みよしそばの里(02)

2004年11月14日
【店舗数:—】【そば食:324】
埼玉県三芳町

二八そば

金砂郷で蕎麦と心中するんじゃないか、ってくらい食べまくった翌日、今度は埼玉に車を走らせていた。今日も、蕎麦だ。久々だ、こんなに短期間に蕎麦を食べるなんて。栄養学の本によると、「食事から摂取するカロリーは、6割を炭水化物、2.5割を脂肪、1.5割を蛋白質から採りなさい」と言う。しかし、昨日だけで言えば、炭水化物ばっかり採っていたような気がする。グリコーゲン採りすぎ。摂取カロリー低くても太るぞ。

でもさらに追い打ちをかけて、今日は2軒蕎麦屋に行こうってぇんだから穏やかじゃない話だ。草食動物ならぬ蕎麦食動物になったのか、おかでん。

いや、そういうわけじゃないんだけど、まあいろいろな経緯があって。結局この日は、友達2名とおかでんお薦めの蕎麦屋で昼下がりを過ごそうじゃないか、という趣旨なんでござる。

このとき、参加メンバーに対して送った企画の告知メールが以下の通り。

新蕎麦紀行2004in彩の国

2004年新蕎麦シーズン真っ盛り。今年は台風の影響が甚大だったが・・・どういう結果になったのか。いざ、自分の舌で確認しよう。

[行き先]
(1)埼玉県入間郡三芳町 「みよしそばの里」
ホンマに商売する気あるの?という感じの、素朴なお店。蕎麦しかメニューに無い。
最初、ここで「蕎麦準備体操」をやろう。
店の目の前は、一面のそば畑。ただし、もう収穫は済んでいるはずだが。

(2)埼玉県入間郡大井町 「手打ち蕎麦 ぐらの」
本日の大本命。蕎麦良し、店良し、店員良し、酒良し、肴良し。言うこと無しの、
おかでんが常連となっているお店。毎回訪れる度に変わっている、「特選地酒」が
強くお薦め。マニアックな、聞き慣れないお酒を用意してくれている。
注文するなら、コース料理にあたる「そば膳(2,100円)」が断然お得。びっくりする。

[日時]
平成16年11月14日(日曜日) 13:00指定場所に集合

[集合場所]
東武東上線「朝霞台」/JR武蔵野線「北朝霞」駅前のロータリーに集合。
そこから、おかでんカーで移動。

[内容]
○13:30頃、1軒目の蕎麦屋「みよしそばの里」で蕎麦を頂く。ウォーミングアップ。
○14:00頃、車を「真名井の湯」駐車場に停める。
○14:15頃、駐車場から徒歩10分程度で「ぐらの」に移動。ここで「そば膳」の宴会。
○16:00頃、「ぐらのUTG」終了。
※ここで、タクシー及びバスなどを使って、早退することも可能。
○16:15頃、真名井の湯に戻り、風呂につかってアルコール抜き作業。
○アルコールが抜けた事を確認の上、退却。
※途中、任意の場所にて解散。

[予算]
みよしそばの里:最大1,000円(十割そば注文時)
ぐらの:そば膳+お酒2種類程度注文した場合、3,700円前後。
真名井の湯:700円
トータルで5,000円をやや越える程度、とお考えください。

というわけで、朝霞台駅のロータリーに集合。自分で場所を指定しておきながらうっかりしていたのだが、この駅って実はロータリーが3箇所も存在していた。道に迷って駅前を右往左往した友人から携帯メールで「場所がわからんぞコラァ」という怒りと困惑の連絡が入った。まさか3つもあるとは思わなかったぞ、朝霞台。申し訳ない。

少々ゴタゴタがありながらも、メンバー合計3名無事集結し、「蕎麦屋ミニ行脚の旅」がスタートだ。まずは、「みよしそばの里」に向かう。

そもそも論として、別に今日2軒も蕎麦屋に行く必要はなかった。ただ、わざわざ参加者全員が遠征してきている中、「ぐらの」1軒でサヨウナラっていうのはちょっと寂しいね、という気がしたので「みよしそばの里」を追加したのだった。これでちょうどバランスが取れるような気がする。このお店の蕎麦は確実に美味いのだが、残念ながら色気が無さ過ぎる。立ち食い蕎麦屋に通じる、「さっさと食って店を後にする」雰囲気がある。だから、人にお勧めしたいお店ではあるけど、今回はぐらのをメインディッシュとした場合の「アペタイザー」的な位置づけとさせて頂いた。

ほどなく、お店に到着。今回初めてこの店を訪れた友人は「えっ、これが蕎麦屋?随分とおしゃれな感じがするけど・・・」と驚きを隠せない。確かに、ぱっと見はログハウスっぽく、とてもじゃないが蕎麦屋には見えない。

「でもね、よく入口を見ろ。ちゃんと暖簾がかかってるだろ?」と指さした先には、ひらひらと風に舞う暖簾が。ここで蕎麦屋であることをさりげなく主張だ。「へー」「ほー」などと言いながら、みんな車を降りる。おっと、忘れちゃいけない、まずはこのお店の場合、外に面している売店で食券を買わないといけないんだっけ。

お店の前で野菜を売っていた

売店の手前の通路には、なにやら朝市状態で野菜が並べられていた。近隣で採れたものなのだろう。ええと、なるときん時さつまいも1kg250円?安いねえ。それから、キャベツ100円。・・・え?100円?1玉で?うわ、安ぅ。ちょうどこの時期、スーパーでは葉物野菜が高騰していて、キャベツに至っては1玉400円以上していた。なんと、流通価格の1/4でキャベツが売られとる!ちょっと、値付け間違ってませんか?

店の人に聞いたら、「その値段であってますよ」とのこと。ううむ、良心的過ぎるぞ、いくらなんでも。倍の200円にしてもバチがあたらないだろうに。

そんな衝撃的な商品を見てしまったので、さっそくキャベツを購入してしまった。思わず、肝心の蕎麦を注文しないで、そのままキャベツ買って車に戻ってしまうところだった。いかんいかん、キャベツも美味いが、ここの蕎麦も美味いのだ。そっちを食べるのが現時点での最大のミッションじゃなかったのか。

メニュー

お品書きを見たら、前回訪問時にはなかった「かけそば680円」があった。冬季限定だという。さすがに冬でも冷たい蕎麦しかなかったら、このお店だと寒々しくってよろしくない。賢明だと思う。ちょっとかけそばにも惹かれたが、今回は二八そばをセレクト。十割は前回食べたので、今回はパスだ。

石臼

入り口から中に入る。客席の隅っこでは、相変わらず、石臼がゴウンゴウンと回っていた。確かに、最近は自家製粉している蕎麦屋も増えて、店の目立つところに石臼を置いているところも多い。「おお、自家製粉やっとるな!?」ということで、訪れたお客に大なり小なりアピールをしている。唾液もちょっと分泌される。

しかしこのお店の場合、なんか個人経営の零細工場にお邪魔しました、って感じがしてしまう。店の飾りっけのなさも相まって、何か座席に座っていても尻が落ち着かない。

そうそう、9月に訪れたときはまだちょろちょろとしか生えていなかった、窓一面の蕎麦畑は・・・?

まあ、当たり前の話だが、既に収穫が終わっており、何も畑には残っていなかった。白い蕎麦の花が咲き乱れている時にここにくれば、さぞや絶景だろうに。・・・ただし、蕎麦の花が絶景の季節は、肝心の蕎麦そのものがイマイチな季節なわけで。難しいね。

で、既に収穫が終わっているって事はだ、これから出てくる蕎麦が、その、まさに、目の前の畑で可憐な花を咲かせていたヤツなのかい?だとすれば非常に楽しみだ。

二八そば

大して待つこともなく、蕎麦が提供された。細めの蕎麦だからだろうか、このお店の場合、注文してから出てくるのが非常に早い。

こちらが、おかでんが注文した二八そば。いい色をしてます。さっそくすする。ずるずる。

うん、うまい。蕎麦の香りばっちり。味も良い。

ただ、お店と同じく色気が無い蕎麦ではある。素直に美味いんだが、なんかね、美女の脇腹にちょっと脂肪がたぷたぷ乗っているというかね、そういう「隙」というか「脇の甘さ」がないんですよ。喩え変ですか、僕。いや、でもなんかそういう喩えしたいんですよ今日のボクはァ。

十割そば

こちらは友人が頼んだ十割そば。やはり色がちょっと違う。こちらの方が、明るい色をしている。ちょっとつまませて貰って、二八そばと比較してみた。確かに十割は美味いんだが、二八で十分のような気がした。

「いや、美味い美味い」

友人二人とも喜んで蕎麦を食べてくれた。良かった。お勧めした甲斐があった。

「それにしてもこれだけしかメニューがないとは。潔いというかなんというか」

と、コメントをよこす。でも、それはそうなんだけど、これ以上別のメニューがあってもどうかと思う。

「よく考えてみ。このお店で、お酒があって、つまみがあって・・・そりゃ、最後にこの蕎麦でビシっと締めるのは至福の時だろうけど、長居できるような感じのお店ではあるまい?」
「ああ、確かにそれは言えてる。あんまり長居する感じじゃないね、ここは。食べたらすぐに店を後にする、そんな感じ。立ち食い蕎麦屋みたいな」

立ち食い蕎麦屋という比喩はあんまりだと思うが、でもなかなか面白い喩えだ。埼玉の雑木林のまっただ中にひょっこりとある蕎麦屋。だけど、さっと食べてさっと帰る、そんな潔いお店。たまにはこういうお店があってもいいんじゃないか。

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