ラーメン二郎がテレビで特集されると聞いたので、それより前に三田本店に行った

フジテレビの深夜ドキュメンタリー番組「NONFIX」で、ラーメン二郎の創業者・山田拓美氏の特集が組まれるという情報をキャッチした。

https://www.fujitv-view.jp/article/post-525231/2/

その情報を知り、僕は軽い驚きを覚えるとともに、とても嬉しく思った。ラーメン二郎好きだから、ではなく、ラーメン二郎という無形文化を映像として残す数少ない機会だからだ。

熱狂的なファンが相変わらず多いラーメン二郎。僕自身、ラーメン二郎の看板を掲げる全店舗を行脚する、「ラーメン二郎遍路」をやったことがあるくらい大好きだ。

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今や「二郎系」と呼ばれるラーメン二郎のスタイルを真似たラーメン店は数多くある。しかし肝心のラーメン二郎は、世の中の人気ぶりに背を向け、マスコミの取材をほぼ受けて来なかった。「ほぼ」というのはその言葉の意味通りで、「まず取材は受けなかった」という意味だ。

じゃあ秘密に覆われたお店なのかというと、そういうことはない。ネット上の掲示板にお店ごとのスレッドがあって、活発に情報共有がされているからだ。今日の◯◯店の店主はこういうことを言っていた、とか、今日のスープは乳化が弱い、とか。

だから、三田本店で総帥(店主の山田さんのことを親しみをこめてこう呼ぶ)がこんなゴシップを話していた、などという情報はラーメン二郎好きの間ではあっという間に共有される。どうやら今度は◯◯に新店舗ができるらしいよ、とか、今度は◯◯店の助手の◯◯さんがお店を持つことになるそうだよ、とか。

ラーメン二郎好きでこんな掲示板まで読み込む人は一部の人だとは思うが、ネット時代だからこそ人気が増幅したのは間違いないだろう。なにせ、お店ごとにラーメンの味も、お店のオペレーションも、なんならトッピングの豚の部位までもが違う。「マシマシ」が通じるお店もあるし、「マシマシ」といったらむしろ量を減らされるお店まである。そして店主はどのお店も個性的だ。ここまで情報共有しがいのあるラーメン店群は他にないと思う。

そうやって無秩序なようで、秩序だっているのがラーメン二郎の特徴だ。三田本店の総帥は各店舗の自由裁量にまかせているものの、「店主自らが厨房に立つこと」「取材を受けている暇があったらラーメンを作れ」といったラーメンに対する姿勢はきっちり守らせている。この緩急付け方は独特の文化だ。

そういう無形文化が、このまま取材拒否のまま消滅してしまうのはとても惜しい。お達者な総帥だって、さすがにご高齢だ。いつまでもお店に立ち続けるわけにはいかないだろう。だから、テレビの取材が今回入ったのはとても良かったと思う。

などと呑気にこたつ記事を書いている場合じゃない。

ラーメン二郎がテレビで報じられたら、お店に行列が出来てしまう。いや、もともと行列があるお店だけど、それがさらに伸びてしまう。放送前に、お店に行っておかなくちゃ。

よくよく考えてみると、ラーメン二郎三田本店にはかれこれ10年近くご無沙汰だ。最近、未練たらしくお店の前を散歩で歩いたり自転車で素通りする機会があるけれど、食べる機会がなかった。これを機に食べておこう。

この日、自転車でラーメン二郎三田本店にやってきた。健康志向というわけじゃないけれど、電動アシスト付き自転車のレンタサイクルという移動手段を学習して以来、下手に公共交通機関で移動するよりも便利だし楽しいのでよく使っている。

レンタサイクルをレンタル・乗り捨てできる場所は都内のいたるところにあって、便利だ。今回は三田本店から数百メートル離れたところに自転車を乗り捨てた。

そこで気が付いたのだが、慶応女子高校ってラーメン二郎の本当に目と鼻の先にあるんだな、ということだ。

慶応女子といえば、慶応大学の付属校でお金と学力が伴ってないと行けない場所だ。特徴的な制服を着用しているので、制服マニアではない僕でさえ、「あ、慶応女子の学生さんだ」とわかる。

で、これまでも三田本店に並んでいる最中、慶応女子の生徒たちが横を通り過ぎていくのを数え切れないほど見てきた。ああ、彼女たちから見るとこの行列はどう見えているんだろうな、と思う。で、今回ようやく慶応女子高の場所というのを正確に把握し、その校門から本当にすぐ近くにラーメン二郎がある事実にびびった。こんなに近いとは。

ちなみにこの日、三田本店は大行列だった。お店を取り囲むようにぐるっと列は続き、建物の裏に人が溢れているくらいだ。しかし、並んでいるのは100%男性。すごい世界だ。

なお、僕も含めて並んでいるお客さんの名誉のために言っておくが、全員がデブというわけではない。むしろ痩せ型の人もいるし、若い人もおじさんもいる。しかし、高齢者と子ども、そして女性が皆無だ。

久々のラーメン二郎三田本店。

48歳の僕の胃袋だと、小豚で十分だ。でも、在りし日の自分に思いを馳せ、ここは敢えて大豚を頼む。ニンニク野菜増しで。このあと出社予定があるんだけど、どうせソーシャルディスタンス&出社率少ないのでセーフ、ということにする。

総帥は後ろに下がり、券売機から取り出したお札や硬貨を数えたり裏方作業に回っていた。調理は助手さんがテキパキとやっていた。いずれ新しいお店を出店するのだろう。

昔は「大ラーメン」を頼んでいても、他の人の普通盛りのラーメンと麺の量がほとんど変わっていない気がしたし、トッピングで「ヤサイ」と告げても全然量が増えなかったものだ。すべては総帥の気分次第だった。そのムラっけがむしろ楽しいお店だった。

しかし今では、丼を見ただけで「あ、大ラーメンを頼んだらあの丼に盛られるんだな」とわかる、明らかにサイズが違う丼になっている。そしてヤサイをコールすると、明らかにヤサイがうず高く盛られるようになった。時代は変わったものだ。

食べていて、「そうだそうだ、これだよ!」と身体の芯からこみ上げる情念を感じた。

丼にみっちり麺が詰まっていて、ヤサイが上に乗っていて食べにくい。モタモタしながら食べていると、だんだんラーメンスープの脂っけにアテられてくる。味も単調に感じられてきて、「なんで自分は大盛を選んでしまったのだろう」と自問自答を始めるようになる。でも、そういう気持ちの変化が楽しいし、食べ終わったときの「よーしよーし」という満足感も他の料理にはない世界だ。

やっぱりラーメン二郎は他に替えがきかない料理だ。最近は二郎系と呼ばれるお店に行く機会が多かったけど、改めてラーメン二郎、そして三田本店に行けて良かった。本家本元は五感に訴えかけてくるインパクトがどでかい。

なお、ドキュメンタリーは後日視聴したけど、まあまあ面白かった。山田総帥のインタビューは資料的価値が出る内容で「よくぞ!」と思った一方で、二郎好きとしては弟子や支店へのガバナンスのきかせ方など、二郎独特の文化をもっと掘り下げてほしかった。でもあの放送時間ではとうてい無理だから、番組として放送されただけでもありがたかった。

(2022.03.30)

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