手打百芸 おお西(01)

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2001年02月10日
【店舗数:083】【そば食:162】
長野県上田市中央西

三種そば

おお西

おお西到着はやや手こずった。カーナビで正確な住所を補足できなかったのと、おお西が移転するだか、移転しただかという情報があったからだった。既に移転済みだったら、追っかけようがない。

とりあえず、狭い上田の市街地を車で走り回ってみた。爆音を慣らし、「ゴッドファーザー」のメロディでホーンを鳴らし、蛇行運転だ。

しぶちょお「人聞きの悪いことを言うな。普通に車運転しとったぞ、わし」

ははー、そうでした。ちょっと一軒目の茜屋でビール飲んじゃったので、気分が大きくなってしまったようだ。詳細な場所は不明とはいえ、カーナビでおおよその場所は掴んでいたので、あとは目視で発見するしかない。車の中の3名とも、スルドい目つきで上田の市街をなめ回した。

しばらく筋道を走っていたら、「おい、今一瞬おお西って字が見えたような」という声があがった。何を馬鹿な、蕎麦屋らしき建物なんてどこにもなかったぞ。

ホンマかいな、と折り返してみたら、そこにあるのは単なる民家だった。これがおお西?いや、確かに駐車場らしきものがあるけど、入り口はどこ?そもそも、お店の看板は・・・あー、あったあった、確かにおお西と書かれた木の看板がでているぞ。家の壁に馴染み過ぎちゃって、一瞬見過ごしてしまった。しかも、昔風に右から左に読ませようとしたらしく、看板には「西おお」と書かれていた。知らない人が訪れたら、このお店の名前は「西おお」だと信じこんでしまいそうだ。

で、入り口ですが・・・ああ、ここから入るんですか?いや、これホントに民家みたいなんですけど。

って、お店に入ったらまんま民家じゃーん。お座敷といえば聞こえがいいけど、おうちの居間って感じ。われわれが座った席の横には、エプソンのパソコンが置いてあるし。

「うーん、蕎麦屋にパソコン。けっこうシュールな絵だな」

三人とも、変なところに感心してしまう。

「だって、さっきからあのパソコンが気になってしゃーない。パソコンだけじゃない、パソコン周辺はものすごーく一般家庭っぽさがですね、漂ってるわけですよ」

恐らくこのお店、昼間は客席として解放しているお座敷も、閉店すると「単なる畳部屋」に格下げされて、ごくごく普通におお西のご家族が住んでいるのだろう。

おお西お品書き

メニューは赤いぺらぺらな紙に手書きで書かれていた。

「ヌゥ、アルコール類は一切置いてないのか」
「まずそこから目に付くのね、アンタは」

それは冗談だが、このお店のメニューで面白いのは「一番粉」から「三番粉」まで、それぞれの蕎麦粉でメニューが構成されていることだった。

だから、もりそばは三種類用意されている。おっと、そばがきも三種類だ。蕎麦を打つ店にとっては大変な労力だと思う。感心させられる。しかし、一体どれが一番美味いんだろう?間をとって二番粉そば!といきたいところだが、何だかものすごく妥協の産物っぽくてイヤだ。せっかくだから三種類食べたい!

そんなアナタに朗報。このお店、三種盛りがちゃんと用意されていた。お値段は1,600円とやや高めだが、馬鹿正直に三種類個別に注文して3,000円支払うよりかははるかにリーズナブル。これは試すしかあるまい。

結局、三人とも三種盛りを頼んでしまった。

「えー、全員同じじゃつまらんだろ、誰か一人くらい二色そば(柚子切り、一番粉)を頼めよ」

思わず不満の声を上げる。

「お前が頼め」
「いや、それはダメだ、僕はおお西三番勝負をやるぞぉ、って今ココロの中で決めたんだから。二番勝負じゃ、一勝一敗の引き分けの可能性があるだろ?」
「何の勝ち負けだよ、それ」

三種盛り

待つことしばし、三種盛りが到着した。

一瞬、全員があぜんとした。おい、丼がえらくでかいぞ。

店員さんは、さも当然のようにごとり、と丼を机に置いて退散していったが、いやどうみても見慣れないサイズの丼なんですけど。

証拠写真。この男が手にしているのが三種盛りの丼だ。遠近法で、近くにある丼がデカく見えているかのように感じるだろうが、実際は見たまんま、デカい。そこに、みっちりと蕎麦が盛られているのだ。三種類それぞれが、下手な蕎麦屋のもりそば一枚分くらいはある。

「さすがは上田、だな。デフォルトでこれかよ」
「女性なんて、残しちゃうんじゃないのか?」

と笑ってしまいながら語り合った。この界隈は、一昔前は主食として雑穀を食べていたせいもあって蕎麦のボリュームが多い、という事を聞いたことがある。まさに、その話を体現しているのがこの蕎麦だ。

さっそく食べてみた。三番粉の蕎麦は、田舎蕎麦っぽい黒さで、味も香りもしゃきーんとする。「うまいうまい、蕎麦食べてるーって感じ」

続いて二番粉の蕎麦を食べてみる。先ほどのワイルドさは無いものの、非常に上品な、そしてつややかな蕎麦の味と香りが口の中に広がった。のどごしも、とても気持ちよい。「うわぁ、これぞ蕎麦って感じ。蕎麦の進化形。さっきの三番粉と比べると、文化人と野蛮人って感じ」

最後に一番粉を食べてみる。蕎麦の香りや味はほとんどせず。口の中にやわらかい甘みが広がる。「なるほどー。これは蕎麦貴族って感じだな。おしろい塗って、『○○でおじゃる』とか言ってそうな感じ」

三人とも、感心しっぱなしだ。それぞれ、非常に特徴的な蕎麦を一度に楽しめたので大満足。しかも、そのいずれもが美味いときたもんだ。

「これだったら、1,600円払っても惜しくない!」

みんな、うなずきながら店を後にした。

「値段は高くっても、あのボリュームだもんな」
「おかげで、おなかいっぱいになっちゃったよ」
「通常だといい事なんだけどな、腹いっぱいになるって。でも、俺らこれからまだあと2軒行かなくちゃいけないんだっけか」
「ふぅー」



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