スターバックスロースタリーに行く(結婚前のことを思い出しながら)

中目黒と池尻大橋の間にある、「STARBUCKS RESERVE® ROASTERY TOKYO」に行った。

全国にたくさんあるスターバックスだが、その中でも高級豆を使ったお高い価格帯のブランドが「スターバックスリザーブ」だ。星印とRの字がトレードマークになっている。

そのスターバックスリザーブ用の豆を焙煎しつつ、カフェとしても営業しているのがここだ。カフェ単独の建物としてはありえない大規模な建物で、なおかつ中がテーマパークのようだ。

建物の中は全フロア吹き抜けになっていて、その真中には超巨大な焙煎機が据え付けられている。そしてその焙煎機から縦横無尽にパイプが伸びていて、焙煎し終わった豆やこれから焙煎する豆がパイプの中を行き交う様子を見ることができる。

物理的なスケールの大きさに驚かされるだけでなく、店内のあらゆる仕掛けにも驚かされる。驚きしかない、と言っても大げさではない。

店内のキッチン用品、ドリッパー、エスプレッソマシンといったあらゆる什器は黒を基調としたデザインで統一されていて美しい。また、オリジナルの陶器カップをはじめとし様々なグッズが売られているが、観光地的なゴチャゴチャ感がない。お客さんがとても多いし、売っているものも多いし、情報量が多いのだけどスッキリしているような印象がある。それもこれも、デザインの勝利だと思う。

1階はパンとケーキ、コーヒーが売られているだけでなく、珈琲豆の量り売り専用のコーナーがあったり、グッズ売り場がある。2階はティバーナというブランドで、ハーブティーや紅茶、日本茶をベースとした飲み物が売られている。そして3階はコーヒーを用いたカクテルを売っているバー、4階は飲食できるベンチ、という構成になっている。

はっきりいって、とても交通の便が悪いところに立地している。なので、僕ら夫婦は渋谷駅からシェアサイクルを借りて現地に向かった。

そんな不便な場所なのに、観光地として日本人だけでなく外国人観光客がバンバン押し寄せている。コーヒーを注文するまで20分、注文してからコーヒーが出来上がるまでさらに20分という時間がかかった。なので、初めて来た人は、各フロアを探検したい気持ちを抑えてまずは1階の入り口入ってすぐのところでコーヒーとパンまたはスイーツを頼んでおいた方がいい。

僕ら夫婦がこの地を訪れたのは4年ぶりだ。

4年前はまだこの施設ができて間もない頃で、僕らはまだ付き合ってもいない頃だった。「中目黒にスターバックスの焙煎工場ができてすごいらしい。今度行ってみよう」と僕からいしに提案していて、それで訪れたのがだいたい4年前のできごとだ。

その日から遡ること一週間ほど前、僕はいしに対して壁ドンして「情が湧いた」と告白をしていた。しかしアフリカ赴任を計画していたいしは「今、異性と付き合うわけにはいかない」と言い残して立ち去った。翌日、冷静になった僕は壁ドンという強硬策に出た自分に対して痛烈に後悔し、いたたまれなくなってソワソワしている日々を過ごしていた。

それ以降いしとは連絡が途絶えていて、「ああ、距離を空けられたんだな」とがっかりしていたら、一週間経っていきなり「今、自由が丘にいるんですが、このあと中目黒のスターバックスロースタリーに行きませんか?」と連絡が来た。彼女からの連絡はいつだっていきなりで、この日も「えっ、今から?もう夜なのに?」と慌てて身支度したことを覚えている。

中目黒から二人でてくてく歩いてスターバックスロースタリーに行ったが、当時は今以上に話題のお店だったため、日没後だというのに入店制限がかかるほどの混雑だった。入れる見込みが立たなかったので、諦めて中目黒駅までUターンすることになった。

その後、白金にある焼鳥店でご飯を食べよう、という話になり、延々と歩いて白金まで向かった。僕としては少しでも今この瞬間の時間を引き伸ばしたかったからだ。

そして焼き鳥店では閉店まで滞在し、結果的に終電を逃してタクシー帰りというところまで話し込んだが、やっぱり彼女からは僕に対してポジティブな回答はなかった。僕も、気さくに声がけできる食べ歩き仲間に対してなんてことをしてしまったんだ、という残念な気持ちだったので、これ以上積極的にはなれなかった。半ば開き直って、焼き鳥店では「低用量ピル」に関する話をしていたくらいだ。付き合ってもいない友人の女性に対してする話題ではなかったので、よっぽどヤケクソだったんだと思う。

それでも、その半月後には、いしは我が家に入り浸るようになって、1ヶ月も経てば半同棲が始まったのだから人生わからないものだ。なお、半同棲になったのは、いしがいつも疲れていて、僕の家にいしが夕ご飯を食べにやってきて食べたらそのままウツラウツラと寝てしまうからだ。で、翌朝仕事に行く時間になって目を覚ます、という日々だった。なので、「同棲しましょう」と提案して同棲が始まったわけじゃない。

そんなわけで、二人にとって大事な思い出の地が、このお店になる。

4階のテラス席でスペシャルなコーヒーとスイーツを楽しむ。

店舗内で製造しているパンも美味しそうだったが、今回はスイーツだけにした。

ティラミスはマスカルポーネがとても柔らかく、1階から4階に運ぶ途中でお皿の上で横倒しになってしまったくらいだ。とても美味しい。

ドリンクは2つとも冷たいもの。

右側のギネスビールのような飲み物は、「ナイトロ コールドブリュー」。「ナイトロ」とは、チッ素のことだ。ビールに二酸化炭素を足すことで泡立ちを良くするのは昔からおなじみだが、最近はいろいろなドリンクにチッ素を加えて泡をクリーミーかつきめ細かくするのが流行っているそうだ。コーヒーだけでなく、ビールも泡立ちが良くなるらしい。そういうニュース記事をつい数日前に読んだばかりだったので、まさにチッ素添加のコーヒーは嬉しい出会いだ。

なお、「コールドブリュー」というのは水出しコーヒーのこと。お湯ではなく、水を使って時間をかけて抽出する。コーヒーの雑味が抽出されにくいので、すっきりした味わいになる。

左側のカプチーノのような飲み物は、新製品の「オリアート ゴールデンクリーム アイス エスプレッソ」。びっくりすることに、コーヒーにオリーブオイルを混ぜているのだという。すごい発想だ。

正確にいうと、スターバックス用に特別にブレンドされたエクストラバージンオイルで作ったクリームをカップに入れ、そこにエスプレッソを注ぎ、さらにオーツミルク(オートミールの材料となるオーツ麦から抽出された汁)を注いだものだ。

ちょっと甘みがある飲み物。コーヒーの風味があって、オリーブオイルの風味がそこに足されて味わいがとても豊かだ。これは何度でもリピートしたい、と思える飲み物だった。

「スターバックス リザーブ」ブランドということもあって、お値段は高い。ドリンク2杯とケーキ2品で、税込3,547円だった。日常使いには厳しい値段だ。それでも、満足感の高い快適な空間と、スペシャルな思い出の場所、さらには美味しい飲み物と食べ物。文句のつけようがない。次回訪問は一体いつになるのかわからないが、その時が来ることが楽しみだ。

(2023.05.22)

コメント

コメント一覧 (2件)

  • ショーケースをあのアングルで撮ると食べ放題に見えますね(笑

  • ティータさん>
    小洒落た雰囲気を演出しているので、値札が小さいんですよ。だからなおさら、食べ放題に見えるw

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