野外炊事部・海鮮地獄鍋の巻(その6)
折角スペアリブ調理で温まったダッチオーブンだけど、ソースと肉汁たっぷりの状態で油を注ぐわけにはいかない。いったんきれいにしてから、油を注いで加熱開始。
あー、これは当分時間がかかるやつやー。
いやな予感しかしない。
油が調理できるほどの温度まで上がるのに時間がかかり、そこから具を投入して時間がかかる。しかも、揚げる食材は昨日しこたま買ってきている。うーん、やばい。
鍋が茹らない、フライも準備できていないという有様で、これといって食べるものがない。みんなおしゃべりを肴に飲み続けるしかない。
「早く温度あがれーあがれー」
といいながら、何度も油の温度を確認する。
油の温度が上がったとは言いがたいけど、希望的観測も込みで「えい、もう大丈夫」ということにした。もう待てぬ、機は熟した、具を投入だ。
カレイとメヒカリは後回しにして、高級魚でもあるカサゴを優先して揚げることにした。
油に投入するやいなや、派手にばちばちばち!と油がはぜた。
・・・といいたかったけど、「とぷん」と音を立てて油に沈み、シャンパンのような細かい気泡が浮いてくる程度だった。オイル漬け作ってるんじゃねーぞ、大丈夫かオイ。
しばらく時間が経つと、そうはいっても「フライを作ってます」感は出てきた。
「そろそろいいんじゃないでしょうか」
「いや、でもまだぜんぜん浮いてませんよ?浮いたら出来上がりじゃないんすか?」
「とはいっても、かれこれ10分以上揚げているし・・・重たいから浮いてこないんじゃない?」
「いや、そんな馬鹿な」
みんな疑心暗鬼になりながらカサゴを見守る。もう、見守るしかないのです我々は。
カサゴが終わり次第、カレイにいけるように下ごしらえだけはしておく。
無理な気がするなー、なにしろもう15時だもの。16時までに片付けろ、という話なので、あと30分でこのカレイがどうにかなる気が全くしない。
でも、とりあえずスタンバイ。カサゴを揚げている最中の鍋にこいつを入れると、油の温度が下がってしまいカサゴもカレイも共倒れだ。つらいかもしれんが、今はひたすら耐えるしかない。待っててくれ。辛抱してくれ。
左のカレイはパン粉をまぶし、右のカレイは片栗粉をまぶしてある。
鍋第二弾、ようやくソイが投入され、具がすべて収まった状態に。
ここからソイを煮込むので、まだ時間がかかるよ・・・。あー、ずいぶん太陽が傾いてきたなあ。まだ鍋はこれからだというのに。
カサゴフライ、ひとまず完成したっぽい。ひたすら待っていれば、確かに浮いてきた。
ということは何だ?これまで20分近くひたすら揚げ続けてきたけど、それまで火が通ってなかった、ってことか?
はーい、鍋も出来上がったので、フライ&鍋のツーショット撮影。
ん?ぜんぜんうまそうに見えない写真だ。
でも違うぞ、魚は絶品だぞ。那珂湊直送だぞ。1日経ってるけど。
カサゴフライ。
これ、1匹800円払っただけのことはあった。身にうまみがあって、とってもおいしかった。
これだったら自宅でも作りたい!リピートしたい!という気持ちにさせるフライで、小躍りしたくなった。
のり弁の上に載っている「白身魚フライ」とは全く別次元だぜ!比較対象が貧相すぎるけど、それ以外うまく形容できねぇ!すまねえ!でも、最高だ!ということはわかってくれ!
一方、最低だったのはツーバーナーコンロの火力。
火が小さいため、鍋底に炎が当たっていない感じ。これでは、「炎で暖められた空気が鍋に触れて、鍋を加熱している」のに近い。温まらないわけだよ、これじゃ。
それでもいっちょ前にガスは減る一方だ。途中でいよいよガス欠になってしまい、事務所に新品のカートリッジを買いに行く羽目になった。
二杯目の鍋を、できるだけ平らげる。シメのラーメンを作るためだ。
・・・あれ?ラーメン食べたっけ?どうだっけ?
食べた記憶がない。写真もない。
時間切れで食べなかったんだな、たぶん。麺は誰かがお持ち帰りにしたんだと思う。
おなか一杯だからギブした、というわけではない。完璧に時間切れ。
いや、時間切れったってアンタ、まだカレイやメヒカリがあるでしょうに。
カサゴを揚げた直後、引き続き揚げ物を続けるかどうかという議論があった。僕は、「とりあえず揚げちゃえ!」と鍋にどーん。
あっきさんから
「あんた、バカか!なにやってんの!」
と叫ばれる有様。初対面の人にバカといわれるとは、むしろ光栄だ。
で、結局ものの10分後には「時間切れ」ということでサルベージされてしまったカレイたち。すまん、もう時間がないんだ、本当に。
油を流しにザバーと捨てるわけにはいかないので、凝固剤で固めないといけない。そのための時間を踏まえると、かなり前から片付け始めないといけないのだった。
あーあーあー。
10時から16時までの6時間。これだけの時間があったのに、全部終わらなかった!まだ満腹になってなかったのに!
買出しや調理の時間があったので、実質的な食事時間は4時間弱。まさか「調理が間に合わない」という事態になるとは。
これだから野外炊事部は面白い。100点満点を期待しちゃいけない。むしろ50点くらいの状態を面白がるくらいがちょうどいい。
食べ物だけでなく、飲み物も結構余った。これらは、早いものがちで各自がお土産にして持ち帰った。
全員で記念撮影。
今回は6名でした。次回は秋に、バーベキューをやるべし。
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