常陸秋そばフェスティバル2004

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2004年11月13日
【店舗数:—】【そば食:323】
茨城県久慈郡金砂郷町

合計7杯のもりそばでおなかいっぱい

金砂郷へ向かう道は車が多い

最近、どうも自分自身に焦燥しきっていて、どこかで現実逃避をしたくてしょうがない。山にでも登れば気分は晴れるのかもしれないが、ちょっと寒い季節でそうもいかない。ならば、ということで遠出して蕎麦を食べることにした。

金砂郷。茨城県の田舎だ。なぜこの田舎町が有名かというと、非常に質の高い蕎麦粉を生産するからだ。金砂郷産の蕎麦粉、というと米における魚沼産コシヒカリのような位置づけになるらしい。ブランド化して、高値で取り引きされているとも聞く。

蕎麦ターゲットとして金砂郷を調べていたところ、偶然「金砂郷まつり」というものが近々開催される事が分かった。インターネット様々だ。この「金砂郷まつり」、メインのイベントは蕎麦の模擬店・・・いや、本当の店が出店するから模擬店とはいわないか・・・ええと、蕎麦屋がたくさん出店するらしい。出展リストをみると、高橋名人の「達磨」も広島から出店するらしい。おお、それならばぜひ行ってみよう、となった。車をドライブしながら、いろいろなお店を食べ歩くのは楽しいが、今回はうまい蕎麦を一網打尽で、一カ所で食べようというワケだ。インターバルが空かないから、いつもより余計に食べられる・・・かな?

趣旨に賛同した友達1名同行のうえ、金砂郷に向かった。常磐道をしばらく走って、那珂ICから下道を走ることしばし。東京から、案外近い。

路端では、捨て看板で金砂郷まつりがPRされていた。会場が近くなると、会場に入ろうとする車のせいで田舎道が大渋滞になっていた。金砂郷まつりを知らない人がたまたま通りかかったら、一体何事かと驚いたことだろう。

金砂郷まつりの入り口ゲート

じゃーん。

金砂郷まつりの入り口ゲート。さあて、蕎麦を食べるぞぅ。

交流センターふじ

交流センターふじ、という恐らく町営の施設前広場がメイン会場となっていた。周辺の駐車場は車でぎっしり。大にぎわいだ。

ま、そりゃそうか、ここに来ようと思ったら、公共交通機関はあてにできないのでみんな車だ。

交流センターふじの中では、「全国こどもそば打ちグランプリ大会」が開催されていた(らしい。実際には見ていない)。「こどもそば打ち」というジャンルがあること自体オドロキだったが、全国からそういうちびっこが集まってくるというのもオドロキだ。なんでも、小学生の部と中学生の部があるらしい。

建物の入り口に出場者リストが張り出してあってので見てみる。ええと、あれ?ほとんどが金砂郷小学校所属だぞ。さすがに「全国大会」を銘打っても、外部から殴り込みをかけてくる児童はなかなか居ないって事か。

ま、そりゃそうだよな・・・小学生で、そばの美味さを理解できている奴なんて、全児童数の1%いるかどうか。おかでんでさえ、小学校の頃はそばって爺臭くて、おなかがいっぱいにならなくて、好きじゃない料理だった。

でも、逆に言えば金砂郷のチビっこたちは、幼少の頃からそばに親しみ、そして蕎麦打ちができるというわけだ。すげぇ土地柄だ。結構な数、「グランプリ大会」に金砂郷小学校から出場していることを考えれば、ひょっとしたら学校の 家庭科の授業でそば打ちを習うのかもしれない。

交流センターふじ前の広場

交流センターふじ前の広場は、バザーの様相を呈していた。いろいろなお店が出店していて、活況を呈している。ええと、蕎麦屋さんは・・・どうやら、ここじゃないらしい。

広場の中心を取り囲むように、お蕎麦やさんがテントを連ねて営業していた。おっ、これだな!

達磨

お蕎麦やさんゾーンの一番端に、今回の企画の目玉と言える「達磨」が陣取っていた。ここだけ、行列が長く伸びている。午前11時半だというのに、まあなんと人が多い事よ。みんな、朝早くからこの地に向けて自宅を出発してきたんだろう。

この達磨は、他のブースの2倍の広さが与えられていた。やはり、人気店だけあって扱いが違うということらしい。

蕎麦屋が軒を連ねている

蕎麦屋が軒を連ねている。この瞬間、日本で最も蕎麦屋密度が濃い空間になっていた。壮観だ。

ああ、このいずれもが自分たちのプライドにかけて美味い蕎麦を提供しているのか。蕎麦好きにとってはたまらない魅力だ。一体、どの蕎麦屋を食べればいいことやら。

蕎麦屋自体は全部で12店出展していたと思う。さすがに12枚ももりそばを食べるのは不可能なので、取捨選択が要求される。むぅ、難しいところだ。

とりあえず、金砂郷の蕎麦は3店舗あるので、これを1店舗に絞り込んで・・・と、知的ゲームの様相を呈してきた。胃袋と頭脳を直結させながら、食べていく店を選んでいかなければ。決断力も要求される。サイフも、もちろんある程度重くないと。

巨大テント

広場の真ん中が芝生になっていて、そこに巨大テントが立てられていた。その中に、学食みたいにびっしりと長机と椅子が配置されていた。ほぼ満席で、全員が蕎麦をすすっている。ううむ、どうもヘンな空間だ。何百人もの人が蕎麦をずるずるとすする空間。産まれて初めてだ、こんな光景を見るのは。

達磨

連れと相談したところ、「やっぱりまずは達磨で食べてみたい」と言う。この連れは、蕎麦についてはあまり詳しくなく、高橋名人の事も全くしらなかったのだがおかでんが「間違いなく美味いよ」と言ったのが凄く気になったという。「おいしいものは先に食べなくちゃ」だそうで。

行列の最後尾に並ぶ。

この店で特徴的なのは、お蕎麦を待つ行列とは別に、店の前に黒山の人だかりができているということだった。何をのぞき込んでいるのかと言えば、中で一心不乱に蕎麦を打っている高橋名人の手さばきを一目見よう、という人たちだった。中にはビデオカメラを取り出して撮影している人までいる。家に帰って、テレビで確認しながら自分もそばうちをする気だろうか?

土下座するようなスタイルの高橋氏

行列は案外さくさく流れていく。20人くらいの行列だったら、10分も待たずしてお会計のところまで到達できる。お店は、前払い制だ。メニューは、「ざるそば700円」しかないので、お会計はシンプルだ。ただし、この店の場合、高橋名人の自伝や蕎麦打ち指南の本、DVD、ビデオ、達磨の乾麺などが売られているので、そういう「おまけ」を買う人も結構多かった。

連れは、達磨の乾麺500円なりを購入。家に帰って家族と食べるんだ、とうれしそうだ。乾麺になったら、どんなに印象が変わってしまうのだろう?ちょっと興味があったが、広島出身のおかでんとしては「別に乾麺で食べなくても、本店に食べに行けばいいや」という気持ちがあったのでパスしておいた。確か、東急ハンズで手に入ったような気がしたし、機会があったら買ってみる事にする。

達磨の厨房では、お弟子さんたちがひっきりなしに作業をしていた。ものすごい数のお弟子さんだ。ええと、お手伝いさんを含めると10名以上はいるぞ。この人達、いつもは広島の山奥で修行に励んでいるのだろうか?

高橋名人はのばしと切りに専念して、水回しはお弟子さんが担当していた。分業にでもしないと、とてもじゃないがこの大量のお客さんはさばけない。

生地をのばす

一心不乱に生地を伸ばしている名人。

おかでんの背後に並んでいるおばちゃんが、「はぁー、すごいわー」とさっきから嘆息しっぱなしで微笑ましい。

「すごいわー、神業だわぁ」「まるで生き物のように生地が伸びていくのね。普通の人じゃあれは無理よきっと」

とか言ってる。でも、この人蕎麦打ちに詳しそうにはどう見ても見えない人だ。「高橋名人」というネームバリューに目がくらんでいるだけのような気がする。恐らく、このおばちゃんに別の人の蕎麦打ちを見せても、「神業だわぁ」って言いそうな気がする。

ちなみにこのおばちゃん、並んだ末にようやくありつけた蕎麦を食べた直後に、「この麺の堅さがコシって奴なのかな?」と宣っていたっけ。

まあ、このおばちゃんに限らず、並んでいるお客さんの何人かが「情熱大陸(TBS日曜夜に放送している番組)でやってた人でしょ?」という会話をしていた。ちょうど2週間前、高橋名人の生きざまが「情熱大陸」で取り上げられた直後だったので、「ぜひ高橋名人の蕎麦を」という方が多かったのだろう。

システマチックに運営されている達磨

それにしても驚かされるのは、このお店で使われている機材と食器類一切合切を、広島から運んできているということだ。大量のお客さんをさばくため、相当な数が必要となる。オドロキだ。

あと、蕎麦打ちに使う水までも広島から運んでいるということだったので、その大変さは相当なモノだろう。

スタンバイされているお盆

お会計をする際に、レジをやっている人から「何枚ですか?」と質問される。ざるそばしかメニューにないから、こういう訊き方になるわけだが、これは達磨本店と同じ。さすがに、今日はいろいろ食べ歩くので「1枚」にしておく。

数を申告してお金を支払うと、黄色い小さな紙に「1」と書かれたものを手渡された。食券代わりというわけだ。

お会計を済ませ、そのまま行列を進んでいくと、そこがお蕎麦引き渡し所。蕎麦がゆで上がるのを待っているお盆がずらりと並んでいた。

薬味が乗っている平皿など、まさに達磨なのだが、一つお店と違うのは蕎麦徳利が無いということだった。猪口に辛汁が既に入れられているスタイル。さすがにそこまでは拘らなかったか。

そば湯

下膳口には、鍋が据え付けられていた。そば湯コーナー、というわけだ。ひしゃくですくってご自由にどうぞ、というわけだ。

しまった、ポット持ってくれば良かった。達磨のそば湯だったら、詰めて家にお持ち帰りしたいくらいだ。

達磨の蕎麦

さあて、お待たせしました。ま、行列の長さの割には全然お待たせされなかったんだけど、いよいよ最初の一軒目。達磨のお蕎麦の完成だ。

達磨だけは、ブースの横に「達磨用飲食スペース」が用意されていて、そこで食べる事ができる。青空の下で蕎麦を食べるなんて、ありそうで無かったシチュエーションだ。天候に恵まれて、気温も程良い。うん、非常に蕎麦日よりじゃないですか。

小降りで、安定感がなくてぐらぐらするざるはここでも健在。その上に乗っている蕎麦は・・・言うまでもなく、美味そうだ。「見ただけで美味いと断言できる蕎麦」ですね、これは。

まさか茨城県で達磨の蕎麦が食べられるとは

さあ、早速頂いてみましょう。

ポーズとしては、蕎麦猪口を手にしているが、実際はお蕎麦だけでずずずぃ、と。

ふわあああん。

いいねぇ、いいよォ。うわ、これだけ食べて帰路についてもいいや、っていう蕎麦です、達磨。何て言うかなぁ、非常に上品な味。えぐみがなく、香り高く、味もしっかり。上っついたところがなく、非常にしっかりとした蕎麦。やっぱ、ある意味最高峰の蕎麦なんじゃないか。

つゆも、甘過ぎず、辛過ぎず、カツオが立ちすぎず、まろやか。いや、素晴らしい。

「分かる?これが、日本でも有数の美味い蕎麦だよ」
「うん、確かに凄くおいしい」

蕎麦に詳しくない人と一緒に蕎麦屋に行くとき、気をつけることは何か。それは、「問答無用で美味い店」に行くべき、ということだと僕は思う。どうせ相手は、つゆにざぶーんと蕎麦をつけて、チマチマとそばを食べるような「蕎麦の味も香りもわからん」食べ方をするに決まってる。それを是正させようとするのは蕎麦通ぶって感じ悪いのでやらないが、そんな食べ方をしても「あっ、これは普通の蕎麦と違う!」という事に気づかせるような、それだけ強烈な美味い蕎麦を食べさせるに限る。ショック療法だ。達磨の蕎麦だっら、その役に最適と言える。ここで、蕎麦本来の美味さ・・・普段家で食べるような蕎麦とはワケが違う事に気づけば、自ずとそれからは食べ方にも気を配るようになるだろう。あくまでも、自発性を重んじるんですよ、僕は。

ま、そんなこんなで、連れがどこまで「おいしい」と認識したかはわからんが、とりあえずは美味い蕎麦に出会えてにっこりしていたので良しとしよう。

磐梯町そば

次はどこで食べようかと思案しながら、いろいろな店の様子をうかがってみる。丁度お昼どきということもあって、どこのブースも行列になっていた。しかし、それほど長い行列ではない上に、次々と蕎麦が提供されていくので待ち時間はどこも短いようだった。

湯がいて、水でしめて、盛りつけて出すだけのもりそばなのでさすがにオペレーションが早いようだ。

それにしても感心させられるのが、店の作りだ。当然、それぞれのお店ごとにキッチンを用意し、水が使えるようになっている。この配管だけでも結構手間だっただろうに、と思う。しかも、湯沸かし器付きだ。加えて、麺をゆでるための大釜が据え付けられていて、火力供給のためにガスも通してある。結構大がかりな下準備をしているわけだ。すごい。

出展しているお店の多くは、もりそばを500円で提供していた。達磨 が一番値段が高く、700円。これが今回の「(蕎麦単体でみた場合の)最高級料理」ということになる。どこも、少し少な目の印象を受ける盛りだった。まあ、それくらいの方が食べ歩く上ではありがたい。

ちなみに写真の磐梯町そばでは、大盛りで600円なり。店内では、3人がかりでそばうちをやっていた。確かに、それくらいの 人数で蕎麦を打たないと、大量のお客さんに蕎麦を提供できない。

では、達磨はたった一人でやっていたが、アレは一体・・・?恐らく、相当早い時間から仕込みをしていたに違いない。ご苦労様です。

そば工房

二軒目は、「せっかくだから地元・金砂郷の蕎麦を食べてみよう」という事になった。

金砂郷から出店しているのは3つで、結構悩んだが「そば工房」を選択してみた。

残り2軒は「蕎麦愛好家の模擬店はちょっと」「日帰り入浴施設併設のお店?うーん」という理由で落選。いい加減な理由だ。でも、それぞれの蕎麦の外見だけではどれが美味そうか判断がつかなかったので仕方がない。

このお店は、もりそばの他に「けんちんそば」「山菜そば」という温かい蕎麦が用意されていた。ちょっと肌寒い今日なので、温かい蕎麦がたくさん売れているようだった。確かに、「けんちんそば」というネーミングはちょっと魅力的だ。

でも、ぐっとこらえてここは「もりそば」をオーダー。

もりそば

もりそば登場。むむ、プラスチック容器ですか。どことなくコンビニで売られている蕎麦を思い出させる。でも、容器を洗わなくて済む、といった面で非常に楽なのはよく分かる。

では、早速頂いてみましょうか。

ずるずる。

むう、容器からイメージされるチープさとはほど遠い、うんまい蕎麦じゃないか。細めの麺が、心地よく喉を通り抜けていく。

では、つゆにつけて食べてみるか。・・・って、あれ、これどうやって食べるんだ?ええと、やっぱり容器を手にしなくちゃいけないのかな?机の上に置いた状態で麺をつゆにつけて食べようとすると、犬食いになってしまう。じゃ、容器を持ち上げて、と・・・わっ、危ない、つゆがこぼれる!

どたばたしながら蕎麦を食べる。非常に食べにくい。

でもなぁ、コンビニでこういう蕎麦が売られていたら、頻繁に買うんだけどな。値段は少々高くてもいいから。難しいんですかね、やっぱり?

山菜そば

連れが頼んだ山菜そば。もりそばと同じ値段の500円というのが不思議だが、ワンコインでやりとりできた方が店として楽だから、敢えて均一料金500円にしているのかもしれない。

良く晴れた日、とはいえ、外は結構涼しい。意地を張って冷たい蕎麦を食べるよりも、温かい蕎麦を織り交ぜつつ食べた方が勝ち、のような気がしなくもない。ちょっと羨ましかった。

我慢できなくなり、少し食べさせてもらった。

・・・温かいっていいねぇ。ココロが和むねぇ。でも、山菜から出た汁のせいか、つゆが酸っぱく味が良くなかった。せっかくの蕎麦の味がかき消されてしまっていて、これだと新蕎麦を食べている意味がない気がした。

やっぱり、蕎麦はもりそばに限るのか、嗚呼。

今日、これから先何杯食べるか知らないが、おなかを冷やして風邪を引かなければいいんだが。

ずらりと並ぶ蕎麦屋

蕎麦屋さんのテントは、L字形に広場を囲むように並んでいた。テントも、看板もみんな同じデザインなので、ちょっとでも目立たないと他の蕎麦屋さんに埋没してしまう。だから、各お店とも、店の暖簾をぶら下げてみたり、のぼりを立ててみたり、料理の写真を提示してみたりと、あらゆるプレゼンテーションをやっていた。

さすがに着ぐるみを着たり、コンパニオンがにっこり微笑んでいたりというお店は無かったが。

蕎邑

三軒目。会津山都(やまと)そば「蕎邑」というお店をセレクト。もりそば、600円。行列が10人ほどできているが、ここもどんどんさばけていく。

隣のブースである「小野小町の里」では、麺ゆで用の釜からシンク、盛りつけるテーブルまでおっちゃんがズラリと横一列に並んでいた。バケツリレー方式で、「ボク麺をゆでる人」「ボク麺を水で締める人」「ボク麺を水切りする人」・・・と細かく役割分担していた。なんだか、日本の高度経済成長を支えた工場を見るかのようだ。

この小野小町の里、蕎麦の他に単品で「れんこんの天ぷら」が100円で提供されていた。激しく惹かれたのだが・・・こういうのに気を取られていたら、きりがない。また後で、胃袋に余裕があったらにしよう。とりあえず、「見た目おいしそうに見えた」この蕎邑が先だ。

蕎邑の店内

蕎邑も、3人体制でそばうちをやっていた。一番手前の職人さんは、お持ち帰り用の生麺を作っているらしく、蕎麦を切っては束にして重量を量り、まとめていた。

直射日光に照らされまくっている位置だけに、麺が乾かないだろうかと他人事ながらはらはらする。

その背後には・・・先ほど紹介した、「小野小町の里」のバケツリレー部隊の姿が見える。おい、一体何人いるだ?

蕎邑のもりそば

蕎邑のもりそば、できあがり。せいろが見慣れない面白い形をしている。まるでフリスビーだ。

これもおいしい。食感はやや堅めで、これくらいのほうがすすったときに心地よい。

連れも、「これはおいしい」と言っている。

ただ、何だか・・・香りがちょっと普通の蕎麦と違う気がする。ええと、何だろう、これは。蕎麦としては初体験な風味がある・・・あ、あれだ、納豆の香りに近いような。

ええー?何をアホな事を。

まあ、納豆っていう喩えは言い過ぎにしても、何やらちょっと怪しげな臭いがした。山都の蕎麦粉というのは、独特なのかもしれない。それとも、単におかでんの味覚嗅覚が馬鹿になったかのどっちかだ。

満志粉

4軒目。ひたちなか市の「満志粉」というお店をチョイス。

ここは、もりそばの他に鴨せいろが用意されていた。さすがに4杯立て続けにもりそば、というのは段々飽きてきたので、ここら辺で鴨せいろを食べてみたいところだが・・・。

でも、鴨肉のうま味で、絶対に蕎麦の味がかき消されてしまうに決まっているので、ぐっと我慢。

もりそば

もりそば500円。

遠目から見ると、今回のために急場しのぎで、ベニア板をお盆代わりにしているのかと思っていた。しかし、これはれっきとしたお盆で、角が丸くなるような処理が施されていた。こういうお盆も、シンプルでいいもんだ。

薬味入れは、お弁当用みたいな使い捨ての容器。

蕎麦は、相変わらずどこのお店で食べてもうまい。今のところ、ハズレが無いというのは凄い事だ。やっぱり、こういう蕎麦まつりに出展するからにはそれなりに自信があるお店(及び職人さん)ということになるのだろう。

そば湯はそれぞれのお店で提供しているのだが、多くのお店はヤカンにそば湯を入れて、客席の中に置いてあった。おかげで、そば湯を頂こうと思っても、お目当てのお店のヤカンがどこにあるか分からないし、あったとしてもそのテーブルを使っている人を押しのけながらヤカンを確保しなければならず、実質上そば湯を頂けない状態だった。

そんなわけで、ようやくヤカンを発見して確保したおばちゃんが、「あら、このヤカン違うお店のだわ。まあいいか。同じそば湯だもんね、一緒だよね?」なんて言いながら使っているのを何度か目撃。違うお店同士のそば湯と辛汁が猪口の中で出会うという、非常に珍しい状況になっていた。

電動石臼
脱穀機

さすがに4杯食べた時点でインターバル。蕎麦屋ブースから離れ、その他いろいろなお店を見て回ることにした。さすがに、蕎麦打ち道具のお店は結構出店していて、電動石臼や脱穀機なども売られていた。ここで商談成立することって、あるんだろうか・・・?

他にも、包丁や、駒板やのし棒といった道具がいっぱい。結構、おっちゃん達が真剣なまなざしで商品の吟味をしていた。おいしい蕎麦を食べてがぜん手打ち蕎麦に目覚めたか?

そうだよね、まずはいい道具をそろえるところから始めないとね(笑)。

焼き鳥焼いてる

野菜を売っていたり、豆腐を売っていたり、リサイクルショップがあったりと結構よりどりみどりで面白い。

その中でも、何やら豪快な臭いと音がするな、と思って吸い寄せられてみたら、金砂郷商工会のブースだった。あ!焼き鳥焼いてるぞ。大降りの肉で、1串100円。もちろん生ビールも売られています。

ごくり。

いや待て、今日はそういう事をしに来たのではない。落ち着け。

焼きそば

バックヤードでは、4人がかりで焼きそばを焼いていた。

むむ、結構魅力だ。

さすがに、蕎麦を食べ続けると「こってりしたもの」が恋しくなる。そんな心理状況の来場者は案外多いようで、結構焼き鳥は繁盛していた。

焼き鳥+ビール、という組み合わせに惹かれはしたが、さすがにこの涼しい中でビールを飲みたいという気にはなれなかった。ま、蕎麦を食べに来たのだから、今日は大人しく指をくわえているだけにしておこう。

北海道そばの会

連れは、「もうギブアップ」と言ってこれ以上蕎麦を食べることを断念。ここからは 単独で蕎麦の山を登頂しなければならない。

その山の頂(いただき)の先には、一体何があるのか。

・・・「いただきます」・・・

さて、完全無欠の蕎麦マシーンでありたいおかでんであっても、さすがに満腹感は感じつつあった。今回は、「金砂郷まつり蕎麦完全制覇」企画じゃないので、全部食べる気はない。となると、自分の胃袋の残りキャパシティを綿密に計算しつつ、食べる蕎麦屋さんをセレクトしなければならない。

こうなると、消去法をしていくしかない。「あのお店は、コンビニ弁当みたいな容器だったのでダメ」とか、そういう理由で対象から外されていった。

さて、そういう中で、次なるターゲットに選ばれたのが「北海道そばの会」だ。蕎麦の見た目からは特にピンとこなかったが、「北海道から参戦」というところに惹かれた。やっぱり、全国各地の蕎麦を食べておきたい、と考えたら、日本最北端の都道府県である北海道は外せない。

・・・というのは、理由の一つにすぎない。何よりも、目を奪われたのが、お品書きの張り紙だった。「もりそば500円」と書かれている横に、「ズワイかに天せいろ1000円」と書かれていたのだ。なぬ!?ズワイガニの天ぷらがあるんかい?

どきどき。

もう、これだけ短時間で蕎麦を食べ続けりゃ、少々の美味い蕎麦でもときめかないんである。「天ぷら」とか、そういうサイドメニューの方がよっぽどこちらのココロを鷲掴みにしてくれる。

どきどき。

500円UPか。高いなあ。ズワイだからなあ。でも、北海道っぽくて、旅情を感じるよな。考えてみれば、カニの天ぷらが出てくる蕎麦屋って、見たことないなあ。北海道あたりに行けば、当たり前のようにあるんだろうか?いや、そんな馬鹿な。そういえば、友達が以前「北海道の蕎麦屋は、鴨南蛮なんてないぞ。鴨の代わりにジンギスカンが浮いてるぞ」とかうそばっかり言ってたが、カニ天ぷらはどうなんだろう。その友達は天ぷらについては触れていなかったな。

もりそば

結局、もりそば500円なりを注文。

うわ、ケチったか!

いや、まあ、確かに。並んでいるお客さんの多くは、やっぱり僕と同じようにドキドキしちゃったらしくズワイガニを買い求めていた。みんな、蕎麦を受け取るときに照れ隠しで半笑いで、うつむき加減に受け取っているのが可笑しい。カニ天がここまで人を幸せにするのか。

ちなみにカニ天は、足2本分だった。

厨房では、ひっきりなしにカニが天ぷらにされていた。もういっそのこと、カニ天ぷら屋でも開業したらどうだ、と思った。

さて蕎麦だが、相当細い麺だ。水を吸ってぶよぶよになったそうめん、くらいの細さだ。・・・喩えがマズそうだな。ええと、でもそんな感じでした。細麺なので水きれが良いのか、器にはすのこが敷かれていなかった。でも、水がたまっていると言うことは特になし。

ずるずる。うん、細麺もなかなかおいしい。やや緑色がかった、いかにも新蕎麦!な色が見るリラクゼーションだ。やっぱ、満腹になりかかっている時は細麺に限るな。

栃木のうまい蕎麦を食べる会

連れが、「最後はもう一度達磨で食べて終わりにしたい」と言う。今回出展しているお店はそのいずれもがおいしい蕎麦を提供している。にもかかわらず、敢えて「既に一度食べた」達磨を再度指名するとは・・・そんなに達磨が良かったんかい?

達磨でもう一度食べるのなら、これ以上蕎麦屋巡りするのは無理だと判断。とりあえず昼下がりになって空いてきた店の様子を眺めていた。

そのとき、「栃木のうまい蕎麦を食べる会」の前にいたオッチャンが、「まあ少しつまんでみてくださいよ」と蕎麦が盛られたざるを突き出してきた。試食してみたまえ、という事らしい。むぅ、蕎麦の試食か。ありそうでない広告宣伝だな。

望むところよ、と食べてみたら・・・わ、これは美味い。思わずオッチャンの顔を見つめてしまった。

オッチャン、自信満々の笑みだ。いろいろ話してみると、どうやらこのブースは、栃木の「たんなる蕎麦好き」の集団だという。で、店頭に飾ってある蕎麦畑の写真を指さして、「ここで蕎麦粉を契約栽培してるんです。その蕎麦粉を今日使ってるんですけど、量が少ないのである分だけ、なんですよ。われわれって、しょせん蕎麦好きの集まりなので、売れて欲しい!と思う反面、蕎麦粉が余らないかなあ・・・ってひそかに思ってるんですよ。残ったら、みんなで蕎麦粉山分けですから」

なんて言ってた。愉快な人たちだ。まさに、文化祭の模擬店って感じだ。

これだけおいしいのだから、食べないわけには行くまい。予定を急きょ変更して、お会計の列に並ぶ。

「さんざん今日は蕎麦食べたんで、そろそろ食傷気味なんだよね・・・。美味い蕎麦だけど、温かいなめこそばを注文しちゃおうかな」

と心の中では思っていたのだが、オッチャンが

「やっぱり蕎麦を味わうにはもりに限りますね。温かい蕎麦だと味がわからなくなります」

と言う。ああー、そういう話を聞いちゃうと、温かいの注文するワケにもいかんではないか。

もり

で、これ。

薬味を載せる皿を用意したり洗うのが面倒だったみたいで、薬味は蕎麦が盛られたせいろの三隅に盛りつけられていた。葱、わさび、柴漬け。・・・柴漬け?

柴漬け、とてもおいしゅうございました。食感がコリコリしていて、箸休めに最適。これ、案外いけますぜ。蕎麦屋のみなさん、検討してみては如何?

さて、肝心の蕎麦ですが、これが見た目は何の変哲もない蕎麦なわけだが、味はすこぶるいいと来たもんだ。この日、達磨の次に大好きな蕎麦となった。「やるなおやじ!」と思わず叫ぶ。「うまい蕎麦をたべる会」という看板を下げて、「うまい蕎麦をたべさせる会」に改名すべきだ。

最後はもう一度達磨

最後、もう一度「達磨」のざるそばを頂いた。

14時を回れば、さすがに来客数も減ってきた。ほぼどのお店でも、行列なしで食べられるようになっていた。達磨でも、高橋名人が「ちょっと休むわ」といって、蕎麦打ちを休止していた。

手が空いた各店舗の職人さんが、高橋名人のそば打ちを見に来ていたのだが、肝心の高橋名人が休止中だったので残念そうだった。

さて、今日の思い出に、達磨の蕎麦をもう一回。ずるずる。

あー。やっぱり風味が全然違う。悪いが、他で食べたお店となんか次元が違っている美味さだった。それにしても呆れたなあ・・・平均点高い蕎麦屋ばっかりなのに、それよりもさらに突き抜けている蕎麦だもんな。一体どうすればこうもおいしくできるのか。

おいしい証拠に、この蕎麦は食べ終わる最後までしっかりと蕎麦の風味が感じられた。他のお店の場合、二口三口頂いた時点で感覚が麻痺して香りを感じられなくなってしまったのだが、好対照だ。つゆにつけて食べても、蕎麦が負けない。

結局、この日7杯もの蕎麦を頂くというあまり有り難くない「過去最高記録」を樹立してしまったわけだが(わんこそばを除く)、それにしてもこの大満足ったらないねぇ。いやぁ、金砂郷まつり、大変に満喫してしまいました。

帰り道、おなかが空いてきたら水戸か大洗あたりであんこう鍋を食べて帰るのもいいなあ・・・と思っていたのだが、結局満腹感が持続しっぱなしで、とてもじゃないがあんこう鍋は食べられなかった。食べ過ぎで、自分の体があんこうみたいになってしまっている。今日は蕎麦の香りを鼻腔の奥に感じながら、大人しく家に帰ろう。



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