大久保の茶屋

2000年11月04日
【店舗数:061】【そば食:131】
長野県上水内郡戸隠村

山菜天ぷら、ざるそば、酒(大徳利)

大久保の茶屋

新蕎麦食べ歩きの旅は二日目となった。今日は快晴。秋晴れの空の下、戸隠に向かう。

まず最初に向かったのは、戸隠の入り口に位置する大久保の茶屋だ。創業は・・・ええと、相当昔だと聞いているので、由緒正しい蕎麦屋ということになる。あ、のれんに書いてあった。文化3年創業、だそうで。

今でこそ、「蕎麦の観光地」として戸隠は名高くなり、たくさんの観光客が押し寄せるようになった。それ以前は、辺鄙な山の中であり、きっとこのお店も小さな茶店だったに違いない。それが今や結構大きな建物になっている。歴史があるっぽい建物だが、客の増加に伴い構えを大きくしていったのだろう。

のれんをくぐったすぐのところでは、おみやげ物が売られていた。広い駐車場を完備しているし、戸隠に観光バスで訪れるツアー客が立ち寄るには最適なのだろう。いや、観光バスに限らず、われわれのようなマイカー観光客も、いまこうして立ち寄っている。

このお店を選定したのは、別に「美味い」といううわさをききつけて、というわけではなかった。朝10時からの営業、ということで早い時間からやっているという事、そして「戸隠の中心部に乗り込む前に、ウォーミングアップで」という気持ちがあったからだ。

大久保の茶屋店内

まだお昼時になってもいないのに、店内はお客さんがいっぱいいた。いったいこの人たちはどこからわき出てきたのだろう。われわれと同じように、「今日は蕎麦を食べ歩くから早めに家を出なくちゃ」と思ってやってきた人ばかりなのかもしれない。

ただ、長野市街からは車で数十分のところ。田舎風情満点な場所柄だけど、案外都市部に近いので客も多いということか。

店内は相当広い上に、2階部分も客席になっていた。これだけの大規模店舗で蕎麦を食べるのは初めてだ。味のほうは大丈夫なのだろうか。恐らく手打ちではなく、機械打ちだと思われるが。

大久保の茶屋お献立

席に通され、机に立てられたお献立を見る。

先頭に書かれていたのは「そば定食」。なになに、お値段は2,300円?微笑みつつスルー。

朝一発目の蕎麦屋とはいえ、よせばいいのにちゃんと今朝は宿泊先で食事を済ませてきており、各自それほど空腹感はない。ここで調子に乗ってあれこれ頼むほど、金銭的にも胃袋的にもゆとりはない。

むぅ、ここは大人しくざるそば650円を。このお店には「もり」と「ざる」の区別がないらしい。

前日の常念のように、見慣れない料理名が並んでいるような事はなかった。至って普通のお献立だ。おっと、でも岩魚塩焼き700円、というのはちょっと珍しい。お蕎麦食べて、岩魚食べる。あまり想像できない組み合わせだ。でも、人によるとその組み合わせが「通」なんだとか。何だよ、「通」って。

お献立の最後のほうに、「ライス200円」と書かれていた。ご飯がメニューとして組み込まれているというのはあまり見慣れないが、まああり得ない話ではないだろう。でも、なぜに「ライス」なのだろう。「ご飯」ではなく、英語名称を使ったのには何か意味があるのか、ないのか。興味はあったが、さすがに注文はしなかった。温かいそばにライスをつけるのならばいいが、ざるそばライスってどうやってライスを食べればいいんですか。

ちなみに、肉のますゐでは、「ライス」=平丸皿に盛られてくるご飯。ナイフとフォークでいただく。「ご飯」=おひつに盛られてくるご飯。お茶碗によそって、お箸で頂く。・・・という明確な使い分けをしている。このお店は・・・まさかナイフとフォークが出てくることはないだろうな。

お茶請けとしてお漬け物

おつけ物がでてきた。ここでも、料理がでてくるまでの間に漬け物を出す文化があるらしい。暇つぶしにはとても良いが、こういう事を毎日やっていたら血圧が上がりそうだ。

あっ、ライスを頼んでいれば、漬け物をおおかずにすることができたというわけか。これだったら冷たいお蕎麦でもライスが食べられるよ!

注文する気はないが。

山菜天ぷら

山菜天ぷらを頼んでみた。新そばが実る秋だというのに山菜を頼むたぁ季節感も何もあったもんじゃないが、ついつい。

ついつい、といえばお酒も、はい。

お献立に、「酒(大徳利) 650円」と書いてあったのが、妙に感心しちゃって。男前な書き方してるなあ、と。

清酒、とかお酒、という書き方をしないで、ただ「酒」と書いてあるのが潔かった。そして、カッコ書きで「大徳利」と書いてあるのも、男らしかった。ちなみに、お酒はこの1種類しかない。小徳利とかあるわけじゃない。お前ら清酒飲みたければ、酒、大徳利でと頼めよ、と。いや、格好いいなあ。

と周囲の人間に解説するが、あまり賛同は得られなかった。ちぇー。

山菜天ぷらは、適度な苦みがお酒と良く合う。

ざるそば

さて、「酒(大徳利)」を楽しんでいる最中に、お蕎麦がやってきた。おっと、いかんいかん。大徳利をそそくさとやっつけて、そばに神経を集中だ。

出てきた蕎麦は、いかにも戸隠な盛りつけとなっていた。針金を束ねたがごとく、蕎麦を何十本単位で束ね、束にした状態で盛りつけている。確か、「ボッチ」と呼ばれる盛りつけ方法だったはずだ。ちなみにこれは5ボッチ。たったこれっポッチ?と駄しゃれを言ってみるが、これっぽっちどころか、結構な量がある・・・と思う。こういう盛りつけ方はあまり経験がないので、多いのか少ないのか、よくわからない。

そもそも、食べ方としてはこのひと束をぐいっと箸ですくい上げて食べるべきなのかどうなのか。まてまて、ひと束一息、だと5口でこの蕎麦は終わるぞ。恐らくそれは間違いだ。束をほぐしつつ食べるんじゃないのか。

では、何でわざわざ束に?

理由は不明だが、少なくとも「おいおやじ、あっちの客の蕎麦の方が量多いんじゃないのか」といったボリュームのブレが少なくなる可能性は高い。

蕎麦を食べる

とりあえず、全員「きれいに盛りつけられたボッチをほぐす」手法で食べることにした模様。一息でボッチを食べる男らしいヤツはいなかった。

かくいうわたくしも、酒大徳利を満喫して男らしかったが、蕎麦を一息で食べてこれ以上男前度合いを高めても無意味、と判断、ほぐして食べた。

あんな束、一息ですすりあげたら、何のための「麺」なのかわからん。

蕎麦の味は、というと・・・うーん、ボッチという独特の盛りつけのせいだと思うのだが、水っぽい。麺同士が同じ方向にそろえられて、束になって並べられているせいで水切りが甘い。「水っぽい」を「みずみずしい」と形容することもできるけど、新蕎麦の味と香りを期待していたわれわれからすれば「味が薄い」という印象になってしまった。

みんな、「ふーん、戸隠の蕎麦ってこんな感じなのね」と感心しつつ、予習終了。いよいよ次からは戸隠の中心部に突入だ。