かんだやぶそば(01)

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2000年01月15日
【店舗数:007】【そば食:010】
(東京都千代田区神田須田町)

鴨ロース、刺身湯葉、せいろうそば、ビール、熱燗

かんだやぶそば

そばを食べるなら、老舗と呼ばれるお店の門をくぐらなければ始まらないだろう。たとえ、その「老舗」が知名度だけでもっているお店で高慢ちきな対応をしているとしても、だ。

それならば、「やぶ」にいかねば。以前から、秋葉原帰りに地下鉄淡路町駅方面に歩いていると見かける事ができたそば屋。神田のど真ん中に平屋で庭付きのお店なんてありがたくて柏手を打ちたくなってしまう。「老舗」ならではのぜいたく、だろうか?

しかし、このお店は知名度の割においしくない、接客態度がそれほどよくないといううわさは時々耳にしていた。まあ、この手の老舗ってのは必ず「あそこも味が落ちたね」なんて言われる宿命にあるわけで、どこまで「おいしくない」を真に受けてよいのかは自分の舌で確かめるしかないだろう。

そういえば、老舗と呼ばれるお店で「あそこは味が良くなったね」といううわさって一つも聞いたことが無いなあ。やっぱ、日本人てのはどうしても「批評=悪いところを指摘する」となっちゃう文化を持っているからだろうか?その結果からか、いまだに「先代の味を頑固に守り続けて早○年」みたいな事を平気でのたまっているんだから、参ってしまう。進歩しないことがイコールおいしい事だってのは決して決して正しいことじゃない。現代科学を用いて、よりおいしさを追求することは可能なはずだ。微妙な温度調整であるとか、より美味になる調理法とか。化学調味料だとか工場生産の合理主義とかそういう現代科学の負(?)の部分だけのために、その他良い技術を採用しないのであれば、それは停滞だろう。

と、前置きが長くなったが、かんだやぶそばに行った。やぶそばのすぐ前に、立ち食いそばのお店があってとってもチャレンジャーだと思った。こういう時、ついついあまのじゃくで立ち食いそばの方に入ってしまいたくなるのだが、今日は友達もいるということでぐっと我慢。

待合室があり、そこで待たされるものだとばかり思っていたらすんなり入店。おや、老舗ってのはそんなに敷居が高いものじゃあないのか。メニューを見て、さらに肩の力が抜けた。てっきり、もりそばだけでも千円以上するようなお店なのだとばかり思っていたが、「せいろうそば」が600円也。おい、ふつうのお店と一緒だぞ。立地条件を考えると、安いくらいだ。

外から見ると広々としているが、店内からみると案外狭く見える庭を観賞しながらお酒を一献。広い店内はいっぱいのお客さんで、ひっきりなしにお客が出入りしている。だから、「ああくつろぐなあ」とゆったりとはできないが、雰囲気は悪くない。

刺身湯葉

頂いたおつまみは、鴨ロースと刺身湯葉。鴨ロースとは一体何物なのかと注文したら、焼き豚みたいなのが出てきてびっくり。なるほど、これが鴨ロースだったのか(写真参照)。味?うーん、お酒のつまみとしては物足りないかな。そのかわり、刺身湯葉はおいしかった。ああ、滋味という言葉は湯葉のためにあるんじゃないかってくらいだ。湯葉があるとお酒が進む進む。おっかしいなあ、昨年秋くらいまではほとんど湯葉なんて食べなかったのに。そばを食べるようになると、必然的におつまみがシンプル化していき、その極限がきっと湯葉になるのかもしれない。

周りを見渡すと、結構な数のテーブルで、なにやら鍋が湯気を噴いていた。どうやら、あさりの酒蒸しらしい。なんでそば屋なのにみんな食べているのか?謎だ。次回にでも挑戦せねばなるまい。値段は・・・1000円。うーん、どうも庶民的な値段だよなあ。本当にここは「老舗」か?

せいろうそば

最後は「せいろうそば」だ。「せいろ」ではなく「せいろう」というのが老舗ならではなのかもしれないが、その「う」がつくかつかないかは正直どっちだっていい話。数々の「味が落ちた」といううわさをこの舌で実証しなければ。・・・ん、おいしいぞ。そばの味はしっかりしているし、口に含むとふぁーんとそばの香りが立つし。今年食べたそばの中では一番おいしいぞ。おい、誰だ、味が落ちたなんて言ってるヤツは。

こちらとしては、「ああやっぱり老舗とは名ばかりでそばの味は大したことなかったね」と言うつもりでいただけに、このおいしさは虚をつかれた。前田日明に死角から顔面蹴りを食らった長州力の心境だ。「そんな馬鹿な」と、同行していた友達に感想を求めたところ、彼も「おいしいおいしい」と食べている。うーん、これは一体どういうことだろうか。

一つ考えられるのは、われわれがおいしいと感じているそばのレベルがあまりに低い、ということ。だから、一般的には「そこそこ」な味わいであっても「うっひゃー、おいしいなあ」と感激しているというわけだ。うむ、これは十分考えられる。

あともう一つ、考えられるのは老舗の宿命として、通ぶった人々の「あそこはもうダメだよ、味が落ちた」というあまり根拠のない言葉の標的にされているということ。これも考えられる話だけど、その割には「いまいちだ」という人が多いような。

現時点では、とても結論は出ない。もっともっと、そばの経験値を高めた上で再度訪れなくてはならないだろう。たくさんのそばを食べた上でもう一度このお店に訪れた時、果たして僕は「ああ、やっぱり味はいまいちだよねえ」と言うのだろうか?



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