いつの間にか我が家の定番となった、「あんこうの季節中に、茨城県の那珂湊に行く」という行事。今年も、「3月に入るとあんこうの漁期が終わってくるので急がなくちゃ」とカレンダーに急かされつつ、日程を決めて行ってきた。
もともとこの地を訪れるようになったのは、舎人公園のBBQオフ会に向けて魚を仕入れに行ったからだ。そのときのBBQオフは、「海鮮地獄鍋」を作る、というのが趣旨だった。魚をそのまま鍋にバーンと投げ入れるなど、結構無茶な鍋を作ったものだ。
それ以降、あんこうを買うなら那珂湊、ということで冬の那珂湊に通っている。
那珂湊は、これぞ鮮魚店!といった活気があって、おかしら付きの魚が多種多様にズラッと並んでいて、見ていて楽しい。毎年、ここで同じ魚ばかり買っているのが残念に思えてきて、できれば他の魚もチャレンジしてみたいものだ・・・といつも感じているくらいだ。
那珂湊に向かう道は、休みの日ともなれば大渋滞になる。このため、できるだけ早く都心を出発し、早く現地に到着するよう心がけないといけない。
「せっかく茨城県に行くのだから、途中あちこち立ち寄りながら那珂湊を目指そう」なんて考えていたら、渋滞で手痛い目に遭う。立ち寄りをするなら、那珂湊でお買い物を済ませてからのほうが良い。
あんこう。
写真は1パック1,500円のもの。ちゃんと「那珂湊産」と書いてある。地物だ。
うっかりすると、たとえ那珂湊であっても中国産のあんこうを買ってしまうことがある。値段が安いあんこうパックを買うときは注意が必要だ。
さばく前のあんこうも売られているんだが、さすがにシロウトではこれは手に負えない。
なお、鍋用のアンコウの身や、もう一つの僕らのお目当であるメヒカリは、都内でも取り扱っている鮮魚店がある。僕が時々買い物で使う、御徒町駅前の「吉池」という鮮魚店は、この両方が売られている。値段は那珂湊より割高なものの、ここまで高速代金やレンタカー代を払って訪れるコストを考えると吉池の方が割安だ。
なので、那珂湊で魚を買う、というのは一種のイベントみたいなものだと割り切りが必要だ。魚を安く手に入れるため、という大義名分は立たない。
那珂湊は、青色の建物の森田水産が迫力ある魚の陳列をやっていてインパクトが強い。他の店はそれと比べると若干地味なのだけど、そんな中でも僕らが毎年欠かさず立ち寄って、かかさず魚を買っているお店がある。
カクダイ水産、というお店で、ここで売られているサバなどの干物がとても美味しい。
特にトロサバと称している魚の干物やみりん干しは「こいつァうまい」というものなので、毎年ここで買うのが楽しみだ。
今年は「日替わりセット」というのが600円で売られていて、なにやらやたらと魚が詰め込まれていた。8種類入っていて600円というのは安い。即購入した。
中トロ1パック500円。
「えっ、結構でかいサクだけど、これで500円!?」とびっくりする。
なにか条件付き、たとえば他のものを1,000円以上買った人だけ、といったルールがあるのかと思ったが、デカデカと「確認不要 何回聞いても500えん!」と書いてある。本当に500円らしい。
中には2,400円を超える値札がついたパックもあって、それも500円で売られている。もはやもともとの値段に意味があったのか、不思議だ。
つい手が伸びてしまいそうになるが、ビンチョウマグロは僕はあまり美味しいと思わないので、買うのをやめた。
そのかわり、このブリッブリな生サバ3匹700円を買った。まるでカツオのような流線型だ。
後日、自宅でさばいて塩焼きにして食べた。
せっかく那珂湊に行ったのだから、とひたちなかのコストコに立ち寄る。これも、定番のコースだ。
しかし、コストコに行っても大して買わないというのが、これまた定番だ。というのも、鮮魚をあれこれ買っているので、それらを早く食べてしまわないともったいないからだ。
干物ならまだしも、アンコウにしろメヒカリにしろ、鮮度が落ちるとてきめんに味が悪くなりそうだ。明日じゃもう遅い、今晩アンコウを食べなければ。
ひたちなかのコストコは、「先週の売上TOP10アイテム」を発表していた。これ、来場者からすると嬉しい掲示だ。というのも、「コストコにはまだ自分の知らない、隠れた逸品があるはずだ」と僕らだけでなく多くの客が思っているはずだからだ。
コストコは大容量で商品を売るために、値段が高い。そしてなにより、かさばる。「ちょっとした買い物」でも、すぐに買い物カートがいっぱいになる。なので、あれもこれもと新しいチャレンジをすることはできない。気がつくと、自分たちにとっての定番となる商品しか買っていない。
ちなみに一番人気はリンツのチョコレート、「リンドール」だった。
えっ、リンドールが一位?そんなにお得だったの?とびっくりしたが、ちょうどバレンタインデーの時期だったのでリンドールをまとめ買いした人がいたのだろう。
勝田駅前の「サザコーヒー本店」に行く。
入店まで30分以上の待ちとなったが、大人しく待つ。このお店はそれだけの価値がある。
サザコーヒーのコーヒーを飲むだけなら、東京にも何店舗かある。でも、店の雰囲気、インテリア、スイーツ、ドリンク、それらすべての要素が組み合わさる本店はとても素敵な時間を提供してくれる。
ケーキいろいろ。
コーヒーとパン。
「今日はこのあと、家であんこう鍋&メヒカリの天ぷら大会だ!」と意気込んでいるので、このお店ではおやつを食べる程度の量にとどめておいた。でも、結果的にあちこち立ち寄りながら帰宅したため、あんこう鍋を食べたのはすっかり日が沈んでからとなったが。
サザコーヒーは自家農園があるし、コーヒー豆は自家焙煎だし、パンも自分のところで焼いている。自家製のこだわりがある。
時間はずーっと後になって、18時半。ようやく帰宅して、さっそくあんこう鍋の調理に着手する。
買ったのは、先ほどの1,500円のあんこう切り身パックではなく、3,500円のものだった。今回、大人3人が食べるということで、1,500円パック1つではちょっと心もとない。じゃあ2パック買うよりも、ジャンボパック1個にしようということにした。
あんこうは全身のパーツを「7つ道具」と呼び、捨てるところがなく余すことなく食べられるとされる。皮、ヒレ、エラなどが含まれているが、じゃあ実際にそういうものが本当に美味しいかというと、そんなにうまいとは(僕は)思わない。
それよりも、やっぱりシンプルに身の部分(柳身、と言う)が多いほうがいい。
小パックを2つ買うと、柳身以外の道具が重複して手に入ってしまう。ヒレなんて形式的にちょこっと入っていればいいので、身が中心の大パック3,500円を選んだ。
ただこれだとあんきもがやや少ないので、きもだけ単品で購入した。
卓上にグリル鍋を置いて、少量ずつコトコトと煮ていたのではきりがない。中華鍋いっぱいにドカーンと一気に作り、ドスンとテーブルに置いた。
あんこうは下ごしらえで熱湯を注ぎ、すぐに冷水で締めた。あと、あんこうは半量を包丁で細かく叩き、それを味噌と一緒にフライパンで乾煎りした。
具は白菜と豆腐、ネギだけだったと思う。白菜も冷蔵庫に残っていたものなので、そんなに量がない。
すると、とても美味しいあんこう鍋が出来上がった。過去作っていたものよりも、遥かに濃厚で味が染みている。おそらく、例年、値段にびびってあんこうの量をケチって買っているので、それを補うように白菜を多めに鍋に投入している。その結果、白菜から出る水分のせいで味が薄くなってしまったのかもしれない。
そしてメヒカリの唐揚げ。
雑味のない味を楽しみたい人なら、内臓を取って頭を落としてから揚げる。でもいちいちそんなことをやっている暇がないので、ウロコを取るだけでポイポイと油で揚げていった。
これもとても美味しい。淡白な味なので、柑橘風味が強めのポン酢とあわせると美味いと思う。あんこう鍋のおともにちょうどよかった。
良い2月だったー。これで心置きなく、3月が迎えられる。3月はふきのとうを天ぷらにして食べたい。
(2024.02.23)
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