カラシビはお好み次第

カラシビ味噌らー麺鬼金棒外観

辛いものが大好きな性分。今後一切口にできないものとして「甘いもの」か「辛いもの」のどっちかを選べと言われたら、間違いなく「甘いもの」を絶つ。あっ、でもそうするとチリソースみたいな「甘辛いもの」も食べられなくなるのか。むー。

辛いものが大好きな人が必ず抱いているモヤモヤ。それは、巷にあふれる「激辛」のほとんどが生ぬるい、ということだ。「ピリ辛程度」じゃねぇかこの野郎、と落胆することしばし。そして、その落胆を通じて「自分が一般人とは違う異次元の味覚に成りはててしまった」ことに対してさらに落胆してみたり。でも後悔はしていないからたちが悪い。

そんな中、興味深いラーメン店が神田にあると聞き、訪れてみた。

店の名前は「カラシビ味噌らー麺 鬼金棒」。「鬼金棒」と書いて「きかんぼう」と読ませるらしい。なんという当て字。最近の子供はものすごい当て字で名前を付けることが多いと聞くので、おかでんにも子供ができたら「おかでん 鬼金棒」と名付けよう。

イヤ待て待て、そんなにあっさりと子供の人生を決めるな。もう少し考えろ。

それはともかく、気になるのは「カラシビ味噌らー麺」という冠。カラシビとは何だ?

いわく、「カラくてシビれる、味噌ラーメン」のことらしい。素晴らしい!辛さを売りにするラーメン店は決して珍しくはないが、痺れの要素があるというのはあまり聞かない話。これは珍しい。

店の前には、金棒を持った鬼が「悪い子はいねかぁぁぁ」という形相でお出迎え。入口の両側にその絵が描かれているので、まるで中に入ったらタコ殴りにされそうな緊張感を覚える。

カラとシビは調整できるのだ!

このお店の最大の特徴は、カラとシビをそれぞれ調整できるということ。

「抜き」というおこちゃまモードから始まって、「少なめ」「普通」「増し」と量が増えていく。だから、カラとシビを両方「増し」にする場合は、「マシマシ!」と店員さんに伝えることになる。まるでラーメン二郎みたいだ。

さらにエキスパートモードになると、「鬼増し」という注文も可能。これはさすがに無料トッピングではなく、100円追加となる。お店の開設によると、「鬼増しとは鬼のようなカラさとシビれが味わえる上級者向けの味」と書いてある。「鬼のような」という比喩表現がいまいち意味不明なのだが、まあ言いたいことは分かった。

カラ鬼増し、シビ増し

カラシビ味噌らー麺(780円)+麺大盛(100円)+パクチー(150円)+カラ鬼増し(100円)。

案外あれこれつけると値段が高くなる。1,000円で足りなくなってしまったので、シビまでは鬼増しにしなかった。カラ鬼増し、シビ増し。

製造工程を見ていると、スープをひたすら中華鍋で煮詰め、泡立て器のようなものでかきまわしている。そして、鬼増しのおかでん用に、なにやら茶色の粉が入った容器から調味料投入。容器には黒いドクロマークあり。あれが「鬼増し」の秘密らしい。

ハバネロの辛さが強烈!

やられたーッ。

辛い。これは猛烈に辛い。しかも、唐辛子をしこたま投入したためか、スープが非常にどろどろしている。これが跳ねたらシャツにしみがつくぞ。そういえば周りの客はみな涼しい顔して紙エプロンを装着している。そういえば食券機の横に置いてあったな。

あまりに辛くて、あっという間に頭頂部から汗、目からは涙、鼻からは鼻水が出っぱなし。ぐちゃぐちゃのぐちょぐちょ。痺れ?ええと、ラーメンの表面にかかっている黒っぽい粉がそれ。花椒ですな。ただ、そこまで華やかに香りたち、痺れるものではない。それよりも辛さだよ、辛さ!

いやあ、恐れ入った、「鬼増し」とかいっても、しょせんマスマーケティングに基づいた基準であって、俺様からすりゃピリ辛程度だと思っていたのだが。この野郎、ハバネロ入れやがったなーッ。あれは辛い。マジ辛い。鬼のように辛い。あ、そうか、だから鬼増しなのか。

ハバネロ投入反対!ハバネロはその独特な味で周囲を制圧してしまう。そのせいで、せっかく口コミで比較的評価が高い味噌スープが全く味わえなかった。ハバネロはイヤだ!

さすがは鬼増し、参った。

食べている最中、ずっと既視感を感じていたのだが、なかなか思い出せず首をひねっていた。しばらくして、ようやく気がついた。ああ、「日本一辛い担々麺」とそっくりだ、と。なるほどねえ。

感心している場合じゃねぇ。この後1時間もしないうちに胃がきりきりと痛み、思わずうずくまってしまった。そして夜、寝ている最中におなかを猛烈に壊し、トイレに何度も行くために目を覚ます始末。翌日日が昇ったころには、すっかりへろへろになってしまっていたのだった。カツを入れるはずが、すっかりへこたれてしまった。泣く子はいねぇかぁ?と脅されて泣いてしまった状態。

(2010.10.29)

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