2000年11月03日
【店舗数:058】【そば食:128】
長野県南安曇郡穂高町
もりそば、ビール
安曇野翁で絶景と美味い蕎麦を堪能した後、われわれは山を駆け下りて2軒目の蕎麦屋に向かった。お店をハシゴできるのは蕎麦の特権だ。これがラーメンではなかなかそうはいかない。1軒で相当おなかいっぱいになってしまう。
さて、2軒目に選んだのは、「やまに」という蕎麦屋さんだった。これもKOKOTONのサイト情報によると「こだわり系」にジャンル分けされているお店であり、興味深い。
ただ、お店に行くまでがオドロキだった。広域農道を走っていたら、小さな「やまに」と書かれた看板がでていて、ここを曲がれ、という。いや、でもこの道田んぼの中を突っ走ってる小さな脇道なんですけど。見わたす限り、蕎麦屋らしきものは存在しない。
でも看板はうそだ!誰かがいたずらしたんだ!と否定する根拠もなく、半信半疑ながら道を進む。途中、田んぼの中で90度曲がって、しばらく走っていくと・・・一軒家の民家に行き着いたんですけど。
いや待て、「営業中」とかかれた看板があるぞ。おや、ということはここが「やまに」か。うわ、ホントに田んぼの中にぽつーんとあるお店なのだな。
よくもまあ、こんなところにお店を作ったもんだ。今でこそある程度の知名度を持つようになったから、わざわざ食べにくるお客さんもいるだろう。しかし、開店直後は全然お客さんが居なかったのではないか。なにしろ、どう考えても「通りすがりに、ふと小腹が空いたので蕎麦食べに立ち寄りました」というお客さんは無理な場所だ。また、近くに公共交通機関があるわけでもなく、あるのは一面の田んぼだけ。
だいたい、このお店にアプローチする道路が、店の側面に垂直にぶつかる角度で走っている。だから、入り口にのれんがさがっているのを発見するためには、店の前にある駐車場まで侵入しないとわからない。何とも不安にさせる蕎麦屋だ。でも、それが故に、なんだか「秘境の蕎麦屋発見!」という感じがしてワクワクさせるのも事実だ。
立地条件が相当凄かったのだが、店の中はごく普通の蕎麦屋だった。当たり前だ、別に仙人が住んでいたり野良仕事さっきまでやってました、っていうオッチャンが蕎麦打っているわけではあるまい。
全員がもりそばを注文。
出てきたもりそばは、結構な量があった。値段は600円だったと記憶しているが、その割には多い。立地条件の悪さを盛りの多さで還元しました、って感じだ。
ずるずる。
あ、これは地味に美味い蕎麦だ。
さっきの安曇野翁が「どうだ!」と目立つ美味さだったのに対して、こちらの蕎麦はさりげなく美味い。
「美味いな」
「ああ、さりげなく、美味いな」
お互い蕎麦をすすりあげながら、頷きあう。
立地条件のマニアックさが、「こんなお店で蕎麦をすすってる俺達」という満足感を高めて、美味さを引き立てた要素はあるだろう。ただ、それを抜きにしても、この蕎麦はおいしかった。
「ただ、惜しむらくは店が普通の蕎麦屋なんだよな。せっかく田んぼの中の一軒家蕎麦屋なんだから、もう少し俗世間っぽくない作りだったら最高」
「君もぜいたく言うねえ、いいじゃん、うまい蕎麦食えれば」
「まあ、そうなんだけどね」
「だいたいアンタ、この店でビール飲んでおいて何を言ってるの。俗世間にまみれてるじゃないの」
「まあ、そうなんだけどね」
結局このお店でもお酒に手を出してしまった。ビール1本。とてもおいしゅうございました。
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