器」という曖昧な表現を使うしかない。馬が水を飲むのに使うものです、といわれても納得のサイズ感。

取っ手は当然ついていない。そのようなものでこの重さを支えるとなると、構造的に無理がある。なので、基本はこの器を手にすることはない。机の上に置いたまま、ストローで吸い上げる。

写真では記念として両手で持ち上げているが、かなりの重さだ。器の重さプラス紅茶の重さ、そして氷の重さが積み重なっているからだ。油断していると手がプルプルして、その弾みで落としてしまいかねない。撮影が終わったら、早く机に器を戻したほうがいい。

ストローで飲む

「オオアリクイになった気分だ」と言いながら、口をすぼめて大海のような紅茶を飲む私。これだけの表面積があるなら、月の潮汐力が体感できるかもしれない。満月の日は大潮、みたいな感じで。

飲み干す

あいすてぃの量そのものは常識の範囲内だ。しかし、氷がたくさん入った飲み物を大量に摂取したため、後半からは体が震えてきた。体温が奪われたからだと思われるが、この状況から回復するのに、2,30分は要しただろうか。おそらく、体が発熱するためにカロリーを消費したはずだから、ダイエットに向いている飲み物かもしれない。みるくを入れなければゼロカロリーだし。

体の振るえだけではない。カフェインの摂り過ぎなのだろう、むかむかした状態がしばらく続いた。量が量だけに、体に与える影響はいろいろあった。

そのような飲み物を平然と出すのだから、このお店は侮りがたい。サイズが3通りから選べます、などという「飲めない人向けの救済措置」すらない。潔く、チャラくない。珈琲屋OBの飲み物は美貌である。

(2016.03.19)

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