お豆腐目当てで早起きしよう【入谷朝顔市⇒笹乃雪】

夏になると、台東区の入谷で「朝顔市」が開かれる。入谷の朝顔市が7/6~8日で、その後引き続きの日程で浅草では「ほおずき市」という流れになっている。

朝顔にせよ、ほおずきにせよ、わざわざお祭り的な規模で市が立つ、ということに驚かされる。さすが東京。

とはいえ、それ以外の花で市が立つというのは聞いたことがない。ひまわり市とか、あじさい市とか。どこかで探せばやっているのだろうけれど、「季節の風物詩」として有名な朝顔市とは規模感が違うだろう。

「季節感を生活に取り入れよう。」が最近のモットーである僕(と、パートナーのいし)は、朝顔市にも行ってみることにした。

しかも、2日連続。

7月7日は夜に、そして7月8日は朝に。

なんで12時間も間を空けずに2回も訪れるのかというと、「立ち並ぶ縁日屋台を楽しみたい!」という夜の部と、「朝顔そのものが咲いているのをちゃんと見たい!」という朝の部で意味合いを分けていたからだ。

入谷の朝顔市は、さすが売り物が朝顔なだけあって朝5時ころから始まっている。そして夜9時ころまで続けられ、お店にとっては長丁場だ。とはいえ、それは朝顔屋さんのことであって、併設される飲食屋台はさすがに早朝からの営業はやっていないはずだ。

朝顔市は、夜には夜の、朝には朝の意味がちゃんとある。だから、二回訪問だ。

7月7日夜に訪問したときは、屋台は十分に満喫することができた。しかし、当たり前だけど肝心の朝顔屋台にいくと、ほとんどの花がしおれている。だって朝顔だもの。

2019年07月08日(月)

07:01
そんなわけで、朝の入谷に戻ってきた。昨晩は22時ころまでここにいたので、9時間でカムバックしてきたことになる。我ながらよくやるぜ、と思う。

入谷という地名を知らない人が多いと思うが、最寄りは東京メトロ日比谷線の入谷駅またはJR山手線の鶯谷駅だ。

入谷は、鬼子母神が有名。なのでまずはここにお参り。

昨晩もお参りしてお賽銭をあげたけど、今日もまたお参りしてお賽銭。お百度参りをやっているようだけど、決してそういうわけではない。たまたまだ。

さすがにこういうお寺があって、素通りするわけにはいかないのでご挨拶しておかないと。

なお、平日朝7時といっても、さすが有名な市だけあって結構な人出だ。

朝顔市は、入谷鬼子母神前の通りを数百メートル封鎖して行われている。

歩道沿いに朝顔屋がずらりと並び、飲食屋台は車道に並ぶフォーメーションだ。

歩道を歩きながら、ひな壇状に並べられた朝顔を見て回る。さすがに夜のときと違って、にぎやかに咲いていて見ているだけで楽しくなってくる。

とはいえ、朝顔という花にさほど思い入れがあるわけでもなく、咲いているのを見て「はー、なるほどねえ」とアホな顔をしてうなずくしかない。

観賞用の花として古くから愛されているだけあって、さまざまな品種改良がされている。花の形や色、模様がそれぞれ違っていて、まるで金魚を鑑賞しているかのようだ。

「せっかく入谷に来たんだし、じゃあ、あれとこれをちょうだい」とは気軽に言えない。なにしろお値段は結構高い。切り花じゃないので、鉢植えとセットで売られているのだけれど、だいたい3,000円が相場といったところだった。

そりゃこの花じゃ、切り花はムリだ。昼には枯れるから。鉢植えじゃないと。

うーん、鉢植えはいらないなあ、と思っていたけど、せっかくだし記念に、ということで1鉢買って帰ることにした。四色の花が咲く、という「四色大輪」と名付けられた鉢を購入した。不思議なものだ、なんで四つの色の花が?と思ったら、それぞれ別のタネを蒔いているのだそうだ。なるほど。

どの鉢が良いのか、さっぱりわからないので店員さんにおまかせで選んでもらった。買ったお店も、なんとなくの「勘」だ。値段はどのお店も一緒なので、どのお店が良いのか悪いのか、素人にはさっぱりだ。おそらく、通が見れば「あのお店はいい朝顔を仕入れてやがるぜ」みたいなのがわかるんだと思う。

この鉢だけど、結論として買ってよかった。毎日のように次々と花を咲かせ続け、お盆明け頃には「もう枯れたな」と思わせておいて、暑さが過ぎたあたりから復活し、9月過ぎまで2ヶ月以上楽しませてくれた。

1日で花がしおれてしまう植物なのに、こうも次々と咲き続ける生命力とサービス精神にびっくりだ。朝顔ってこういう花だったんだ!知らなかった。

毎朝、起きたら真っ先に朝顔の鉢に水をやり、昨日のうちにしおれてしまった花を摘み取る。そういう作業を毎日やっていると愛着が湧いてくるものだ。

07:33
朝早く朝顔を買い求めに行ったのには、もう一つ訳がある。

朝顔市の会場から歩くことしばし、の場所である根岸に「笹乃雪」という老舗の豆腐料理専門店があるのだけれど、そこが朝顔市期間中に限り早朝から営業しているのだという。朝から豆腐料理!これは魅力だ。

「朝から吉野家で牛丼」というなら平凡だけど、「朝顔市で朝顔を買って、その鉢をぶら下げながら老舗で豆腐を食べる」というのはなんだかワクワクさせられるシチュエーションだ。粋っぽいじゃないか。

粋がるとか通ぶる気はないけれど、そういう真似事ってのは一度体験してみたいものだ。そんなワクワクがあったからこそ、朝6時起きでもちゃんと素直に目を覚まし、今こうして鶯谷にいるわけだ。

お店ののれんをくぐると、下足番さんがお出迎えしてくれて、靴を預かってくれる。そんな老舗。今どき下足番さんがいるお店は少ない。ちょっとこっちも緊張感が出てくる。

このお店のことを知ったのは、江戸文化や吉原の研究家である安原眞琴さんの本で紹介されていたからだ。

著:眞琴, 安原, Unknown:透, 鈴木
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以前僕はこの方がガイドを務める、谷根千散歩企画に参加したことがある。谷根千の歴史を安原さんから直々に学べて、大変おもしろかった。

昔と今はちゃんと脈々とつながっているんだ、ということを今更ながら知ることができて、この本は面白かった。特に土地勘がある場所の話なら、なおさらだ。

笹乃雪は、決して安いお店ではない。むしろ高いお店だ。そりゃそうだ、豆腐料理のお店としてやっているんだ、「冷奴200円」程度で銘柄不明の熱燗をカッと呷るような安居酒屋じゃあない。老舗には老舗ならではの風格と品格ってぇもんがある。

しかし、わかっちゃいるけれど値段をみて若干びびる。コース料理は、3,000円からスタートだ。高いものになると、5,500円。もちろん、「2時間飲み放題付(飲み放題に生ビールは含まれません)」みたいなことはなく、食べ物だけのお値段だ。さすが。朝からコース!

もちろん、単品料理を食べたっていい。手元にあるメニューを見ると、朝顔市用の特別メニュー構成になっている。そこに単品もわざわざ載っているのだから、それだけ食べて退散というのはお店公認だ。

笹乃雪を有名店たらしめた、「あんかけ豆腐」500円を食べて帰るというのは現実的な朝の過ごし方だろう。

しかし、せっかくこの店の暖簾をくぐったからには、一通り名物を食べてみたい、と考えるのはこれはもう必然。足繁く通えるような敷居の低いお店ではないので、この機会を一期一会として、コース料理を・・・僕らにコース料理をッ!

3,000円のを、頼んじゃった。あー。朝からすごい出費だ。さっき3,000円の朝顔を買ったばかりなのに、今日はすげえな、アラブの石油王もびっくりの出費だ。でも満足度はかなり高いのでオッケー。

(つづく)

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