竹老園 東屋総本店

2000年09月16日
【店舗数:054】【そば食:115】
北海道釧路市柏木町

大もり

山仲間のコダマ青年と、羅臼岳-雌阿寒岳の登山のため北海道遠征中。この時の模様は「へべれけ紀行」内で紹介されているので、ご参照ください。

体調が回復していないおかでんは、雌阿寒岳に登っていったコダマ青年とは別行動で、釧路に向かった。釧路湿原を見たかったのもあるが、釧路に「竹老園」という老舗の蕎麦屋がある、と聞いていたからだ。ガイドブックによると、北海道で最初の蕎麦屋なのだとか。

面白い。北海道で蕎麦か。ついつい、海の幸やラーメンに目が向きがちだが、北海道といえばれっきとした蕎麦の一大産地。美味いお蕎麦やさんだってあるに違いない。

霧の街・釧路を、ぼんやりとしか把握していないお店探しでうろうろする。

「そば切りを食べようというのだから、街が霧につつまれているというのは非常に縁起がいいねぇ」

と強引な事を口にしてみる。こうやって知らない土地で、蕎麦を食べるというのは非常にワクワクさせられる。

しばらく車で右往左往していたら、道路を挟んで大きな駐車場を持つお店に行き当たった。そこが、竹老園東屋総本店だった。明治7年小樽にて創業、明治45年にこの地に開業したという、思いっきり北海道の歴史を歩んできた蕎麦屋が、ここだ。屯田兵の時代から、道民と歩み続けてきた蕎麦屋。やはり、量が多くてごつい田舎そばみたいなのが出てくるのだろうか?昔は、北海道で米は収穫が難しかったはず。蕎麦を主食にしていたとしても何らおかしくはない。

と、都会育ちおかでんは一人「開拓時代」に思いを馳せて車を降りた。しかし、目の前に展開されている光景は、あくまでも20世紀末のものだった。

むむ。駐車場、黒塗りの車ばっかりだぞ。社用車だらけだ。しかも、白手袋の運転手さんが、お店の入り口近辺でウロウロしている。主の戻りを待っているのだろう。なんか、蕎麦屋でこんな光景を見せられるとちょっと幻滅だ。

それにしても、1台、2台の黒塗り高級車なら「ああ、蕎麦好きの社長さんが食事に来たのかな」とも思うが、5台、6台も並ばれてしまうと「一体何があるんだ?」と気になる。釧路のお偉いさんが会合でも開いていたのかもしれない。

会合も開けてしまう、蕎麦屋。うーん、東京方面ではあまり考えられない光景だ。

竹老園外観

このお店、ぱっと見は普通の蕎麦屋だ。店名が書かれたのれんが下がっていて、庶民的といえる。しかしくせ者は、そのすぐ脇にある立派な門だった。白手袋軍団がそのあたりにたむろしていたので、何事かと門をのぞき込んでみた。すると、おおお、奥のほうまで庭園が広がっているではないか。どうやら、「普通の蕎麦屋部門」と、「庭園を見ながら優雅に蕎麦部門」の二形態で営業をしているらしい。

後で調べてわかったのだが、庭園サイドのお座敷席は追加料金を支払うことによって確保できるらしい。せっかくだから、このお店に来たのなら庭園を見ながらの方がいいかもしれない。

庭園側の混雑は伺いしれないが、我らが庶民派店舗ではお客さんがいっぱいになっていた。12時半、というお昼のピーク時とはいえ、ちょっと意外だった。周りは釧路の繁華街とはほど遠い場所だ。「会社の昼休みで、飯食いに来ました」というわけにはいかない立地条件にある。この人達、どこから湧いてきたのだろう。結局、しばらく待たされる事になった。

竹老園お品書き

お品書きを見る。

・・・変なお品書きだ。普通、「もり」「ざる」から紹介されるものだが、このお店の場合、いきなり「かしわぬき」が紹介されている。

かしわぬき、って何だ?

その次には、かしわぬき種込、というメニューがあるし、「温かいそば」の欄には、かしわそばというメニューがある。

どうやら、「かしわぬき」とは、鳥でダシをとったスープの事を指すらしい。種込、というのはかしわの肉入りのスープ、そしてかしわそばというのはかしわ肉が具のそば。

いきなりスープかい。すげぇ蕎麦屋だな。

驚いたが、後になって調べてみると、昭和天皇が訪問の際、かしわぬきをお召しになって、絶賛してお代わりを要求したという逸話があるらしい。ははぁ、なるほどそういうことか。

しかし、蕎麦屋でありながら、蕎麦を否定するようなメニューをですね、真っ先に据えるというのはチャレンジャーだ。このお店、侮れんぞ。

もりそば

このお店を訪問した当時は、そんな背景があるとは知らなかったので、大人しくもりそば(540円)を注文した。

しばらくして出てきた蕎麦は怪しいまでに緑色をしていた。一瞬、茶そばが出てきたのかと動揺してしまったが、他の人もみな緑色の蕎麦を食べている。これが「通常モード」らしい。

どこかで見たことがある色だぞ、と思ったら、かんだやぶそばもこんな感じだったっけ。さてはクロレラを練り込んだな?

クロレラって健康にいいですよー、というのは聞いたことがあるが、蕎麦に練り込む必然性って一体なんなのだろう。発色させるためなのだろうか。いや、そんな安直な理由とは思えない。クロレラの効能について、webで調べてみたところ

クロレラから抽出したクロレラエキス(CGF)は、動物の成長促進、植物ホルモン様効果、オスの発情促進、妊娠率の増加、疲労回復効果などが見られます。若さや美と健康の維持に役立つ有効成分をたくさん含んでいます。

だ、そうな。あ、いかん。がぜんムラムラしてきたような気が。

冗談はともかく、食べようにも箸が見あたらない。店員さんに「あの、箸は?」と聞いてみたら、座っていた机の側面にあった引き出しをあけ、そこから箸を取り出してくれた。こんなところに引き出しがあったなんて、学習机かこれは。飲食店で産まれて初めて、「箸を机に組み込まれた引き出しの中から取り出す」という光景を見たためクラクラしてしまった。いかん、まだ体調が本調子ではないようだ。(このときの体調不良で、4日間で体重が4キロ減ってしまった)

蕎麦を頂いてみる。ずるずる。

うーん?あんまりおいしいとは思わなかった。

やはり、蕎麦屋に行って、何が何でもまずはもりそば、じゃダメだな。お品書きに「当店名物」とバーンと書かれているんだから、そっちを食べなきゃ。

黒塗り車が大挙して押し寄せるくらいだから、きっとおいしい蕎麦が食べられるのだろう。新蕎麦シーズン直前ということで季節が悪かったことと、体調不良で味覚が馬鹿になっていた可能性がある。次回またここを訪れる事があるかどうかわからないが、次こそはかしわぬきをゴクゴクと飲んでみたいものだ。