そば処 今村

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2000年02月04日
【店舗数:023】【そば食:037】
東京都板橋区前野町

あげそば、大もりセット、熱燗

今更告白するが、この日は平日。当然普通のサラリィマンはお仕事をしている時間に、こっちは蕎麦屋探訪でお酒を飲んで上機嫌とくらぁ。こういうシチュエーションにすこぶるエクスタシーを感じるのは、己が変態だからなのか、それとも単なる小市民だからなのか。そんなこんなで、平日昼に遊んでいるという開放感に突き動かされ、はるか彼方埼玉県新座市にある「鞍馬」なる蕎麦屋に自転車で突撃しちゃれ、と「さらし奈乃里」で満場一致(自分しかいないやんか!)で決定したのであった。

自転車だと、大体1時間半近くかかる距離。相当なモンだ、蕎麦一枚頂戴するだけのために往復三時間の運動。それもこれも、のどかな平日の昼下がりだからこそ、そんな気にさせたわけである。単なる思いつきだ。

しかし、いざ自転車を走らせてみると、さっき飲んだお酒でテンションは高いものの根気はうせてしまっており、なおかつ袋小路の住宅街に迷い込んでしまいすっかり行く気を無くしてしまった。ここは名誉の撤退としよう。・・・と、自転車を漕ぎはじめて3分で思い立ったのであった。早い?ほっとけ。

今村外観

ただ、せっかく時間に余裕があることだし、近場の蕎麦屋にもう一軒行くことにした。自宅から徒歩5分のところにある、「今村」がそのターゲット。見るからに町にとけ込んでいる普通の蕎麦屋であり、お店の横には出前用のスクーターも置いてある。さらに、入口のショーウィンドーにはドラえもんの容器にかわいらしく盛りつけられた「お子様ランチ」が・・・。ここでのそばの味は期待しちゃいけない。

ちなみに、お子様ランチはドラえもんの大きな口の中にそばを「押し込んでいる」ため、端から見ているとドラえもんが泡を吹いて卒倒しているように見えて、非常に気持ちが悪かった。

いや、このお店を馬鹿にしてそんな事を言ってるわけではない。立場が違う、という事だ。このお店は、明らかに「みんなで楽しく蕎麦を食べよう」というスタンスのお店であり、先ほどのさらし奈乃里みたいに、そば好きさんいらっしゃい、という間口を狭くしたような(偏見を承知で書いてます、比較のために)お店とは全然違うもの。そういう割り切りでお店に入らないといけないし、万が一蕎麦がおいしくなくてもそれはそれで知ったかぶりして悪口を言ってはイカンと思う。

と、自分のスタンスを念入りに確認した上で店に入った。中はいかにも大衆食堂的蕎麦屋!という作りで、何か懐かしい気分になる。そういえば、そば食い人種になってからこのような大衆蕎麦屋に入るのは初めてだったっけ。

「さらし奈乃里」とはうって変わって豊富なメニュー。今までは黙って「もり」と頼めばそれで良かったし、カッコエエと思っていたが、こうも選択肢があるとさすがに迷う。迷ったおかげで、判断がニブってしまいついついお酒を注文。だって、350円とえらく安いんですもん。あああ、さっき「さらし奈」で飲んだばかりなのにー。

さあそうなるとお酒のつまみを頼まなければまとまりがつかないぞ、と泥沼戦線に突入。これまた豊富なおつまみの種類に半ば逆上しながらお品書きをぱらぱらとめくっていたら、「あげそば」発見。300円也。早速注文してみることにする。

出てきたあげそばは、300円の分際でボリュームありすぎ。うれしい反面、単調な味がひたすら続くためにげっそりしてしまった。

このあげそばは、なぜか天ぷら盛りつけ用の竹ざるに入れられていた。しかも下に薄紙を敷くという事もしていないので、あげそばをぽきぽき折って食べているうちにざるの隙間からそばがこぼれ落ちる。ある程度食べては、卓上にこぼれ落ちたそばを拾い上げて、それを捨てようかそれとも食べようか躊躇する羽目に。何かわびしくなってきてしまった。

わびしいといえば、出てきたお酒が甘ったるいもので、とてもじゃないがそばにあうとは思えない味だった。こぼれ落ちたあげそばをぽりぽり、甘い酒をぐいっ。うーん、こういうわびしさも、なかなかオツなのかもしれない。(結局こぼれ落ちたそばも食べている)

このあげそば、店のおばちゃんに注文したとき、「アげソば?」と逆に聞き返されてしまった。どうやら、この人今までに「あげそば」というメニューが店にあることすら知らなかったらしい。ということは、ひょっとしたら僕が注文第一号ってわけか?

自信満々に「ええ、あげそばです」と返答してあげたが、まだそのおばちゃんは納得できないらしく、不思議な顔を隠そうともせずに厨房にオーダーをしていた。「ええーっと、あげそば?ですか?をお願いします?」。おいおい、語尾に全部ハテナがついているぞ。この後、厨房内でヒソヒソ声で調理人に「アゲソバってあのあげそばですか」とわけのわからん日本語で確認をしていた。

大もりセット

「大盛りセット」なるメニューがある。定食でもあるまいし、何がセットになるのかと思ったら、「もりそば」+「大盛り」+「天ぷら」という事らしい。これ、俗に言う「天もりの大盛り」ってことですよね。「セット」と称する店って初めて見たぞ。まあいい、本日のお薦めと言うことで入口のホワイトボードにも書いてあった事だし、注文してみることにするか。

過去を振り返ってみると、天もりを食べるのはこれが初めての体験だ。そばはそばで伸びる前につるつるっと食べたいし、かといって天ぷらが冷めるのをみすみす見逃すのは親不孝と同等罪深い事だし。このアンビヴァレンツな状況がイヤで、今まで注文したことがなかったのだが、さて今回はどうだろうか。

うむ。考えすぎでした。そばがあんまりおいしくなかったので、天ぷらをやっつけるのに専念できたから。この店、壁やメニューのあちこちにそばの蘊蓄を書いていたので、ひょっとしたら・・・と思ったんだけど。天ぷらについては、さらし奈乃里と比べるとはるかにマシなものが出てきた。ちゃんと衣がぱりっとしていたよ。やっぱり、店で食べるからにはこうでなくっちゃ。

天ぷらを普段最もよく口にするのは、スーパーのお総菜売場で買い求めたパックものだ。当然、揚げてから何時間も経過しているので、全体に油がまわっているし、スナック菓子みたいに衣が固くなってしまっている。そうでなければ、家で母親が作ってくれる天ぷらだが、これはこれで衣がもってりとしてしまっている。だからこそ、お店でカネ払って食べる天ぷらはしっかりとそれらと差別化して欲しいと思う。その点、このお店はそばはイマイチどころかイマニ、イマサンくらいのできではあったけど天ぷらはとりあえず差別化されてた。そばはさらし奈、天ぷらは今村って組み合わせだとうれしいんだけど。

それにしても、安い。これだけ食べて1650円で済んだのだから。安くそばを食べてお酒を飲みたければ、迷うことなくこのお店だろう。でも、このお店ではリラックスできそうにないから、もう一度このお店に来ることは果たしてあるのだろうか。家から近いけど、その機会は無いような気がした。



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