そば処 郷土食堂

2002年02月10日
【店舗数:122】【そば食:216】
長野県中野市吉田

こごみ、かきあげ、山野菜天ぷら、本しめじ天ぷら、手打ちざるそば、日本酒

郷土食堂

長野における郷土そばの大家?である金子万平氏が著述した蕎麦食べ歩きの本によると、何でも郷土食堂という信州中野にあるお店が良いそうだ。今晩は渋温泉で一泊するつもりなので、ちょうどルート上にあることだし、立ち寄って食することにした。本日4軒目。

ここまで蕎麦づくしだと、いい加減驚きや感動はないわけだが、このお店はこれまでのお店とはちょっと毛色が違うようだ。「幻の富倉そばを食べることができるお店」なんだそうで。

へー。

・・・いやね、幻の!って言われても、そのありがたさがイマイチ理解できていないんで、驚きも興奮も感動も無いんですけど。「えっ、幻なの?そんなのを食べられるんだ、ラッキー」という気持ちにも、ちょっっとなれない。

何が幻なのか、そもそも富倉とはどこだ、と思って調べてみた。富倉とは、飯山市から新潟に抜けていく国道292号線沿いにある集落のこと。このあたりは蕎麦畑があって、蕎麦が郷土食として根付いていた。しかし、つなぎとしてつかう小麦粉が入手困難なものだから、山ゴボウ(オヤマボクチ)の葉の繊維を使ってつなぎにするのが特徴。なぜ「幻」なのかというと、田舎の山村の家庭食だったため、食べたくても食べるお店が無かったという事からきているらしい。

ただ、今では山ゴボウつなぎの蕎麦って珍しいとはいえ「幻」ではなくなりつつあると思う。以前、「栄忠」でも食べたことがあるし。徐々に普及活動が進んできたということなのだろう。

【後注】実際はオヤマボクチからつなぎにするための繊維を抽出するのは大変手間であり、普及するどころか絶滅危惧な手法となっています。

長野電鉄の踏切を越えてすぐのところに、お店はあった。11時営業開始の、17時まで中休み無しの営業なのがありがたい。日が傾いてくると、どうも訪問できる蕎麦屋の選択肢が減ってしまうので困るので、中休みなしはすてき。

こごみ

店の外観同様、店内は非常に庶民的な感じ。あんまり蕎麦屋!ってことで肩の力が入っていないのが本日4軒目になるわれわれにとっては逆に心地よい。

肩の力が入っていないのは、料理のお値段にも反映していた。蕎麦の値段は普通なのだけど、一品料理がいずれも安い。別におなかが空いているわけではないのに、値段につられてついつい注文してしまったくらいだ。

こちらは、こごみ。これだけ盛られて200円。やすー。

飲むつもりはなかったのだが、ついつい日本酒を頼んでしまった。ここのお品書き、「瓶ビール(大)」と「日本酒」の記述の間に「缶ビール 300円」と書いてあるところがすてき。さすがに缶ビールを飲む気にはなれなかった。蕎麦屋で缶ビール、っていうのもちょっと面白いが。

そばがき

そばがき300円。

恐らく、今まで見てきたそばがきの中では最安値ではなかろうか。

椀の中でかきっぱなしのそばがきは、まるで子供が遊んだ後の粘土みたいだ。かたまりになっている量と同等くらい、椀にへばりついている。これを箸でがしがしとこそげおとしながら、わさび砂糖醤油でいただく。砂糖醤油、というのが何とも焼き餅を食べているようで面白い。美味いか?と言われると、砂糖は無くてもいいんじゃないのか、とは思ったが。

山野菜天ぷら

山野菜天ぷら。

これでいくらだと思います?300円。

本しめじ天ぷら

本しめじ天ぷら、こちらも300円。

「えーと、5本あるから1本60円か」
「計算するな、貧乏人」
「どうする?オレら4人だよな。残り1本を4等分にして、さて誰がしめじのかさの部分を食べる?」
「ええよ、お前一人で食え」

手打ちざるそば

で、こちらが「幻」の富倉そば。「手打ちざるそば」700円。

戸隠のそばのように、ボッチになっている。しかし、その蕎麦の長さは短い。以前、山ゴボウつなぎの蕎麦を食べたときは、おいおいどこまで長いんだ?というくらい長く繋いでいたのだが、このお店は違うようだ。

食べてみると、蕎麦とは思えない強力な弾力とつるつる感。うん、面白いね。味もなかなかおいしかった。

なんかね、このお店の場合「郷土食としての蕎麦を食べに来ましたよー」ってくらいの感じでふらっと訪れるといいような気がする。洗練された、ストイックな蕎麦を好む人向けではないと思う。僕はどっちも好きだけど。

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