ちょうど1年前の2024年、旬のメヒカリとアンコウを買いに茨城県の那珂湊に行った。そのとき、おまけイベントとしてやったのが、「干し芋直売所巡り」だ。

大洗~那珂湊~ひたちなかエリアはさつまいもの一大産地であり、またほしいもの名産地だ。秋からほしいもの制作は行われ、年が明けるとほしいもの最盛期となる。
昨年、何軒かのほしいも直売所や販売所を巡ってみて、「これは面白い!」と確信した。
市場価格と比べて遥かに安くて、いろいろな種類のほしいもが買えるというお得さもさることながら、「どこに直売所があるのだろう?」と探すオリエンテーリング感覚、そして「えっ、こんなところにお店があるの!?」という驚きと興奮。すごく楽しい。
僕自身はそこまでほしいも愛好家ではないが、パートナーのいし、そして友人のよこさんという二人の女性陣はこよなくほしいもを愛している。なので、彼女らの熱気を見て僕も一緒になって楽しみつつ、ほしいも探検をしてみようと思う。
悲しいかな、歳とともに「興奮」とか「喜び」という感覚が減ってきた。残るのは、「怒り」とか「悲しみ」の感覚だ。これは特に男性老人に多い傾向だと思う。でもそれじゃ人生つまらないので、女性や若い人たちと一緒に行動し、「キャーすごい!」というハッスルっぷりをお裾分けしてもらうつもりだ。
あんまり知名度が高くない、農家直営のほしいも直売所を探すにはGoogleマップは最高だ。
那珂湊界隈の地図を表示して、「ほしいも直売所」というキーワードで探せば、候補がマップに表示される。で、口コミもでているので、軽く口コミを参照しつつ、その場所を目指す。Googleマップはナビも兼ねてくれるので助かる。なにせ、この手のお店は、車に標準搭載されているカーナビでは検索できないことが多い。
あと、口コミをほんのちょっとだけチラ見する、というのもこの探訪イベントを楽しくするコツだ。事前に情報収集しすぎると、単なる答え合わせをしにいくだけになってしまい、つまらない。「ほんとうに営業しているのかどうか、怪しい」という状態で現地に突撃するのが、いい。
2025年02月09日(日曜日)
1軒目 ほしいも専門店大丸屋
結論から言うと、この日はトータル15軒のほしいも屋を巡った。マジで?話を盛ってるんじゃない?という数だが、マジだ。それくらいのことができてしまうくらい、茨城県の海沿いにはほしいも直売所やほしいも販売店がたくさんある。
1軒目の「大丸屋」は、高速道路のインターから那珂湊に向かっていく途中の道沿いにある。那珂湊に通じる道は週末になると大渋滞で、車が全然動かなくなって難儀することが多い。なので「このお店に行くのはちょっとなぁ・・・」と思っていたのだが、朝9時半に現地着したこと、そして道路はまだ渋滞していなかったことから立ち寄ることにした。
なお、この1時間後にはもう道が渋滞していたので、行くなら早めがおすすめだ。

「直売 ほしいも らっきょう」の看板。
駐車場の背後に、立派なビニールハウスというか温室のような建物がずらりと並ぶ。なにか温室栽培をやっているのだろうか?と思って覗いてみたら、ガラス張りの建物の中には網が貼ってあり、そこでスライスした芋を干していた。芋干し場、というわけだ。さすが直売所。

天井吹き抜けの大きな建物。
でも売られているのはひたすらほしいも。

お上品なほしいもばっかり売っていても食指が動かない。なにしろ、ほしいもというのは見た目の地味さの割に、高級な食べ物だからだ。
思い出して欲しい、ビーフジャーキーがとんでもなく高級品であるということを。あれも、牛肉を干して重量を軽量化しているので、見た目以上にコストがかかった食べ物だ。それとほしいもは一緒だ。
なので、「B級品ですよー」とか「市場に流通しない、当店限りですよー」というほしいもがあると嬉しい。試食があると、なお嬉しい。
おっ、あったあった。籠に入ったパック入りのほしいも。
「出来立て」と書かれているのが200g650円。大人気の紅はるかだと、200g800円。
おっ、丸ほしいもも売られている。
丸ほしいも、というのは、スライスされていない状態の、小ぶりのさつまいも丸ごとのほしいものことだ。外は乾燥しつつ、中はしっとりといういい具合に仕上げるのは技量が必要で、この地域では丸ほしいもの出来が良いお店は素晴らしいお店、という評価になるそうだ。
東京ではあまり「丸ほしいも」はみかけないので、買えるときに買っておきたい一品。

B級品ともなると、とたんに激安、かつ重さずっしりになる。
紅はるかでも1kgが1,800円。安すぎる。
「新物」とそうでないものとで値段が違うが、「新物」ではないのは1年前の芋を使っているということなのだろうか?詳細は不明。あと、「巾着入り」ということばの意味も、よくわからなかった。
いしとよこさんはウッキウキであれこれを買ってらっしゃる。僕は今回ほしいもの購入には一切タッチしておらず、ひたすら車の運転に徹していた。
弊息子タケも、吊られてウッキウキだ。彼はいしの影響で、焼き芋や干し芋が大好物の3歳児に成長している。今回、ほしいものお裾分けが大量に母親から回ってくることを悟り、嬉しくて仕方がない様子。
2軒目 ほしいも直売所
1軒目の「大丸屋」で予想以上の成果を手に入れた我々。
キレイで大きな店舗で、しかも観光客がバンバン通る通り沿い。B級品を廉価で売っているようなお店ではないと思っていたので、予想を嬉しく覆してくれた。
だったら、ということで立ち寄ったのが那珂湊の港にある「ほしいも直売所」だ。
過去毎年那珂湊を訪れていた我々にとって、「茨城のほしいもといえばこのお店」だった。
そんな僕らの価値判断の基準となるお店に立ち寄って、今回の買い巡りツアーの平均点を再確認したおきたい、と思った。

ということで、ほしいも直売所。
そういう名前のお店だ。

那珂湊にやってきた観光客が手に取りやすい、お気軽なお店の位置とお値段だ。
その他のほしいも直売所は、マニアックな場所にあったりするけど、ここなら大丈夫。値段も、観光地物価で割高というほどではない。
ここで買っておきたいのは、「せっこう」とよばれる商品だ。ほしいもを作る際に切り落とした両端部分や、崩れた部分などを「せっこう」と呼ぶ。要するにB級品のことだが、味に問題はない。贈答品にするつもりでなければ、まずはせっこうをゲットすると良い。
280gで400円など。

そのあと、那珂湊のおさかなセンターをざっくり歩く。
今回はほしいも巡りなので、ここに時間を割く予定はない。お目当ては、毎年ここで買っているとても美味しいサバのみりん干しだ。それさえ買ったら次の店を目指す。
ヤマサ水産と森田水産の間にあったお店が店を畳んでいてちょっとびっくりした。

アンコウが丸干しされていた。
丸干しのアンコウ、どうやって食べるんだろう?

鮮魚を買う予定はなかったのだが、弊息子タケの知育のために魚売り場を見て歩く。
なかなか、これだけ迫力がある魚を見られる場所はない。
もちろん、毎年のようにアンコウやメヒカリを買って帰ってもいい。しかし、アンコウもメヒカリも鮮度が大事な食べ物であり、茨城旅行から帰ってきたら慌ただしくあんこう鍋やメヒカリの唐揚げを作らなければならなくなる。それは結構しんどい。
なので、もう、暇なときに御徒町の吉池でアンコウを買ってくればいいや、ということにした。
あ、でもついメヒカリの一夜干しはここで買ったけど。

巨大な伊勢海老が動いていないので、大きな声で「動いてーーーー!」と声をかけているタケ。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (2件)
干し芋は買うと高いのでここ数年は手作りしてます。
といっても、さつまいもを蒸して、熱いうちに皮を剥き、冷めてから切り分けて、100均で買った200円の網に入れて干すだけ。
剥いた皮は塩こしょうにちょっとバター落としてオヤツに(笑)
安納芋は高いだけあって甘い仕上がりに、紅はるかは芋の個体差があり、蒸して切った時にだいたい仕上がりの味が予想できます。
きちんと天日に干すせいか、そこらのスーパーの安い干し芋(といってもやはりそんなに安くはない)と比べたら十分過ぎるほど美味しいのができますよー
ネーマさん>
ほしいも、手間がかかるし乾燥させて目方が減っているしで、容量の割に高い食べ物ですよね。
ビーフジャーキーが恐ろしく高いのと同じ、と思えば「まあそうかな」と思いますが、芋という庶民的な食べ物のはずがこんなに高いなんて・・・と驚きます。
自家製ほしいもを作っている人、初めて知りました。面白い取り組みですね。自分で干し加減をコントロールしたりして、冬の面白い趣味になりそうです。