「ZOZOMAT」なるものがあると聞き、さっそく手に入れた。

アパレルECサイトの「ZOZO」が、以前「ZOZOスーツ」なるものを提供していたことがあった。水玉模様のような柄のついた全身タイツで、これを着て全身360度をぐるりと撮影すると、その人に合ったサイズの服を提案してくれるというものだった。

(初代ZOZOスーツはもっとすごくて、タイツそのものにセンサーが搭載されており、着るだけで体型を測定してくれるというものだった。ただし、コストの面で問題があったようで、2代目ZOZOスーツはモーションキャプチャーを想起させる模様だけのスーツになった)

素晴らしい!と思ったのだけど、結局このサービスはビジネスとして軌道に乗せることができず、サービスは終了してしまった。

体型をピチッと測定できても、その精度に見合った縫製技術を自社で確立できなくてはだめだし、ファッショントレンドに応じて「ピタピタのサイズ感の服が良い」時代と「ゆったり目のサイズ感が良い」時代は移り変わる。ぴったり体型を測るということが消費者にとってうまくはまらなかったのかもしれない。

一方、靴に関しては「ピッタリ」なサイズが良いに決まってる。いくら時代が移り変わっても、オーバーサイズでダボダボなものを履くのが流行るということはないだろう。そして靴のサイズにまつわる不満やトラブルは誰しもが経験があることだ。なので、「ZOZOスーツの技術を活かした、足のサイズ計測サービスがある」と聞いて僕は飛びついた。

僕の足ならともかく、弊息子タケ3歳の靴のサイズに、いつも悩んでいたからだ。

彼は幅広甲高で、ピッタリの靴がなかなか見つからない。過去、何度もこのサイトで靴選びについて話題に取り上げてきた。

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彼は昔ほど歩いている最中に転ぶことはなくなった。その点は良かったのだけど、足の小指がまっすぐではなく、やや内側に倒れ込むような形になってしまっている。靴のサイズがあっていないせいだ。

一度小指の骨格が歪んでしまうと、足の裏全体で体重を支えることができなくなってしまう。なので、少しでも解消するようにと、僕ら親は隙あらばせっせと我が子の足をマッサージしている日々だ。

なんで3歳児の足をモミモミしているんだよ、僕がやって欲しいくらいだよ、と思いながら。

最近は数ヶ月おきに「ゲンキ・キッズ」という、シューズメーカーの「ムーンスター」が運営する靴屋さんに行き、そこで足の裏専用のスキャナーでサイズ測定をお願いしている。

https://www.moonstar.co.jp/genki-kids

そして彼の足に合った靴を買っている。Amazonであれこれ靴を探して買うよりも、ちゃんとした測定データとプロの知見を採用しないと、彼の足に悪影響だと感じたからだ。

今のところ、幼児の彼にあう幅広靴は、ニューバランスの313、シュンソク、ムーンスター、イフミーくらいしか僕らは知らない。案外、世の中に存在しないものだ。少なくとも、西松屋で売られている靴で彼に合うものはない、と思っている。

そんな中、ZOZOMATですよ。しかも、「for KIDS」という子供用の足型測定ソリューション、しかも無料提供だと聞いて僕は飛びついた。世の中には、もっと彼にあった靴がいっぱいあるはずだ。足型を測定してもらい、ZOZOにあれこれ提案してもらいたい。

しばらくして届いたのが、これ。ZOZOMAT。ビニールの封書だった。

実際に計測するのはZOZOのEC用アプリの1機能であり、この封書の中に入っているのは足型を測定するためのマットらしい。

写真に写っているのは大人用のZOZOMAT。これとは別に、子供用のZOZOMAT for KIDSがある。

僕自身、インソールをあれこれ試していたり、整形外科の治療を受けたり、足の裏には悩みがある。なので子どもに便乗して、僕もピッタリサイズの靴をZOZOに調べてもらおうと思っている。

これがZOZOMAT for KIDS。

へえー。面白い。

緑色の足型が2つ。そこに足を乗せ、ZOZOアプリの指示に従いながら足を360度撮影していく。

弊息子タケもすんなり協力してくれた。子どもも素直に協力してくれる、そんな手軽さが良い。

緑色の足型の周囲には、謎の◯マークがいっぱい描かれている。それぞれの白丸の中には、黒点がたくさん描き込まれている。このマークと人間の足とが同時に撮影されることで、正しく寸法が測れるのだろう。レンズの歪みとか、スマホカメラの傾きとか、正しく寸法が測れない要素はいっぱいある。それを補正する効果があるのだと思う。多分。

そしてそんなマークの周辺には、「BLUE」「PURPLE」などと色分けした円がぐるっと取り囲んで描かれている。

ZOZOアプリの撮影画面からは、音声で「青色の方から足を撮影してくれ」「次に紫の方から撮影してくれ」などと指示が出るので、それに従ってぐるっと6枚写真を撮影したら、測定終了。あっという間だ。これなら子どもが飽きて逃げ出すということもない。

そして測定結果がZOZOのアプリに表示される。

「へえーーー」

と思わず声が出る。詳細に測れるものだな、これは驚いた。1mm刻みで、5項目の測定が行われていた。足のサイズに左右差があることなども一目瞭然だ。

もっとも、3歳児の足の測定だ。重心がどちらかに偏った立ち方をしていた可能性はあるし、そもそも朝の測定なので夕方に測ればまた違った結果になるだろう。何度か状況を変えつつ測定し直して平均値を見極めたほうが良さそうだが、だとしてもこの結果には感心した。

タケの足は「幅広甲高」だと思っていたが、「足甲の高さ:低め」ということを知って驚いた。

親の勝手な思い込みだった。エビデンスベースでこういう結果を教えてもらえるのは素晴らしい。

なお、タケの靴を買うときは無条件で3Eを選んでいたが、実際の彼の足は2Eが適切だったらしい。

とはいっても、2Eの靴なんてなかなか見かけないのだけれど。

測定結果まとめ。

先日、彼の足幅がキツいのでついに18センチの靴を買ったのだけど、やっぱり18センチはデカすぎたことがこの結果を見てもわかる。

で、これまで示された数値は正直どうでもいいんです。彼の成長記録としてこれを大事にメモるつもりもない。

僕としては、「じゃあ、どの靴がジャストなんや?」ということが知りたい。端的にそれだけ。

・・・なんだけど、「これだーーーー!」というものをZOZOは提示してくれなかった。えー、それを期待したのに。

ずらっと並んだ靴のサムネイル画像を見せられても、全然ワクワクしない。そういうこっちゃないんだよなぁ、ミリ単位まで測ってくれたんだから、靴ごとの特性を踏まえ、「この靴ならばあなたの足にジャストフィットですよ!」というのを教えてほしいんだよな。

単に足の長さだけでなく、幅だとか高さだとか、5つも測定したんだから。

そもそも、この靴画像の上の部分で「あなたが欲しい靴のサイズは何センチか?」を選択して商品を絞り込むUIになっているのがあまりにイケてなかった。そういうのも含めてオートマチックに表示してほしかった。足のサイズをユーザーに入れさせる時点で、がっかりした。

一応、「ZOZOMAT対応」というアイコンがついている靴をクリックすると、一応「今日時点の相性度」というのが表示される。

そして、「履ける期間:~10月頃」「次のサイズ 17.5センチ 履ける期間:9月~2025年6月頃」という表示がでてくる。これは面白い。

とはいえ、相性度90%と言われても、何がどう相性が90%なのかよくわからないし、タケ本人の足の形にどの程度近似しているのかが全然わからない。

結局のところ、まずはZOZOが取り扱っている靴すべてのインソールの形をZOZOが測って、そのインソールの型とユーザーの足裏がどの程度マッチするのかを画像で重ね合わせて画面に表示する、くらいのことをしてくれないと、僕自身は納得できない。

この相性度を見ても僕は「うーん?」としか思えなかった。

一方、大人のZOZOMATは形がやや違う。

子どもが測定しやすさを重視したため両足一度に測れる作りになっているのに対し、大人のマットは足型が一つしか描かれていない。そのため、右足を測って、その後に左足を測るという二度手間になる。

そのかわり、計測の精度が高くなるのだろう。たぶん。

こちらもfor KIDSと同じ、不思議な模様が描かれている。

片足づつの測定だけど、あっという間だ。本当に気軽。これだったら毎日測れる、というレベル。

足のデータが表示されるのは、for KIDSと一緒。しかし、子供用と大人用とで違うのは、大人用の場合は相性度が高いと思われる商品から順に、おすすめ商品をずらっと紹介してくれることだ。

これだよこれ、こういうのが欲しかったんだよ!!

・・・と思ったが、僕にとって真っ先に表示された靴がVANSだった。

えー、VANS?

VANSが悪いとは言わないが、ABCマートなどでよく見かける、ひじょーーーーーにメジャーな靴だ。今更ご提案頂いてもなあ、というのが正直な感想。ちなみに2位がadidasで、2万円を越える商品だった。いや、そんなに高い靴は買えないよ。

このオススメ結果は、靴の値段や色といった絞り込みが(今のところ)できない。「お前にあう靴はこれだ!」と言われておしまい。いや、もう少しこっちにも選択の自由を与えてくれよ。というか、値段くらいは絞り込ませてくれ。そして、「こんな靴もありますよ?」という未知の・意外性のある靴も提案して欲しい。

そもそも、「28.5センチだと相性度93%で、28.0センチだと相性度84%」というのがよくわからない。84%だと良くないのか、それともまあまあイケるのか、こんな数値を見せられても「だから何?」としかいいようがない。1つの商品の中でさえこんな有り様なので、第二候補、第三候補との比較となると余計わからない。「◯か✕か」くらいのわかりやすさで教えてほしい。


ということで、ZOZOMATは技術として素晴らしいし、こういうサービスをリリースする心意気もとても素敵だと思った。しかし、肝心の商品購入につなげるところが弱くて、これでは靴を買うモチベーションが上がらなかった。

当初は、ZOZOの心意気を買って、1足くらいお礼がてら買ってみようと思っていた。でも現状では「自分が納得できるものがわからないので、商品を選べない」状況だった。

じきにサービスがどんどん向上していくのかもしれない。そのときには、自分にぴったりの靴を買ってみたいものだ。特に、できれば登山靴でそれが実現すると僕にとってはすごく嬉しい。

(2024.09.07)

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