ガチ中華で何を頼むかマジ悩む【シャオウェイヤボー】

出張で東京を訪問中の友人と、会うことになった。

「帰りの新幹線までの時間調整」ということで、さくっと。

我が家は、新幹線駅から遠くないところに家があり、なんなら乗車予定の新幹線が駅を出発する20分前にお別れしてもギリギリ間に合うくらいの位置にある。遠方の友達が遊びにくるにはとても都合がよい。

前回、この友人とは自宅で会った。コロナ対策をどのようにするのか、というのは状況次第で緩急つけることになるけれど、その時は「外食するのはまだちょっとヤバいね」という雰囲気だった。

今回は、まだ「節度をもって外食すれば、なんとかオッケーかも」という雰囲気だった。ただし、「ご飯を口に運ぶとき以外は、ずっとマスクを着用しっぱなし」という条件のもとだけれど。

地方在住の方なので、せっかくなので「東京ならでは」のお店を選びたかった。すると、ちょうど我が地元の日暮里駅近くに、いい感じのお店があった。

つい最近できたばかりのお店だ。ええと、読み方がまずわからん。後で調べたら、「シャオウェイヤボー」と読むらしい。もう、まったく日本人に理解させようという意図がない店名だ。中国人による、中国人のためのお店感がバリバリだ。

まず、このお店の外観からして日本的ではない。こういうギラギラした看板は、日本人の好みではないからだ。どこがどう「日本的ではない」のか、うまく言葉では形容できないけれど。とにかく、周囲から浮きまくった明るさだ。西川口のチャイナタウンでみかける色合いともいえる。

最近、東京界隈ではこういう「ガチな中華」を出すお店が増えた。中国料理のディープさを知る上ではとても面白い。移民問題がどうたら、とか政治的な話はさておいて、食の多様性が気軽に体験できるというのは素晴らしいことだ。

日暮里という町は、京成線で成田空港から都心にやってきた際の乗換駅になる。なのでもともと外国出身の人が多い。そして、若者向けの日本語学校がたくさんあって、学生寮もあちこちにある。そんなわけで、こういう中国料理のお店も出現するわけだ。近所にはガチベトナム料理のお店、そしてガチ韓国料理のお店もある。ガチタイ料理店は見かけないので、日暮里界隈に住む人達の出身エリアというのがなんとなくわかる。

コロナ時代だというのに24時間営業をやっている強気のお店なわけだが、どうやら朝食メニューもあるらしい。おかゆに油条(揚げパンみたいなもの。おかゆの上に乗せる)なんて組み合わせたら、きっと愉快だろう。今度朝ご飯を食べにきてみたいものだ。

このお店はテイクアウトもできる。店名のとおり、鴨のあちこちの部位を醤油で煮たような、台湾の屋台街でよく売られている料理(正式名称は知らない)がメインらしい。でも、イートインになるともっとマニアックな料理と出会えるらしい。

今回は、友人がいることだし、敢えて店内で食べてみることにした。

店内は中国語を喋るひとがいっぱい。

あっやばい、これは密だぞ、と思ったが、我々は壁際で他のお客さんから少し離れた場所に陣取れたので一応セーフ。なにせ中国の人たちは喋り声が大きい。マスクだってしていないのでヒヤヒヤだ。

こういうガチ中華なお店は、メニューを見てもなにがなんだかさっぱりわからない謎料理だらけ、ということがある。それがむしろ面白く、くじ引きをやっているような楽しさがあるものだ。

しかしこのお店は凄いな、各テーブルにタブレットが置いてあって、そこで注文ができるようになっていた。

しかもこのタブレット、中国語と日本語のバイリンガル対応になっていて、日本語に切り替えれば全く注文に支障がない、大変にわかりやすいメニューになった。写真付きだし、変な誤訳もないし、一覧性に優れていて完璧すぎるメニューだった。すげえ。

ただ、「鴨肉」のメニュータブを開くと、ひたすらテリのある茶色い肉の写真がずらずら並ぶのには驚いた。わかってはいたけれど。

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今回、友人と僕、パートナーのいしの3名でこのお店を訪れたのだけど、三人ともお酒は飲まなかった。じゃあソフトドリンクだね、ということになったが、「現地風のドリンク」を探すとどれも甘そうなものばかりだ。いや、「甘そう」じゃなくて、どうみても全部「甘い」。

無糖の飲み物って、中国人は好まないのか?と不思議に思う。緑茶とか飲む文化はあるのに。

結局、三人が頼んだのは

「氷糖雪梨」「酸梅汁」「冬瓜茶」の3種類だった。

中国のド定番飲料、「王老吉(ワンラオジー)」もあったけど、ベタすぎるので注文はやめた。

乾杯してさっそく飲んでみたが、みんな一斉に「あああーーーー」と渋い顔になった。いや、甘いものが嫌いなわけじゃないんだけれど、ド直球に砂糖の甘さが伝わってくるからだ。そりゃそうだ、冬瓜なんてほとんど味がないものをどうやってジュースに仕立てるというのか。砂糖で味付けをするしかない。梨だってそう。まだ、梅ジュースのほうがましだ。

このとき困ったのが、どうやって飲み比べするか?ということだ。昔のように、気軽に相手の飲み物をもらうわけにはいかない。唾液でコロナ感染、というのはまずいからだ。

自分のストローを使って、相手の飲み物をいただく。

さて、料理をあれこれ頼んだぞ。タッチパネル注文だと、つい頼みすぎるな。

手前は、羊肉の串焼き。クミンと唐辛子がまぶしてあってうまい。が、辛さの調整ができるというで「特辛」を選んでみたら、マジで辛かった。三人とも、しばらく口数が減って黙り込んでしまうほど、口の中に激痛が走った。

そして、奥が鴨のタン。

メニューで、「盛り合わせ」というのがあった。

見ると、どうも鴨の頭部と思しき御姿が見える。ううむ。シュールだ。くちばしがコンニチワしている。

ほかのパーツも、あんまり食べるところはなさそうだ。どっちかというと、チュウチュウ骨にしゃぶりついて、骨のまわりの小さな肉をこそげ落として食べるというスタイルらしい。日本人である僕らはそういうのが苦手、というか面倒なので、一旦これはパス。

この画面を見てのとおり、醤油煮系のメニューには右側に辛さ調整のボタンがついている。

「不辛」「微辛」「中辛」「特辛」「単油」の4種類。「単油」というのはなんだろう?

パスしている間に、タンをいただく。

細いな!というのが第一印象。そりゃそうか、くちばしがあれだけ細いんだから。

まるで、足の指先のようだ。

ちなみに中国語で「鴨」というのは、一般的にはアヒルのことを指す。我々が食べる、「鴨ロース」なんかのマガモやアイガモとは違う。

味は、まあ、牛タンとかと比べると微妙だけど、「面白い食べ物ですね」という印象。

何を頼んだのか、メニューの写真を撮っていないので覚えていないのだけど、すごい色合いとインパクのものが来たぞ。

アメリカンドッグかチーズハットグのような串と、紐のようなものがでている串。

「紐のようなもの」は、えのき。えのきを、薄い干豆腐でくるんで串に刺したもの。こんな料理、見たことがない。味はシャキシャキしていて、なかなかにいい。

これもまた干豆腐。湯葉みたいだけど似て非なるものだ。

それを醤油で甘辛く煮ているわけだが、甘すぎず辛すぎず、食が進んだ。

(つづく)

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