手打蕎麦 ぐらの(07)

2004年07月11日
【店舗数:—】【そば食:305】
埼玉県入間郡大井町

白海老かき揚げ、からみ大根、冷やし山菜そば、清酒(瑞穂の輝き、庭のうぐいす)

なんか、毎回苦笑いしならがこのお店ののれんをくぐっているような気がする。ほんま、よーやるな僕、って感じで。この店を訪れるたびに新発見されるお酒の銘柄が楽しみで通っているのだが、いまだネタ切れになる気配がない。

今回は、「瑞穂の輝き」と、「庭のうぐいす」の二銘柄。これまた聞き慣れないお酒だ。

店員さんがお品書きを持ってきた際、夏限定のぶっかけそば系のメニューが書かれたボードをひっくり返して、「裏にもメニューがありますから」と一言。で、 一度表に戻した後、もう一度メニューを裏返してままその場を立ち去った。何やら、裏面をPRしているかのようだ。ん・・・何かちょっといわくありげだな、と思って裏に書かれていたメニューをみたら、「そば膳」が紹介されていた。

以前、ぐらの5回目訪問の記事で「そば膳がメニューから消えていた。非常に惜しいが、ぐらのの酒肴のおいしいとこ取りしてしまうメニューなので無いなら無いで、それでいいかもしれない」という事を書いた(残念ながら、この記事は誤操作によって現在は紛失。復旧のめどなし)。6回目の訪問時に、そば膳が店員さん指し示すところのボードの裏面に書かれていた事は発見していたのだが、 「そば膳、再発見!」と記事にするのを忘れていた。

うがった考えかも知れないが、どうも店員さん、「そば膳のメニューはまだちゃんとありますよ、ほらここに」とおかでんに教えようとしたのではないかと思えた。ってことはだ、「週末にやってきて、アホみたいな顔をして天井を見上げながらお酒を飲んでいるヤツ」が「おかでん」だと店側にバレてるっぽい。うへぇ。

まあ、面が割れたからといっても、これからも美味いモノはうまい、まずいものはまずいとはっきり書くつもり。強気だぞ、僕ぁ。

・・・なぜなら、このお店、外れがなくってレポート書くのが気楽だから。苦言を呈さなくて済む。強気もなにも、批判めいたことを書く機会がない。
白海老のかき揚げは、天久利のかき揚げよろしく、巨大なものだった。高さがある。大人の握り拳よりも高くて、でかい。ルービックキューブと同じサイズくらい、と形容すればわかりやすいか・・・と思ったが、この例えは世代を選ぶな。我ながらオッサンくさいものを比較対象にしてしまった。
このかき揚げを、がりがりと箸で突き崩しながら頂く。ぱりぱりに揚がっていて、香ばしい。突き崩した際に出たくず衣も、スナック感覚で頂ける。塩で食べて良し、つゆに浸けて良し。子供にこのかき揚げを与えると、きっと大喜びでガシガシ箸で遊ぶだろう。 端から見るとお行儀悪い光景だろうが、そんな子供をもワクワクさせる、料理だと思った。

ただ、量がある上に油の固まりな料理なので、食べているうちにくどくなってくる。そこはそこで、辛味大根にて中和なのだ。我ながらナイスな選択だ。 店員さんも、この酒肴を注文した際、「とてもいい選択だと思います」とお墨付きを与えてくれたし。

このお店の辛味大根は、珍しいことにピンクがかった色をしている。今回は、それがさらに一段階進んで、何やら赤紫色が混じっていた。レッドキャベツみたいだ。これは何か希少性の高い、由緒正しい大根なのだろうか。気になったので、店員さんに聞いてみた。すると、辛味大根には白と赤の二種類があるんだそう な。知らなかった。

ついでに、「質問があります!」と生徒が先生に質問するみたいに挙手して、「何となく、赤の方が辛いような気がするんですが、どうなんでしょう?」と聞いてみた。厨房に確認しに行った店員さん、しばらくして戻ってきて、「どっちも同じだそうです」。

あらら、そうでしたか。やっぱり酔っぱらいの味覚はあてにならないって事か。

今日二杯目のお酒は、「庭のうぐいす」。見たことも聞いたこともない銘柄だ。福岡県のお酒らしい。店員さんが何やらうれしそうな顔をして、一升瓶を持ってきてくれた。見ると、ラベルにはちょこんと小さく、緑色でウグイスの絵が描かれているだけのものだった。非常に可愛い。 店員さんも、「可愛いですよね。これ一番好きなんです」と言っていた。

普通、清酒のラベルはでっかく毛筆書体で銘柄を書くのが定番だ。絵が描いてあるにしても、鬼とかそういうごっついヤツだ。それが、こいつはウグイスの絵しか描かれていないのだから、一体何が何だか分からない。

お酒の味は、ウグイスのさえずりのように軽やかで華やかな、吟醸香につつまれていた。 夜のお酒というより、昼のお酒、という感じ。昼間に、友達とランチを囲みながら、ニコヤカに頂きたい。そんなお酒。日が暮れてから飲むにしちゃ、なんだか眩しすぎる。それにしても、つくづく面白い銘柄を発掘してくるお店だ。
今回は冷やし山菜そばを注文してみた。ぶっかけそばに、山菜がたっぷり、わかめ、きゅうりの千切りが載っていた。まずは、そばだけを頂きましょうか・・・ううん、きゅうりの青臭さが蕎麦に移ってしまった。蕎麦VSきゅうり、郡司さんの判定は10対9できゅうりに軍配をあげております。
「やっぱりなあ、ぶっかけそばってのは具やらつゆやらで味がこんがらがっちゃって、蕎麦そのものの香りや味を楽しめないよなあ。せいぜい食感を楽しむ程度、で考えるべきなのかなあ」

と思ってずるずると食べ進んでいて、ふとあることに気がついた。

ああ、食べ進んでいても、蕎麦の味も香りもちゃんと分かるぞ、と。

普通、せいろそばのようなこれ一本で勝負しちゃるぞ、という蕎麦の場合は、食べているうちに味覚嗅覚が麻痺してきて、せっかくの蕎麦の風味がわからなくなってしまう事が多い。しかし、このぶっかけそばの場合はどうだ。いろんな味が入り乱れてバトルしてるので、味覚が馬鹿にならないのだった。最後まで、蕎麦の風味を楽しむ事ができた。これは意外だった。なるほど、勉強になった。蕎麦を真剣に食べ始めて300食だが、まだまだド素人だな。

最後、そば湯が出てきたが、一人で頂くにしちゃでかすぎるおっきな湯桶がやってきた。ありがたいことです。とろみがついたおいしいそば湯を、呆けた顔して頂く。以前、しぶちょおがアワレみ隊BBSで「実は、自分は蕎麦よりもそば湯の方に魅力を感じているのではないか」という発言があったが、いやホントこうやってそば湯に溺れていると、まさにそんな感じがする。

結構な時間をかけてそば湯を頂いたのだが、粘度の高いそば湯ゆえになかなか冷めないときたもんだ。ふぅふぅ吹いてもぬるくならず、予想以上の時間を要してしまった。結局、店を後にしたのはラストオーダーの30分後。また長居をしてしまった。店には申し訳ないけど、やめられんのだよなあ。

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