舎人公園BBQオフ2017春

野外炊事部・海鮮地獄鍋の巻

「アワレみ隊OnTheWeb」の定番オフ会となっている「野外炊事部」。東京都足立区の舎人公園を拠点に、バーベキューをやったり芋煮会を開催してきている。

特に舎人公園に拘りがあるわけではない。勝手にたき火をして良いなら河川敷でもどこでも開催したいのだが、いかんせん今や火気厳禁の公園が多すぎる。結局、野外炊事をやろうとするとBBQ施設を持っている公営公園か、商売でやっているBBQ会場ということになる。

んで、都心においてはこのBBQ会場というのが高いんだもう。豊洲界隈なんぞでBBQをやろうものなら、5,000円じゃ多分無理っていう世界。それだったらもう舎人公園でいいや、という話で今に落ち着いている。都立公園なので、場所を借りるだけなら無料。あとは機材をレンタルしたら、その分だけ費用がかかるという形。

僕としては、「野外炊事部は年に二回定期的に。そのうち、1回はバーベキュー、残り1回は芋煮会」という展開を希望している。季節感が出てくるからだ。そして、「定期的」にやることで、「前回はこうだったから、今回はまた違った料理を」なんて、ストーリー性が出てくる。

忘れた頃にほんの時々バーベキュー開催、だったら、毎度毎度「適当に肉と野菜を焼いて-、最後は焼きそば焼いて-、せいぜいマシュマロ炙るくらいにしようか?」という展開になってしまう。

前回(2016年10月)はおマグロ様をガツンと用意し、全員が「マグロォォォォ!」と叫びながらお頭、ホホ、テールなどを炙って食べた。バーベキューなのに肉よりも魚がメインだったというちょっと変わった回だったのでとても面白かった。

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さて今回は順番としては「芋煮大会」の開催だったのだが、直前まで方針が決まらずフワフワしっぱなしだった。というのも、舎人公園でレンタルできる炭火コンロが改悪され、これまでは頑丈な牢屋みたいな網だったのに使い捨てのペラペラな網になってしまったからだ。

マグロォォォを乗っけるだけでも重さに耐えかねて網が歪むくらいなのに、鍋がのっかるわけがない。物理的に鍋大会は無理なんじゃなかろうか。

いろいろ検討に検討を重ねたけど、結局現地ではツーバーナーコンロを借りることにした。ガスカートリッジによる加熱料理だ。完全に、「炙る」という調理法は諦めたというわけだ。

「バーナーを使うんなら、わざわざ屋外でなくっても・・・」という気持ちが最後まで拭えなかった。おかでん宅に皆様をお招きして、自宅で鍋大会でもいいんじゃないか?と。なんなら闇鍋大会にしてもいい。でも、エーイこのままで行ってしまえ。もういろいろ手配済みなんだし。

2017年04月01日(土)

那珂湊

で、手配といえば今回は野外炊事部活動の前日から動きがあるのです。これは初の試み。

舎人公園野外炊事部は日曜開催にして、前日の土曜日は食材買い付けのために茨城県は那珂湊にやってきた、というわけだ。

唐突に「那珂湊」という場所が出てきたのは、僕がちょうど2ヶ月前にこの地を訪れ、その品数豊富さに大興奮したということもあるし、車で行けばスルスルと都心からアプローチ出来る至便さもある。さらには、帰り道に新三郷のコストコに寄って、デカい肉でも買い付ければ言うこと無しだという算段だ。

「ツーバーナーコンロで鍋やるよ!」と確定した時点で、「芋煮」という本来の料理からは興味が外れていた。というのも、芋煮を愛してやまない宮城県や山形県の人には申し訳ないが、「折角随分前から会場を予約して、地味な芋煮?」という気持ちがある。炭火コンロで片手間にいろいろ肉や魚を炙りつつの芋煮ならいいんだけど、今回はツーバーナーコンロ。芋煮がメインだとちょっと物足りなかった。

「だったら、那珂湊とか大洗にいって、あんこうを仕入れてくらあ!」

というのが今回の目的。4月頭ともなればあんこうのシーズンは終わりなのだけど、それだったらそれで何か別の魚だってあるだろう。とりあえず那珂湊に行ってから考えよう・・・ということで、朝早くから那珂湊にやってきた。

あさり

那珂湊は、海沿いに魚屋がずらっと並び、生きの良い魚をずらりと並べて売っている。その規模の大きさ、扱っている魚介類の種類の多さと数の多さには目を見張る。

早速あさりが大量にたらいに入ってお出迎え。1杯で800円だそうだ。安い。

「ダシとるのに貝類は買った方がいいかもしれない」

買い出しツアーにやってきたよこさん、おーまさんと腕を組んで考え込んでしまう。そうだ、そういえば味付けってどうするんだっけ。

ひとまず「海鮮鍋!」ということは決まっているんだけど、味噌なのか醤油なのかなんなのか。よこさんは「塩味でいいんじゃないですかー」と言うが、僕は芋煮を作るという当初計画のイメージから抜けきれず、「醤油味なんじゃないかなあ?」といい、お互いが並行線をたどっていた。

ダシだけでもこの有様なので、さて一体何を買うことになるのやら。

ただ一つ言えるのは、お互い節度は持っている振りはしつつも、「いいぞやっちまえ」という勢いの良さは持っているということだ。「買っちゃったものはしょうがない」「鍋に入らない?もっと押し込めよオラ」くらいの事は言いそうだ。こういうのが仲間にいると、本当に心強い。

あんまり物わかりが良すぎる仲間だと、「余っても困るだろ」「こんなに食べられないよ」などと冷静に判断して、テンションが下がる。いや、もちろん本当に余っては困るんだが、「人間頑張ればなんとか食べられるものだ」というのが我々だ。健啖家揃いなのが、このサイトのオフ会参加者だ。

ずらりと並ぶ魚

最初のうちは、みんな「すごいすごいすごーい」と言いながら売り場を回っている。よりどりみどりではないか!これだけのお魚があれば、海鮮鍋なんて楽勝だ!

・・・というのは最初のうちだけ。だんだん、「選択肢が多すぎて選べない」ことに気がついてきた。人間、選択肢が多いと訳がわからなくなってしまい、結局選択を放棄してしまうという習性がある(ジャムの法則または選択回避の法則という)。今回がまさにそれ。

まぐろの目玉

「おお!まぐろの目玉がある!しかも300円!」

ちらっとみんなの顔色をうかがう。二人とも、珍しそうな顔をしてこの掘り出し物を鑑賞している。しかし、誰一人として「買いましょう!」とは言わない。それは、見つけ出した僕でさえも、だ。

今回、炭火焼きの環境があるならば買ったかもしれない。300円だし。でも、「煮る」のがメインの今回、これってどうすりゃいいの。

あと、コイツはあくまでも「飛び道具」。メインの海鮮鍋をどうするか全く決まっていないのに、こんな食材に心を動かしていてはいけない。

魚

それにしてもこれですぜ。

もう、どうすりゃいいの状態。

どうしようかと立ち止まってみんなで議論をしていたら、「邪魔だからのいて!」と荷物運搬中の魚屋さんに押しのけられる有様。おちおち検討もできない。

金目鯛

金目鯛、一匹で1,500円じゃないんだぜ?一盛り、すなわち二匹で1,500円だ。

これ、煮付けたらたまらんな。

「自宅用に買って帰ろうか?」

と真剣に考えてしまったが、今晩この金目鯛を食べたあと、明日海鮮鍋でまた魚というのはちょっとうんざりだ。あんまり自家消費用のことはここでは考えない方がよさそうだ。

普段、スーパーでパック詰めされている魚を見慣れている。なので、こうやってパック詰めされていない、立体感溢れるビジュアルで迫ってこられるともう、僕は動揺するしかない。3Dを見ているようだ。あ、そうか、もともと3Dか。

切り身

あんこうだが、さすがに3月までがシーズンということで取り扱いは極端に少なかった。2月に訪れたときは、丸ごと一匹がごろんごろんとあちこちの魚屋に転がっていたのに。

ようやくパック詰めされたあんこうの切り身を発見したが、全員で「うーん」と唸ってしまった。というのも、生のままの丸ごと一匹の魚たちをさんざん見た後では、こういうパック詰めの魚というのはどうも色気がなく感じたからだ。物足りない。

「明日は5人から6人くらいの参加のはずだから・・・これを2パック?3パック?」
「2パックでいいんじゃないですかね?」
「じゃあ、2パックにして、それにあん肝だけを1パック追加して・・・それで足りるかな?」
「どうなんでしょうね?」

あんこう鍋ってぇ食べ物が、どれだけあんこうがガツガツと入っているのかよくわからない。おたまで鍋をぐるりとかき混ぜると、あんこうだらけ!であるべきなのかどうなのか。だとしたら、2パックごときじゃ足りない。もっと入れなくては。

でもやっぱり、他の鮮魚と見比べると、どうもときめきが感じられないんだよな。

「だったらやめときましょうよ。あんこう鍋でなくてもいいんじゃないすかね」
「まあ、そうか」

誰も、「あんこう鍋食べたい!」なんてことは事前に言っていなかったので、「現地にてあんこう鍋は微妙、と判断したのでやめました」と決定すれば何ら問題はなかった。というわけで、あんこう鍋はこの期に及んで中止。那珂湊なのに。

そのかわり、「あんこうなんて目じゃねぇぜ!」という見栄えのいい魚をあれこれ仕入れて帰ろうと思う。わざわざここまでレンタカー代、高速代、ガソリン代をかけてやってきたんだ。元はとらなくちゃ。

気持ち悪い魚もいる

もっとも「元が取れそう」な代物だったのが、これ。

「サガボ」という名前の、謎の細長いもの。ピンク色で気持ち悪いし、変な縞模様があるのも気持ち悪さを助長している。えぐい。

聞けば、「ホシザメ」のことをこの界隈ではサガボ、と呼ぶらしい。「干し鮫?」とこのときは疑問に思っていたのだが、「星鮫」が正解。

このサガボ、こうやって皮を剥いた状態の生でも売られているけど、輪切りにして醤油漬けなのかなんなのか、味付け状態になって売られているものも多かった。恐らくクセが強い身で、味付けしないと食べてられないんじゃなかろうか。

そりゃそうだよな、鮫だもの。処理をきちんとしなけりゃ、アンモニア臭いだろう。

今日の買い出しには参加せず、明日の本番だけ参加する人がいる。その人達に「那珂湊の戦利品はこれだ!どうだ!」と見せびらかすには最高のビジュアル。しかし、味については到底期待できないビジュアルでもあり、さすがの僕らでも買うことはできなかった。とにかくキモすぎる。

あと、こいつを1匹買ったら、もうそれで鍋が一杯になりそうだ。サガボ鍋を本気で作る気があるならまだしも、そうでもなければやめておいた方がいい。万が一マズい鍋になったら、完全に明日はお手上げ状態だ。

唐揚げにするとうまいという噂を後で知ったけど、いやー、これ一匹を唐揚げにすると相当な量だ。やっぱり怖くて手が出せない。

貝

ハマグリもある。ネット一袋で700円。これまたお安い。

ハマグリでダシをとるというのも面白いなーと思う。アサリというのは貝としては一番なじみ深く、ありきたりすぎると僕は思うので、ハマグリでどうや!?と思った。しかし残り2名から「ダシをとるならあさりの方が良いと思う」と指摘を受け、ハマグリ案は消えた。

ソイ

今回、海鮮鍋だけでは物足りないので、ツーバーナーコンロであることをいいことにもう一つのコンロでは天ぷらを揚げようと計画している。ダッチオーブンが家にはあるので、コイツを浸かって揚げ物を作ろう、というわけだ。

本来なら、コシアブラとかふきのとうとか、春の山菜の天ぷらができればいいなあ・・・と思っていた。しかし、もうこうなるとやけくそだ、魚フライにしちゃえ。明日はオール魚祭りじゃぁぁぁぁ。

そんなわけで、「鍋用の魚」「揚げ物用の魚」それぞれを考えなければならなくなり、ますます頭が混乱中。とにかく、目玉となる魚を一種類、びしぃぃぃぃっと決めないと。

そんな中目に留まったのが、「ソイ」。

魚屋さんに「鍋に入れるとすればどれ旨いですかね?」と聞いたところ、「ソイは煮て食べるとうまいよー」と言われたからだ。なるほど!それはいい。

何がいいって、見栄えがいい。コイツを一匹ドブンと鍋に入れると、さぞや映えることだろう。

「ちょっと待って、丸ごと一匹そのまま入れようとしてます?」
「もちろん」

食べやすいようにバラしてしまうと、なんのこっちゃよくわからなくなってしまう・・・というのは、前回野外炊事部のマグロのカシラで体験済みだ。骨から丁寧に身をほぐしてしまうと、単なる「焦げたツナフレーク」だった。これでは嬉しくない。少々食べにくくっても、見た目のインパクトを追求したい。その点、このソイは完璧だ。ちょうど鍋に入りそうだし。

あと、ソイなんて魚はそこらのスーパーでは扱っていない。折角那珂湊までやってきたのだから、「へー、これは珍しいね!」という魚を買わなくちゃ。間違っても「アジとイワシが安かったので買ってきました。あとサーモンも」なんてやってはいけない。

2尾で1,000円。

「つまりおかわりできるってことだよ!」

これで今回の海鮮鍋、ソイを軸とすることが決定した。

たら

さあ、あとは何を入れていくかだ。

ソイはごついけど、かといってあれは見栄え重視の大艦巨砲主義。実際においしく鍋を食べるためには、もう少し小回りがきく魚をちりばめておきたい。

そこで目を付けたのが塩タラだった。結構デカいのでお得感があるし、タラの淡泊ながらもしんみりとした旨さは誰しもが認める実力派だ。

「アメリカ産、というのが気になるけどね」
「それを言ったらさっきのソイだって青森県産でしたぜ」

那珂湊の魚屋さんだからといって、茨城県産ばっかりというわけではない。

わかめ

具としての魚は「ソイ」と「タラ」でひとまず大丈夫だろう。あとはその他の彩りとなる具だが、ここまできて「残りの具は白菜とかシメジとかニンジンとかでいいんじゃない?」と安直に済ませるのはもったいない。

何か「那珂湊らしさ」がある具を探したい。

そうしたら、「しゃぶしゃぶ用生わかめ」を発見した。ざる一盛りで300円。

「お湯でしゃぶしゃぶしたら、さーっと緑色に変わるんですよ」

へー!それは面白い。鍋のアクセントとして、楽しそうだ。じゃあこいつも買っていこう。

ほたて

解決していなかった「ダシ問題」だったけど、300円のホタテ稚貝を買うことで無事解決した。「アサリは見慣れすぎてて面白くない」派閥と、「いや、アサリのダシは侮れない」派閥の折衷案としてこのホタテが選ばれたわけだ。稚貝というだけあって、こじんまりしたホタテが何十枚もある。こいつを豪快にガラガラと鍋に投げ込んだら、さぞや爽快だろう。楽しみだ。

みりん漬け

お店を見て回っているうちに、こんなものも見つけた。

カジキかまみりん漬け。

遠くからみると、生肉を並べているように見える。「えっ?何でいきなり肉が?」と二度見してしまうビジュアル。

みりん漬けアップ

あらためて近くで見ても、この外観。コイツァ見栄えがいい。

みりん漬けなので、炙って食べるのがよろしかろう。さすがにこれを鍋に入れるのはおかしい。

「肉とか焼く鉄板、持ってますよー」

とよこさんが言うので、急きょ明日はそれを持ってきてもらうことにした。これをあぶれば、鍋とは違った魚料理を楽しめるだろう。

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