オタクの街、秋葉原。
まだ電気街として名を馳せていた90年代までは、物欲と好奇心以外は存在しない街だった。すなわち、ほとんど飲食店が存在しなかった。今の秋葉原しか知らない人からすると、「嘘だろ?」と思うはずだが、大げさでもなんでもなく、本当に秋葉原には飯を食べるところがなかった。
わずかにあったお店は、「牛丼専門サンボ」をはじめとするクセの強いお店で、お店のお作法を守るために客が萎縮しながらご飯を食べるような場所だった。
それが今では、飲食店だらけだ。秋葉原は電気街からインターネット街になり、ゲーム街・アニメ街と移ろい、そして今では街頭に大量のメイド喫茶の客引きが並ぶ街となった。それでも食欲だけは普遍的ということで、街の栄枯盛衰とは別に増殖を続けていった。
珍しいもの、面白いものが好きなオタクが集う街なので、飲食店もそれなりに個性がある。そのうちの一つが、「フレスカ」だ。
万世橋交差点に面したビルの地下にある。
もともとこのビルは1階から7階までセガのゲームセンターだったが、コロナを契機に客足が鈍ってしまい、今では激安カラオケの「まねきねこ」が入居している。こんな一等地なのに「まねきねこ」なのか・・・と、時代の移り変わりに驚く。
そんなビルの地下に、ひっそりとあるのが「フレスカ」。僕自身、その存在は全く知らなかった。でも、昼時になると行列ができるお店なので、広く愛されているお店らしい。
地下に潜っていった先に、お店はある。「50席ごゆっくりお食事できます。」と大きく書かれているが、この地下階段を潜る人はそれなりの事情通だ。
メニューには、噂通り「サイズアップ無料!」と書いてあったパスタの場合、普通盛りで500g、中盛りで700g、超大盛りで900gと書いてある。
あれ?「ガツ盛り」は?
このお店は「ガツ盛り」と呼ばれる、すごい量のドリアやスパゲティがあると聞いていたのだが、それはメニューに書かれていなかった。
後で調べてみたが、追加料金を払うとガツ盛りというメニュー外の量になるような記述をしている記事があったり、超大盛りがガツ盛りのことなのだというような記事があったり、正確なことがわからない。また、このお店自体が価格体系を変更しているため、余計にわかりにくい。
僕は問答無用が超大盛りを頼んでみたが、果たしてこれが「ガツ盛り」なのかどうかは結局わからないままだった。
で、これが「超大盛り900g」スパゲティ。サラダ、スープ、ドリンク付き。
僕がこれを見たとき、「うおおお、すげえ量だ!」という驚きではなく、「この程度なのか」という感想だった。
お皿がやたらと大きい平皿なので、さしもの900グラムを乗せても平らに盛られてしまい、立体感にやや乏しい見た目だったからだ。
900グラムって、相当あるはずだ。でも、具やソースもあわせると、こんなものなのか・・・と思った。
だってよ、健康なる男子ならば経験がある人も多いと思うが、「今日は腹が減った!よーし、スパゲティの乾麺300gを一度に茹でて食べるぞ!」と茹でて、後でスゲー後悔するパターンを思い出す。乾麺300グラムを茹でると一般的には600g程度になると言われていて、それと比べて900gのこのパスタはものすごい量となる。
しかし、スルッと食べられてしまうのはなぜだろう。自炊で茹でた乾麺300gは持て余すのに。
たぶん、そもそもの味がうまいから、どんどん食べられるというプロの技もあるのだろう。それに加えて、家で食べる場合はどうせ300gの乾麺に対して、レトルトのパスタソース1袋をケチくさく使っているだけ(しかも100円ショップで買ってきたもの)なので、味に飽きがくるのだろう。
フレスカのパスタがガツ盛りなのかどうかはわからないままだったが、900グラムのパスタを最後まで美味しく食べられ、お店を後にした。お店をあとにした時点では、店の外に長蛇の行列ができていた。とても繁盛しているお店らしい。
(2024.04.05)
コメント
コメント一覧 (2件)
90年代だと秋葉原デパートの1Fのお好み焼きを思い出します。
カウンター席もあるのだけど、そこは「焼きそば」や「たこ焼き」も付いたセットを注文しないと座れません。
お好み焼き単品だと立ったまま。
そして、その向かいにあった丼もの屋さん。
その中でも「キジ丼」がお気に入りでした。
そして、フレスカ。
店の前を前を通る度、ガツ盛りの文字に目を奪われましたが、地下なのでハードルが高い。
6年前に勇気を出してやっと入店しました。
当時の写真を見ると、ガーリックトースト1枚とミニデザート(ポポロン1個に生クリームとチョコをかけたもの)が付いてました。
今は無いのかな。
その後、2020年にドリア。
2022年にオムライスを、それぞれ有料になりますが大盛りで食べていました。
ちなみに見た目のインパクトだとドリアが一番でした。
かめぜろさん>
秋葉原、詳しいですね!
お好み焼きを立って食べる、というのは斬新。そんなお店があったのか。
今は街のゴチャゴチャ感がずいぶん和らいでしまって、昔の「なにか見つかるかもしれない感」が減ってきたのは惜しいですね。住友不動産がやたらと無機質なビルを建てているのがその要因の一つだと僕は思ってます。