最近の僕のお店探しは、いつもGoogleマップだ。旅行の際に立ち寄る観光地やお店探しに使うし、日常生活でもGoogleマップで新しい発見をし続けている。
Googleマップの裏にはいろいろアルゴリズムが走っていて、僕がGoogleのいいように転がされていることは承知している。それでも、なんとなく偶然性があるような感覚で、新しいお店がポコンと見つかるという体験はとても楽しい。
もう、今となっては「食べログ」や「ホットペッパー」を使ってお店を探そうとは思わない。他にも、検索上位に出てくるような、ビジネスでやっている情報サイトは使わなくなった。
個人ブログを丸写ししたような口コミを見せられても困る、というのが正直な感想だ。価格ドットコムのエレクトロニクス系ガジェットのレビュアー達と違って、グルメレビュアーが書く文章はかなり癖がある。たぶん、「食」の体験というのは味覚だけでなく様々な要素が複雑に絡むので、淡々とレビューをするのが難しいのだと思う。その結果、コッテリしたレビューが並び、見るのがウンザリしてくる。
Googleマップにおける飲食店のレビュー記事だって同じ展開になる可能性はある。しかし、なぜか2023年夏の時点では有名グルメ口コミサイトほどにはコッテリしたレビューがない気がする。利用者が棲み分けをしているのか、それともGoogleのアルゴリズムでクドい文章は非表示にされているのか、理由はわからない。
レビューはともかく、僕みたいに「だいたいこのエリアで、なにか良さげなお店はないかな」とマップを見ながら無作為にお店を探す人間は他にも大勢いるはずだ。これまではお店の評価ありきで行くお店を決めていたけれど、これからはお店の場所ありき、地図ありきでお店を決める時代も来ると思う。もちろん、口コミ評価は今後も生き続けるけれど。
そうやって地図からお店探しをする人が増えてくると、店名にインパクトがあるほうが集客に繋がるはずだ。これからの飲食店は、Googleマップ等に載って不特定多数の人に発見してもらうことを意識したネーミングがもっと増えるはずだ。
たとえば、焼き鳥屋を例に挙げてみよう。「焼鳥 おかでん」という店名でお店をスタートさせたとしても、それがGoogleマップでは全然目立たない。「おっ、気になる。行ってみたいな」とは思わない。それよりも、「備長炭地鶏焼鳥 おかでん」という店名にしたほうがマップ上で目立つ。興味をそそる。
webサイトの世界で、検索エンジンの上位に掲載されるテクニックのことをSEOと呼ぶ。これにはサイトや記事にどういう名前を付けるか、というネーミング技術も含まれる。ここ最近やたらと「◯◯するべき、たった◯つの理由」みたいな記事タイトルが多いのは、検索エンジン対策だし、記事タイトルを見た人が中身を読んでみたいとURLをクリックしたくなるからだ。
同じように、店名もそうなると思う。クリックされる店名。
おそらく、Googleマップの仕様に応じて店名をどうするか、考えるようになるはずだ。文字数は長すぎたらダメで、短すぎてもダメなので◯文字くらいが適切、みたいなハック術がたくさん出回ると思う。

そんなことを考えながら、この日目指したのは「どか食い部」という名前のお弁当屋さん。名前が素晴らしい。

人気のお店らしく、昼過ぎにお店を訪れたらもう棚にほとんどのお弁当が残っていなかった。近所に「光栄軒」という大盛りで有名な中華料理屋があり、そこはいつも開店前から行列ができてる繁盛店だ。どうやらこの界隈は大盛りが好まれる風土らしい。


今回、大盛りの弁当を食べたいわけではなかった。でも、「どか食い部」って言葉のチョイスにとても気持ちが和み、お弁当を1個買って帰った。たしか「ミックスフライ弁当」(600円)だったと思う。
ボリュームが多い弁当としては、亀戸や御徒町にある「キッチンDIVE」というお店が特に有名だ。僕自身そのお店を訪れたことがあるが、予想を上回る凄い迫力に圧倒され、何も買わずにお店を後にした。なにせ、「1kgおにぎり」や「3kg弁当」がずらずら並んでいるんだから。
「見ているだけで胸焼けする」という比喩表現が古来から日本には存在する。僕は昔っから、「何を言ってやがる。そんなこと、あるものか」と思っていた。でもキッチンDIVEに行って、ようやくその言葉の意図がわかった。
そんなわけで、「どか食い部」では店名ですでにお腹いっぱいな気分だったので、お弁当は重量級のメニューでなくても十分。家でミックスフライを食べて十分に満足した。
(2023.08.02)
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