手打ちそば工房 若月(01)

2000年11月24日
【店舗数:072】【そば食:144】
長野県上水内郡信濃町

ざるそば、かけそば、ビール

「ふじおか」で衝撃的なひとときを過ごしたあと、われわれは山を下ってきた。まだ車中では先ほどの驚きに圧倒されっぱなしだ。

「いやぁ・・・まだ今日は一軒目なのに、もうおなかいっぱいになっちゃったな」
「そうだな、胃袋の容量もそうだけど、気分的におなかいっぱいだよ」
「今日、この調子だとあと1軒行ってお仕舞いって感じだな」

昨日は4軒食べ歩いたというに、今日は2軒で終わり・・・しかも、「満腹によるギブアップ宣言」ときたもんだ。このギャップは大きい。

その二軒目に選ばれたのが、黒姫駅からほど近いところにある「若月」だった。ここは、女性店主が打つ十割蕎麦が楽しめるという。カーナビの指示に従って道を進むが、脇道にそれて住宅地の中を通るので、やや不安にさせられる。ただ、道のあちこちに「若月」と書かれた方向指示看板がでていたので、ルートは間違っていないようだ。

若月

到着した先には、こじんまりとした新しい建物があった。暖簾には、誇らしげに「霧下蕎麦」と染め抜かれている。ここが若月。そばうち体験ができる体験工房も併設している(要予約)。・・・いや、逆だ。体験工房が先にできて、お店は後からできたらしい。女将の若月一子さんの蕎麦が食べたい、という要望に応えて、蕎麦屋を出したというのが真実とのこと。 昔、蕎麦打ちは信州の女性において重要な仕事だったというから、女流蕎麦打ち職人がいても何らおかしくない。蕎麦が「おふくろの味」というのは何となくイメージしづらいが、この地では当たり前だと思われる。ちょっと楽しみだ。

プラカップにビール

比較的こじんまりした作りのお店だ。厨房スペースはカウンターで仕切られているだけで、作業が丸見えだった。そういえば蕎麦屋って、大抵厨房は奥まって何やってるか見えないところでやっていると相場が決まっているので、この光景は斬新に写った。

※もちろん、「休屋」をはじめとしてオープンキッチンスタイルの蕎麦屋は存在するが、珍しいというのは事実だろう。

そういえば先ほどの「ふじおか」ではビールを飲んでいなかったな。じゃあ、このお店ではビールを頼んでみるか。

出てきたビールに仰天。うわ、透明プラコップだぞ。キリンのロゴが書かれてるれっきとしたメーカー品だけど、まさか蕎麦屋でこいつと遭遇するとは思わなかった。普通、これって海の家とかイベント会場で見かけるものだぞ。

このあたり、「体験工房から派生してできたお店」という店の生い立ちがそうさせているのかもしれない。ジョッキを用意するなんて面倒だし蕎麦屋っぽくないからやらないよ、という事か。

箸も一瞬、スーパーで売られているようなありがちな割り箸かと思ったがこれはちゃんと若月と印刷された箸袋。特注品だった。この辺りはしっかりしているので、ますますプラコップが目立つ。まあ、気にしないけど。

もりそば

まだ二軒目だというのに、蕎麦に相当あてられてしまった。あまりざるそばを食べたいという気が起きなかったので、二人でもりそばとかけそばをそれぞれ頼むことにした。お互い折半して食べようじゃないか、というわけだ。

こちらはもりそば。

かけそば

そしてこちらがかけそば。

おいしかった。

おいしかった。

上品な蕎麦の香りがして、黒姫界隈って蕎麦がおいしいねえ、という印象を強くした。

しかし、残念なことに「ふじおか」直後だったためにやや風味が足りなく感じてしまった。ぜいたくな話だ、多分ふじおかと逆の順番でこの店に訪れていたら、きっと「いやあいいねえ」と褒めちぎったかもしれない。でも、今のわれわれだと「うん、おいしかったです。大満足です」で終わってしまう。申し訳ない。

どちらかといえば、かけそばの方が今のわれわれには口にあった。胃袋に染みわたるつゆ。つゆも良かったが、麺の美味さがかけそばでは引き立っていた。つゆに打ち負けていなかったような。

・・・と、記憶を辿ってみるが、いかんせんやっぱりふじおかのインパクトの前には勝てない。

また時期を見計らって、今度はこのお店単独で訪れてみたい。

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