ばんや紀行写真集(2)

保田漁港・ばんやの魅力(その4)

ばんや紀行、数えること何回目だろう。昨年秋の訪問以来となり、久しぶりだ。

今回は、当サイトのBBSで参加者を募集し、都合4名で押し掛けることになった。ばんやは、「量が多くて、種類が多くて困っちゃう」お店だ。一人や二人で行くのは得策ではない。やはり、最低でも3名、できれば4~5名くらいで押し掛けたいお店だ。今回4名のうち、2名がばんや初体験となる。この「ばんや紀行」シリーズは既に読んでおり、当人たちは非常に楽しみにしていた。任せろ、その期待感は必ずや裏切らないぞ。

ここまで、自信をもってお勧めできるお店は他になかなか存在しない。

2005年06月12日(日曜日)

われわれは朝8時に池袋に集合し、そこから車で現地に向かった。ばんやは朝9時半から営業開始となっているので、できるだけ早い時間に到着しておきたかった。目標到着予定時刻は10時。昼頃にのんびりと到着した場合、想定されるのは「客席がいっぱいで待ち行列」「売り切れメニューが増えて悔しい思いを」というシチュエーションだ。おいしい魚を選び放題にするためには、「朝ご飯抜きで、朝ゴハンと昼ゴハンの中間くらいの時間に訪問して好きなだけ食べちゃう」のが正解。

そういえば、大学時代、お昼ゴハンをよく1限と2限の間に食べていたなあ。お昼のピーク時は、学食のオバチャンはゴハンの盛りが甘くなる。しかし、暇である朝イチと、14時以降はとても良い盛りをしてくれた。それを狙ってのものだった。1限の後だったら、朝ゴハン抜きでも何とか空腹に耐えられたし。

話が脱線してしまった。ばんやの話題に戻す。

朝からばんやに行くのがコツ

10時15分頃にばんやに到着。さすがにこの時間だと、まだ駐車場には余裕がある。もともと広い駐車場なのだが、お昼時にもなるといっぱいになって駐車場所が無くて困ることになる。

とはいっても駐車スペースは既に結構埋まり気味だ。こんな中途半端な・・・庶民は家庭で「笑っていいとも増刊号」で笑うか「サンデープロジェクト」で政治家に憤るかしている時間だというのに、一体ナニゴトだ。僕ら同様、悲壮なる覚悟で朝飯抜きの上、訪れている人が結構な数居るということだ。でもアンタたち賢い。それで正解だと思う。

中にはいると、「お座敷にしますか、テーブル席にしますか」と聞かれた。そうか、空いているときはどっちか選択できるんだな。ここ最近、問答無用でテーブル席に通されていたのでこの問い合わせは意外だった。せっかくなのでお座敷席に座らせてもらう。

2005年06月のメニューボード1

2005年06月のメニューボード2

2005年06月のメニューボード3

本日のメニューボード。

最初見た印象は「あれっ、案外少ない・・・」というものだった。時期が悪かったのか、それとも朝早いとメニューが少ないのだろうか。しかも、早速「売り切れ」表示が出ているものがある。

しばらく注文もそっちのけでボードの様子を眺めていたのだが(これが飽きないんだな、頻繁に入れ替わるから)、売り切れになるとボードをひっこめる時もあるし、「売り切れ表示」を出すときもある。どういうルールなのか、よくわからない。同行者は「きっと売り切れ表示をいくつか出しておいて、お客さんの危機意識を煽ってるんだろう」と推測していたが、果たしてどうなのだろう。

また、新商品が出てきたり現行メニュー売り切れの際に、細かくプレートの位置をずらしているのも気になった。優先順位があるのだろうか?そういえば、刺身、煮物、焼き物すべてが左端のトップメニューがアジを用いたものだった。アジの在庫がたくさんあるので、売り切りたいので目立つ左端に設置しているのだろうか?この辺りはお店の思惑が相当絡んでいるようだ。今後ウォッチしてからくりを解明していきたいところだ。

時間が経過するとともにメニュー数は増えていった。そういえば、窓の外を見ると、漁港でまさに今網いっぱいの魚が陸揚げされているところだった。ということは、あのお魚が1時間もしくは2時間後には食卓に上る、ということか。あまり早く来すぎてもよくないようだ。12時過ぎに退店するまで様子を見ていたが、11時頃が一番メニューが豊富だったように感じる。ただし、メニュー掲示されてものの10分たらずで売り切れになるようなものもあり(あら煮系はすばやく売り切れた)、いつ頃が一番ベストな時間なのかは不明だった。

ばんやは常に「アジ」「金目鯛」を豊富に扱うお店だが、「アジがあるのにサバやイワシの取り扱いが少ないのはなぜだろう?」と不思議だった。サバは近海魚としておなじみのものだ。アジ、イワシ、サバは御三家といっていいくらいだ。・・・と思っていたら、今日は珍しくサバ料理が何品か用意されていた。「サバ唐揚げあんかけ」「さばぶつ切りみそ汁」「サバ漬寿司」。あ、それでも3品しかないか。サバといえば、「味噌煮」と「塩焼き」が王道なのだが、このメニューにお目にかかった事がない。なぜだろうか?庶民的過ぎて、ばんやとしては敢えてパスしているのかもしれない。

サバスキーなおかでんとしてはぜひサバを注文したかったのだが、その他目白押しなお魚メニューを前に、庶民魚のサバは結局注文しそびれてしまった。いつでも食べられる、という気になってしまい優先順位を落とされてしまったからだ。

この日の朝採れ850寿司は、イナダ、金目鯛、イカ、アジの組み合わせだった。3カンx3列=9カンの配置になっているのだが、2列目の3カンは全てアジだった。過去、こういう組み合わせを見るのは初めてだ。アジ地獄。アジもいい魚だが、こうやって3カンも並ばれるとあまり食指が動かない。結局この日は4名のうち誰も850寿司を注文しなかった。珍しい事だ。普通、初めてばんやに来た人は「とりあえずこれを注文しないと」って事になるのだが。・・・まあ、このサイトの記事を読んでいる人なので、事前学習ばっちりだから当然といえば当然。

刺身盛り合わせいろいろ

刺身盛り合わせがこの度「松竹梅」の3パターンを用意するようになったらしい。今までは、5点盛りの一種類しかなかったのだが、これはちょっとした驚きだった。

「3点盛り合わせ」で470円、「5点盛り合わせ」・・・これは以前からあったものだ・・・で1,260円、そして驚きの「特上刺身盛り合わせ」が7点盛りで2,620円だ。

ここのお刺身は文句なしだってことは判ってるので、えいやっと特上刺身盛り合わせを注文しようか、とも思ったが・・・値段にびびってやめた。えらく一足飛びに値段が上がるので躊躇してしまった。

3点盛り→5点盛りでお値段は2.6倍に。そして、7点盛りになればさらに2倍。ちょっと許容しかねるお値段構成だ。

一体何がどうなったらこれだけの値上げになるんだ?と、「特上」と「5点盛り」を比較してみたら、特上と5点の違いは「サザエ」「皮ハギ」が入っているかどうかの違いだった。そういえば以前皮ハギの刺身が1,000円、活皮ハギ刺が1,200円だったのを見かけた事があるが、それが一匹分追加になってサザエ入りだから、まあなるほどなっとくの値段だ。

・・・おいちょっと待て。「一匹分追加になって」って軽々しく言うけど、何だそりゃ。「盛り合わせ」というよりも、詰め合わせだよそれじゃ。お皿のサイズ、というまず決められた敷地があって、そこにいろいろなお魚の切り身を何種類か、ちょっとずつ盛り合わせました・・・じゃないんだな、このお店の場合。「入りきらなければ大きい皿を用意すりゃいいんでしょ?ほら一匹追加」っていう発想。

ほらー、隣の席の人が剛気にも特上刺身盛り合わせ頼んでいたけど、案の定舟盛りで出てきたぞ。ありゃ宴会料理だ。このお店の場合、怖いのは「1人前」とかそんなことはどこにも書かれていないということだ。メニューに書かれているものが量が多いのか、少ないのか判らないという恐怖。やはりここは複数名で来て、食べ残しのリスクを減らさないといけない。そして、注文も胃袋の容量をふまえて、小出しにしていった方がいい。一度に全部頼むのは愚の骨頂だ。しばらく待っていれば、また新しいメニューが追加になる可能性もあるわけだし。

本日のおすすめは鯖とトビウオ

本日のおすすめ。

トビウオのなめろう?初めて聞いたぞ、そんなの。

というより、保田漁港にトビウオが入荷するとは知らなかった。初めてみた。これはぜひ注文してみないと。

トビ魚なめろう

真っ先に出てきた料理がそのトビ魚なめろう(840円)だった。

バンザーイした状態で身を思いっきりなめろうにされてしまっている。

きょとんとしたトビウオの顔が可愛い。

「わしゃもう、お手上げですわ。こんな目にあったらどうにもならんです」

って言ってるようだ。

食べてみる。ややうろこが残っていて歯にひっかかるが、なかなか濃厚な味わいでおいしい。アジのなめろうよりこちらの方が面白い味だ。

イカのかき揚げ

最近ばんやに訪れた際には定番料理となりつつある、イカのかき揚げ(630円)。「ぜひ食べたい」という初参加の方々のリクエストがあったので、今回も登場となった。

揚げたてのやつをかじる。玉ねぎとイカのぶつ切りのシンプルなかき揚げ。このイカがいつも通り、柔らかくかみ切ることができ、イカの甘みとうま味が存分に味わえるので幸せな料理だ。

「おいしいー」

一同、にっこり。

アジのたたき

アジのたたき(730円)。

これも最近よく食べているような気が・・・。お店としてもお勧め料理らしく、ボードには赤ペンで花丸が二つも描かれている。この花丸に惹かれた、ということでまんまとオーダーと相成った。よくよく考えると、単にアジ料理だったら何でもお勧めになっているような気がするのだが。

やはりね、なめろうとたたきを同じタイミングで頼むのは良くないと思う。似た料理だから。次回から同時注文禁止の縛りを入れよう、と食べながら思った。

でも味はもちろん言うこと無し。相変わらず良い味だ。

スルメイカ一本刺

スルメイカ一本刺(840円)。

以前注文して、おかでんが大感激した料理の一つだ。今回、久々にそのメニューをお目にかかったので再度注文してみた。

出てきた刺身は、あめ色の艶やかな太めのイカソーメン。これを箸でつまんで、かじりつく。

うーん、適度な歯ごたえと、ぬるり、とろりとくる食感、そして「イカって甘い食べ物なんだねえ」と同行者を感嘆せしめた濃厚な味わい。いいぞいいぞ。そして、ワタも酒好きにはたまらない。・・・しかし、今回4名中酒好きがおかでん一人しかいなかったので、「うひょー」とかいって喜んでいるのはおかでんただ一人だった。

ビール大瓶

ってなわけで、ビールを現在頂いております。

樽生をジョッキでぐいっといくのも魅力だったが、やはりこういうお刺身を頂く際はグラスビールで手酌がヨロシイかなと思って瓶ビールで。

グラスをぐいっと傾け、辛口のビールを喉に流す。キレのよい味わいが喉を活性化させる。そのあと、濃厚なお魚類をおもむろに一口。ああ、このギャップが大変によろしい。

ここ最近、ばんやに訪れても車の運転の関係でアルコールが飲めなかったので悔しい思いをしたが、今回は大丈夫だ。ああ、やっぱりこのお店はお酒飲めると楽しさ倍増だ。1.2倍、とか1.3倍なんてけちくさいことはいわない。1.5倍は楽しくなる。

ただし、周りのお客さんに迷惑なので、団体でやってきて酒盛りをするのは絶対に御法度だ。それだけは間違えないように。どっかの団体客がやってそうだけどなあ・・・きっと。

シコイワシ天麩羅

シコイワシ天麩羅(520円)。

「シコイワシって何だ?」「さあ?」なんていう会話をする。聞いたことがないイワシだったので、注文してみることにした。メニューボードには、例の赤い花丸がついているのでお勧めしたいらしい。

出てきた料理はこちら。うーん、520円という値段に油断してたぜ。10匹分の天麩羅がお皿に盛られてきた。一匹あたりの量は少ないが、たとえばこれにご飯とおみそ汁をつけちゃえば一人で食べる分には十分なお昼ご飯になる。

つくづく4人で来て良かった。これだと、一人2匹ちょっと食べる計算になる。個人負担金は130円だ。

で、味の方なんだが、これがもう全員「美味い!」と一口頬張って声をあげる作品でございまして。いや、イワシ自体の味がどうかってのは正直よくわからないんだけど、揚げたてということもあってイワシのほのかな苦み、うま味がほどよく強調されていておいしい。みんな一心不乱に「おいしいおいしい」といってぱくついていた。「冷めるとくどくなりそうな料理だな。揚げたてが食べられるばんやならではだ」

家に帰って「シコイワシ」を調べてみたら、「カタクチイワシ」の別称だった。要するに、よく見かけるイワシの事。

金目の煮物

金目の煮物(1,600円)。

やっぱり、気になる料理といえばこれだ。金目鯛の煮付けは、そのほっくりした身離れの良さと、ふくよかな味、そしてつゆを程良吸収する素直さが魅力だ、そして、なんと言っても見栄えがとてもよろしい。どかん!とお皿に横たわり、どうだ!と見栄を切られるともう「参りました」としか言いようがない。

この煮物自体は以前食べたことがあるので、もう一つ気になる大物「伊勢海老焼き(1,360円-)」を注文しようかどうしようか、悩んだ。しかし、伊勢海老も美味いけど、見栄え重視の食べ物だよなあれって、ということで結局は金目鯛オーダーに。さすがに両方頼むほどの勇気は無かった。

で、これ。

やっほー。4人で食べるとなると、1/4身ずつ食べられるわけで、ちょうどいい配分ができそうだ。そうか、魚を食べる時は4人もしくは2人、というのがちょうど割り切りやすくて良い数字だな。

で、食べたわけだが・・・いやあ、たまらんです。めろめろです。そうとしか言いようがない。

マンボウ刺

金目鯛にほれぼれしていたところ、メニューが大幅に変更をはじめた。ナニゴトかと思っていたら、刺身コーナーのトップに「マンボウ刺(520円)」が登場。何?マンボウだと?そんなもの、保田漁港で採れるのか。・・・いや、偶然網に引っかかった、というのが正解だろう。それにしても珍しい魚があるもんだ。その隣には「マンボウひゃくひろ」が登場していた。ひゃくひろ、といえば鯨料理で見かける名前だ。要するに小腸のことだ。マンボウの小腸?うーん、結構きわどい料理だなぁ。

われわれは、好奇心からマンボウ刺を注文した。ご飯を食べたがっていた同行者の一人が、このマンボウに定食セットを組み合わせた。

到着、マンボウ刺。

誰一人としてマンボウの刺身を見たことがなかったので、一同「うわ、何だこれは」と声をあげてしまった。ええと、これ、魚の刺身ですか?

お皿にこんもりと盛られていたのは、ピンクがかった白い身だった。何なんだ、これは。

「よりによって盛ってくれたなあ」

一同、まずはその盛りに感嘆する。実は、この下に刺身のつま、そして保冷用の氷が敷いてある事が後に判明し、思ったほど盛りは凄くなかったわけだが、それをさっ引いてもやっぱり相当量が多い。

「大体だな、この色見て見ろ。いかにもやる気がないマンボウの泳ぎを象徴しているではないか。見るからに美味そうではない風貌。やっぱり荒波に揉まれて筋肉鍛えていないと、こうなっちゃうのね」

われわれがこの刺身を眺める感情は、憐憫に近い状態だった。

まあ、見た目はともかくまずは一口。ううむ、いまいち。歯ごたえもなく、味もなく。うーん、刺身こんにゃくの弾力を無くしたような感じ、と形容しようか。

みんな、2,3枚口にしたところで食べるのをやめてしまった。明確な味がないのでまずくはないのだが、中途半端なやる気のない食感と味わいが食べ手を不愉快にさせる。

ご飯を食べていた同行者に、「おい、これを醤油にどぼんと漬けてだな、漬け状態にしてご飯に乗せると美味いんじゃないか?」とけしかけてみた。実際試してもらったのだが、「うーん、『これだと何とか食べられる』って程度だなあ」と言った後に、「僕はこっちでいいや。金目鯛の煮汁でゴハン食べる」と方針転換してしまった。

残されたのは大量に残ったマンボウ刺。仕方がないのでおかでんが全部、もりもりと食べた。珍味だし、残すのは勿体なかったから。でも、「いい経験させてもらいました、もういいです」という感じでございました。まずくはないんだけどねえ・・・。

12時頃お店を後にしたが、その時点では店先は大混雑。ナニゴトかと思ったら、順番待ちで呼ばれるのを待っている人たちが何十人もいて、それで大変な混乱になっているのであった。入口付近の席の人は、すぐ横を人がバシバシ通るし、椅子にぶつかってくるしで相当迷惑そうだった。食べている料理を容赦なくのぞき込まれるありさまで、入口界隈には絶対座りたくない・・・とココロから思った。やはり早く到着してナンボだ。

このあと、隣にある入浴施設「ばんやの湯」で一風呂。人工炭酸風呂に体がのぼせるまでつかり、食後のけだるさを一層して退却した。いや、それにしてもばんやは毎回楽しませてくれる。また遠くない将来訪れてみたい。季節の移ろいを、ばんやで味わう・・・ぜひそういうペースで訪問するようスケジュールをあけておきたいところだ。

(2005.06.19)

(つづく)