手打ちそば屋 かんだた

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2005年02月24日
【店舗数:180】【そば食:334】
長野県長野市鶴賀権堂町

極楽セット、お酒

権堂アーケード

「にしざわ」で、まさにこれぞ「満喫」だ!という時間を過ごした後、またタクシーの人となった。にしざわの前で待つこと5分、なかなかタクシーが来なかったが、ようやく捕まえることができた。

二軒目は、長野市の繁華街になる、権堂にあるらしい。権堂アーケードまで運転手にお願いする。

道すがら、運転手さんに「長野の景気はどうですか?今回スペシャルオリンピックスが開催されるって事で随分潤うんじゃないですか?」と聞いてみたところ、「いやー、そんなに変わらないですよ、オリンピックがあった時がピークで、後は苦しいですね」と苦笑いしていた。「長野新幹線ができちゃったもんだから、観光客は素通りするし、若い人は東京行っちゃうし」なんて景気の悪い話をする。ご安心ください運転手さん、僕は今こうやって蕎麦屋行脚をして、長野に私財をなげうっているところですから。

あらためて、「長野で蕎麦食べて経済の活性化を図ろう」と決心し、二軒目でもお酒を飲んじゃろうと緊急閣議決定がなされた。人道的支援だ。きっとそうだ。

権堂アーケードの手前でタクシーを降りた。ありゃ、繁華街という話だったけど、結構渋いアーケードだな。このアーケードの脇道ちょっと入ったところに、二軒目の蕎麦屋「かんだた」があるという情報だ。これも、「KURA」に掲載されていたお店だ。

アーケードの脇道

アーケードの脇道に視線を這わせると・・・ああ、ラーメン屋の奥に「そば」という看板がひっそりと見えるぞ。どうやらあれらしい。

それにしても「らしからぬ」場所に蕎麦屋があったもんだ。一階は中華料理屋、二階以上はスナックが入居している雑居ビルに蕎麦屋ですかい。

そばの看板

木目地に、白文字で「そば」と書かれている看板。横に思い出したかのように「手打ち」という小さな看板が寄り添っていたが、これはどうしたんだろう。日によって「手打ち」看板がでてきたり引っ込んだりするんだろうか。

それとも、最初は製麺所から蕎麦を仕入れていたんだけど、最近になって手打ちを始めたので急きょ看板追加、とか。

まあ、実際のところは「単なる『そば』って書くよりも、『手打ちそば』って書いてあったほうがお客に対してインパクトあるよな」ということに後から気づいたんだろう。ちょっと迂闊だったか。

営業時間は11時-15時まで。4時間しか営業をしていない。夜はやっていないらしい。営業時間の下には、赤い字で「一日限定40食」と書かれていて、どきっとさせられた。なぬ?一日40食?そんなもん、すぐに終わってしまうじゃないか。お昼時、おなかを空かせたサラリーマンやOLがどーっとやってきて食い散らかしたら、すぐに40食なんて無くなるぞ。ちょっといくらなんでも少なすぎやしないか、それ。

時刻は既に13時半。まだ麺が残っているだろうか。不安になってきた。

かんだた

「かんだた」が入居しているビルの名前は「ビストロハウス」というらしく、それで1階に中華料理屋が鎮座してるのはどういうことよ、という気もするのだが。

ま、それはさておき、道路から建物の中をのぞくと・・・あ、ビルを素通りして、裏庭(中庭?)に位置するような場所にお店があるんだな。変な作りのビルだ。この蕎麦屋のために、裏庭部分を潰したのだろうか?

かんだた店頭

石畳の上を歩いてお店に近づいてみる。あらー。まるでこの一角だけ、蔵作りの町にあるような和風建築物になっている。こりゃ相当手間暇かけて作り込んだな?

先ほどまでの権堂アーケードの雑然とした雰囲気から隔離された世界。先ほどのビルの中を素通りするという行為が、何やら時空をワープしたような印象を与えてくれる。

思わず、店の前で立ち止まって「ほー」と嘆息し、お店の外観を上から下まで眺めてしまった。多分、おかでんに限らず、他のお客もきっとそうするだろう。

入り口には、暖簾が半分しかかかっていない。残り半分のスペースには、板でメニューが掲載されている。なかなか面白い作りをしている。入り口にメニューを掲げている蕎麦屋なんて、ありそうで無い。

どうやら、このお店では「手打ち 650円」「鬼おろし 850円」「釜ゆで 650円」「油地獄 850円」「いなり 一ケ80円」の4種類しか提供していないらしい。潔いが、それにしても物騒な名前だらけだ。

「かんだた」という名前からして、明らかに芥川龍之介「蜘蛛の糸」がモチーフだ。だから、地獄にちなんだ「鬼」だとか「釜ゆで」だとか「地獄」だとか。僕、食い地獄なら何度も自ら首を突っ込んだ事があるけど、地獄料理を食わされたことはないなあ。いや、違った、「地獄ラーメン」というのを食べた事はあったな。

ちなみに「鬼おろし」は名前のとおり、おろしそばのこと。「釜ゆで」は、そば湯にかえしを注いで、蕎麦を入れたかけそば風。「油地獄」は、揚げた蕎麦にあんがかけられた巣ごもり蕎麦のことらしい。

そういえば、「手打ち」というのは、「手打ち蕎麦」の事を指しているのは明らかなのだが、ひょっとしたら武士がお殿様の勘気に触れるという「お手討ち」と掛け合わせている・・・というのは考え過ぎか。地獄とは関係ないからな。

一人酒

店に入ると、薄暗く雰囲気のある店構えだった。まだできて日がそれほど経っていない。客は誰もおらず、そのまま一階のカウンター席に通された。ここは二階にお座敷席もあるようだが、一階はラーメン屋のようなカウンター席オンリー。厨房で仕事をしているご主人を眺めつつ、料理ができるのを待つ事になる。お客が自分一人だと、どうも居心地が悪い。

おかでんの入店を見たご主人が、釜に火を入れ直していた。しかし、「えーと、お酒頂いてもよろしいですかぁ?」と言い出したので、また火を落としていた。

お酒は2つ銘柄があったが、何というものだったかは忘れた。突き出しとして、ひじきの煮物が出てきた。お酒と一緒に楽しむにはとても良いつまみになった。

カウンター席だけで10席近くある。二階のお座敷席は実際に見ていないのでわからないが、20席近くあるんじゃないか。・・・フルハウスになったら、それだけで30席=蕎麦30人前が消費されてしまうわけだ。一日限定40食とはこれまた、相当大胆な上限値設定なもんだ。

でも、13時半の時点でお客さんゼロという現実を考えれば、案外妥当な数字なのかもしれん。おかしいなあ、まだ肝心のお蕎麦を頂いていないけど、こんな外観と内装だったら、人気出ると思うんだけどなあ。

あ、そうか。昼しか営業していないからだ。夜、居酒屋にすれば隠れ家的スポットで人気出ると思うんだが。

・・・店の人からすれば余計なお世話なコンサルティングを頭の中で繰り広げる。一人酒は、思考回路が活性化するから楽しい。

かんだたメニュー

肝心のお蕎麦だが、店内のメニューを見てみたら「極楽セット」というセットメニューが存在する事に気がついた。

「手打ちまたは釜ゆで、小盛りの油地獄、いなり1個の組み合わせ」

と書いてある。これでなんだ、このお店のいいとこ取りじゃないか。これで1000円はお得だ、ぜひ頼んでみよう。

積極的に地獄に堕ちることはあるまい。せっかくだから極楽に行かせてもらおうじゃないか。

極楽

お酒を飲み終わったところで、暇そうにしていた接客対応の店員さんに合図。これから愉楽の極楽コースにご案内して頂くことにした。

おっと、厨房のご主人、再度釜のガスに火をつけたぞ。すいません、お待たせしました。

そうこうしているうちに、まずはお稲荷さんが出てきた。1個だけ、こうやって有り難く食べるというのは何だかうれし恥ずかしな感じがする。中が酢飯ではなく蕎麦・・・といったトラップは一切なく、普通のお稲荷さんだった。蕎麦じゃおなかがいっぱいにならない、という人向けなのだろう。それでも、おにぎりではなくお稲荷、というあたり手が込んでいる。

・・・あ、そうか。地獄シリーズで来ているから、「お稲荷さん=稲荷神社=神様」というわけか。考え過ぎか?

お釈迦様に見放されたかんだたは、今度は神様にすがろうってか。

油地獄

厨房に置いてあったバットには、揚げおきしてある蕎麦が山積みになっていた。まあ、山積みといっても揚げ蕎麦はものすごくかさが増えるので、案外大量ではないのかもしれない。

そして、小さな鍋でコトコト何やらをやっていたとおもったら、揚げ蕎麦の上に鍋の中身をかけて、できあがり。

なるほど、これが「油地獄」か。地獄の割には非常に美味そうだ。

ご主人が、接客担当の店員さんに「巣ごもり、できたよ」と告げていたが、店内でも「油地獄」という言葉が流通してないという事実が発覚。やっぱり、「油地獄できたよ」というのはちょっと恥ずかしいかもしれない。

食べてみる。長崎皿うどんの蕎麦バージョン、といえば話が早いのだが、これが美味い美味い。ぱりぱりの蕎麦の食感と、まったりねっとりとしたあんの絡みがエロチックで良い。以前、「月舎亭」で巣ごもりそばを食べたことがあるが、そのときはあんがめんつゆっぽく、醤油辛くてコクがなくて「んー、蕎麦屋が作るあんってこうなっちゃうのかねえ」と思っていた。しかし、今回の油地獄はそんな過去を吹っ飛ばす美味さだった。あんにしっかりとコクがあって、おいしい。中華料理っぽくなってしまっているが、そんなんどうでもいいや。小盛りとはいえ、十分満喫できた。

蕎麦

さて、最後にお蕎麦登場。細めで繊細な蕎麦が目を惹く。

すすってみる。うん、蕎麦の香りもさわやかだし、美味い。

ただ、「にしざわ」の後に訪れたというタイミングが惜しまれる。うまいんだけど、どうしてもにしざわと比較してしまう。

にしざわの場合、口にした瞬間にぱーんと蕎麦の香りが口から鼻にかけて突き抜けるんだけど、ここの蕎麦の場合はずるずるっとすすって、香りが鼻に到達するまで1秒程度のタイムラグがある。まあ、普通の蕎麦だとそれで十分なんだろうが、直前の蕎麦がイレギュラーすぎたということか。

つゆはやや甘めに仕上げてあるので賛否両論あるだろう。おかでんとしてはもう少し辛くしあがっている方が好きだ。あと、もう少し太めの麺の方が好みではある。

とはいっても、このお店にまた来たいと思わせる何かがあった。一つ一つの仕事はきっちりしているし、味も良い。ご主人はいろいろ考えるアイディアマンみたいなので、これから定点観測していくと面白いと思う。

・・・と、考えていてふと気づいた。

極楽セットって、お得感強いんだけどあらかた店のメニューを食べてしまったことになるんだよな、と。リピーター殺しなメニューかもしれんですよ、これ。



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