野外炊事部・海鮮地獄鍋の巻(その7)
前回の野外炊事部と同様、公園内の空いたスペースでフリスビー大会をやることにした。
しかし、公園のいたるところに人、人、人。とてもじゃないけど、フリスビーなんてできっこなかった。千本桜まつりの会場付近だけが人だらけなのだと思っていたけどとんでもない。アホみたいに広いこの舎人公園が、今やまんべんなく人だらけだ。
フリスビーは諦めて、オーソドックスに桜を見て帰ることにした。
あいにく桜はまだ満開というほどではなかった。でも、季節感が味わえてとても良かった。海鮮鍋のあとに桜。脈略ないけど。
千本桜まつりの会場に足を踏み入れると、屋台がずらっと並んでいて盛大だった。しかし、その大半が既に撤収開始しており、残っている屋台も長蛇の列。とてもじゃないが、屋台料理にちょっかいを出せるような状況ではなかった。
そのまま素通り。
舎人公園って広いなあ、もう。
地平線が見えるんじゃないか、っていうくらい広い。
このエリアまで足を踏み入れたのは初めてだ。駅から遠いので、人なんていないだろう・・・と思っていたけどとんでもない。桜なんて大して咲いていないのに、それでもみなさんレジャーシートを敷いてくつろいでいた。
そうか、毎度毎度ご丁寧に火力を使って調理をしなくってもいいんだよな。お惣菜とか買ってきて、シンプルに野外宴会をやるのでもいいんだよな。今度はそうしてみよう。大げさに考えるから面倒くさいことになるんだ。
野外炊事部としては年2回春と秋に開催しつつ、「野外宴会部」も並行して開催するというのがよいと思う。
先ほどから、ところどころ「レーガン桜」という看板が目に付く。公園内マップを見ると、確かにそういう名前の場所があるようだ。
「レーガンって、あのアメリカ大統領の?」
アメリカ大統領ロナルド・レーガンが舎人公園に桜を寄贈したのだろうか。
「それとも、レーガンという品種の桜?」
そんな馬鹿な。
気になるから、最後解散する前に行ってみる。
「見たからといって、何かいいことがあるとも思えないけどねえ・・・」
なんて苦笑しながら。
みんな、食べ残しの食材など重たい荷物を持っているので、足取りが重たい。しかもお酒を飲んでいるし。
園内マップだと、「だいたいこのエリア」程度にしかレーガン桜の場所を示していなかった。
で、辿り着いたのがここ。
「えーと、この何の変哲もない木がレーガン桜?」
「場所的にはきっとそうなんだけど、あまりに色気がないですね?」
今日のイベントのシメとなるのに、なんだかもやっとした結論になりそうだ。
そんな中、丘を一つ越えた先にある公園に、ホンモノのレーガン桜があることをたっぴぃさんが発見。あ、やっぱりこれじゃなかったのか。
「だと思ったんだよなあ、地図にわざわざ載せるくらいの桜なのに、あの扱いはあんまりだ」
というか、あらためてこの「ニセレーガン桜」を見ると、桜の木でさえないことに気がついた。おい、ちゃんと見ろ。
レーガン桜を鑑賞しておしまい。
古木、といった風情の桜の木。レーガン大統領夫人が来日時に寄贈した桜を、ここに植樹したのだそうだ。
「なんだ、正確にはレーガン嫁桜じゃないか」
でも、レーガン嫁もやっぱり名字はレーガンなわけで、レーガン桜で間違ってはいない。
鍋もやりました、桜も観賞しました、ということでこのイベントは成功ということでフィニッシュ。中身は随分とモヤモヤした内容ではあったけど、このデコボコしたいびつさが野外炊事部の楽しさだ。むしろ大満喫した一日となった。
最近の僕は「身体性」というのをとても意識している。知識ばっかり増えて頭でっかちになり、「成功の最短距離」しか歩まないのではダメだ。「多分失敗だろうな、これ」ということを敢えてやって、「ああ、やっぱり失敗だ。先人の知恵って素晴らしいね」と納得し腑に落ちるということを敢えてやっていきたい。
野外炊事部も、そう。インスタ映えするような、小ぎれいでノリノリなバーベキューとは違う、泥臭い炊事を今後も指向していきたい。次は2017年秋。そのときにまた会おう。
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