大江戸めん祭り2005

2005年06月19日
【店舗数:—】【そば食:350】
東京都江東区有明

合計8杯の蕎麦でおなかぱんぱん

東京ビックサイトで「全国のそば・うどんが大集合!めん産業展・物産展」として「大江戸めん祭り」が開催されるという 情報をキャッチしたので、お出かけしてきた。

大江戸めん祭り、という名前のイベントは今回が初開催だが、以前は皇居の北の丸公園にある科学技術館で「めん産業展」として歴史を重ねてきた。この展示会は業者向けのものだったが、今年から一般客も受け入れることにし、一気にビックサイト進出を果たしたというわけだ。

ビッグサイト

今回は、従来の飲食店向け商談ブースに加えて、10軒もの蕎麦・うどん屋が軒を連ねて営業をすることを目玉としている。昨年、「金砂郷そば祭り」に参加して、そこに出店した蕎麦屋がどれもハイクオリティの蕎麦を提供するのでびっくりした事を思い出した。今回の蕎麦屋も、期待してよさそうだ。何しろ、東京ビックサイトで開くのだ、全国からいろいろな麺業界人が集まってくるので、へたな蕎麦屋を招聘すると主催者の沽券にかかわる。

大江戸めん祭り看板

開催期間は、日・月・火の3日間。変な曜日設定だ。日曜日が入っているのは、一般客への配慮ということだろう。

それにしても、飲食ブースに一般人が群がるのはともかくとして、「産業展」時代から続いている石臼とか厨房設備を扱っているような商談ブースにとって、一般客って邪魔以外の何者でもないような気がするのだが、問題ないのだろうか。

ビックサイト入口で同行者の集合を待ちつつ、めん祭りを訪れる客層をチェックしてみた。やや年齢層は高めなんだけど、若い集団がいたり、家族連れがいたり、いまいちとらえどころがなかった。男女数名のダブルデート状態な集団も見かけたが、彼らは本当に蕎麦が好きなんだろうか?と気になってしまう。「めん祭り」と謳っているけど、ラーメンは取り扱っていませんよー。

ビックサイト西棟

ビックサイト西棟を使って今回は開催されていた。

入場パス

一般入場者は500円を払って、入場パスを買う。この赤い札を首からぶら下げて、敷地内を移動することが求められた。ちなみに、蕎麦屋で前売り券を買っていれば400円。そのほか、業界関係者には招待券が配られていたようだ。

展示会で入場料を取るというのはちょっと面白い。もちろん、普通の展示会でも入場料は取るが、よく「webで事前登録をしておけば入場料無料」ってことになっている。先日、同じビックサイトで「設計・製造ソリューション展」なる展示会に参加してきたのだが、そのときの入場料はなんと5,000円!しかし、webで事前参加登録しておけば無料!何じゃそりゃーっていう価格設定ではあったよ。

それはともかくとして、この大江戸めん祭りの場合、事前登録で無料なんてことは一切なく、入場するからにはお金を取るよというスタンスだ。要するに、敷地内にある様々なお店やブースは「客を楽しませるアトラクション」という位置づけであり、楽しむからには当然その対価としてお金を頂きますよ、というスタンスなんだろう。

まぁ、そりゃそうだろうな。さっきも述べたけど、厨房機器メーカーやプロ用の食材を扱っている商社からすれば、一般客の来訪なんて商売の邪魔にしかならない。ただ、

この大江戸めん祭りを通じて、麺好きが増える → 麺飲食店に訪れるお客さんが増える → お店が儲かる → 厨房機器や食材の需要が増える → 儲かる

という、非常に僅かな可能性に配慮したということだろうな。お疲れさまです。一般客であるおかでんとしては、非常にありがたい限りだ。

大江戸めん祭り入口

大江戸めん祭り入口。何やら入口に人が行列を成している。これは一体なんだ・・・?

凄い行列

ブレてしまったが、とにかく凄い行列だ。午前11時過ぎの時点でこの状態で、1時間後にはもっと酷くなっていた。何事かと思ったら、飲食コーナーを利用する場合はここで食券を買ってくれ、ということらしい。お店の負担を減らすため、お店では現金を扱わないようにしているわけだ。

それにしても、食券売り場の配置が悪いし、主催者がちゃんと行列を誘導しないものだから、行列がえらく混乱していた。さすがに、昨年までの業者向けイベントとは勝手が違いすぎ、こうなることを想定できていなかったようだ。

いや、それにしても人が多い。一参加者のおかでんとしても、この人数の多さは意外だった。さすがは東京、こんなに人が集まるものなのか。

メニュー表

集中食券売り場なのはいいけど、「どのお店で何を食べるか」なんてまだ決めていなかった。慌てて、メニュー表を取り寄せて何を食べるのか検討することにした。

えーと、今回は10軒出店しているうち、8軒が蕎麦だ。残り2軒は稲庭うどんと、沖縄そば。であれば、とりあえず8軒全部で蕎麦を食べるつもりで、食券を購入しないと。・・・やり過ぎか?

売り場のおねーさんに、余った食券はどうなるんですか?と聞いたところ「物産展の方でも使えますんで」ということだった。だったら、いいや。おなかいっぱいになって食券が余ったら余った時だ。8軒食べ歩く事を前提に、食券を買おう。

5,000円分の食券

というわけで、5,000円分の食券を購入。100円券がバス回数券のように束になっているものだった。よーし、これで食べまくるぞ、と。

会場案内図

大江戸めん祭りの会場案内図。

オレンジの部分が、飲食ゾーン。そして、緑色の部分が従来からあった展示及び商談用のブース。間に挟まれている青色のブースは・・・え?北海道物産展?何だそりゃ。

北海道といえば蕎麦粉の産地でもある。そのつながりなのだろうか??わからん。

飲食ゾーン

飲食ゾーンにズームアップ。こうやって、飲食ゾーンには広大な机と椅子が並べられており、それを挟み込むかたちで合計10店舗のお店が軒を連ねていた。ビックサイトって、敷地内に配水管が完備されているのだな。ちと驚いた。

さあ、食べるか・・・

と思って中に入ったのだが、入口には無情にも「撮影禁止」の立て看板が。あちゃー、これはあてが外れた。どうしたものか。蕎麦の撮影ができないとなると、魅力半減になるのだが。

しばらく思案したが、ふとひらめいた。「そうだ、購入した蕎麦を持って敷地外に出ればいいんじゃないか」と。一休さんのトンチみたいなひらめきだ。我ながら賢い。敷地外で撮影して、また戻ってくれば何ら問題はあるまい。

[福島県 会津磐梯そば道場]
会津高遠そば(600円)

高遠そば

もりそば500円だったが、つゆを大根の絞り汁にした場合100円増しの600円。

やはり、お皿を洗う手間を省きたかったのだろう、お弁当容器に入れて出てきた。これは金砂郷そば祭りのときに見かけた光景と一緒だ。風情がないが、現実的な対応だろう。

この蕎麦を食べた直後にICレコーダーでコメントを録音していたのだが、そのデータが吹っ飛んでしまった。ICレコーダーに録音したぞ!ということで安心してしまい、当時の記憶は現在おかでんの頭にほとんど残っておりませぬ。残念ながら蕎麦についてコメントはほとんど無しということでご容赦を。

ビールも売られている

ビールも売られていたので、有り難く購入する。500円。

非常に大きな飲食ゾーンにもかかわらず、お客さんでいっぱい。座席が一つたりとも確保できなかったので、敷地内にあった大門の支柱に蕎麦を乗せて立ち食いした。

ずるずる。うん、悪くはない蕎麦だ。

会津高遠そば600円と、ざるそば500円の違いは何かというと、会津高遠の方はつゆがおしぼり(大根の絞り汁)になっているということだった。おしぼり、といっても大根汁だけで蕎麦を食え、というわけではなく、辛汁で割ってあった。さっぱりとして蕎麦が進む。

[富山県 利賀そば「蕎麦の会」]
もりそば(600円)

もりそば

利賀といえば演劇で有名な場所だが、蕎麦もあったのね、という新鮮な驚き。

このお店はもりそばのみの取り扱いだったため、比較的客さばきが早かった。

[千葉県 花月庵みのしま]
十割そば(700円)+そば苗おひたし(300円)

十割そば

ちょうどお昼時に差し掛かったということもあり、行列はどの店舗もものすごいことになっていた。三軒目として並んだ「花月庵みのしま」も長い行列ができていた。しかも、行列の進みが非常に遅い。厨房を見ると、このお店は一度に二名分ずつしかゆでていなかった。しかも、ゆで上がったら一人前ずつ水で締め、振りざるで水を切り、盛りつけて提供・・・と行程が丁寧だ。なるほど時間がかかるわけだ。

他店舗の場合、いっぺんに大量にゆで、大ざるに蕎麦をあけ、どんどん容器に盛りつけていくという行程をとっていた。大量生産に特化したオペレーションだ。

こういう、通常業務ではあり得ない来客がある場合、どこまで行程を簡略化して蕎麦を提供するかというのは非常に難しいところだ。手抜きをして、味が悪くなったらお店の看板に傷が付く。かといって、お店と全く同じオペレーションをすると全然客がさばけない。結局、この「みのしま」はほぼお店と同じオペレーションを維持する方を選択したことになる。

行列の最後尾に並んでから蕎麦にありつけるまで、所用時間はざっと30分。いや、長かった。行列自体は20名程度だったと思うが、まさかこんなに待つことになるとは思わなかった。

十割そば700円に対して、普通のせいろは500円。ここで食べた十割そばは、この日訪れた全店舗のうちで一番風味があったと思う。後日、このお店について調べてみたところ、千葉県市原市に実在する蕎麦屋さんだった。この会期中、お店はどうしたんだろう?閉店していたんだろうか。このブースには、スタッフが6-7名張り付いていた。中には、主催者側が雇ったバイトもいるのだろうが、お店からも当然何人か来ているはずだ。

そば苗おひたし、というのが300円であったので注文してみた。池之端藪の名物とは聞いたことがあるが、蕎麦の苗は見たことが無かったので興味津々だった。しかし、興味津々なのは僕だけだったようで、行列を作っている他の人たちは全くそば苗を注文する気配が無かった。うーん、まあ、そんなもんか。

そば苗おひたし

で、これ。カイワレみたいなものですな。蕎麦の苗だからといって、かじったら蕎麦の香りが鼻腔を、なんてことは全く無かった。当たり前の事だけど、何だかちょっとだけ残念。にんにくの芽はにんにくの味がする。だから、そば苗も蕎麦の味が・・・なんて勝手に思いこんでいた。

ま、一度食べればもういいやって感じっすかね。でも、一度食べてみないと、なかなか食べる機会がないんだから。

[静岡県 静岡「茶そば」]
茶そば(600円)

茶そば

10店舗中、もっとも客足が悪かったお店がここ。お隣の稲庭うどんが激しく行列を形成しているのに対して、このブースに至っては客が皆無。一体どうしたというのだろう。町にある蕎麦屋だったら、営業しているうちに「あのお店はイマイチらしいわよ」なんて風評が立って、客足が遠ざかる。それは判る。でも、ここは展示会、一見さんしかやってこない。よろしくない風評によって客足が悪くなったというわけではなさそうだ。

・・・詰まるところ、お客さんのほとんどが「茶そば」という食べ物に興味が無かった、ということだ。美味いかマズイか、実体はこの際関係ない。どのお客さんも、有限の大きさしかない胃袋に一枚もしくは二枚のそばしか詰め込むことができない。そうなると、ファーストインプレッションで好みを選ぶ、美人投票状態になる。んで、茶そばが一番ブスで不人気、という結果になってしまっているのだろう。

ま、そりゃそうだ。かくいうおかでんだって、「蕎麦屋全店行脚」を考えた際に「茶そばは・・・外してもいいかな」と思ったくらいだ。こういう混ぜ物がされている変わり蕎麦って、好きではない。

そんなわけで、茶そばを食べるにしても、胃袋が相当苦しくなってくる最後の方にしようと思っていた。もうおなかいっぱいだったら、食べなくてもいいや、って諦めがつくようにするためだ。しかし、行列無しのブースには激しく惹かれた。いいや、ここで食べよう。

4杯目は茶そばを選択。

・・・

次いこう、次。

うーん。行列の長さには意味があったのか・・・。

[福井県 越前おろしそば]
越前おろしそば(600円)

おろしそば

さっきの茶そばもそうだが、このおろしそば屋も店舗名や組織名が書かれていない。一体誰が母体となってやっているのだろうか?地元の蕎麦打ち愛好会がやっているのであれば、そういう名前を名乗るはずだけど、このブースは一切名前を公開していない。

実は主催者が人を集めて、「越前おろしそば風のものを作ってみました」と見よう見まねの蕎麦を提供していたりするのかもしれない。いや、それは考え過ぎか。

このお店の面白いのは、蕎麦焼酎が売られていたということだった。蕎麦をすすりながら一献どうぞ、ということか。カウンターには、どうだ、と焼酎の一升瓶がそびえ立っていた。しかし、さすがにビールを飲む人はいても、昼間っから焼酎はちょっとキツいんじゃないの・・・と思ったら、昼下がりには焼酎売り切れの札が。あら、完売しちゃいましたか。越前おろしそばが600円で、焼酎付きの「ほろ酔いセット」が800円。1杯200円なのでお得といえばお得だ。

[東京都 江戸流手打ち蕎麦の会]
もりそば(500円)

もりそば

とても行列が長かった。

こういうイベントがあると、地元選抜のお店というのは不人気というのが定番だ。地元だから、何もここで食べなくてもまたいつか食べられるでしょ、という気にさせるからだろう。逆に、開催地から遠い地域のお店というのは「今ここで食べないと、二度と食べられないかもしれないから」という気になる。にもかかわらず、この東京の蕎麦は大人気。どうしたんだろう。ホームディシジョンだろうか。

[長野県 信州石挽そば そば処小沢]
もりそば(500円)

もりそば

容器がちょっと変わっている。銀色に光る。オードブルでも盛り合わされていそうな、そんな容器だ。つゆが入っている容器は透明で、取り外し可能だ。

味についてはコメントなし。

[新潟県 へぎそば処わたや]
へぎそば(600円)

へぎそば

このお店も行列が特に長かった。

へぎそばの盛りつけと水切りを間近でみることができたのが良かった。5ボッチ分ざるにざざざっと盛りつけたら、そばを手のひらで上からふたをするように押さえつけ、ざるをぐいっと斜めに傾けてざばーっと水切りをしていた。普通、ざるに盛りつける前に水切りをきっちりするものだが、このお店の場合最後の工程でやるのだな。初めてだ、こんなオペレーション。へぎそばでは当たり前の動作なのだろうか。

水気を残しておいて、みずみずしい麺を味わってもらおう・・・というのが戸隠やへぎそばでみかけるボッチ盛りだと思うが、水切り次第では「単に水っぽい、風味が薄まった蕎麦」になってしまう。今回はまさにそんな感じだった。惜しい。

とまあ、こんなわけで8軒食べ歩いたわけだ。金砂郷まつりに行ったときは、「どのお店もおいしい!凄いぞ!」という驚きと興奮と美味に包まれていたわけだが、今回の総論としては「うーん・・・」というものだった。もちろん、なかなかおいしいお店もあったのだが、それ以上にイマイチなお店もあったので平均をとると、満足度が低かった。さすがに、超大規模な来客をさばくことを前提にすると、提供する蕎麦に妥協をせざるを得ないのかも知れない。そう好意的に解釈したい。後できくところによると、3日間の会期中に5万人の来場者があったという。これだけのお客を相手に、ファストフードとして蕎麦を提供するというのは相当に難しいだろうな。お店を必死に切り盛りした店員さんにはお疲れさまでした、と言いたいところだ。

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