2001年11月23日
【店舗数:100】【そば食:184】
長野県茅野市北野
御馳走そば、ビール、みつ蔵純米吟醸
この日4軒の蕎麦屋行脚を終えたわれわれは、蓼科にて一泊することとなった。選んだ場所は、ゴルフ場に併設された、早朝からコースに出るお客さん向けの宿泊施設だった。素泊まり。
素泊まりなので、夕ご飯は自己解決しなければならない。そこでもう一軒、だめ押しで蕎麦屋さんに突撃だ。
そこまでやるか、と思うが、「人気味本」で蕎麦屋がたくさん紹介されているので、何となく全店訪問しないと気が済まなくなってくるんだよな。スタンプラリーやってるような感覚だ。
訪れたのは、ビーナスライン沿いにある「みつ蔵」というお店。ぱっと見、洋風な建物なので蕎麦屋っぽくない。釜焼きピザのお店、と名乗っているのが相応しいつくりだ。サンタさんが入ってくるような煙突もあるし。しかし、案外こういう蕎麦屋というのもありだなー、と見ていて思う。変に民芸っぽいというか、和風な作りにすると胡散臭くなってしまうからだ。
ビーナスライン沿いということで、まさに蓼科の目抜き通りだ。しかし、周りは林に囲まれていて、暗闇にぼうっと店の明かりが灯っている感じがいい。
訪れたのは19時近くで、この時間だったら空いているだろう・・・とたかをくくっていた。すると、なんと待ち行列ができているではないか。これにはびっくりした。玄関先で、空席ができるまで待つことになった。町中の蕎麦屋なら兎も角、こんな場所で行列とは全くもって意外だった。しかも、夜なのに。
相当な繁盛店らしい。
そういえば、夜の蓼科は結構暗かった。この時間の飲食店の数は限れているようで、夜まで営業しているこのみつ蔵は観光客に重宝されているのかもしれない。
しばらく待って、席に案内された。
お品書きには、大きく「混雑時の追加注文は、大変お時間がかかります。なるべく追加のないようご注文くださいませ」と書かれていた。このような注意書きが書かれたお店は初めて見た。 蕎麦前を頂きながら、おなかの具合を相談しつつ蕎麦を注文しようと思っていたのだが、こりゃちょっと気を引き締めないと。
「一体何を注文しようか?」
軽く緊張感が走る。過不足なく、注文しなくちゃ。
お品書きの先頭ページに、コース料理が紹介されていた。コースは二種類あるようだ。
そば道楽(2,000円)
・鴨つくねとろろ蒸し ・せいろ ・変わり御飯 ・デザート
御馳走そば(3,000円)
・そばがき ・鴨ロース ・天ぷら ・せいろ ・変わり御飯 ・デザート
御馳走そばは夜だけのメニュー。えーと、変わり御飯やデザートは別にいらないんだけど、「追加注文」の件もあることだしこれでいいや。御馳走そばをオーダー。あっ、あとビールとお酒もね。
・・・ふぅ、これで多分過不足ないと思うんだけど。
ビール到着。揚げそばが付いてきた。
ビールをぐいっと。うん、一日の終わりだなあ・・・って気がする。今日も一日ご苦労さん。
と、思ったが、考えてみれば今朝、一軒目に訪れたおっこと亭でビール飲んだんだっけ。しかも「あらびき」と共に。それにしてもあらびき、その意外っぷりが面白いよな・・・なんて、今日一日の思い出話で盛り上がる。
御馳走そば、最初の一品としてそばがきが出てきた。会席料理でも始まるのか?というようなお盆も一緒だ。
小さな器に、そばがきがこんもりと盛られていた。おや、あんかけになっているのだな。これは意外だった。とろみがついたそばがきを頂く。うむ、おいしい。
注文していた清酒「みつ蔵」もやってきた。本当は、ビールを飲み終わった頃に「じゃあ、次はお酒に切り替えようか」となるものだが、追加注文が推奨されていないため、最初に注文しておいた。そのため、まだビールを大絶賛飲酒中の段階でお酒が到着。
ぐい飲みは一つ一つ、別のものが用意されていた。
おっと、悠長に構えていられないぞ。まだそばがきを半分も食べていないうちに、鴨ロースがやってきた。いかん、コース料理だからといって、お店はこっちの食べているペースには全くあわせてくれないらしい。
この時点で、ビール、清酒、そばがき、鴨ロースとテーブルの上に並んでしまい、ちょっと慌てた。
いやいや、まだお店側は容赦しません。
ようやくそばがきを片づけた頃には、追い打ちをかけるように次の天ぷらが登場。なんだか追い立てられているような感じだ。料理がてきぱき出てくるということは、効率の良い厨房運営がされているんだろう。その点すごく感心する。だが、落ち着いて食べられないぞ、これだと。
繁盛店だから仕方がないんだろうけど。
蕎麦が出てきた。
単品で注文した場合、2枚で800円。追加1枚400円。1枚で1人前を盛りつけないで、2枚に分けて供するのは、蕎麦がのびないように、というお店側の配慮だろう。
なかなかにおいしい蕎麦だった。
普通だったら、蕎麦食べて、そば湯頂いて「ふぃー、ごちそうさまでした」となるのだが、まだこのコースは続く。変わり御飯登場。「やっぱりご飯モノ食べないと、食事した気がしない」という人向けということだろうか。量は少ないにしろ、トリとして登場しているのはちょっと意外。
写真を見ればわかるとおり、まだこの時点でお酒を飲みきっていない。普通、蕎麦が出てきた時点ではお酒を飲みきるようにしているのだが、このお店のテンポにはまったくついていけなかった。そのため、蕎麦を食べ終わってもまだお酒が残っているありさま。
最後、デザートでバニラアイスクリーム。上に数粒、蕎麦の実が乗っかっているのが見た目にも食感にも楽しい。
一人だけコースを頼まず、単品注文をしていた友人が、そばプリン(400円)を食べて「うほっ」と叫んだ。「これは美味い!これは食っとけ!」と言う。
一口食べさせてもらったが、なるほど確かにこれは美味い。プリンなのに、蕎麦の香りがふわーんと鼻腔に立ちこめる。どうやったらこんなに香りを封じ込めることができるのだろう?全く不思議だ。
「えーい、追加注文しちゃえ」
ということで、3人ともそばプリンを追加注文した。最初にそばプリンを食べていたやつは、おかわりという事になる。
届けられたそばプリンを、みんなで「いいねぇ」と食べた。おや、そういえばこの器、よく見ると蓋の部分に蕎麦の実をイメージした柄が入っているのだな。特注品か。そばプリン専用器。
慌ただしさが玉に瑕だったが、最後のそばプリンで大満足。おいしく楽しい一時を過ごしました。どうもごちそうさまでした。
ちなみにそばプリンに感動した「友人」ばばろあは、自宅に帰ってからそばプリンの作成にチャレンジしている。
なお、ばばろあは後日みつ蔵を再訪し、お店の奥さんに直接そばプリンの作り方を問うたらしいのだが、「普通に作っているだけですよ」とか何とか言われてあしらわれ、結局謎は解明しなかったんだとか。
コメント